2017/05/01 のログ
ご案内:「歓楽街」にセシルさんが現れました。
セシル > この島の近くの国では、行楽シーズンなのだという。
この島とその国は文化的にも社会的にも縁があり、教員の中には丁寧にこの時期の授業を休講にしてしまう者もいる。
それを機会にと帰省する者もいるし、あるいは島内で遊びに興じる者もいる。
…そうなると、自然と風紀委員の仕事も増えるわけで…

「ゲームに興じるのは構わんが、もめ事は起こさんように」

そう、男子学生2人組に言って聞かせているセシル。
というわけで、セシルはこの日の午後、歓楽街の巡回に組み込まれているのだった。

セシル > 風紀委員に注意されて我に返ったらしい男子学生達がしおらしく頷く。
それを確認して、セシル達警邏担当の風紀委員は再び歓楽街の通りを歩き始めた。

『こういう時こそ忙しいのって、風紀委員の損なところだよなぁ』

同僚の一人がぼやく。

「そうは言っても、誰かがやらねばならんことだ…仕方あるまい。
対価は支払われるわけだしな」

セシルが淡々と言うと、その同僚は苦笑いを浮かべて。

『そりゃそうだ。対価もらっても嫌なんだったら引き受けてないし、そもそも辞めてるね』

「軽いとはいえ厄介が発生してたわけだしちょっとした愚痴だよ」と。

セシル > 『…にしても、ラフフェザーさん真面目だよねぇ…休みを申請した人の分の穴埋め、積極的に入ってるんだって?』

警邏しながらも、そんな風に話しかけてくる同僚。

「ああ…学業や鍛錬に支障のない範囲でな。
特に予定もないし、誰かがやらねばならんことなら、出来るだけ背負おうかと思ってな」

ここでは口に出さないが…「友人」との約束や、「彼女達」の件がらみで考えたこともある。
一人で何もかも出来ると、背負えるとは到底思えないが、少しでも、その「闇」を払う存在として振る舞いたいという思いがあった。

セシル > 故郷にあれば、予定はなくもなかったのだろうと思う。
「こちら」と「あちら」に暦のずれがなければの話ではあるが…セシルは、間もなく20歳になるのだ。
一応、誕生日は「あちら」の暦基準で申請してあり、学生証にも記載はされているが…

(祝ってもらうほどの関係性は…)

「あちら」であれば、同期達が手荒いお祝いでもくれたかも知れないが。

失ったもののことに思考を巡らすのが嫌だったのも、セシルがこの期間に警邏にこまめに入っている理由の1つだった。表情には出さないが…瞳の曇りのようなものは、見て取れるかもしれない。

セシル > こちらに来てから、2回目の誕生日。
「あちら」ではどう月日が流れているのだろうか。
こちらと同じように月日が流れているならば…もし帰れた時に、自分の居場所はあるのだろうか。

そんなことを、警邏の途中で思考の中心におくほど、セシルは「アマチュア」ではない。
真面目に警邏に取り組むし…何かあった際には、しっかりと対応してみせるつもりでいた。

ご案内:「歓楽街」に柊 真白さんが現れました。
柊 真白 >  
(そんな彼らの歩く先で柊真白は絡まれていた。
 酔った男が自身の持つ刀の鞘をぶつけられたと喚いている。
 こちらとしてはそんな事をするほどの素人でも無く、ぶつかる前に避けている。
 そもそもこちらがぶつかったのではなくあちらからフラフラとこちらへ向かってきたのだ。
 人の目もあり斬って捨てるわけにも行かないし、まず仕事の外での人斬りは信念に反する。)

――だからぶつけていないと言っている。
そんなことも分からないぐらい酔っていては他の人に迷惑。

(火に油を注ぐような言葉。
 当然男の怒りは更に大きくなる。
 たとえ穏便に収めるためでもありもしない自分の非を認めるのは我慢出来ない程度に頑固なのだ。
 こちらはましてや怪しげな面を被っている。
 男からすれば自分より年下の顔も見せない女が生意気な言葉を浴びせてくるのだ。
 当然腹も立つだろう。
 警邏中の風紀委員に背を向けている男は、彼らの接近に気が付かない。)

