2018/09/13 のログ
ご案内:「歓楽街」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 多くの若者で賑わう学園都市の不夜城。夏の暑苦しさも遠ざかり始めたここの頃は、長袖の上着を羽織る生徒の姿もちらほらと見られ始めた。
尤も、常に暑苦しい制服姿の自分としては、季節の変わり目等余り関係ない様なものだが。

「……ええ。現在、風紀・公安両委員会共に島内の治安維持については全力を注いでいます。生徒の皆様におかれましては、立入禁止区域や自粛地域へは足を運ばない等の自衛手段を――」

そんな歓楽街で、風紀委員会の活動を取材する部活動の取材対応に追われていた。共に巡回していた同僚は『めんどくさい』の一言と共に鮮やかなまでの速度で夜の歓楽街へと消え去った。

とはいえ、こういう作り笑いと社交辞令は得意分野である。
にこやかな営業スマイルと共に、官僚答弁の様な返答を流暢に吐き出す。元々、取材に来ていたのも生活委員会の息のかかった報道系の部活。此方が答えにくい様な質問ははなからしてこない出来レース。

「私個人としても、学園の治安を妨げる勢力には断固たる行動を持って対応に当たりたいと考えております。どうぞ、皆様の御協力を切にお願い致します」

穏やかな空気の中で取材は終了し、構えられたカメラに向けて作り慣れた笑みで一礼してみせた。
己の歓楽街や落第街での行動を知る住民達からは、気味の悪いものを見た、と言わんばかりの視線を投げ掛けられるが知ったことではない。

ご案内:「歓楽街」に佐伯劾さんが現れました。
佐伯劾 > 『坊主、こいつを2ダース、急ぎだ』
「うっス!」

夜に華やく繁華街。その中を走る一人の影。
180の高身長にしっかりと身に着いた筋肉。ワイルドに仕上げたウルフカットのそれはまるで不良かチンピラに類のようで。

「はいはーい、通りますよー!馬居酒店、配達でーーす!」

このご時勢、時代逆行も甚だしい木製のリアカーに酒瓶を積んでひた走る姿は外見に反して青少年のようでもあった。
ガラガラと音を立てて交差点を曲がり、走る。

「急げー、あと5分でリミットだぁぁぁぁっ!
・・・ってうわっ危なーーーい!」

悲鳴のように叫ぶ声が聞こえれば、後ろからものすごい勢いでリアカーと、それを曳く少年の姿が見えるだろう。

神代理央 > 和やかな空気の中で取材も終了し、好機と嫌悪の視線を向けていた群衆も散らばり始める。
立ち去る取材陣をにこやかに見送ろうとした瞬間、背後から響き渡る絶叫と車輪の音。

「…何だアレは。チンドン屋か何かの類か?」

と首を傾げる間も無く、此方に迫るリアカーと青年。
自分は兎も角、取材陣に怪我でもされては堪ったものではない。

「……全く。何だか分からんが、頑張って避けろよ、チンドン屋」

パチリ、と乾いた音色と共に指を鳴らせば、迫るリアカーと自分達の間に盾の様に召喚される鋼鉄の異形。
普段はその圧倒的な火力で敵を殲滅する金属の化物は、今に限っては只の鋼鉄製のバリケード。
どっしりと足を下ろして壁となった異形。上手く避けられるだろうか、とちょっぴり心配そうに青年に視線を向けた。

佐伯劾 > 「・・・てそこはお前が避けるところだろうがっ
畜生、とま・・・れぇぇぇぇぇッ!」

まるで少年漫画の主人公のような表情で、男はドリフトブレーキを試みる。
ぶつかっても自分は大丈夫だろう。問題は積荷だ。しくじればどやされるだろう。何が何でも止めて見せねば、と全力で止めにかかる。

「うおぉぉぉぉっ!!」

寸でのところでリアカーは鋼鉄の壁へ沿うように横付けで止まるのであった。

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・あ、危なかった・・・」

神代理央 > 「いやはやお見事。よく止まれたな。そのリアカー、実はディスクブレーキでもついているのか?」

正しく全力を以てリアカーを停止させた青年に暢気に拍手を送る。
その間に、これ以上妙なことに巻き込まれるなとばかりに取材陣を撤収させた。
立ち去って行く取材陣を一瞥した後、改めて青年に視線を向ける。

「…さて、怪我は無いか。あれだけの速度から停止したのだ。何処か捻っていなければ良いが」

全く避けるつもりを見せなかった事を流しつつ、一応怪我が無いか確認してみる。
まあ、身長も体格も良い男だ。特に問題は無いだろうが―