2016/01/23 のログ
ご案内:「落第街大通り」に雪城氷架さんが現れました。
雪城氷架 > 「前はこのへんで会ったんだよな……」

まだ日も高い時間
歓楽街から落第街へと丁度繋がるエリアを少女が歩く

以前、家出した自分の家族を探しに此処にきて、
一緒に探してくれると言ってくれた相手に出会った
その後家出事件は解決したのだが、
此処で受け渡されたものをその人に返さねばと訪れてみたが…

「…まぁ、こうやってただ来てみただけで都合よく会えるわけないか……」

危険だというのもわかっている
ただ、なんだかその人に合うのに友人や仲間をぞろぞろと連れてくるのは憚られる気がしたのだ

会えればよし、会えなければ大人しく帰ろうと
もし変なのに襲われても、大通りなら逃げるくらいは出来るだろうという割と楽観的な考えだ

雪城氷架 > 前と違って日が落ちてから訪れたわけでもない
普段見ない顔だからだろうがあちらこちらから視線は感じるものの、それ以上のものは感じない
あまり良い視線じゃないというのはわかるが

「(私だって異能の持ち主なんだ、いざとなったら…)」

咄嗟にできることくらいはある
これがバレたらまた色々と家族や友人に怒られそうな案件であるが

緊張感を切らさなければ大丈夫だろうと一歩踏み出す

雪城氷架 > やっぱりここは空気が違う
前に来た時も思ったが、歓楽街と落第街は大通りで繋がっているにも関わらず、
足を踏み入れた瞬間に空気が変わる

壁には落書きが増え始め、道路も割れたまま整備がされていなかったりと、一目瞭然だ

「……や、やっぱ帰ろうかな…?」

踏み出した一歩を後悔するのが割とはやい

ご案内:「落第街大通り」にヴァルトラウテさんが現れました。
ヴァルトラウテ > (むしろ落第街での行動が多い少女にしてみればこの辺は庭のようなものである
特に何をしたいとか何をするというわけではないのだが、地下闘技場などにも足を運ぶ関係上
この辺はどうしてもよく歩くため馴染みになる、今日もそんなような感じで)

……あれは?

(見れば、知った顔
相手がどうということは関係なく、こっちが知っていれば十分に知った顔であり、少女にはそれで十分だった
それに父様が伝えているらしいと聞けば、なおさら少女にとっては十分だった)

あの……もしかして、姉様ですか?

(笑顔、基本的に少女はあまり負の感情を持たない
故にアプローチはほぼ笑顔になる
おずおずとしながらも、期待しつつ、目の前の美少女に声をかけた)

雪城氷架 > 緊張感持って歩いていると突然声をかけられて思わずびくっと身震いする
多少の戦闘の心得もない一般人のようなもの、当然の反応であるが

しかも今聞こえた言葉は聞き間違えでなければ…

"姉様"



慌てて振り返る
綺麗な銀髪が弧を描くように舞い、その視界に入ってきたのは
自分によく似た、でもどこかが決定的に違うような、そんな少女

「お前、えっと…」

見たことがある
会ったことはない
写真で、そう

ヴァルトラウテ > はい、ヴァルトラウテです、姉様。

(ああ姉様だ。
うん、姉様

それだけで嬉しい、見ただけで嬉しい、声が聞けるだけで嬉しい、だって姉様は父様の宝なのだから
なら私にとっても尊敬すべき人)

……はじめまして、姉様の妹です
よろしくお願いします

(笑顔で手を差し出す……握手だ)

雪城氷架 > 西洋騎士然とした装いにまずは驚かされた
その次に、赤の他人とは思えないほど……

「あ、あぁ……はじめまして…ってのもヘンだななんか。
 父さんからきたメールで一応聞いてはいたよ…ヴァルトラウテ、っていうのか」

一瞬たじろいた後に、握手に応じる

「私は氷架……って知ってるか」

ヴァルトラウテ > はい、ヴァルトラウテです、ヴァルでも何でも呼びやすい名前で呼んでください、氷架姉様
(握手
白く、細く、やさしい手
……それはまるで……そっくりな

違うとすれば胸元か)

こんなところでお会いできるなんて光栄です!
今後とも宜しくおねがいしますね、姉様

(ヴァルトラウテは期待と尊敬に満ちた眼差しで氷架を見る
いったいどんな話を聞かされているのだろうかと思うほどに)

雪城氷架 > 「そ、そう?じゃあ…妹だもん、な?…ヴァル、でいっか」

握手していないほうの手で頬をかきつつそう答える

「あ、あぁ…なんかその姉様っていうのが慣れないっていうか妙に恥ずかしいけど…。
 まぁこちらこそ…そうだな、こんなところで…」

こんなところ

「…そうだよ!なんでこんな危ないところにいるんだ!?
 変なヤツらに絡まれたり揉め事に巻き込まれたらどうするんだよ!」

自分のことは棚に上げた発言ではあるものの、思わずそう口走った

ヴァルトラウテ > 危ないんですか?
随分いい方が多いように思うのですが
みんな親切にしてくれますよ?

