2016/01/11 のログ
ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  
「初売りの残りでも、とは思ったが。」

 独りごちながら、落第街の大通りへと足を運ぶ。
 何時も通りに裏の側面を垣間見せる落第街の大通り。
 非合法――とまでは言わずとも、流通ルートの外れたものや処分されたものは此処に集い易い。
 
「さて。」

 当然柄の悪い者や、危険な人物も少なくはない。
 精々、注意して歩くとしよう。

リビドー >  
 ヤニの香をかわしながら路を歩む。
 非合法なモノとは思っていないが、見繕いたいものがある。
 それ以外にも色々と見て回るつもりではいるが、時間と予算との相談だ。
 そうこう歩いている内に、ガラクタに埋もれたコテージを発見する。アレは、確か。

(新しく出来たジャンク屋か……いや、今度にしておこう。)

 流石にジャンク屋は時間が食い過ぎる。
 掘り出し物を発掘するのは楽しいが――。

リビドー > 「ふむ……」

 冷たい風が身体に差し込む。
 強い寒さを思えれば手をかじかませ、吐息を吐く。

 ……此処の区画は"特に寒い"
 他の区画と違い、インフラも整備されていなければ冷暖房を備える建物も少ないだろう。
 少なくとも、当たり前の様に暖を得ていない――。

「……ふん。」

 何かに襲われるまでもなく、寒さで身体を弱らせて死亡した者も、
 落第街では少なくはないのだろう。

ご案内:「落第街大通り」にソラとルナさんが現れました。
ソラとルナ > ぺたぺたと微かな足音が聞こえる。
靴を履いている音ではない。
冷たいコンクリートの上を裸足で歩く音だ。

がこん、とゴミ箱が揺れる音がして数秒後。
狭い路地につながる、建物と建物の間の細い道から
金色の髪の少女がひょっこり顔を出す。
それに続くように、のそのそと眠そうな目をした
銀髪の少女が現れた。

リビドー >  
 
 聞こえる足音は素足のもの。
 揺れるゴミ箱と路地より顔を出した少女二人。
 先の足音は彼女らのものだろう。
  
「……。」

 声を掛けるよりもまず先に、二人の少女へと視線を向ける。
 何かから逃げているなど、切羽詰っている様子では無い様に思えたが――。

ソラとルナ > ぱちり、と。二人は目を瞬かせる。

それから程なくして、金髪の少女はにこりと笑い、
銀髪の少女は首をかしげる。

切羽詰っているどころか、随分のんびりしているように思える。

先に金髪の少女が路地から出てきた。
くるりくるりと踊るように回りながら、
見ようによっては転びそうにも見える危なっかしい足取りで。

次にそれを追うように銀髪の少女が路地から抜けてくる。
割れたコンクリートを踏まないように気をつけながら、
しっかりとした足取りで。

路地裏から出てきたばかりでやや汚れてこそいるものの
その服はまだ白く、落第街の他の人たちと比べると
不自然なほどに清潔な身形をしているように思えた。

リビドー >  
(随分と"のんき"だが……。)

 一見すれば、この場所が何処かと知っている風には思えない暢気な仕草。
 少々の危なっかしさには支えに向かいそうになってしまう所があるが、それには及ばないのだろう。
 銀髪の少女はm彼女の保護者か。はだしでこそあれ、傷を負わない様に歩いているのは見て取れる。

 そしてどうにも"はだし"ではあるが、身なりも綺麗なものだ。
 引っ掛かりを覚える程には綺麗だ。

「……お二人さん、迷子かい。」

 きっと違うのだろう。そうであるかもしれないが、意に介してはいないのだろう。
 それでも――取っ掛かりとしてこの言葉を選んだ。

ソラとルナ > 予想通りというべきか。その言葉に対して銀髪の少女は首を横に振る。
金髪の少女はそもそも話を聞いているのかいないのか、
相変わらずくるくると踊るような足取りで目の前の男性の周りを回り始める。

『人間の基準で』考えるならこの島にいること自体が不自然なほどに
幼く見える二人の少女。

金髪の少女は何も考えていないような無垢な瞳で。
銀髪の少女は何処か見透かしたような澄んだ瞳で。
二人は声をかけてきた男性を見つめていた。

リビドー >  
(ふむ。……簡単な意思疎通が出来る程度、かな。)

