2017/07/28 のログ
■神代 理央 > 取り敢えず飲み物のお代りでも、とソファから立ち上がった矢先、先程別れた筈の男が幾分気落ちした顔で近寄ってくる。
話を聞けば、バカラで大勝ちしたは良いが調子に乗ってルーレットに挑みコテンパンに負けてしまったとのこと。
今夜は引き上げるが、良かったら自宅まで送迎しましょうかと提案してきた。
「それはご愁傷様でしたね…。では、お言葉に甘えさせて頂きます。今から学生街に歩いて戻るには、些か億劫だったもので」
タクシーを捕まえるつもりだったが、打算ありきで差し出される好意は素直に受け取っておく。
別に此方が恩を返す必要もない。強いて上げるとすれば、この話題を嫌というほど聞かされるであろう父親が苦い顔をするだけだろう。
「………それはそれで悪くないな」
小さく呟いた独り言に男が怪訝そうな顔で此方に視線を向けるが、熟れた笑みで首を振れば男に続いてカジノを後にする。
明日の予定に差し支えのない時間に眠れる様に祈りつつ―。
ご案内:「カジノ「蓬莱」」から神代 理央さんが去りました。