2015/06/17 のログ
ご案内:「落第街大通り」にスラッシュさんが現れました。
■スラッシュ > でかでかとした目立つウサギのステッカーの張られたトランクを引く。
緩く編まれた腰まで伸びるショッキングピンクの三つ編み。
バニーガールもドン引きな大きなウサ耳カチューシャ。
学園指定のシャツの上にこれまた学園指定のジャージを着た女が夜の落第街に現れる。
本来なら名前があるべき場所には「Thrash!!」と書かれたワッペンが張られている。
「ウンウン~☆今日も薄汚い街ですにゃ~☆」
タダの独り言にしてはうざったらしい発音。
文字にしたら絶対語尾に星マークとかついてるよコレ。
きょろきょろと今日のカモもといお客となりそうな人間を探す。
■スラッシュ > 落第街の華、喧嘩の後を見かける。
地面に零れた血液は、まだ乾ききっていない。
今日のお客様になりそうな人間はこの辺にうろついている気がする。
喧嘩に負け力に餓えるか、それとも弱者から金を奪って浮かれるか、どちらにせよ、彼女にとっては懐にお金を入れてくれる優しい優しい神様なのだ。
落第街大通りの一本外れ、喧嘩の跡の隣の通りに入る。
「ウチ、ココに決~めたッ☆はい、開店かいて~ん☆」
とワザとらしくウザったい開店をキメる。
今夜も楽しい商売の時間の始まりだ。
■スラッシュ > 「さ~て~、面白いお客様は早くいらっしゃらないですかニャ~!?」
通りを歩く人々を品定めでもするかのようにじっくりと眺める。
ただ漠然と生きているような無気力な顔のヤツは興味が無い。
何か面白そうなやつ・・面白そうなヤツはっと。
そもそも時間が悪いか。通りにはほとんど人が居ない。
■スラッシュ > そんな彼女を1人の男が訪ねる。
この場所を先に縄張りとして露店を開いていた男たちだ。
「お前、俺が見えてねーわけではないだろ」
と。縄張りを荒らされて気分が悪い、という次元ではない。
やもすればナイフが飛びだし、彼女の首を切り裂こうとするだろう。
「にゃ~!?知らなかったのニャ☆今日はアタイの顔に免じて許してニャン☆」
と、相変わらず、ふざけたおした口調で言って見せる。
ジャージのワッペンをチラつかせながら。
「ス・・スラッシュかっ!?」
ついてねぇ!と愚痴りながら、男は慌てて逃げ出す。
コレもこの街で生きる術だ。
力の前に順番など存在しない。
■スラッシュ > 「まだ何もしてないのに~・・ボクったらそんなに怖いのかニャ~?」
などと自分ではわかりきっていることをニヤニヤといやらしく笑いながら呟くと、右手に構えていた拳銃をしまう。
「さって―、邪魔モノも居なくなったしお客様探しの続きニャ~☆」
また通りを行く人々の顔を気色の悪い笑顔で眺めながら品定めをしていく。
■スラッシュ > どこぞの喧嘩でやられたのだろう、顔面をボコボコに腫らした少年が通る。
コイツなら薬を、力を欲しがっているかもしれない。すかさず
「へ~い☆おっにぃさぁ^~ん!?」
なるだけ怪しまれないよう、フレンドリーに声をかける。
相手はちらりとこちらを見るとそそくさと言ってしまった。
当たり前だ。
「ちぇー・・・全然つかまんないのニャー!!こんなんじゃ商売あがったりニャー!!!」
などと喚き散らしながら、あざとく両手足をぶんぶんと振る。
■スラッシュ > というのは演技で、コレで誰かお客がよってこないか、とチラチラ周りを見る。
THE 無関心というヤツだ。
おそらく、彼女のことを気に掛ける者は愚か、視界に入れている者すらほとんどいないだろう。
「あ゛ーも゛ー・・こんなに可愛いオレ様が困ってるとゆーのにココのヤツらと来たらとんだ朴念仁だニャ!!」
ぷーっと頬を膨らませると、トランクを畳む。
今日の所は一時撤退、場所を変えるようだ。
「あ゛ーマジやってらんねー・・だニャー」
と愚痴愚痴呟きながら、暗い路地の奥へと消えて行った。
ご案内:「落第街大通り」からスラッシュさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にラルフ・李さんが現れました。
