2018/07/14 のログ
ご案内:「歓楽街」に古城 桜虎さんが現れました。
古城 桜虎 >  
 賑やかな歓楽街、その一角。
 青い制服風の服を着た少女と何人かの若者が話し込んでいる。

「ええ。ええ。この形のカブトムシ一匹につき5000円──です。
 何でも、この島にしかいないカブトムシだそうで。」

 板上で指を滑らせながら説明を続ける。
 若者の方は"半信半疑だが暇だし聞いておくか"、と言ったような消極的だが興味を示してい。

「私は大体この辺りにいらっしゃいますので──
 ──トコヨオオカブトムシ、見つけたら持ってきてくださいね?」

ご案内:「歓楽街」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
古城 桜虎 >  
 説明を若者が立ち去った後、また別の若者が少女へと近付いて虫かごを差し出す。
 虫かごの中には赤くて大きな──15cm程度のカブトムシが詰まっている。

「あっ、捕まえてくれたんですね。3匹でしたら──
 ──はい、15000円です。確かめてくださいね?」

 封筒を差し出し、中身を改める様に伝える。
 中身を改めた若者は頷いてから立ち去った。
 

谷蜂 檻葉 > その様子を、じぃっと見つめる女が一人。

説明をする少女の持つ板を見るわけでなく。
「取引」を行う若者たちを伺うわけでもなく。

少女を――桜虎を遠巻きに見つめていた。

「なにか面白そうな事が起きる予感?」

誰に聞こえる訳でもない呟きを一つ、笑顔を見せて彼女の下に歩み寄る。

「ねぇ貴女、それ……何を集めているの?」

古城 桜虎 >  
「あっ、ええ。
 今、"トコヨオオカブトムシ"を集めてくれる人を探しているんですよ。」

 す、とタブレットを持ち直してから指を滑らせ、画像を表示する。
 表示されるものは15cmほどの赤いカブトムシ。とにかくデカい。

「一匹につき5000円、と言う事になってます。
 お姉さんも、見かけたら持ってきてくださいね?」

 にこ、と、笑ってみせた。

谷蜂 檻葉 > 「トコヨオオカブトムシ。」

反芻してしまった。
いるのか、そんなの。
というか『この島の固有種』というのがいるのか。

「えと……昆虫採集、って感じでもないわよね。
 コレクター……転売?これ、集めてどうするの?」

少し崩れた笑みを整えつつ、改めて聞き直す。

古城 桜虎 >  
「はい。トコヨオオカブトムシです。」

 少なくとも、タブレット上にはその様に記載されている。
 理由を問われれば……首を傾けて、軽い苦笑を浮かべてみせる。

「うーん、すみません。それはわかりません。
 ──私も雇われですから。」
 

谷蜂 檻葉 > 「ふぅん?」

なるほど、と首をひねりつつ納得する。
二次請けなら、まぁそういうものか。
つまり彼女はこの暑苦しい夏の夜をカブトムシをただ集めるために使って―――

「それはなんというか、年頃の女の子に任せるような仕事でもないでしょうに。
 ほんと、お疲れ様ね。

 ええと、それで後何匹ぐらいまで回収予定なのかしら。
 折角探す時間を割いて、締切終了~ …なんて悲しいじゃない?」

あんまり虫なんて好んで触らないしね、と腕を組む。

古城 桜虎 >  
 ふむ、と、唸ってみせ。
 
「数については問われていないですが……
 ……7月いっぱいまでは集める、とのことです。」

 数については問わない。
 が、時間については期限を設けている。
 彼女の言葉やタブレットに表示された内容を見る限り、そうなっているらしい。

谷蜂 檻葉 > 「それはまた。」

本当に、何の為に集めるのだろう。
中々興味深い謎だが……調べるには一度戻る必要があるだろう。

最近では研究棟側から教員の伝もある。
落第街から裏の情報も吸い上げていけばやがてその謎も解けるのだろうが……。

(まぁ、謎は考えている内が華よね。)

「とりあえず、私も探してみようと思うんだけど……
 ちょっとサンプルっていうか『買い取った』カブトムシ、見せてくれない?」

良いでしょ? と両手で拝むようなあざといポーズをとって頼み込む。

古城 桜虎 >    
「はい。勿論良いですよ。
 えーと……虫かごに入れたままですが……」
 
 先程買い取った"トコヨオオカブトムシ"を取り出す。
 やはり15cmほどの赤いカブトムシで、とにかくデカい。
 それと、カブトムシからほんのりと良い匂いがする。
 甘いような、澄んだような。

「どうですか?」
 
 もしも檻葉が観察を始めているのならば、
 この少女はそのように伺うだろうか。
 

谷蜂 檻葉 > .
「ん、んー……
 ねぇ、少し蓋を開けさせてもらっても良いかしら?

