2016/01/13 のログ
ご案内:「落第街大通り」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  落第街の大通り、遠巻きに眺める年若き風貌の男性。
 目の前で起こった騒動に手を出す素振りはない。

(アレは、誰だったかな。公安委員会の腕章が視えているから、その関係なんだろうが――。)

 特に気配を隠す様子もなく、周囲を気に掛ける素振りもない。
 リビドーそのものは、落第街ではそこそこ見る顔かもしれない。

クローデット > 少年は、辛うじて鉄パイプを盾にすることが出来たが…その岩の勢いに、激しく突き飛ばされてしまった。

『がっ………』

建物の壁に強く背を打ち付け、そのまま崩れ落ちる。

「…その反応速度、異能を抜きにしても称賛に値しますわね」

優美な笑みを浮かべて、つかつかと少年の元に歩み寄る。
…その傍ら、

「…落第街の騒ぎに介入されないのは賢明かと存じますが、傍観もさほど良い趣味ではないのではないでしょうか?」

そう、横目で、リビドーの方に視線だけを投げる。
口元には、品の良い笑みを浮かべながら。

リビドー >  
「何、立って眺めていればそれだけでキミの方から釣れると思ってね。
 それに歓楽街の隅っこで公安委員会と誰かが騒ぎを起こしているとなれば、
 先ずは静観せざるを得ないよ。」

 視線と言葉を投げ掛けられれば、数歩、歩み読む。
 崩れ落ちた少年へは、一瞥のみ示す。

「重ねて言うのならば、捕り物にしたって此処の主役は生徒だからな。
 その為の委員会じゃないかい。」

クローデット > 『キミの方から釣れる』という予測には、楽しそうにくすりと笑んで

「そうですわね…敵意が感じられなくとも、視線を意識的に向けられていれば注意を払わざるを得ませんから」

そう答えてから、かがんで少年の様子を見る。

『うぅ………』

痛みに呻いている。それでも、意識はあるようだった。
そっと、少年の額に白い手を伸ばし、優しく触れる。

「魂よ、しばし止まれ…『失神(デファイヤンス)』」

『…!』

少年が、何かショックを受けたかのように大きく目を見開くと…そのまま、白目をむいてしまった。気を失ったようだ。
気絶させた方のクローデットは、涼しい顔である。

「『浮遊(フロッテゾン)』」

気を失った少年の身体が、ふわりと宙に浮く。
改めて、クローデットはリビドーの方に向き直った。

「あたくし自身は、捕り物で主役になるですとか、委員会の威信ですとか…そういったことにあまり興味は無いのです。
………リビドー先生、でしたでしょうか?教員紹介で、お名前とお顔は拝見した覚えがありますわ」

そう言って、柔らかく、品の良い笑みを口元に浮かべた。

リビドー >  
「ふむ、多才だな。それにスマートだ。
 昨今は異能紛いの凝り固まった魔術を多く見かけるだけに、キミの魔術捌きは新鮮で華麗に見えるぜ。」

 詠唱魔法を用いて気絶や浮遊をさせてみせる彼女横目に把握し、更に歩み因る。
 声の調子は、大分軽やかなものだろう。

「キミはどうでも良いし、ボクもどうでもいい。
 とは言え、教師としての見解を示すなら此処は歓楽街の一角だし、教師としては委員会が頑張っている所に水を差す訳にもいかん。
 劣勢もしくは明確な危機が迫っているなら話は別だがな。――ああ、リビドー先生だよ。大した事のない教師さ。」

 笑みには笑みで返す。
 品の好さそうな笑みを浮かべ、クローデットへと返しただろう。

「せっかくだから聞いておこうか。何をしていたんだい?」

クローデット > 「属性魔術に、重力操作、それに精神作用ですわ。
あたくし、魔術の研究機関からこちらに留学して参りましたので…教養として、「人の魔術として因果を越えることの無い」一通りの方面は修めておりますの」

褒められれば、そう言って嬉しそうな笑みを浮かべることだろう。
ご丁寧に種明かし付きなのは、教師であるリビドーを信頼しているからか…それとも、この程度の種明かしで自分が困ることは無い、という自信の表れか。

「ええ…魔術の研鑽、学業、それに公安委員会の業務もあるものですから…
余計な方面にしゃしゃり出て、これ以上面倒ごとを増やしたくはありませんの。
…あたくしが劣勢の際には助けて下さるおつもりでいらしたのですか?ありがとうございます」

品のある微笑は崩れない。
「『そのとき』までは不必要なほどに注目を集めない」という目的意識が主眼ではあるが、この言葉も一応嘘ではなかった。

(あの程度の異能者(バケモノ)に、あたくしが後れをとるなど、ありえませんわ)