■ラルフ・李 > 日も暮れた落第街大通り。
卑俗な街並みを闇が映えさせて、夜の落第街は昼よりむしろ活気が増す。
街路の一部に人だかりが出来ている。囃し立てる野次と、時折の喝采。
人垣の中心で、行われているのは喧嘩だ。そして、それを元にした賭博だ。
落第街にて時折自然発生するストリートファイトの匂いを嗅ぎつけて、神出鬼没のブックメーカーが現れる。
彼は勝手にオッズを提示して、野次馬達から賭けを募る。落第街ではいつしかお馴染みになった光景だった。
今この瞬間、街路は即席のコロッセオ。金と暴力が油となって、観客の興奮が燃えている。
一人の男が蹴散らされ、賭け師の鳴らすゴングの音がけたたましい。
勝者が拳を振り上げる。観客が湧き、あるいは悲嘆に暮れる。
「次、誰か居ないカ?」
この日の闘士は、中肉中背の大陸系の男。
先の相手では満たされなかったのか、『おかわり』を要求し、観客達を眺め回す。
■ラルフ・李 > 観客から挑戦者が現れた場合、ブックメーカーの気分次第では、第二試合が続行されることも珍しくはない。
ラルフもそれを望んで、観客を焚き付ける。
「どうしタ、ブックメーカー帰っちゃうヨ。
お前らみんな腰抜けカ?血が騒ぐから居るんだロ?男の子なら、ドンと一発、ホラ、かかって来なヨ!」
両手をひらひらと、自分に風を送るように振って。
軽い挑発の文句も交えながら、訛りのある日本語で声を張る。
ご案内:「落第街大通り」に浦松時子さんが現れました。
■浦松時子 > 「女でも構いませんか?」
観客の中をかき分けて街路に入ってくる。
大陸系の男を見ると以前の苦い記憶を思い出してしまうが顔には出さず。
「すみません、私もどうも研鑽が足りないと思いまして…ちょっと修行にやってまいりました」
そう言って重心を低くして腕を広げる。
レスリングの構えだ。
■ラルフ・李 > 「う~ん、参ったナ。本当に誰もいないノ?」
ブックメーカーが帰り支度を始めんとしたその時、名乗り出る者が居た。
人の輪の中心で、喜色を浮かべて迎える。
「你好(ネイホウ)!もちろんヨ。戦る気があるなら男女平等で大歓迎」
中国拳法ではよく見られる、抱拳礼。左手で右拳を包むようにして一礼する。
背後ではすでに、ブックメーカーがオッズを提示していた。
先の試合の勝利者であるラルフの方が、倍率としてはやや低い。
相手が構えれば、男もまた構える。左手、左足を前に出す半身の形。
ちょいちょいと招くように指先を動かした。
「レディファースト、先手は譲るヨ」
■浦松時子 > 「あら、紳士的な方」
「あ、女だからって遠慮は無しでお願いしますね、多少の怪我ならすぐ治りますから」
以前にあった男とは大違いだと思いつつどう攻めようかを考える。
典型的な中国拳法家、打撃メインだろう。
なら…姿勢を低くしてダッシュして前に出した左足を狙ってタックルを仕掛ける。
■ラルフ・李 > 「勿論」
さて、相手の構えはレスリング。
低空のタックル、そこから派生する投げ、極めが厄介なところ。
こちらが立ち技メインだとみれば、当然使ってくるだろう。ラルフに寝技の心得は、少し齧った程度しかない。
読み通り、低空のタックルが飛んで来れば、左足を右斜め前方踏み込むようにして、回り込む足さばきで交錯。
同時、左手で、相手の左肩を上から触れていこうとする。タックルの勢いをさらに下方へと流そうとする動き。
路上では、低空のタックルは危険だ。
荒れたアスファルトの路面は、鑢のように手や膝を削るだろう。
■浦松時子 > タックルを回り込まれ躱されて左肩を触れられればバランスを崩してアスファルトの上に転倒する。
「いたたたっ!」
アスファルトで腕に擦り傷ができるが見る見るうちに回復する。
「ふふ、これだけは勝手にやってしまいますので」
「これは見逃してくださいね、これ以外は使う気はありませんから」
この好漢とは異能抜きでじっくりとやり合いたい。
そう思いつつ外したタックルでうつ伏せに転んだ後に仰向けになって素早く立ち上がろうとする。
■ラルフ・李 > 「ナカナカ便利ダ」
