落第街は学園都市の中でも特に治安の悪い地区であり、普通の学生が訪れるような場所ではない。
学園側としては歓楽街の一部とされ、落第街やスラムなどは存在していないと称されているが、現実には存在し続けている。
その名が示す通り、落第生や不良学生、違反学生などが集まる街である。非公認の部活などが殆んどの地区である。
異能や魔術を用いた組織の抗争など、学園都市の闇の集結したような場所。
その表通りがこの落第街大通りである。
路地裏よりは治安はいいものの、怪しげな商店や施設が立ち並んでいる。面倒事に巻き込まれたくないのなら行かないほうが無難であろう。
常世財団はこの街を敢えて放置しているようである。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:15:40 更新
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > チョコレートが溶け切った頃、端末が鈍く振動する。
何事かと開いてみれば、本庁からのお呼び出し。落第街の警邏について対策会議を行うので参加する様に――との仰せだった。
「…やれやれ。そんな事、暇な連中だけでしてほしいものだが」
とはいえ、後方での会議や事務仕事は元々望むところ。
というよりも、本来はそちらの方が希望職種と言える。
軽く背伸びをして背中を解すと、足早に落第街から立ち去っていった。
■神代理央 > とはいえ、多少は騒ぎが起こって貰わねば此方も仕事にならない。
治安の悪化は風紀委員会への攻撃材料であると同時に、存在意義の強化にもなり得る。
人員と予算の確保。政治的な対立要因を持つ公安委員会との確執。それらを優位に進める為には、風紀委員会の武力が必要不可欠であると市民に訴える必要があるからだ。
「三流国家のマッチポンプではあるが…まあ、致し方あるまい
」
やはり違反組織を焚きつける必要があるだろうかと、口の中でチョコレートを転がしながら思考に耽る。
自然視界は狭まり、此方を避ける住民達の視線はより鬱陶しそうなものへと変わっていくだろう。
■神代理央 > 歩きながら通信端末を開き、風紀委員会のページにアクセス。
各員の任務遂行状況や緊急の通報内容が表示されるが、今の所火急の案件は無いようだ。
強いて言えば、歓楽街で暴れている酔っぱらいが多い、ということくらいか。
「流石に、酔っぱらいを消し飛ばす訳にはいかんしな」
小さく苦笑いを零すと、懐から取り出したチョコレートを一つ口に放り込む。
銀紙に包まれていた香りの良いチョコレートは、程よい甘みと糖分を口内に満たし、仄かに精神を高ぶらせた。
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 制御薬を服用し、異能を強化してから数日。
違反組織を。制御薬の紛い物をばら撒く組織を。アンデッドを。無関係なスラムを。
あらゆるモノを、鋼鉄の球状で薙ぎ払い続けてきた。
発動時の頭痛は未だ健在ではあるが、一度の発動で大抵の戦闘が終了する為、未だ落第街で出会った男から受け取った鎮痛剤を服用するには至っていない。
結果だけ見れば非常に模範的な風紀委員として活動しつつ、己の目的を達成する為に今夜も落第街を訪れていた。
「……ゴロツキや売人程度では相手にならんしな。派手に抵抗してくれる組織があれば良いのだが」
召喚・遠距離系の異能持ちであり、前線での武勲はなるべく他人に譲る様にしている為、顔は割れていない…と信じたいところ。
とはいえ、最近暴れ過ぎている自覚はあるので、闇討ちでも奇襲でも構わないかと暢気な事を考えながら大通りを闊歩していた。
風紀委員であることを隠そうともしない己の姿に、落第街の住民達は煙たげな視線を向けながらも道を譲り、己の前を塞ごうとする者はいないだろう。
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 「成る程。貴様とは仲良く出来そうだ。ビジネス以外でも、良い関係を築ける事を願うよ」
それは、己にとって好ましい答えであった。
