2016/11/14 のログ
ルチア > 手を振るだけに留めた少年を横目に自分もメイド服の少女に笑いかけるだけにとどめて、
そうして人混みから離れていく。
適当な――祭りの繁華街らしく賑やかで、誰も彼もたいして他人になど気にしていないような辺りまで移動しながら。

「それにしても元気だねぇ。
数人がかりでやっとだったみたいだし。
最初から見てたけれど、よく動くし体力も有るんだね」

格段暴れてはいけないとか、もっと考えて、等の説教をするでもなく。
何か飲むかい、と自販機の前で立ち止まると硬貨を自販機に投入しながら。

東雲七生 > ちょこちょこと女の後を追う様に人混みを縫って進む。
あちらこちらから客寄せの声が聞こえてくる。ある意味では商店街などとは異なる雰囲気すら感じられた。

「あ、はぁ……えっと、まあ。」

鍛えてるから、と短く答えて。
それから自販機のレパートリーをざっと見てから、スポーツドリンクの銘柄を口にした。
気付けば確かに喉が乾いている。まあ、叫んで暴れてをしたので当たり前と言えば当たり前だ。

ルチア > 了解、とスポーツドリンクのボタンを押して、それを自販機から取り出してから差し出した。
彼が受け取れば自分もブラックコーヒーを押して、取り出してリングプルを押し上げた。

コーヒーを飲みつつ、それから改めて少年を見やる。
鍛えてる、との言葉に観察するようでも有るし、興味を引かれたようでも有る。
じぃ、と二往復くらい彼の身体を見やってから。

「確かにあれだけの人数相手にびくともしていないしなぁ。
確り詰まった身体なんだね。
運動か何か?」

小柄だけど、と言う言葉は流石に口にはしなかった。
先程の様子を見ていれば、それが彼のスイッチなのは理解できた。

東雲七生 > どうも、と差し出されたスポーツドリンクを受け取って。
それから一度、自分が先程まで暴れていた方を振り返った。
あの悪漢どもはどうなっただろう、と一抹の不安を拭いきれずに小さく息を溢す。

理性が半分以上消えていたとはいえ、異能を使わなかったのは相手が素人であることと、
異能から生徒の割り出しが容易な為である。以前街中で異能を使って注意を受けた事もあったから。
と、そんな事を考えていたら声が掛かる。

「え?あ、まあ……割といっつも駆け回ってるんで。
 足腰にはそれなりに自信もあるし、スタミナも。」

小さい身体にワンサイズ大きい服を着ることが多いので身体つきは一見してよく分からないが。
筋骨隆々とはいかなくとも、それなりに筋肉量は多いのである。

ルチア > 当然ながら彼の異能は知らない。
と言うか名前すら知らなかった。
メイド服の子が絡まれていた辺りから見ていたから一部始終は見ていたが、
何というか、ただのお節介焼きだった自覚は有る。

先程の悪漢たちは命には別状はないだろうし、自業自得でも有る。
彼らに関して言えば気の毒だとかいう感情は一切なかったので、
後で適当に風紀委員に事情聴取でもされて困ればいいと思う。

「君みたいな年頃が駆け回って元気なのは良いことだ。
確かにあの蹴られた男たちはかなり痛そうだったしね。

まあ、なんだ。
お節介を焼いてすまなかったね。
ただあのままだと野次馬も増えてきていたし、
色々面倒そうだったから」

すまない、とは言うがそこまで深刻な口調でもなく。
それなりに気楽な雰囲気で告られた。

東雲七生 > 「ああ、いや……気にしないで。
 あのままだったら状況的に俺も風紀に連れてかれてただろうし。
 助かったよ、遅くなったけど、ありがと。」

スポドリでのどを潤して、ようやく冷静に物事を考えられるようになったのか、ぺこりを頭を下げた。
出来ればどんな形であれ、風紀や公安、及び各委員会に目を付けられる様な事は避けたいところだ。知り合いも居るし。

「ところで、名前は?
 ああ、俺は東雲七生。二年生。」

お礼をする相手の名前も知らないし、
そんな相手に飲み物を奢られる訳にもいかないので簡潔に名乗りながら、相手の名前を尋ねる。

ルチア > 「そう言ってもらえると此方も助かるよ。
正直彼らはいい気味だしね。
ちょっとスカッとしたのも事実なんだ」

ここだけの話だけどね。
と、頭を下げる少年にやはり気楽な調子で告げて。
コーヒーを飲み干すと適当にゴミ箱へと放り投げた。
軽い音を立てて収まる空き缶。

「ルチアだ。
シノノメは二年……と言うことは先輩か。
私は一年だから。
最近ここに来たばかりなんだ」

東雲七生 > 「あ、そう──今年からかぁ。
 じゃあもう結構慣れてきた感じ?」

多いよなあ最近、とぼんやり考えながら相槌を打つ。
それにしてもまた年上っぽい後輩だなと内心青息吐息である。しかも背も高い。
銀色の髪は七生の良く知る相手にも似て、実のところそれで冷静さを取り戻したのもあった。

