2015/10/09 のログ
ご案内:「地下闘技場」に不良少女Xさんが現れました。
不良少女X > (地下闘技場、なるものがあると聞いて。
これまた、特に目的もない、サボり半分の落第街の警邏兼お散歩に出た折に、ふらりと寄ってみた。
遊べればいいが、今日は見学くらいに留めたいもので。

何でも、どこぞの係長が提出していた議事録には、面白半分で足を運ぶ一般生徒もいるんだとか。
まぁそれはどうでも良いのだが。
取り敢えず、今日は初めてだし適当に変装―――因みに傍から見れば変装と言えるかも微妙であるけれど―――しつつ。
後は自分の名前を偽ればいい。いやまぁ、分かる人には分かるだろうが。
分かられたって別にどうって事はないのである。)

盛り上がってる、かなー…と!

(歓声に罵声に、喧しい声が飛びかかっているけれど、その実どの程度賑わっているのやら。
地下へと向かう小汚くて薄暗い階段を不愉快な音を不定期的に刻みながら、
一切怖じる様子もなく、ついこの間適当に仕入れたサングラスをかけた顔を闘技場へと覗かせよう。
はてさて、何が見えるやら―――?)

不良少女X > (―――こうして、
結果的に何が見えたかといえば、そこそこだだっ広い戦闘用であろうフロアー。
それから、駅として使われていたのだろう少し上に盛り上がった場所。
観客席とか聞いてたが、まぁまぁ人が疎らながら、だが決してその数は少なくない。
問題なのは、どいつもこいつも罵声なり歓声なり、兎角声の量を自重しない。
やれそこだ、やれ俺の賞金がだとか、レパートリー豊富な汚い言葉を絶え間なくよくもこんなに叫べるものだと思う。
そして、概ねそれらの馬鹿でかい声はといえば、地下闘技場の今正に戦闘が行われているだろう場所へと向かっている。)

悪い意味で、盛り上がってるわ…こりゃ…。

(ぽつんと溢した呟きは、程なくすればまた新たに湧き出る大声の一つにすぐかき消されるだろうか。
流石落第街と言うべきか、この連中の行儀は悪い。とても悪い。
戦闘欲求を満たしたいような戦闘狂に等多分ロクな奴はいないのである。
そして、そんな血を見る事が好きな連中にもまたロクな奴はいない。
よって、新たに野次馬する場所をと探しに来た己もロクな奴ではない。まぁそれは最初から分かっていた事だが。
喚く罵声に細々呑まれながら安物のサングラスをクイ、と。
ここからでも見えない事はないけれど、何せお行儀の悪い観客があっちこっち動き回って見え辛いのだ。
目から放射線でも出せれば障害物越しに物も見えようが世の中そうもいかない。
もう少し、野次馬にと、今騒がしい所へ寄ってみよう。
賞金も出るらしいし、実戦を観戦すれば後々悪くない収入減になりそうかも?なんてどうでも良い期待をしながら。)

不良少女X > (さて、近場で見るは良いけれど座る場所が欲しい。いや、座らなくともつかれることはないのだけれど。
すっかり思考回路は人間風味に染まってしまったもので。きょろきょろと見まわすけれど、
元あったこれまた小汚い地下鉄駅の椅子も、大体占拠され済みである。

仕方がない、と思い、ようやっと諦めを付けて戦闘の舞台へと向かって、やっとこさの観戦を始めた。
座る場所も諦め、右に左に前に後ろに、小うるさい奴らを挟んで、耳が痛くなる観戦。
少々時間を食っていた様で、既にこっちに来てから最初にあった対戦カードは終了している。
何でもさっきので7連勝だったそうな。
今廃線空間にいる狡猾そうな顔つきの、獣の体躯を持つ槍使いの異邦人の大男、みたいなのが今日の所結構勝ち数を稼いでいるらしい。
…9連勝目とかだったら、横槍を入れてやりたかったんだが、何とも微妙な数値だ。
というか、既に戦闘は始まっている様子で。そのお相手はといえば、如何にも異能か魔術身につけたばかりで調子に乗ってそうな不良っぽい金髪の男。
どうみても普通の人間で体格差が歴然だが大丈夫かあれ。)

不良少女X > (適当にボロボロになった柱に腕を組んで凭れかかっての観戦。

異邦人っぽい獣人VS不良っぽい普通の人間
普通に考えたら、武器を持った猛獣と武器も持たない人間が戦ったら一瞬で人間がやられるのが定石だろう。
それをひっくり返すのが魔術と異能の超常現象の面白さでもあるのだけれど。
ああ、それからあれが人間とも限らないのか。ただまぁ、あの幼稚っぽいいつもの悪役のお手本みたいな笑い方を見れば、
大体間もなくして片手で吹き飛ばされそうなのが分かるが。