 切羽詰まっていない調子からも、特に理由のない散歩だろう。
 自身の周りを回る少女には、ある種の人懐っこさは見える――が。
 済んだ瞳は、何を考えているのやら。

「……この辺は物騒だからな。
 承知の上だとは思うが、教師としては一応言っておくよ。」

 身なりも悪く無い。困っている素振りもない。
 ならば無理におせっかいを焼く必要もない。
 彼女らについては少々気になるが、それはそれだ。

ソラとルナ > その発言に対し、金髪の少女は笑顔で、銀髪の少女は軽く頷く。

直後、金髪の少女が目の前の男性に後ろから抱きつく。
銀髪の少女がやや窘めるような視線を向けたが、それでやめる気配は見られない。

危険に対する忠告への感謝か。
はたまた自由すぎる片割れの行動に対しての謝罪か。

深く意図を読むことはできないが、少なくとも話は通じそうな
双子の片割れが軽く頭を下げた。

リビドー > 「…‥む。」
 
 後ろから届く柔らかい感触。
 そっと頭でもなでてやろうか、とも考えたもののひとまずは様子を見る。
 先ほどからの行動を鑑みても、見た目に違わない人懐っこい性格なのだろう。
 銀色の髪の少女が頭を下げた。
 首を横に振ってから、言葉を返す。

「いや、構わないよ。良い気はしても悪い気はしない。
 それに、呼び止めたのはボクの方だからな。」

ソラとルナ > 見た目どおりに子供っぽい性格と行動。
金の髪に赤い瞳を持つ少女はどことなく暖かい雰囲気だ。

むしろ、物理的にもかなり暖かい。
やや体温が高いのか、抱きついてきた小さな体は
太陽に当てて干したばかりの布団のような、そんな印象がある。
まるで暖かさだけでなく活力を与える日の光のように。

その様子をじっと見つめる銀色の髪と青い瞳の少女。
対比してみるならば、彼女はさしずめ月であろうか。

リビドー > 「(子どもの体温は暖かいとは言うが――)」

 それにしても暖かい。不健康な熱っぽさとしては感じない。
 冷えた冬空の中に居る事もあり、微睡みそうになる程には心地良い。
 気が付けば、少しだけ髪を整える――の名目で金髪の少女の髪を梳かす様に撫でていた。
  
 心地良い時間だ。場所が場所故に、気は緩めないつもりでいるが……少々緩んでいる気もする。

「……ボクを暖かくしてくれるのは嬉しいけれど、あっちのお姉さんは放っておいていいのかい?」

 抱きついている金髪の少女に声を掛ければ、銀髪の少女ヘと視線を向けた。

ソラとルナ > 髪を撫でられれば、気持ちよさそうに目を閉じる、が。
ふと声をかけられて、一瞬きょとんとしたように片割れのほうを見る。

それから金の髪の少女は笑顔に戻り、子供とは思えない俊敏な動作で
今の今まで抱きついていた男性を飛び越え、一足で片割れの元に戻る……もとい飛びつく。

銀髪の少女はそれを予想していなかったらしい。
回避しようとしたか、はたまた受け止めようとしたか。
どちらにせよそれは間に合わず、なかば押し倒されるようにして
金髪の少女と衝突して落第街の地面に叩きつけられた。

元凶となった金髪の少女は、悪びれもせずにへらへらと笑っている。

リビドー >  じゃれあう二人を見て、優しく目を細める。
 仲の良いものだ――優しい世界だ、と思考を過ぎらせた所で周囲を見渡す。
 忘れかけていたが、ここは落第街だ。ガラの悪いモノだって少なくはない。
 一応、視線や所作で牽制球は送っておくことにする。

(……少し、羨ましくもあるな。ああ言う関係や、血縁は。)

ソラとルナ > 優しい世界とは程遠い落第街のど真ん中で
(ほぼ一方的ではあるが)仲睦まじくじゃれあっていた二人の少女。
ようやく潰されていた銀髪の少女が起き上がって服についた砂埃を払う。