内心、こう毒づいてはいたが。
行動の意味を聞かれれば

「公安委員としての通常業務…巡回ですわ。
少々予想外からの襲撃を受けましたので、対処していたところです」

そう、笑んだまま平然と答えた。真実であるので、堂々としたものである。

リビドー > 「何処の魔術機関かは知らないが――
 其処まで抑えているなら、学ぶ事などあんまりないんじゃないかい。
 ま、覚えるものは覚えて帰っていくといい。」

 解説と表情から自信を読み取れば、苦笑を作ってみせて応える。
 【人の魔術として】但し書きを付けている辺りには、少々引っかかりを覚えるものの、追求はしない。
 魔術と認めていないか、信用足り得ないものとして見ているか、謙遜だろう。

「ああ。その時のキミが悪い子じゃなければな。
 ……ふむ、そうかい。面倒事を増やしたくないと言う割には、こんな襲撃を受けるものなのだな。
 公安委員と言う事を差っ引いても、少々気に掛かる所はある。心当たりはないのかい?」

クローデット > 「そんなことありませんわ…異世界の魔術系統ですとか、『門』に関する資料であればこちらの方が遥かに充実しておりますもの。
…後は、魔術を使った芸術表現でしょうか。あたくしの祖国では、なかなかそこまで予算等が回りませんので…」

「毎日、魔術の研鑽で充実しておりますわ」と、この学園で学べることの目玉を列挙しながら満面の笑みで答える。
但し書きの理由については、聞かれたと認識していないので答えることをしなかった。

「肝に銘じておきますわ。

…心当たりは…そうですわね、公安委員会に所属してから、何度か違反部活の一斉検挙に参加したりしておりますので…その残党、の類でしょうか。
…委員会外の先生にお話し出来る範囲内では、ですが」

「悪い子じゃなければ」の言葉には、柔らかく笑んで答えつつ、「心当たり」の話も付け加える。
先日、とある違反部活の末端構成員を確保したので、その違反部活の差し金の可能性も当然クローデットの頭にはあるが…部外者に情報を漏らすことも無いと考え、あえて伝えなかった。

常世島に来たばかりの頃の「暴走」は、当然黙ったままである。

リビドー > 「成る程な。確かにそれならば、此処で学ぶには丁度好い。
 常世島の気質上、魔術を秘匿する風潮が外と比べると段違いに薄いのも、大きいかもしれんな。

 ……ああ、成る程。それならば納得は行く。そう云う事にしよう。
 公安委員会の中には、身分と顔すら秘匿して活動を行う程徹底した奴も居ると聞くよ。まるで秘密警察だ。
 そうなれば、身分を隠さずにそこそこ大きな活動するだけで恨まれるのも無理は無い――か。」

 流れる様に言葉を継ぐ。想定していたかの様な調子だ。

「しかし、目立ちたくなければ公安委員会などには入らなければいいものの。
 時間も取られる、目立ってしまう。学びに来たのなら【割に合わない】気がするよ。
 ……ふむ、キミは正義感が強かったりするのかな? 魔術師としては、公安など贅肉だろうに。」

クローデット > 「あたくしの故郷でも、魔術を秘匿する風潮はここ20年ほどで随分薄れたと伺っておりますわ。
…それでも、そういった系統では、常世島(ここ)は集まる量が故郷とは桁違いですから」

楽しそうに笑んで答える。少なくとも、「魔術を学ぶことを楽しんでいる」点には、嘘がないように思われた。

「ええ…あたくしは魔術や呪詛から身を守る手段を持っているので構わないのですが、そういったところに人一倍敏感な部署もあるようですわね。
…公安でなくとも、風紀でも構わなかったのですが。あたくしの魔術が何かの役に立つのであれば、そこからの学びもあるだろうと思いましたの」

公安委員会のことを聞かれれば、品の良い笑みとともにそのように答える。
無論、そういった組織に入り込む真の動機は「常世学園の「闇」をより深く知るため」だが…堂々と異能者(バケモノ)・異邦人(ヨソモノ)との実戦経験を積み、それをフィードバック出来る立場には、全く利がないことも無かった。

リビドー >  
「そうだな。こんなご時世だ。なりふりなど構っては居られないかもしれないな。 
 焚書や魔女狩りに遭うリスクだって格段に減っている。秘匿し続ける理由も薄いか。」

