2015/09/20 のログ
渡辺慧 > 「…………いいや」

自ら口にした言葉を、自らで思考した後。

「なにも、きっとおかしくないんだとおもうよ、名も知らぬ“後輩”」

一つ。――口に出さずに済んだことを思いながら。
ある意味、最初から。

それが自分に向けば、それを苛立ちとしてなってしまう、勝手さを笑いながら。
まぁ。割合。
それこそ。どんな理由があろうとも、か。

顔を上げ、目の前に立つ少女の目を見て。

「…………」

差異を、扱えるほど、か。
「なら。…………俺の方も、あり方で示させてもらうよ」
「君がそういうなら、俺も」

「じゃあないと、公平ではないんだろう」
それはどちらともに向けた言葉でもあり。

――自分なりの風紀委員としての在り方、という奴を。

竜胆 薙 > 「わかりました。
 では、今は同じ組織の人間として信じましょう。
 先輩が権力だけを目的に風紀にいる人間ではない、ということを。
 ……竜胆薙<りんどう なぎ>といいます。お見知り置きを」
ようやくその表情が緩む、というよりは初めて、笑う

「では私は次に向かうところもありますので失礼しますが…、
 先輩は落第街で何を?一人警邏でしたら、どうぞお気をつけて、
 このところ物騒な案件ばかりが耳に入ります」

渡辺慧 > 権力があれば、燻りが晴れるのであれば喜んでそれを傍受したものだが。
それは何も与えてくれない。
――まぁ、今はそんなこと、言わずにいる方が花だろう。

「ありがとね」
その笑いに。まだ、抉った何かの残り香がある胸の内を出すことなく、
ゆるり、と。ふわりと、笑んだ。
彼女なりの、現実がこれ、という話なのだ。
「竜胆」

「――あ」
と。すっかり忘れていたが――。
まぁ、そちらの方は本流ではなくなったようだ。

「夕暮れを眺めに来た」
間違ってもないし、正しくもない。
何かがまじりあって、差異がまじりあったこの夕暮れは、ひどくきれいだから。
「君の方こそね。……腕は立ちそうだけど」

竜胆 薙 > 「いきなり呼び捨てですか?」
くすりと笑う
言葉とは裏腹にとくに嫌がっている様子でもない

「それはまた呑気な…。
 警邏に訪れる風紀委員ですら基本はスリーマンセルを推奨されているのに。
 ……それだけ先輩が実力に自信ありなのかもしれませんが。」

私は勿論そうですけど、とつけくわえて

じと、と少しじと目になる少女。じとー

渡辺慧 > 「えぇ……」
特に意識していない部分を指摘されれば、自然と頬をかく。

「……さん、付けたほうがいいのかな」
今までよりは、ずっと。――その辺りについて気を付けているつもりなのに。

――人の感情の起伏、というものはよくわからない。
自分の物でさえ、先程の感情をうまく把握できないのだ。ましてや他人の物など。
じっとりとした視線にわずかに首を傾げ。

「さて、どうだろうね」
楽しそうに肩をすくめる。負けはしないだろう。
もちろん。――その、勝敗自体の判定をなくす、という意味でだが。

「だいじょーぶだよ。だって。夕焼けがこんなにきれいだから」

それは。脈絡もなく、何もつながらない回答だが。
少なくとも、気を使う必要などないことを示すには、十分なのではないだろうか。

竜胆 薙 > 「構いませんよ。学年は同じですし、委員会では私が後輩ですから」
にっこりと笑ってみせて

「薄汚れた街でも、見える空は同じですからね。
 私にはロマンチズムはあまりわかりませんけれど。
 ……ではお気をつけて、大通りとはいえここは落第街、いつ襲われるともわかりません」

それだけを言葉に投げかけて、ぺこりとお辞儀をして踵を返す
特に呼び止めをしなければ、そのまま歓楽街へ向けて歩き去るだろう───

渡辺慧 > 「……うん。……じゃ、竜胆」

ゆらり、と。ゆるゆるととらえようもなく頷いた。

「俺にもわからないよ。ただ――」
まぁ、特にそれ以上続ける気もない。
また。風紀委員の活動をするならばどこかで会うのだろう。
ならばその時に。

――特に。それを自分がどうにかしたいと願うわけでもないが。
――まぁ、やっぱりそれは自分の役目でもないし。
なにより。この思考自体がおこがましいのだろう。

「あぁ。…………それじゃ、また」
そういって、そちらから視線を外すと。ゆらゆらと片手を振った。

ご案内:「落第街大通り」から竜胆 薙さんが去りました。
渡辺慧 > ――。
もう一度。

彼女の姿見えなくなったのを見て、煙草を取り出し火をつけた。

今度は、深く、深く吸い込んで。
深く、深く。今、吐き出せなかったものを、吐き出そうとした。

そう。
例え、落第街に住む人と、向こうに住む人。
そう言った明確な差がなくても、これほどの違いがあって。

また、ひどい異物感を感じる。
自分自身が異物へと変貌する。

だけど、も。
片手で携帯を取り出して。
――この落第街に住む友人に向けて、一つのメールを送った。

しかし。
その違いの前提があろうとも。
――いたずらメールは届くのだ。

もう一度、煙草の火を指でもみ消すと、踵を返した。
夕暮れは沈み、夜へ変わる。そうすればまた、騒がしさと静けさに包まれる。
今は、その気分じゃなかった。

ご案内:「落第街大通り」から渡辺慧さんが去りました。