2018/09/11 のログ
ご案内:「歓楽街」に冬桐真理さんが現れました。
冬桐真理 > 少年の案内を受け、「歓楽街」と呼ばれる地域へ踏み込む。
先ほどまでの静けさはなく、人の声や酒の臭い、ネオンの光――あらゆる感覚が賑わいを伝える。

「さて、まずは宿の確保からだな」

少なくはない路銀であるが、余裕はない。
宿を取り、夜を越す。学園へのアクセスはそのあとだ。
人ごみを掻き分け宿を探す。
とはいえ、ここは夜の国。宿と呼べるものなど限られている――

冬桐真理 > 「ああ、判っていたよ。ここはこういうところだとはな・・・」

収穫、なし。
眠らない街に寝床などなく、あるものと言えば満室御礼なネットカフェのようなものやラブホテルくらいなものである。
いくらなんでも一人でホテルに行くわけにもいかず、真理は「野宿でも取るか」などと呟きながら散策を続ける。

夜明けはそう遠くない、時間は限られている。

冬桐真理 > 「チ、結局野宿か――」

めぼしい所は見つけられず、路地裏の暗がりに溶けるように身を隠す。
少々臭うが多少の休眠が取れれば御の字だと身を丸め、目を閉じる。

・・・・・
・・・・
がさ、がさ・・・
・・
『――・・・、――。』
『・・・・――。』
『―――――・・・!』

どれくらい時間がたったのだろうか。うっすらと目を開けた先には見知らぬ男が3人、こちらを値踏みするように視線で嘗め回していた。
どうやら、囲って手篭めにでもする気なのだろう。
こちらに向かい手を伸ばす。

冬桐真理 > 「こんな時間に夜這いか。しかし生憎だが、あたしのタイプではないな」

目を開くと同時に刺すように言い放つ。
男達の動きが一瞬止まる。
目には動揺すら見える。

(意気地なしか、怖がられなければ興奮しないのか)

す、と立ち上がり強気に睨む。
予想外の反応だったのか明らかに怯んでいるのがわかる。
が、このままでは沽券に関わると踏んだのだろうか男の一人が食って掛かる。
『へ、お嬢さんこんなところで寝てるとか、誘ってる封にしか見えねぇなァ・・・!』
それに後押しされ二人も余裕こいた眼差しを向ける。

「ハ、まあいいさ。眠りを妨げられてあたしは今気が立っていてな――」

どむ。

目の前の男が崩れ落ちる。
腰を落とし、中段に拳を突き出した女が男を見据える。

「――責任、取ってもらうぞ」

冬桐真理 > そこからは喧嘩と呼ぶには余りにも一方的だった。
不機嫌そうな顔で立つ女と竜巻に攫われたかのような格好で伸された男衆。

     (香気吸引器)
ポケットからシガレットを取り出し、一服。
甘い香りと共に煙を立ち上らせる

ふと空を見上げると夜が明けようとしていた。
いつもよりかなり早い目覚めにやはりイラついた表情で伸びをする。

「ああ、それと――授業料は貰っていくぞ」

伸びた男たちからいくらか失敬して。その場を離れた。

ご案内:「歓楽街」に花ヶ江 紗枝さんが現れました。
花ヶ江 紗枝 >   
「はぃ、ごめんなさいね。少し止まってもらえるかしら」

その後ろ姿にのんびりとした声が投げかけられる。
そこにはのされた男達を一人ずつつま先でひっくり返し、
顔を覗き込んで生存を確認する女の姿があった。
ポケットに手を入れたまま見分を終えると圧縮ダイヤルをプッシュ。
手早く救護に連絡を入れつつ顔を上げる。

「状況的に参考人としてお話を伺いたいのだけれど
 このあとお時間が許すならお茶でも如何?」

若干場の雰囲気とずれた声と雰囲気で歩み去る人物へと声をかける。
とりあえず風紀委員としての身の上を表すものは表立っては身に付けてはいない。
さて、どう対応される事やらとわずかに瞳を細めつつそちらを伺う。

冬桐真理 > 「あん?」

呼び止められ振り向けば路地裏に似つかわしくない格好の女性。
穏やかな声音とは裏腹に拒否しがたい威圧感のようなものを感じた。

(さて――)

抵抗するのも危険、と判断したか。

「あんまり持ち合わせがないからさ、手短に頼むよ」

いけしゃあしゃあとそんなことを言ってみせる。
とりあえず暴れたりする様子はなさそうだ。

花ヶ江 紗枝 >   
「持ち合わせなら今補充したでしょう?」

ポケットを指さして笑う。
なにやら物音を聞きつけてやってきてみれば
倒れている男達から回収している所を見かけた。
だからこうして声をかけている訳で……

「と言っても証拠品だから支払いには使えないわね」

そんな事情とは裏腹にまるで世間話でもするように
笑顔のままゆっくりと滑る様に歩き出す。
翻るコートの裾の合間からちらりと腰元に機械のような物が見えるかもしれない。
そこにはさり気無く内切りの形で左手が添えられていた。