よく見れば全くの別人だったし、そもそも名前も知らない相手で改めて驚いたけれど。

ルチア > 「そうだね。
今年からと言うか、ここ1,2ヶ月かな。
色々な人に親切にしてもらっているし、
学校にも結構馴れてきて――いたところにこのお祭りだから、
お祭りが終わって授業が再開した頃にはまた馴れ直すのに一苦労しそうだ。

長い期間のお祭りだから、楽しむつもりだけれどね」

自然と見下ろす形になっているが、こればかりは仕方がない。
かがんだりしたら怒られそうだし。

当然ながら彼の事情は知らないので、
メイド服のオロオロ具合で気づいたのかな、と思っていた。
唐突に出ていったから驚かせたのは百も承知だけれども。

東雲七生 > 「ふぅん、てことは夏休みが終わったくらいからか。
 まあ特に問題無く学校生活が送れてんなら良いんだ、
 でも、なんだ、困ってる事とかあったら遠慮なく言ってくれよな、何たって俺の方が先輩だし。」

1年ちょっと長く居るだけだけどな、と笑みを浮かべる。
それでも島内の主だった地理と学校内の教室の場所くらいは頭に入ってるつもりだった。
目的の施設が何処にあるのか、とかなら道案内する事なら容易だと自負している。

少しばかり背の高いルチアを見上げながら、自信満々に胸を張ってみせた。
取り乱したところを見られたとはいえ、面倒事から救って貰った恩義も感じていない訳ではないのだ。

ルチア > 「そうだね、そのくらいからだ。
ささやかで貴重な幸運に恵まれてね、有り難い事だと思っている。
ありがとう、シノノメ先輩は頼もしいからね。
頼りがいがあるよ。
困った事があれば遠慮なく頼むよ」

一年は大きいよ、と笑って頷く。
主な生活圏は頭に入ってきているが、この島はなにせ、広いし大きい。
そう言ってくれる人が居るのは素直にありがたかった。

自信満々、な様子は先程鍛えていると言う言葉もあってか、
頼りがいがあるように思えた。

東雲七生 > 「とはいえ、大抵の後輩は特に問題無く学校生活送ってるんだけどね。
 他には……うーん、そうだなあ。文化の違いとかあったら俺も協力出来る範囲で協力するよ。」

しののめ、という自分の名字に対するイントネーションと、ルチアという名前から相手が外国人、
あるいは異邦人ではないかと予測を立てる。
あまり異文化に詳しい方でない七生ではあるが、今住んでいるのが異邦人街である為、全くの無知という訳でもない。
いざとなれば異邦人街の知り合いを尋ねて回るくらいの事は出来るのだ。

「ふふん、まあ俺なんてまだまだ先輩の方が多いくらいだしさ。
 それでも、何かの助けになれるんなら嬉しいかな。」

えへへ、とはにかむ様に童顔に笑みを浮かべる。

ルチア > 「ふふ。
良いことだけど少しだけつまらない、とか。
ああ、いや、日本に来てからは1年位で……ああ、この世界の日本ではないんだけど。
兎に角この常世島には驚かされることばかりだよ。
未だに人外――というのも失礼に当たるのかな、がおおっぴらに歩いているのにはびっくりすることがある」

彼の推測は両方正解だ。
異邦人でもあったし、外国人でもあった。
類似点も多いが、違う点も沢山あり、未だに戸惑うことは多い。

「私にとっては殆どの人が先輩だよ。
こうやって親切にされるとこの島はやはり凄いと思うよ。

シノノメ先輩は頼もしいだけではなくて可愛らしいんだね」

しれっと子供っぽい笑みに秘密を囁くように口にして。
とは言え流石に頭は撫でないが。

東雲七生 > 「ああ、やっぱり。
 何だか色々複雑そうだね。
 まあうん、俺が協力出来ることがあったら、何でも協力するからさ。
 
 人外、って言い方は俺もあまりピンと来ないかな。
 異邦人、ってこの島だと呼んでるよ。」

どの様な種族であっても、異邦人というカテゴリで括るのは七生も少し違和感がある。
なので、出来るだけ個人として関わりたいとは思っているのだが。

「あはは、それもそーか。って、そーじゃなくて。
 俺より頼りになる先輩はいっぱい居るよてこと。

 ……ばっ、変な事いきなり言わなくて良いんだよ!」

似たような語調が彷彿として頬が熱くなる。
初めて会った割にあまり知らない人の様に思えるのはどこか似通った部分があるのかな、と首を傾げた。

ルチア > 「複雑ってほど複雑でもないはず……なんだがね。
とは言え“門”の先がここで良かったと思っているよ。
ありがとう。助かるよ、先人の知恵はいつだって大切だからね。