ずっとぼんやりしたような表情をしていた彼女だが、
今はほんの少しだけむすっとしたような表情を見せている。
形はどうあれ、彼女も片割れのことを信頼している、ということだろうか。

彼女が起き上がったのを見ると、金髪の少女は嬉しそうに
先ほど目の前の男性にしていたように後ろから抱きつく。
身長差がない分、負ぶさっているようにも見えなくもない。

抱きつかれた方の少女は、窘めようとしているようにも見えるが
恥ずかしがっているようにも見える、ほんの少し複雑な表情だ。

リビドー > 「……この子はいつもこんな感じなのかい。
 随分と人懐っこくて、明るい子だ。」

 銀髪の少女へと視線を向け直し、軽い声色で尋ねた。
 とは言え、銀髪の少女に抱きつく事はことはあまり無いのかもしれない。
 悪くはなくも複雑な表情を見せる彼女からは、抱きつかれ慣れしていない風に思える。

 ……単に、公衆の面前であるからかもしれないものの。

ソラとルナ > 乱れた髪を整えながら、銀髪の少女はどう返事をしようかと思案する。
それより先に金髪の少女が首を縦に振って肯定した。
なんともいえない表情をするが、それに続くように彼女も首を縦に振った。

ただ抱きついているのが退屈になったのか、金髪の少女は片割れの肩の上に飛び乗る。
当然銀髪の少女はそれを支えきれるはずもなく、
再び落第街の床に潰されることとなった。

金髪の少女は何処か得意げな様子で目の前の男性に笑顔を向けている。

リビドー >  
(此処って落第街だったよな――)

 優しい世界が繰り広げられると忘れかける。危険とは言え、今の所は不用意に絡んだ来る理由もないのだろう。
 絡んで来た輩をからかうのも楽しいのだが、ここの所はそれもめっきりなくなってしまった。

 むふーとでも言わんばかりだろうか、得意げな笑みを向ける少女に軽く笑みを返す。
 ……少しだけ、あのように純粋に生きられたらな、と思った。

ソラとルナ > 銀髪の少女は再びふらふらと立ち上がる。
金髪の少女は何か追い討ちでもかけようとしたのか、
楽しそうな表情をしたが、窘めるような視線を向けられて渋々諦めたようだ。

それから、金髪の少女は先ほどと同じ踊るような足取りで
男性に近づき、服の中から取り出したずっしりとした瓶をその手に押し付けた。
中には色とりどりの金平糖が詰め込まれている。

服の中に物をしまうスペースなどなさそうだが、
二人とも別段気にしてはいないようだ。

リビドー > (収納術かな。)

 目の前の少女は何もない、あるいは収納の限度を超えるようなものを取り出してみせた。
 そのギミックがどのようなルーツを持つかまでは分からなかったものの、今のところ気にする必要は無い。
 ……大事な嗜好品なのではないかとの懸念も浮かぶが、身なりや立ち居振る舞いからして苦労はしていないのだろう。
 そう思う事にすれば、重さのある瓶を受け取った。

「む、くれるのかい。
 何かお返しをしたいが、あいにく今は渡せるようなものがないな……」

 現金を渡すのも野暮だろう。
 少々の思案の後、口を開く。
 
「次に会った時に、何かプレゼントをするよ。それでいいかな?」

ソラとルナ > 金髪の少女はそれを聞くと嬉しそうに頷き、
銀髪の少女はそれを確認してから頷いた。

ほんの少しの、瞬きをするほどの間。

その間に二人の姿は消え去っていた。
まるで今まで夢でも見ていたかのようだ。

しかし、それが夢でないことは残った瓶が示していた。

辺りには僅かな光の粒子が漂っている。

リビドー > 「……」

 彼女らはいつの間にか消えていた。
 色々と憶測は付けられるが、今言及するのは野暮だろう。

「良い気分だ。……用事を済ませるのは今度にするかな。」

 ……金平糖の詰まった瓶を抱え、その場を立ち去った。
 特に何かに襲われる事も、なかった。

ご案内:「落第街大通り」からソラとルナさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からリビドーさんが去りました。