 取り出さないし、逃げちゃったら弁償するから。」

カゴを預かって、それ持っていた檻葉はカリカリと外側からひっかくような仕草をしていたが
諦めたように桜虎に尋ねる。

古城 桜虎 >  
「んんー……分かりました。
 では、どうぞ。」

 悩んだ様に唸っていたものの、"うん"と頷いて承諾する。
 ……蓋を開けても逃げるようなことはない。

「なにか気になること、ありました?」

谷蜂 檻葉 > .
「あぁ、いや。 外側からだと、”届かない”から。」

そう言って、カゴを開けて其処に顔を近づけると

―――れろぉ。

と、舌を伸ばしてカブトムシの角先を一舐めする。

「うぅー……あー、気持ち悪。」

そうして、パッと顔を離すとカゴを閉めて桜虎に返却する。
まるで気狂いのような行動だが、その彼女もまたしかめっ面で口元を拭っている。

古城 桜虎 > 「わぉ……」

 味でも見ようと言うのか。
 驚嘆めいた呟きの後、気を取り直すように頷いた。
 舐めても美味しくも甘くもなく、少しだけ苦い。
 覚えるのある苦さかもしれないが……。

「あ、了解です。」

 ひとまず蓋を閉じてから置き直す。
 時折カブトムシへと視線を向け、様子に異変はないか気に掛けてもいる。

谷蜂 檻葉 > .
「さて、これで失敗だと格好がつかないし舐め損だけど―――」

カブトムシと檻葉の間に視線を彷徨わせる桜虎は一度おいておいて、
「ふぅっ」と手元に息を吹きかけると何やら2,3呟いて掲げるようにその手をあげる。

すると、無風で湿気の強い路地の間を『ゴゥッ』と一瞬猛烈な勢いで風が吹き抜け、やがて収まる。

「それで、ええと……1匹5000円だっけ?」

古城 桜虎 >    
「はい。1匹5000円。基本的には学生通りや常世公園、
 青垣山の麓のあたりに居るはずですが……っ」

 一瞬だけ強い風が吹く。
 もしかすると、青い制服の少女のスカートがふんわりと舞ったかもしれない。
 

谷蜂 檻葉 > 「まぁ、お小遣いぐらいにはなればいいんだけれど。

 ねぇ、ちょーっと時間かかるから少し雑談でもしない?
 ええと――お名前、聞いてもいいかしら。」

少し、彼女のスカートの端に視線が向いたが誰も中は見れてないだろうからセーフ。
と心の中で言い訳をしつつ、近くにあったベンチに腰を掛ける。

古城 桜虎 >   
「ん──私ですか?
 古城 桜虎、こじょう・さくらこです。」

 胸に手を当てながらはにかみ、そう名乗る。


「宜しくおねがいしますね。ええと……。
 ……貴方の名前、伺っても大丈夫でしょうか?」

谷蜂 檻葉 > 「ああ、尋ねておいて御免なさいね。

 私は檻葉(おりは)。名字は好きじゃないから、名前で呼んでもらえるかしら?
 今年でもう半分卒業って扱いで研究棟の方に籠もってる4年次生よ、宜しくね♪」

噂話の範疇でも、名前に聞き覚えがある人間もいるだろう。
『誰も詳細を知らない異能の研究を行う女生徒』として。

――都市伝説のような出処のない噂話でしかないが。

「ねぇ、古城さんはずーっと此処でカブトムシ集めしてたの?
 今日は日差しも強かったし、夕方からかしら?
 学生さんでいいのよね? 年齢がわからない人なんてそこら中にいるけど……"普通の人間"よね?」

そんな噂があることを知っているのか居ないのか。
人懐っこく彼女は話しかけてくる。

古城 桜虎 >  
「なるほど、檻葉さんと。」
 
 "そう言えば、何かしらの噂を聞いた気がする。"
 それが彼女であるかはともかくとして、名前を含めてなんとなく合致する。

「勿論、"普通の人間"です。
 カブトムシの買い取りは夕方からのお仕事ですけれど……。
 檻葉さんは買い出しか何か、ですか?」 
 

谷蜂 檻葉 > 夕方から始めている、と聞けば安心したように微笑んで

「そうよね、こんな馬鹿みたいに暑い日に日中外になんか出てられないもの。

 あ、ご明答ね。引きこもってばっかりいたから買い出しついでにお散歩ってところよ。
 それで、そこのお肉屋さんでいろいろ買おうかなーってところで、貴女を見つけたの。」

指を指した先には、ズラズラと動物の分解した肉をそのまま屋台に吊り下げた実に『味のある』食肉屋が店を出している。 ……若干そのインパクトに人の波が避けているのはご愛嬌というやつだろう。