異邦人ってくくりでも結構大雑把な括りだしね。
区分としてはあっているのだろうけれど。
とは言え良い言い方も思い浮かばないしね」

当事者ではあるが、異邦人と呼ばれるのには慣れないし、
かと言ってこの世界の人間ではない。
立場としてはしっかりしているので迷うことはないが。

誰が誰より頼りになる、と言う話ではないよ。
勿論君の他にも頼りになる人は知っているけれど、
それで君が劣っているわけではないのだし。

あっはっはっは。
シノノメ先輩は本当に可愛いなぁ!」

イタズラしたくなる可愛さだ、なんて付け足して赤い頬に笑ってから。
さてと、と。

「そろそろ私は戻るとするよ。
人影がまばらになってきたから、シノノメ先輩も気をつけて」

東雲七生 > 「ええと、まあお疲れ様、だね。
 ひとまず少しの間でもゆっくりしていってよ。歓迎するよ。
 
 ……あはは、そうだよねえ。
 そもそも同じ島で暮らすご近所さんみたいなものなのに、
 自分とは違うって分けちゃうのもどうかなって思うんだけどね、俺は。」

指で頬を掻きながら、異邦人街の方を見遣る。
同じ島、ひいては同じ街に住んでいてカテゴリ分けする必要が本当にあるのか、七生には判らない。

「いやまあ、そうかもしれないけど。
 ええと、つまり困った事があったら遠慮なく周りに相談しなよ、ってそれだけなんだけど!

 ……う、ぐ。
 あんまり男子高生に可愛いって言うなし!」

たじろぎながらも反抗的な態度をとる。
強気で出ないとなあなあで受け入れてしまう気がする……というか、受け入れてしまった現実がちらほらあるから。

「あ、うん。
 今日は本当にありがとう、また今度ゆっくり話が出来たら良いね。」

それじゃあ、と小さく手を振って、笑みを浮かべる。

ルチア > 「うん、そうだね。
今まで中々に忙しく過ごしてきたから、バカンスだとでも思ってゆっくりするさ。

差別偏見、までになってしまうと問題だけど、
区別と言うか、ある程度の区分は必要だと思うけど。
男性と女性が違うようにね。
とは言え、その程度の違いなのかもしれない。ことさらこの島だったのなら」

自身は人外は排除するものだと言う“価値観”で仕事をしてきた人間だが、
ここはそうではない。
人外――否、異邦人と呼ばれる者たちはあくまで隣人なのだ。
勿論この世界の者たちも。

「すまない。どうも小難しく考えてしまう癖がついているようだ。
そうだね、そうするよ、そう言ってくれる人が居るというのは幸福だ。

年頃の男の子に可愛いは流石に失礼だったかな。
だけど、魅力的な君が悪いんだよ」

反抗的な態度も何のその。
いけしゃあしゃあと言ってのけて、しれっとした顔をしているのである。

「いや、こちらこそだよ。
今度はお茶でも飲みながらのんびり話そう。
場所も機会もあるだろうし。

それじゃあ、シノノメ先輩。
また」

(ひら、と笑みを浮かべて手を振ると踵を返して歩きだす。
人もまばらになってきた歓楽街の向こうへと、姿は小さくなっていった)

ご案内:「歓楽街」からルチアさんが去りました。
東雲七生 > 「う~ん……何て言うか……。」

他人の空似、ではあるのだが。どうにも既視感を覚える。
容姿も、言い回しも、それぞれが別の知り合いと重なって見えて、非常に落ち着かなく、同時に落ち着くという奇妙な状態。
まだ少し熱の残る頬を、手で押さえて去り往く後ろ姿を見送ってから、一つ、息を吐いた。

「……よし、帰ろう。」

新たに知り合った後輩の名前をしっかりと頭に刻む。
ついでにまたしても年上で異性で自分より背が高い事も、記憶した。

ご案内:「歓楽街」から東雲七生さんが去りました。