2015/09/06 のログ
ご案内:「落第街大通り」にやなぎさんが現れました。
やなぎ > サリナと夕食の後、家に一旦帰ったのだが、
新しい眼鏡を手に入れたのが嬉しくて、つい夜遊びをしたくなった。
普段はぼやけていた景色も、このメガネによってがらりと変わった。
それが嬉しくて、もっと見ていたくなって、こんな時間まで外を出歩いていたのだ。

「―お。」

しばらく歩いていると、怪しげな食べ物屋が見えた。
小腹がすいた、ちょっとだけ食べよう。
そう思って並んで買ってみる。
怪しい焼き鳥だった。

やなぎ > 軍服姿のやなぎを目にすると、定員らしき人物は嫌な顔をした。
「そいつなら、――硬貨分必要だぜ」
通常よりも倍の値段をふっかけられているのだが、やなぎは気づく様子もなく代金を支払った。
カモからむしり取るように、店員はしたり顔で酒も進めてきたのだが、
それに対してはやなぎはやんわりと断り、その場から離れていった。

「…お酒には酷い目に会わされたからな、こんな所で誰がのむか」

焼き鳥を頬張りながら街を闊歩する。
空を見上げて星を見ようとするも、ぼんやり明るい街の中では、
眼鏡をかけていても月すらぼやけて見えた。

ご案内:「落第街大通り」に深雪さんが現れました。
やなぎ > …といっても、酒自体は大好きなのだ。少し飲みたくなってくる。
しかし、以前はビール一本で酔っぱらってしまったのもあり、
外で飲むにはその後介抱してくれる人が必要だ。

「あきらめるか…。」

少し心残りではあったが、
出来るだけ酒のことは考えないようにしようと思いなおした。

深雪 > 焼き鳥を買った辺りからだろうか…貴方に,真っ直ぐ向けられる視線。
通り沿いに置いてある木箱に座って,銀色の髪を靡かす…この場には不釣合いな少女。
それにあなたが気付くかどうかは分からないが,黄金色の瞳が,貴方を見ている。

「あら…貴方、あのお店で買ったの?」

少女は貴方に声を掛けて,くすくすと楽しげに笑っている。
先ほどの食べ物屋について何か知っている…ように、聞こえるだろうか。

やなぎ > 「え?」

声がした方に振り向いた。
こちらを見ている少女が見える。自分に話しかけているのだろうか。

「…ええ、美味しいですよ。」

"あのお店"に何か引っかかりつつ、戸惑いながらそう答えた。
そしてこんな場所、こんな時間に危ないなぁなんて思いながら、
彼女に近づいていく。

深雪 > 少女は学園の制服を着ており,手首や首には可愛らしいリボンが結ばれている。
貴方の服装が珍しいのか、視線は相変わらず貴方へ向けられて…

「そう、そうね…知らない方が良いこともあるわよね。
 貴方、この街の人じゃないみたいだし。」

…意地悪に笑いながら,意味ありげなことを呟いた。
視線は貴方の買った焼き鳥に向けられて…それから、小さく頷く。

やなぎ > 少女の姿をよく見ながら、眼鏡をくい、と空いた左手の中指で上げる。
あの格好はどうみても制服だ。何故学校の生徒がいるのだろうか。夜間の授業だったにしては遅すぎる。

「この街には住んではいませんが、良く来るんです。
 それで…あの、何か知ってるん……ですよね?」

冷や汗をたらしながら、食べかけの焼き鳥に視線を移した。

「もしかして、やばい肉とか……。」

深雪 > 「…あら、こんなところによく来るなんて貴方も物好きなのね。」
“貴方も”と言ったこの少女もきっと、ここの住人ではないのだろう。
こんな場所に1人で居ては…普通なら、無事では済まないハズなのだが。

そして、分かりやすい貴方の表情を見て、少女は楽しそうに笑う。
「ただの鴉よ。
 ……この街の鴉だから、とっても良く太ってるって言ってたわ。」

「この街の鴉って…何を食べてるのかしらねぇ。」
こんな場所では一般的な餌は多いとは言えないだろう。
けれど、この街の暗がりには、時折、とても良い蛋白源が転がっている。