セシル > 『ん?何だあれ』

最初に気付いたのは、同僚だった。
男のわめき声。それを浴びているのは…怪しげな面を被った、小柄な少女。

「…発音があまり明朗でないな…酒か?」

まだ夜の本番という時間ではない。眉をひそめたセシルが、すいと進み出る。

「…そこの二人、どうした?」

作った、中性的な太い声で、男と少女に声をかける。

柊 真白 >  
(自身と男がそちらを見る。
 不機嫌そうに振り向いた男は、声を掛けてきたのが風紀委員だとわかる程度には理性が残っているらしい。
 怯んだような顔をしたが、すぐに彼女らへ向けて喋りだした。
 曰く、自分が刀の鞘を男の脚へぶつけて転ばせようとしただの、危うく転んで怪我をしそうになっただの。)

当ててないし当たってない。
転びそうになったのは一人で勝手にふらついただけ。

(一応その言葉が終わるのを待ってからこちらも口を開く。
 面は顔全体を覆っているため表情は見えないが、口調は明らかに不満げなものだ。
 実際面の下の顔も、無表情ながら眉間に小さな皺を寄せている。)

セシル > 「………なるほど」

両者の話を聞いて、彫りの深い秀麗な顔にますます眉間を寄せるセシル。
男が風紀委員にいきなり絡むほど理性をなくしていないのは幸いだが…穏便に場をまとめるには、どのように話を進めたら良いだろうかと、少し考えているのだ。
セシルに少し遅れてきた同僚達も、二人の話はしっかり聞いた。

『何か、転ばせられそうになる心当たりとかあるんですか?』

同僚の一人が、男にそう尋ねる。
セシルは、面を被った少女の方に視線だけ投げて、「すまない」と、口だけを動かした。
事情はおおよそ少女の言う通りなのだと思うが、一方的に決めつけるとことが穏便に済まなくなるのだ、と示唆する風で。

柊 真白 >  
(別に良いというように首を振る。
 心当たりを聞かれ、男があからさまな不機嫌顔になった。
 俺を疑っているのか、このガキが脚に刀を当てた感触があったし、実際に転びそうになった。
 近くにいたのはこのガキだけだからこいつがやったに決まってる。
 その様なことを呂律の怪しい口調でまくし立てる。)

――自分の脚に引っかかった事も分からないぐらい酔ってるくせに。

(ぼそり、と呟く。
 が、その言葉は男の耳に届いたらしい。
 男が振り返ってこちらの胸倉を掴みあげ、よくわからない叫び声をあげだした。
 軽い身体はぶらりと宙に浮く。)

セシル > どんどん呂律が怪しくなっていく男。
おまけに、少女の呟きで、一気にボルテージが上がって理性が飛んだらしい。

『ああもう、そんな風に絡んじゃ駄目でしょう!
あなたが言うことが本当でも我々としては止めざるを得なくなっちゃいますから!』

少女を掴み上げる男の腕を慌てて抑えにかかる同僚。
もう一人が、慌てて近くの自販機に水を買いに行く。

『あなたもね!間に割って入らないでもらえますか!話は改めて聞くので!』

男を抑えにかかりながら、少女にもそう言う同僚。

小柄とはいえ、少女を軽々と宙に釣り上げる程度の腕力の持ち主だ。
暴れだした時にすぐ制止出来るように、セシルも男と少女、そして同僚の近くに静かに寄る。

柊 真白 >  
(間に割って入られれば、自身を押しのけるように手を離す。
 自分の身体は完全に浮いていたので投げ捨てられるような形になったが、体勢を崩すことなく着地。
 男に掴まれてくしゃくしゃになった襟元を正す。)

私は彼の間違いを正してるだけ。
間違った事は言ってない。

(むっとしたような口調で言い返す。
 それに対してまた何か言いかけた男だったが、それより先に男へ視線を飛ばした。
 僅かだが、刺すような冷たいモノ――殺気を含ませた視線。
 男だけに刺さるようなその殺気を受け、男が怯む。
 そのまましばらく固まっていた男は、なにやら吐き捨ててどこぞへ歩き出してしまった。)

セシル > 『大丈夫ですか?』

水を買いに走っていた風紀委員が、戻ってくるなり投げ捨てられた形になった少女に気遣いの言葉をかける。

『…いや、お互いの気持ちは分かるんですけど、こういう時直接会話しちゃうと収拾つかなくなっちゃいますんでね。………?』

むっとした口調で言い返す少女に対してそう声をかける仲裁役。
…と、急に男が大人しくなって、去っていくのを不思議そうに眺める。
戦闘が専門ではないのか、わずかな殺気を感じ取るには至らなかったようだ。