 魔術の探求そのものを楽しそうに語る彼女には、目を細めて笑みを返す。
 嘘はない、混ざり気のない感情だ。魔術師である以上に、教師としてそれを察する。

 故に、続く言葉には疑問を覚えた。

「…………そうか。それも一理あるな。
 実践で使う事で得るものも多い。……ふむ。」

 理論としては可笑しい物を感じない。
 とは言え先の様子に比べると少々"楽しそうではない"風に思える。
 ……悪を裁く、法を守る立場で楽しげに、と言うのも怖い話ではあるものの。

(少々引っかかるが、彼女の人となりをロクに知らない以上何とも言えんな。
 ……まぁ天然の魔法使いでなく、多様なジャンルを貪欲に学ぶ程には理知的な魔術師だ。
 
 彼女の意志に基づいた、何か考えがあるのだろうな。
 ボクがエルピスをそうしたように、魔術協会から何かを頼まれている可能性もある、か。
 ま、魔術師だ。何も抱えていない方が可笑しい。)

 少し、間が有るだろう。
 ……考えている素振りだが、それを隠す様子はない。

「ま、そうだな。キミみたいなオールラウンドな魔術師が居れば公安委員会としても良い戦力だろう。
 戦力的にもそうだが、魔術師の知恵やロジカルな思考はセンスに重きを置く異能者では持ち合わせ辛い。」

クローデット > 「魔術も、科学と近い営みで発展出来るものですから…門戸は開かれているに越したことはない、というのが多数の分野の魔術師の見解と理解しておりますわ」

そう言って、柔らかい笑みを浮かべる。
適性・素養の差はもちろんある。
それでも、人の知識が集積され、精度を上げていくことで魔術を高めていくのは1つの有効な手段に違いないのだ。
実際、《変容》前の時代、クローデットの一族の多くは科学者に擬態していたくらいである。

「あたくしの故郷では、こちらほど「未知の存在」に遭遇することもありませんから。
…先ほども、あたくしの影に潜まれていたので、少々意表を突かれてしまいましたの。普段は、影まで「防御」をしていないものですから」

修行が足りませんわ、と言って笑むが、その表情には、わずかに、それでも確かに困ったようなニュアンスが混ざっているように見えるだろう。

実際のところ、異能者(バケモノ)や異邦人(ヨソモノ)を征伐するのは、クローデットにはそれなりに"楽しい"ことではあるのだが…意図的に、その表情を抑えるようにしていた。
市井の人間からすれば、司法権を有する存在は慎重であるに越したことは無いのを、クローデットはよく理解していたのだ。

「先生にそう仰って頂けると光栄ですわね。
魔術師と異能者の違いもそうですが、この学園の生徒は、あたくしより年少の皆さんが多いですから…論理的思考の訓練で、多少長じていることもあるかと思います」

リビドーの評価には、素直に嬉しそうな笑みを浮かべてみせた。

リビドー > 「ふむ。」

 困ったニュアンスが混ざっている事を見て取りつつも、気に留めておく程度にする。
 ……思案を始めようとした所で、不意にスマートフォンが鳴り響く。着信だ。
 手に取り耳に当て、通話を始めた。

「――ああ、リビドーだ。何か有ったのかい。
 ん……そうか、そう云う事ならば直ぐに向かう。」

 短く答えれば通話を切り、クローデットへ視線を向け直す。

「悪いね。そろそろ行かないと駄目らしい。思えばキミにも付きあわせてしまったな。
 では、また逢おう。常世島がより良いものとして繁栄出来る様に、公安委員会の活躍を願っているよ。
 教師としてでもあるが、個人的にもこの島は大好きでね――じゃあ、また会おうか。」

 そう言って、そのまま歩き去ってしまうだろうか。

ご案内:「落第街大通り」からリビドーさんが去りました。
クローデット > 「ええ…リビドー先生も、お気をつけて」

そう、品良く笑んでリビドーを見送る。
…と、リビドーの姿が見えなくなれば、その笑顔がわずかに変質して。

(…彼が異能者(バケモノ)という話は聞きませんが…
仮にも落第街を徘徊出来る人物ですし、一応調べておこうかしら?)

そんなことを考えながら、通信端末を取り出し、どこかに発信する。

「こちら、巡回中のクローデットです…住人に襲撃を受けました。
………気絶はさせましたが、負傷は打ち身程度かと」

平静な様子で自体の報告をしている。
どうやら、公安委員会の本部と連絡を取っているようだ。

「背後関係の事情聴取が必要かと思いますので、あたくし自身が連行するか、連行のための人員派遣を要請したいのですが…
…分かりました。それでは、よろしくお願い致します」

その後、やってきた公安委員に気を失っている少年の身柄を引き渡し、クローデットは巡回に戻ったのだった。

ご案内:「落第街大通り」からクローデットさんが去りました。