談笑の場であれば、肩でも竦めるところだが。構えは崩さず、口元を釣り上げるばかり。
「別にルールがあるワケじゃナシ、異能、魔術、なんでもアリでいいんだけどネ
そう言うならナシで付き合うヨ ――素手は素手で、大好きだからネ」
後半を言う頃には既に空中。跳躍の予備動作は恐ろしく少なく、鼻歌を歌って歩くかの如く自然に、空を行く。
その起き上がりくる顎先目がけ。右足の先端を振り込んでゆく
■浦松時子 > ジャンプの動作があんなに少ないのにあれだけの跳躍ができる。
中国拳法とはまさに不思議な憲法だ。
顎先への蹴り、食らったら意識を刈り取られて終わりだ。
だが足を出してくるというのはカウンターを取れる。
相手が自分のスタイルをアマレスの類だと思っているその隙を突く。
「残念、私は…プロレスの方ですよ!」
右足を掴んで自分の体ごと回転しつつ足首を極める。
いわゆるドラゴンスクリューと呼ばれる技をかけようと。
■ラルフ・李 > 「ショーじゃないカ!」
だがこの場には似合いだ。派手な技に観客が湧く。
空中を錐揉み状に回転し――足に触れる浦松時子は気付くだろう。意に反し、回転が早すぎると。
そう、ラルフは自分から回転している。回転させようとする力に応じ、自ら勢いを乗せてさらに加速。
その勢いには恣意を込める。
「お返しするヨ!」
掴まれていない左足が、回転の勢いのまま、右膝を僅かに曲げて距離を稼いで、対手のこめかみに伸びてゆく。
投げられざまの反撃は功を奏すだろうか。
その成否に関わらず、ラルフは地面に叩き付けられるように落下、今度は己に、コンクリートの路面が牙を剥く。
■浦松時子 > 思っていたより回転が速い。
どんなからくりを使ったかは知らないがこれでは右足はうまく極まらない。
そして突如伸びてくる蹴りがこめかみを襲う。
流石に投げている途中の蹴りはよけられず蹴りを食らってしまう。
腕を途中で離してその場で頭を押さえうずくまる。
再生しようが急所は急所、ダメージは確実に蓄積する。
■ラルフ・李 > 受け身を取って落下の衝撃を減殺するも、擦過傷はそうはいかず。
掌、膝を擦りむいている。打ち付けた部位には鈍痛。
蹲る間にふわりと起き上がり、取るのは先と同じ構え。
調息。呼吸。丹田で『氣を練る』。身体を賦活し、生じた痛みを忘れさせる。
超常の類ではない。異質な術理に基づいた、純然たる体術、技術。
呼気を吐き出すと同時、右足で踏み込み、再び距離を詰める。
右腕は鞭、右拳は槌の如く、低い位置にある頭を、打ち下ろすような打撃が迫る。
■浦松時子 > 少しは時間を稼げたがそれでも意識をしっかりと維持するのが精いっぱい。
そこへ頭をめがけての拳が飛んでくる、とっさにガードするが体重差と無理なガードの姿勢が仇になってそのまま吹き飛ばされて観客に激突する。
だがぶつかった観客に押し戻されてようやく立ち上がることができた。
■ラルフ・李 > 「返来(おかえり)」
始まってしまえば真剣勝負。相手の態勢が整うのは待たず、即座に追撃に移っている。
先の打撃の余勢を殺さず、するすると距離を詰め。
その勢いを乗せ、下から伸び上がるような右拳。顎先を狙うかに見せて浅く変化し、その狙いは鳩尾。
■浦松時子 > 立ち上がった所に素早く間合いを詰められる。
間合いを離そうにも観客がいては後ろにもさがれない。
顎先へ伸びてくる拳をガードしようとするが急に軌道が変わり鳩尾への一撃を食らってしまう。
「かはっ!」
覚悟だけは決めていたからか膝は折らずに立ち上がったまま
その腕を掴もうとする。
■ラルフ・李 > 伸びた腕は掴まれるがまま。しっかりと掴まれたその瞬間、相手の筋力が緊張するその一瞬を狙い澄ます。
予備動作が無いのではない。それは常に、自然体の動きの中に含まれている。
僅かな揺らぎ。先の打撃の反動が既に、肉体の裡に蓄積されている。寄せては返す波、あるいは跳ね返る発条のように。
あるいは。引き絞られた弓のように。
「發ッ!!」
気息一声、蓄えられた勁力を爆発させる。
全身を弾き飛ばされるような力が対手を襲うだろう。