後、ここのルールは聞いた話「殺さなきゃなんでもあり」だそうで。
どんなに卑怯な手を使っても、と言うのであれば、無策でそんな無謀な戦いはしないのかも。
どうなのかは実際知らないが。

今のところ、どう見たって金髪が不利なのである。
相手が地面を殴っただけの衝撃で吹き飛んでいるんだからもうパワーの差は歴然。
何か策があるのかなと思ったらそうでもなかった…と、思ったが。)

…。

(炎の属性を纏う魔法の弾が数発、犬とも猫とも猿ともつかない、けれど絶対に人間ではない容貌の獣人の背に飛んでいった。
それは、最寄りの観客席と闘技場ギリギリの場所から、不良のグルと思われる者の攻撃。
悟られない様にしている心算なのだろうが、大体見る者が見れば分かると思うし、
あの獣人も、また、観客の十数人以上も、そんな一撃見透かしているのではなかろうか。

それにしても、成程これは凄く卑怯だ。1VS1と思わせておいて、外野から支援攻撃とは。)

ああいうのもアリなのかー。

(そして、銃弾の弾速を容易に目視しながら、あきれと関心半々の模様で、雑音の中にへぇー、と言葉を落とした。)

不良少女X > (「殺さなきゃなんでもあり」「ルールはその時々によって変わる」
これらが意味する所はつまり「勝てば勝ち」というどうにもならんルールである。
ここに来るときは一策二策建てておいた方が良いのやもしれない。
大量の魔術を持っているけれど、脳味噌が筋肉みたいに力で押し潰すだけでは些か分が悪そうだ。
…なんでもありなら、いっそ攻撃されない状況を作って、それで攻撃すればいいのでは?)

成程成程…そういう…。

(うんうん、と指向に耽りながら自分の考えに相槌を打つ。
自問自答に答える声はない、周囲の卑怯だもっとやれだのブーイング等が代わりに帰ってくる。
会話のドッジボールである。

相手に認識されなくなるか、いや、そもそもその場に居なければ攻撃されないのだから、
幻影の魔法でも使えばいいのではないだろうか。
本体を何処ぞに転移させれば。
それとも、あのウィザードみたいに攻撃された時に何かに置換される魔法なんかも使えれば良いかもしれない。
いや、若しくは―――。)

(そうこうと、思考をしているうちに周囲がひときわ大きな雑音に包まれた。思考に耽り過ぎたらしい。
…いけない、どうにも考えすぎると周囲の事がおろそかになってしまう。

統一性のない手を叩く音は、少なくとも拍手と呼べるものではない。
観客席から色々な物が投げ込まれてる。

戦闘の結果だけ言えば、かの獣人の圧勝である。
その後、不良がどうなったのかは知らないが、廃線に横たわった気絶しているだろう人間の数は、合計して2人だった。
不意打ちからのグループでの攻撃で、まるで怯むことさえなかったらしい。
この卑怯さ全開のゴミ共の掃き溜めみたいなところで、わざわざそういった脳筋プレイをしているのか、
それとも単に馬鹿なのか。失礼ながら顔を見るに後者であろうことは疑いないのだが。)

不良少女X > (嵐の後の静けさ。
いけない、野次馬をしに来たんだが結局どうやって決着がついたかとか一番良い所を見逃してしまった。
サングラスを上下する。…なんというか、この独特の暗さに目が慣れてしまった。
今度からはサングラスじゃなくて眼鏡にしようと思った。

大方分かっているけれど、何度も何度も会敵しては圧倒すると言う事をしていたらしいあのバケモノに我こそはと挑む者もいないらしい。
倒れ伏した不良二名が何処かへと持ち去られる最中、
あれってつまり8連勝になるのか9連勝になるかと言うしょうもない議論と、
次は誰がやるかという議論が並行して行われ始めた。
小うるさい罵声がぎゃーぎゃー飛び交う元地下鉄は、今はざわざわと、少しばかり大人しくなった。)

不良少女X > (さて、9連勝とかだったらへし折りたかったのだが、生憎と偵察というか、下見みたいなものである。
こうしている間に、大方卑怯な戦い方と言うのが思いついてきた。
といっても、割と卑怯な戦い方とかをすると、思いがけない穴を突かれたりしそうなものだが…、
要は絶対に攻撃されない状況と、絶対に外れない攻撃をしてしまえばいい。
ただ、そんな馬鹿でかい広範囲攻撃になると、必然的に範囲に比例して威力も桁外れになってしまうのでその辺りの調整をすればいいだろうか。

…久しく、自分自身でそれっぽく術式や呪縛を組む必要が出て来そうだ。そんなに時間はかからないだろうけれど。

そこそこ静かな地下闘技場で、顎元に手を宛がって思考中の不良少女の図。
変な視線を集めるやもしれないが気にしない。というか気にならない、もしくはできないと言うのが正しいが。)