(………。)

しかし、セシルはその視線のやりとりに何か感じるところがあったのか、仮面の少女に、やや穏やかでない視線を向けている。

『…っと、気をつけてー!』

去っていく男の背中に声を投げかける仲裁役と、買ってきた水を持って立ち尽くす同僚。

「………貴殿も災難だったな?」

セシルは、やや声をひそめて少女に声をかける。しかし、少女に向けるその視線はあまり穏やかとは言えない。

柊 真白 >  
(正直この手はあまり取りたくなかった。
 仕事の標的でも無いのに殺気を飛ばすと言うのは、直接刀を向けるのと同義だと思っている。
 なので、出したと言うよりあまりにしつこいので出てしまったと言った方が近い。)

大丈夫。
――酔っ払いは嫌い。

(声を掛けてくれた風紀委員に心配ないと。
 男が去った後。
 災難だったな、との言葉には呟くように答える。
 あまり穏やかではない視線を受けても態度は変えず、一切気にも留めていない。)

セシル > 『そう…よかった』

「大丈夫」の回答を受けて、風紀委員の一人が安堵の息を零す。

「………そうだな、酒に呑まれる様は見ていて好ましいものではない。
酒類を提供する店舗に、飲み過ぎを警告するポスターを掲示してもらうよう促すとしようか」

酔っぱらいを嫌悪する呟きに、セシルは表情だけは和らげて苦笑いをするも。
それからまた、表情を引き締めて。

「………顔を見せろとは言わないが…念のため、身分の提示をお願い出来るだろうか。

今後、貴殿の身に何かがあった時に、対応がスムーズに出来るから」

そう、少女に問う。
仮面越しの気配で、あれだけの体格差の男を引かせてみせたこの少女。
ただ者ではないと、セシルの感覚が告げていた。

…無論、トラブルのアフターケアのためという建前もあるし、私的に力が行使されるならば、委員会を通してトラブルが解決するに越したことはないのは本心だが。

柊 真白 >  
(さて、身分証を見せろと来た。
 風紀委員だ、当然だろう。)

断る。
身分を明かせばこの面を付けている意味が無い。

(だからそう告げる。
 仕事を見られても問題無いようにつけた面だ。
 ここで身分を明かしてしまえば何の意味も無い。
 何より仕事の帰りだ、足の付く身分証を持ち歩いて仕事をする間抜けでもない。)

セシル > 『え?』
『ラフフェザーさん、どういうこと?』

助けたはずの少女が、気がつけば同僚と不穏な会話をしていることに、目を丸くしたりしている二人。
いや、セシルが身分の提示を要求したことについては、トラブルのアフターケアを考えれば正当性はあるが…。

「…そういうことならば、その面をつけて何をしていたのかを確認する責務が、我々に発生するな?」

得物こそ抜かないものの、少女にそう確認を重ねるセシルの気配が、剣呑さを増している。
同僚達はそれを察知して、逃がさないようにするための拘束術式を展開する準備に入ったりなどの連携を、セシルの背後で見せていた。

柊 真白 >  
(当然、そうなるだろう。
 手際よく準備を始める風紀委員を見てもまだこちらは動く様子を見せない。
 至って自然体のまま、鞘に収めたままの刀を左手に持っているだけだ。)

仕事。
――内容まで答える必要は無いし、聞かない方が言い。

(一言、簡潔に。
 どんな仕事か答える必要が無い、と口にしている時点でろくでもない仕事なのは伝わっているだろう。)

セシル > 「武器の類を持ち、身分を隠して「仕事」をし、その内容について「聞かない方が良い」と言うわけだな?風紀委員に対して」

セシルの声が、重みを増して響く。
無論、少女はそれで怯みもしないのだろうが。

「…手荒なことはしたくない。派出所で、話を聞かせてもらえないだろうか」

語調は抑えながらも、強い声で請う。
セシルは、ギリギリまで、自分が得物を手に取るのを抑えるつもりのようだ。

柊 真白 >  
お茶と菓子の一つも出してもらえれば、話だけならしても良い。

(つまり、出頭するつもりも捕まるつもりもどちらもないと言う事。
 重みがある声に僅かも怯まず、むしろ受け流すような態度。
 武器を抜こうとしないのはこちらも同じ。
 逃げる気配すら見せず、それは戦闘になっても逃げ切れるだけの自信があると言う事。
 複数ならともかく、この場で戦えるのは彼女だけらしい。
 これからぶつかる事も増えるだろう風紀の戦力を把握しておこうと言う意図が見え隠れする。)