冬桐真理 > 「ハ、お見通しってワケか」

観念したように肩を竦め――少し、声を鋭くする

「で、どこに連れて行くつもりだ?返答しだいでは、じっとは出来ないかもな」

姿勢を正し、相対する。
ついでにポケットの中から小石をひとつ握りこみ。

視線は目の前の女に。しかし警戒心だけは限界まで張り詰め。
不穏な空気がその重みを増していく。

花ヶ江 紗枝 >   
「お見通しと言うより回収している所に出くわしたものだから」

不穏な空気に気が付いていないかのように
朗らかな口調と共に首を傾げながらゆっくりと歩を進め
数メートル前で立ち止まる。

「そうね、清く正しい風紀委員としては詰所かしら。
 私も丁度復帰したばかりで挨拶には行かないといけないとは
 思っていたところなのだけれど……」

はぁ。と溜息一つ。
復帰早々こんな場面に出くわすなんてツイてない。

「あそこの珈琲、美味しくないのよね。
 嗚呼、一応忠告(お節介)はしておくべきかしら」

お陰で美味しくない珈琲で口を湿らすことになりそうだ。
その前に寄りたい珈琲屋さんがあったのに。
双葉コーヒーという名前の。
まぁ、それはともかく……

「抵抗するまではグレーに近い参考人だから、
 近くの喫茶店でお話を聞くなんてこともできるけれど
 抵抗した場合は黒としてお話を聞くことになるわ。
 その場合は美味しくない珈琲をご馳走する事になるから
 おとなしく同行してもらえるかしら」

笑みを浮かべたまま真っすぐ相手を見据え、僅かに片足を引く。
口調とその内容に反してその瞳には
抵抗の兆しを面白がっているような色が浮かんでいた。

冬桐真理 > 「・・・チッ」

小さく舌打ちを放ち、観念したように正対する。
初日に風紀委員を名乗るものに追い掛け回されて、また風紀委員と来たものだ。
少なくとも出鼻を挫かれた以上下手を打つわけにはいかない。
”美味しくない珈琲”は避けたいところだ。

「わかったよ、大人しくさせてもらう」

ツイてないな、と空を見上げ。薄明るくなった空にため息をこぼす。

花ヶ江 紗枝 >   
「うふ」

舌打ちをする相手とは対照的に
あくまでも柔らかな物腰のまま笑みをこぼす。
抵抗されても良かったのだけれどといえば
また後輩に怒られてしまうかもしれない。

「此方としては助かるわ。
 荒事はあまり得意ではないのよね。
 それに……」

ぽつりと数滴の雫を感じて空を見上げる。
通り雨が来そう。戦闘は構わないけれど濡れるのは避けたい。

「どうでも良いけれど実は私紅茶派なの」

最近のんだフォ〇ョンの紅茶美味しかったわぁと
頬に手を当ててうっとりしてみせる辺り本当に緊張感が無い。

冬桐真理 > 「あたしは珈琲派だがね。ん・・・雨が降るな
雨ざらしになるぞ・・・まぁ、あたしは雨が降っても構わないけどな。それで、どこへ連れて行く?」

諦めて小石をポケットへ戻し、移動を促す。
両手は頭の後ろで組んだまま、くるりと踵を返す。
手の内と背中を晒し、無抵抗をアピールする。
奇襲を仕掛けることも出来そうなくらいには。

雨が徐々に増してくる。さほどしない間に小雨は雨に変わるだろう。

花ヶ江 紗枝 >   
「ん―……そうねぇ。
 髪が張り付くから降られるのは勘弁」

少し物憂げに空を見上げると端末を取り出す。
近くにお茶請けの美味しい洋菓子店があったはずだ。
確か部隊の子たちのお気に入りだった筈。
半年ほど前のままであればだけれど。
手早く端末を開くと店を検索する。
よし、訪問記録が3日前に残っている。
風紀委員的にはアウトだが今日はこの店にしよう。

「じゃ、手軽な場所で事情聴取ってことで。
 この子達は……ああ、きたわね」

遠目に風紀委員の姿を認めると速足で先を行く人影に近づき
その背中にそっと触れると路地から押し出す。
見つかったらまず間違いなく”お話タイム”。
それと同時に一瞬鞘鳴りの音が響いた。
足元に伸びていた男の手に握られていた武器が
3枚卸しになるのには目もくれず鼻歌交じりで歩き出し

「この島流のミランダ警告はお店に着いて
 ケーキが来てからにさせてもらうわね。
 ああ、店内全面禁煙だからそこは我慢して頂戴」

何方かと言うとナンパに近いノリでそのまま
ぐいぐいと押していく。
既に心は洋菓子店へと飛んでいた。
何故って?

「モンブランが私達を待ってるわ」

冬桐真理 > 「あー、はいはい」

背中から押しだされ路地裏を抜け出す。直前視界の隅に映ったのは風紀委員だったのだろうか。その中には見覚えのある――追い掛け回してくれた者の姿にも見えた。

直後聞こえた金属音にはあえて触れず。
擬似シガレットの火を摘み消し、ポケットから出した灰箱へ投げ入れる。
思った以上に速いペースで押し出されるまま「ケーキか」と小さく呟き

(あたしはミルクレープがあればいいんだけどな・・・)

などと益体もないことを考えていた。

ご案内:「歓楽街」から花ヶ江 紗枝さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から冬桐真理さんが去りました。