古城 桜虎 > 「あー……あのお肉屋さん。
 慣れてない人にはちょっと刺激が強いですよね。」

 苦笑い。件の食肉屋については知っているらしい。
 それなりに歓楽街の地理に明るいのだろう。
 少しだけ間をおいてから、会話を続ける。

「そもそも自炊しない、
 って人も多いですけれど……。」

谷蜂 檻葉 > 「あんまり難しい料理はしないけど、焼いて食べるぐらいならね。
 メインディッシュだけ作ってお惣菜っていうのが一番お手軽だし。」

何より美味しいしね、と笑う彼女の体が食への執着を物語る。

「それで、古城さんは日中は何してたの?
 炎天下で作業なんてゾッとしないけど。」

私は研究等でクーラー浴びてたわ、と笑いながら尋ねる。

古城 桜虎 > 「ちょっと溜まった雑務と掃除を。」

 控えめに言って豊満な檻葉の身体にある種の納得を覚えて頷きつつ、問いに応える。

「……所で、先程は何を?」

 唐突にカブトムシを舐めるアクションもそうだし、
 先程の風もやや不自然なタイミングで生じた。
 檻葉が素直に答えるかはともかくとして、この少女は伺うだろう。
 

谷蜂 檻葉 > .
「さっきの? あぁ、もう少ししたら『結果』が出ると思うんだけど……」

そうして、視線を上に上げる。
上げて―――

「ねぇ、大きな虫取り網とかって持ってないかしら?」

苦笑いしてベンチを立った。

古城 桜虎 >  
 
  檻葉の視線を折って、空を見上げる。
 ううんと唸ってから、口を開く。

「いえ、特に持っていませんけれど──」

 ……なんとなく、何が起こるかは察しが付く。
 ような。
 
 

谷蜂 檻葉 > それから少し遅れて、


ゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ


微かに、しかし距離を考えれば猛烈な羽音が聞こえてくる。

空の端、何十匹もの虫が―――カブトムシの大群がこちらに向かってきている!!

視線を地面に下ろせば、既に元凶らしき犯人《檻葉》は
「ごめんね♡」と手を合わせて曲がり角まで逃げ込んでいる。見た目に反して足が速い。

古城 桜虎 >  大量のカブトムシに目撃者によるどよめき。
 虫が苦手なものが目撃したのだろうか。女性のものと思わしき悲鳴も聞こえた。

(なるほど。操作・支配のスキルと。
 四年生と言うだけあって、出力も精度も申し分ない。)

 気取られぬ様に思案しつつ、息を吐く。
 少しだけ奥の方へと移動し、カブトムシの大群が目立たないように誘導しよう。
 

谷蜂 檻葉 > それからしばらく、そこそこの騒動になってしまったが―――


「……よしっと、これで全部よね。」

大量に"降りてきた"カブトムシ達だったが、再び『突風』が吹くとまるで殺虫剤を吹きかけられたかのように次々と墜落。 そこを檻葉がひょいひょいと拾い集めて、1匹1匹ビニール袋に詰め込んだそれを丁重に桜虎に手渡す。

「10,20……4,5,6……26匹? 結構逃げちゃったわね。
 でもまぁ、ちゃんと生きている筈よ。 そういえばキズとかは大丈夫かしら?
 落とした時に出来てないといいけれど……。」

古城 桜虎 >  
「……ぁ、いえ、大丈夫ですよ。」
 
 気を取り直した体で視線を向け直し、
 念の為に目視でカウントをし直す。

(数をごまかすようには見えませんが、一応数えておきましょう。
 スコアにミスがあっては宜しくありませんし。)

 ある程度の確認を終えれば、26枚の封筒を取り出してから数えてみせ、檻葉へと向ける。

「と言う訳で、5000円かける26匹で13万円です。
 一応、中身は確認してくださいね?」
 

谷蜂 檻葉 > .
「あはは……思ったより"メス"の数が居たわね。
 適当に誘引できれば良いかなーなんて考えてたけど想像以上だったわ。」

頬を掻きながら封筒を受け取ると、さっと確認して懐にいれる。

「買い出しの足しになればとは思ったけど……迷惑料になんか食べてかない?」

そうして、困ったように食事に誘う。
とはいえ彼女は勤務中。 乗ってくるとは思わないが――

古城 桜虎 >  
「あ、すみません。お仕事中なのもそうなんですけれど、
 "この数"を持ったままはちょっと……」

 袋につめられた26匹+先程の虫かご。
 これを持ったまま食事と言う訳には行かないのだろう。

 故に、やんわりと遠慮した。
 

谷蜂 檻葉 > その答えに、肩を竦めて

「残念ね、もっと色々お話したかったんだけど……。

 仕込んだ"手品"も終わっちゃったし私は買い出しに戻るとするわ。

 次はもうちょっと荒稼ぎにならないように頑張るから、またね♪」

檻葉は屋台の並ぶ通りに足を向ける。