セシル > 今日は歓楽街の警邏であり、落第街ではない。
他二人はサポートには長けるが、前衛が張れるのはセシルだけだ。
いざという時に周囲に被害が及ばないとも限らないし、戦闘になるような事態は、可能ならば避けたい。

「…じゃあ、せめて話だけでもしようか」

溜息を吐きながらも、セシルは少女に手を差し出した。
手を引いて誘導するからついてこい、というつもりらしい。

拘束術式はほぼ準備が整い、後は範囲などに微調整を加え発動を待つだけとなっているようだ…。

柊 真白 >  
――無理矢理捕まえるつもりはない?

(面の奥でぱちぱちと何度か瞬き。
 てっきり無理矢理襲い掛かって拘束しにかかると思っていたのだが。
 思っていたより平和主義な申し出に、しばらくその手をじっと見つめて。)

訂正。
お茶も菓子も要らない。
あと、警邏の後で良い。

(その姿が掻き消える。
 声は彼女と同僚の間から聞こえる。
 異能や魔術の類ではない、純粋な身体能力の成せる業。
 まともな身体能力の持ち主では残像すら捉えることも難しいであろう速度。)

セシル > 「…事情も聞いていない、相手が力づくの抵抗を見せないうちにこちらが先制攻撃をかけて、かえって周囲を混乱させては話にならんだろう。
「権力」が持つ「暴力」は統制されねばならん。…少なくとも、建前上はな」

認識阻害効果を超えて、相手の声に、意外そうな響きを感じ取ったのか。
息を吐きながらも、そのように語る。自分は、「建前」の体現者だと暗に語るように。

「…!?」

姿がかき消えるが、声の方に向き直って警棒を抜くセシル。

『え?え…?』

拘束術式を準備していた同僚が、目を白黒させている。

柊 真白 >  
貴方に興味が沸いた。
邪魔はしないから、着いていく。

(すとすとと歩いて、更に彼女の同僚へ近付く。
 投げナイフやらなんやらかんやらモロモロの凶器の類をスカートの下から取り出し、刀と一緒に彼女らへ預けよう。
 あとで返してとの言葉と共に。)

私の事と、仕事の事以外なら聞かれれば答える。
――仕事、続けて。

(そのまま更に歩き、二メートルほどの距離を置いて振り返る。
 どうやら警邏についてくるつもりらしい。)

セシル > 『………え、えーと………?』

どこにしまっていたんだという勢いで出てくる凶器の山。
セシルの警戒の理由が改めて理解出来るが、それを進んで預けてくる相手の行動が理解出来ず、茫然としている同僚。

「…ひとまずの協力、感謝する。
平和裏に話が済めば我々としても有難いからな。

話が済むまでは、凶器類はこちらで預かろう」

セシルは、表情を少しだけ和らげて少女の言葉にそう答え、同僚に凶器類を預かるよう促す。
わたわたと、それらを回収して荷物に収める同僚。

そうして、奇妙な同行者を引き連れて、警邏は続くのだろう。
終わった後、本当に派出所で雑談をしつつも、条件のせいでろくに核心に迫れなかったり。
あとで人相の記録を照合しようとしたら記録に不備が出まくっていて問題になったりするのは、また別の話である。

ご案内:「歓楽街」からセシルさんが去りました。
柊 真白 >  
(困惑する同僚に構わず、ついでに往来でスカートの下を盛大にご開帳することにも躊躇わず――流石にぱんつは見せていない――。
 全ての暗器を押し付けて、風紀委員の警邏に同行。
 仕事の邪魔はせず、口も挟まず、かと言って協力もせず。
 ただ本当について回ったあと、派出所で雑談をして帰路に着いた。

 記録が不備ばかりになるであろうことは分かっていたのだが、簡単に正体を暴かれても困るのでしょうがない。)

ご案内:「歓楽街」から柊 真白さんが去りました。