2017/07/27 のログ
ご案内:「カジノ「蓬莱」」に神代 理央さんが現れました。
■神代 理央 > 真夏の夜の熱気を煮詰めて沸騰させた様な喧騒に包まれる蓬莱。
カードの絵柄やルーレットを転がるボールの行き先に一喜一憂する生徒や教師、或いはその他の賓客達に混じって、少年は愛想笑いを振りまいていた。
「――…ええ。私もまだ島の生活どころかひとり暮らしにもなれていない若輩者ですので。島内での生活面において御助力を頂けるというのは、大変有り難いお話です。勿論、此度の件は家長である父に報告させて頂きます。愚息の面倒を見て頂けるとあれば、多忙な父でも無下には致しませんよ」
バニーガールを侍らせた大柄な壮年の男に子供らしい笑みで言葉を返しつつ、手にしたグラスに注がれた柑橘飲料で喉を潤す。
そのグラスが空になったのを口実に、笑顔を張り付かせたまま軽く一礼してその場を離れた。
「………全く。趣味が悪いとは言わんが、それに付き合わされるのも溜まったものではないな。態々会合場所に此処を指定する辺り、品性があるとも思えんが」
賭博場の隅に設けられたバーカウンターで飲料のお代りを頼みながら、疲れた様に深い溜息を吐き出した。
張り付いていた社交的な笑みは鳴りを潜め、眉間に皺を寄せた仏頂面で新しいグラスを受け取り、一気に煽る。
■神代 理央 > 直ぐに空になったグラスをバーテンダーに滑らせれば、軽く背伸びをして壁際に据えられた休憩用のソファに腰掛ける。
自分に散々媚びへつらっていた男は、今頃美女を侍らせながらバカラにでも興じているのだろうか。
「…無駄とは言わんが、有意義とも決して言えぬ時間だったな」
折角だから賭博に興じても良いのだが、一発逆転を狙う程懐が逼迫している訳でもない。一人で賭け事に興じても、直ぐに飽きてしまうだろうと思い直す。
「…こういう時、煙草が吸えればと思わんでも無いな」
遠目に見えるホールには、ぼんやりと紫煙が漂っているのが見える。思考を巡らせながら吸う煙草はさぞかし美味いのだろうかと、手持無沙汰な右手に視線を落として再び溜息を一つ。