2017/11/19 のログ
ご案内:「カジノ「蓬莱」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 風紀委員として度々訪れる歓楽街ではあるが、客として訪れるのは久し振りだった。
といっても、別に賭事に興じる訳ではない。自分に用事があるという連中が、会合の場として此の場所を指定しただけの事――

「……余り期待されても困りますな。学園の一生徒であり、一介の風紀委員でしかない私に、島の外の様な影響力がある筈もありますまい。父の会社の威光が無ければ、私も只の子供に過ぎませんよ」

阿る様な笑みを浮かべる大人達に、冷めた視線と共に淡々と言葉を紡ぐ。
彼等が此の島で売りたいモノ。或いは手に入れたい情報。或いはコネクション。そういったモノを提供出来る立場では無いのだと、何度説明すれば彼等には理解して貰えるのだろうか。

「…失礼、仕事の連絡が入りましたので、席を外します」

ポケットから胸に伝わる振動音を言い訳に、席を立って彼等から距離を取る。
無論、仕事の連絡等真っ赤な嘘である。偶々切り忘れていたリマインダーの通知が来たのを良い事に、これ幸いと抜け出したは良かったが―

「……余り長居はしたくないしな。本当に委員会からの連絡でも来てくれれば良かったんだが」

カジノホールの隅に設けられたレストスペースで一息つけつつ、小さな溜息を吐き出した。
スーツに染み込む酒と煙草の匂いに辟易しながらも、どうしたものかと腰掛けた椅子に背中を預けてぼんやりと視線を彷徨わせる。

神代理央 > 通りかかったボーイに飲み物は無いかと尋ねれば、直ぐに淡い黄金色の液体で満たされたグラスが運ばれてきた。
念の為アルコールで無い事を確認し、程良く冷えた液体を口に含む。

「これは…梨の果実水か。そう言えば、最近果物を食べる機会も少なくなってきたな…」

上品な酸味と甘味に表情を綻ばせつつ、お気に入りの甘味処に足を運べていない現状に再び溜息を一つ。

学業、委員会活動、そしてこういった雑多な付き合いが増えれば自分の時間が確保出来ないのは致し方ない事ではあるが―偶には、一日のんびりとカフェテラスで過ごしてみたいものだと椅子に深く身体を預ける。