不良少女X > (…否、というか、そんな余計なことするくらいなら、
あの巨躯の獣人みたく圧倒的な力で捻じ伏せる方が早いしやりやすいし、何より楽では?
「当たらなければ」どうと言う事はない以前に、「撃たせなければ」どうと言う事はないのだし。

適当に素早さと力で凌駕すればいい。
概ねの生き物と言うものは脳味噌なる化学的で単純な思考中枢を持っている。
異邦人や概念存在は、そういった思考中枢ではなく、超常的な中央演算処理装置に頼っている。
故に、未来的な物を見たりだとか、完全な同期の情報を得たりできる。

人間は0.1秒前の事が見えない。それは脳味噌が視覚的情報として映し出すまでに処理の時間がかかるからだとか。
まぁ、詳しい話はどうでも良いとして。

取り敢えず、圧倒的な素早さがあったら、人間相手に怖い事なんてないのである。
加速の魔法や異能を持っている者の視界は一体全体どうなっているのやら。

ぐるんぐるんとまた思考を回した後に廃駅を一瞥。
…相変わらずと言った感じでかの獣人も挑戦者を待っているようだが、流石に待ちくたびれたらしい。
周りも何だかんだこの連戦連勝ラッシュに草臥れているのか、さっきまでのバカ騒ぎは何処へやら、
ざわざわと話し声は聞こえるけれど、それにとどまっている。)

不良少女X > (観戦しにきたはいいが、どうもこの場所で楽々と賞金稼ごうと思ったら考えることが多そうだ。
考えないで力で押し潰す事ばかりやっていたとしても、下手踏んで体を焼き潰されたら痛くないわけではない。

回復魔法だ再生能力だはなくはないが、ああいうのは消耗が普通より大きい。
防御する方が絶対にお得である。

何だか段々と会場がしらけてきた気がする。しまいにはざわつく声も消沈し始めた始末。
…行ってみようか、行ってみまいか。なんて、今は考えるだけに留めよう。
負ける気はしないけれど、無計画でやるのも問題だし。)

不良少女X > (これだ、と思い当たる案件は結局のところ、ない。
いくつかの候補は思いつけども、…ここは、そもそも考え事には向かない場所なのだろう。
もう少し、そう…公園なんかが一番なんじゃなかろうか。
後は、実戦をもう少しと言ったところか。
残念ながらこんなところに通い詰めている知り合いはおらず。
適当に卑怯な戦い方と言うのをやってみたいのだがそうもいかない。
演習戦なんかとは違って、闘争心の為の御互いではなく自分の為の薄汚い戦いである。
…といえば聞こえは悪いけれど、戦いなんて往々にしてそういう物なんだろう。

周囲の雑踏が消沈する中、己も幾許か暇そうに溜息をついて、柱に背を持たれたまま周囲を見て、俯いた。)

不良少女X > (さて、不良っぽい事してないなと思うのだが、基本的にここは中立らしい。
故、一方的に捲し立てたりするのは御法度なんだとか。
グラサンかけて不良を名乗るのもいかがなものかと言われそうだが、十二分に己が振舞は不良のそれだと自覚している。

警邏と名乗って風紀委員の腕章を破り捨てた後に、こうして闘争心の掃き溜めが集う場所に寄っていくのだから、十二分だ。

しらけかえった会場は軈て進展を迎える。例の獣人、待ちくたびれたと太い声で言っては不機嫌そうに地下鉄駅の階段へと、
ドシンドシンと踏み潰すような音を立てて疎らな人をその馬鹿でかい掌で押し退けながら出て行った。
一瞬、会場が凍って―――また、先程通り、ざわざわとした声が少しずつ立ち始めた。)

不良少女X > ううん。…普通のストリートファイトにゃ、あんまり興味ないかなぁ。

(新たに程なく組まれた対戦カードは人間っぽいのと人間っぽいの。一見したところによると魔力量はどちらも微小だ。異能は知らない。
何か持ってるんだろうけど、そこまで強そうにも見えない。
偏見と言われればそれまでだろうが。
一つ、怒号にも罵声にもならず、小さく消えよう声を観客に混じって密かに溢して、

先程帰って行った者と同じ道を辿った。
普段なら野次馬していたかもしれないが、どうにも、
さっきの獣人の挑戦者待ちの件で、時間を無駄にして退屈した気分が否めなかった。
暇潰しやら楽しい事は、やはり自分が何かしてこそ、なのだろうか。
卑怯な戦い方の中でもコスパが最高な必勝法、それを考えるのもまた楽しそうだが。
実践する機会、有るのかどうか。)

ご案内:「地下闘技場」から不良少女Xさんが去りました。