やなぎ > 「…」

ごくり。静かに息を飲んだ。
言葉から読み取るに、少女はこの街にいくらか詳しいのだろう。
だが、ここの住民だとは思えない。
それほどこの少女から異質な印象をうけた。

そして肉の正体を聞けば、今までの緊張をほぐすようにがっくりと肩を落とした。

「…鴉の肉なんですか。びっくりしましたよ…。
 珍しいですねぇ。鶏の代わりに養殖でもしてるんでしょうか。
 …あれ、それとも野生?」

――この男は、この街に何があるのか全く知らない。

深雪 > どうやらこの男は本当に何も知らなかったようだ。
よく来る、と言っていたが…それは幸運なのか,それとも不運なのか。
少しくらいは慌てる様子が見たかったのだが、そのためにすべて説明するのも馬鹿馬鹿しい。

「鴉なんて養殖しなくても,その辺にいくらでも居るじゃない。
 お腹壊さないようにね…生ごみで育った鴉かも知れないわよ?」
そうとだけ言って、木箱から降りた。
後で全てを知った時に、どんな顔をするのか想像して…
「……裏路地とか暗がりには入らない方がいいわ。」
そうとだけ、アドバイスをしておこう。

やなぎ > 「や、やっぱり、こういう所では野生のカラスなんですね…。
 太ってるのなら、食材としては困らないのかも…。」

生ごみと聞けば、もっていた焼き鳥を投げ捨てたくなった。
…ありえない話ではない。
そして忠告めいた言葉をきけば

「…そ、そこに何かあるのですか?」

そう言われると入ってみたくなるのが人間のさがなのだが、
学生の少女がそう言ってるのに違和感を感じざるを得なかった。

「…あるんですよね!?」

深雪 > 予想通りに,貴方は食いついた。
少女は僅かに笑みを深めて……
「それも全部“知らない方が良いもの”よ。」
……そうとだけ言って、笑った。

普段からこんな風に,人間を闇に引き込んでいるわけではない。
ただ,何となく気になったから声を掛け,面白そうだったから引き込んだ。
それだけの話だ。

「もし貴方の悲鳴が聞こえたら,助けにくらいは行ってあげましょうか?」

やなぎ > 少女は"何か"を知っている。それも良くない"何か"だ。

「そんなこと、言われたって…」

声が震える。顔色もよくない。
動揺を隠そうにも隠せない。
一体そこに何があるというのだろうか。
――路地裏、暗がり。何かあるに違いない。

「…助けにって…それはわたしが悪党か何かに襲われるかもしれないということですか。
 ここはそんなに危険な街なんですか…っ」

ちら、とその辺の暗がりに視線を移す。
治安はよくないと聞いていたが、あんなことを耳にしては気になって仕方がなくなってくる。

深雪 > 貴方の表情を見て,その分かりやすい動揺を見て,少女は楽しげに笑んだ。
「…何も知らない貴方の方が珍しいわ。
 ごめんなさいね,貴方はただこの街を楽しんでいただけなのに。」
路地裏へ入れば…きっと,そこでは普段通りの生活が営まれているだろう。
存在しないことになっている街の、存在しないことになっている人々。

「……そうね,本当に危ない時は大声を出すといいわ。
 その口をふさがれていなければ、だけれど。」
そう言いつつ、ひらりと長い髪を靡かせて歩き出す。
もうあなたに視線を向けることもなく,最後に振り返って…優しげに微笑めば,彼女はそのまま歩き去って行った。

ご案内:「落第街大通り」から深雪さんが去りました。
やなぎ > 「あ、ど、どこへ行くのですか!一人で……」

後を追おうとも足が動かない。
何も知らぬ青年は、未だに眠らぬこの街で一人取り残された。

その暗がりをよおく見た。
真っ暗で何もみえない。
そのうち闇に飲み込まれるような気がして―

「…っ!」

そうだ、夜だから暗いのだ。昼だ、昼に調査をすればいい。
急に怖くなって、がむしゃらに足を動かしその場から逃げ帰っていった…

ご案内:「落第街大通り」からやなぎさんが去りました。