特等席で見下ろすと公言しながら、解脱には至らぬと自らの俗信を憚らない。
その手の相手の方が、此方も話がしやすいというもの。此の世は神では無く、人間が支配しているのだから。
「ああ、またいずれ。次は良いデータを提供出来る様に努力しよう」
短く言葉を返すと、彼とは反対方向に歩き出す。
戻った己が抱えるケーキに怪訝そうな目を向けられながらも、結果を報告する部下の話を聞きながら自動車に乗り込み落第街から立ち去った。
ご案内:「落第街大通り」からルギウスさんが去りました。
■ルギウス > 「ええ、こう見えてかなりの長命でしてね。
ただ性根がどうにも俗物らしく、解脱には遠いようです。
……むしろ解脱できる方は、頭のどこかがおかしいと思いますよ」
はっきりと答える。
「さて、用件はこんなところでしょうかね。
貴方もあまり席を外しすぎると大変でしょう?」
いつもの雰囲気をまとい、のんびりと大通りを歩き始める。
染み一つ無い白い司祭服が奇妙なほどに雑多な通りに馴染んでいる。
「では、またいずれ。
貴方の舞台……その行く末に幸がありますように」
男は雑踏に紛れていった。
■神代理央 > 「…随分と長生きしている様だな。不老不死は神に近い特権と見るが、どうかね。貴様から見て数瞬の命を生きる者に比べ、解脱の域には達したかね?」
そんな表情も浮かべるのか、と言いたげな視線を向けた後、小さく首を傾げた。
「…ほう。気が利いているな。良い、実に良い。カスタマーサービスの行き届いた者は好ましく思うよ。有り難く受け取っておこう」
恐らく、彼との会話の中で一番の喜色を滲ませた声色だろう。
先程の注射器よりも丁寧にケーキを受け取ると、その重量に寧ろ頬を緩ませて大事そうに抱えるのだろう。
■ルギウス > 「ええ、特等席から眺めるのがここ数百年の趣味になってしまいましたよ。
神からの祝福のおかげで、死を体感しても終わらない身でして。
ですので、私が死ぬまでとなるとどれだけ先になるのやら」
珍しく苦笑気味に返事をしただろう。
「それでしたら、こちらをサービスしておきましょう。
自作したものですがプロ以上の味は保障しますよ」
そう言って手渡されたのは、どう見てもケーキの箱。
箱にはザッハトルテと書いてある。重量からどうやっても1ホールが確定である。
■神代理央 > 「…貴様に祈りを捧げられる神が哀れでならないよ。
ご期待に沿える様に努力はしよう。三流役者が舞台の上で足掻く様を、特等席から眺めておくのだな」
彼が浮かべる笑みに応える様に、昏い喜色を含ませた笑みで言葉を返す。
「顕現する力も、発動する条件も、その要因も全て不明とあってはな。とはいえ、異能の研究そのものは魔術に比べてまだ日も浅い。我々が死した後、解明されるだろうさ」
研究者肌に見える彼とは違い、自分は己が行使する力が強大であればそれで良い。
異能の真理や真相というものに、興味はあっても関心は無いと言わんばかりに肩を竦めてみせた。
「味覚くらいは残る様に、適量を摂取させて貰おう。甘味を味わうことだけが、数少ない人生の楽しみでね」
気軽に手渡された注射器を、此方もまるで友人と物の受け渡しを行うような無警戒さで受け取り、懐へとしまい込むだろう。
■ルギウス > 「おや、心外ですねぇ……本業は司祭でしてね。
副業で教師や占い師など幅広くやっていますよ。
さて、筋書きのある舞台も好きですが、私は特に即興劇が大好きでしてねぇ。
予想のできる即興劇ほどガッカリな事はありません。
是非とも、私の思い描いている筋書きを超えるものを見せていただきたいものです」
ニタリと笑みの質が変わる。
「魔術は、別人が同じ工程を踏めば際限できます。異能はそもそも工程が分からない。
だとすれば、使用者の環境にも鍵が眠っていると私は思うのですがねぇ。
似たようなことであれば、真似ができるのですが」
いやはや困ったものですと続けて。
「構いませんよ、これは完全に私の私物ですから差し上げます。
こちらは過剰に摂取すると痛みどころか、五感を失いますので気をつけてくださいねぇ」
気軽にコインを渡すように注射器を渡す。