(そりゃあ地下闘技場の女王ならさもありなん
知り合いも友人もほとんどみんなこの辺りで出来たために危ない、という意識は彼女にはなかった

もっとも、絡まれたり揉め事に巻き込まれたりしていないというか、そうであっても揉め事だという認識がゆるい
ヴァルトラウテはもともと、戦うことに関して嫌いではないからだ……むしろ好んでいると言える)

雪城氷架 > 「いやほら此処って落第街って知ってるよな…?」

一般生徒は近づかないように、が当然の認識だ
もしかしたら一般生徒じゃないのか、という疑念が湧く
そもそも格好が普通じゃないしよく見れば帯刀もしているじゃないか

「ま、まぁ…危ない目にあってないならいいけど…たまたまだったかもしれないだろ。
 此処は基本的に危ない奴らが一杯いるから、あんまり近寄らないほうがいいよ。
 ……そういえばヴァルって、父さんとどういう関係なんだ?」

落ち着いて話せる場所でもないが、メールが来た時から浮かんでいた疑問が口をついて出てしまう

ヴァルトラウテ > はい、でもみんな良い方が多いし、優しい人も多いですよ?

(それはそうだろう、なにせ、地下闘技場で華々しくデビューするほうが落第街を知るより早かったのだから……
あとはすっかりほぼ闘技場の華としてお嬢様扱いである
それに、異能的にも困ることがもともと多くないのだ)

父様と……ですか?
ええと一応、義理の娘、ということになっていますが
あまり覚えていないのですがもともと孤児で、父様にずっと育てていただいたんです……

(そういう設定だ
が、過去の記憶があまりなく育てられたという方がいろいろ楽で整合性も壊れにくい
何より過去を作らなくてもいいというのも大きい
知らないことわからないことで済ませるのが一番楽なのだから

とはいえ、暗い話題、というよりかは父様との大切な思い出としての意識しかない彼女にとって
この話は別に忌避スべき内容ではなく、むしろ尊敬する父様のことに思いを馳せるような眼差しで語るのみである)

雪城氷架 > 「そ、そうなのか?うーん…」

確かに人からの伝聞や実際の雰囲気くらいしか知らない
実際に住んでいる人間は優しい人間も多いのかもしれない

「孤児…か……」

今までずっと?
確かに家にはあまりいない父だったが、別宅で養っていたということだろうか
自分はともかく母や括流すら知らない娘がずっといたというのは……

それより何より

「(私に似すぎてる、よな……)」

整った目鼻立ち
すっきりとした顔立ちに瞳の大きな、長い睫毛の眼
身体的な部分はスルーだ
流れるような綺麗な髪も

「………」

思わず見入ってしまう

ヴァルトラウテ > はい、まあ確かにこの辺りですと物々しい格好の方もいらっしゃいますが
比較的良い方が多いと思います

(まあ、闘技場での動きを知っているものならそうだろう……そもそも腕力でどうこうできない相手というのが明確なのだから
とは言え基本的に明るく偏見をあまり持たない上に外見も相まってか、柔らかい対応をしてくれるものが多いのは事実でもある)

ええと……どうかしましたか?

(にこにこ
じっと見られることをさして気にするでもなく、むしろ姉様に見てもらえることは嬉しいのだが
特に理由に思い当たるわけでもないので何があるのだろうと)

雪城氷架 > 「えっ、あっ、いや……」

氷架は自分が類稀な美少女であることを自認している
ので、自分と同じレベル…
どころかそれでいて自分によく似た美少女を前にして思わず見入ってしまったのだ

「なんていうか…、
 似てるな、って思ってさ。私達」

義理の妹
血は当然繋がっていない
暮らしてきた環境も違えば会うのすらも今日が初めてだ
要するに赤の他人の筈なのに、まるでそう思えない

ヴァルトラウテ > え、そうですか?
姉様に似てるなら光栄です!

(美少女という意識どころか、まったく訝しんでもいない
むしろそれは光栄な事だと前向きにしか捉えない
少女はそもそも、ことごとく負の感情を避けるようにできているのだ、故に必要のない疑問も抱かなければ
そういった疑問があっても基本的に興味本位である
だから、父様が大事に思っている姉様に似ていると言われれば、それは光栄な事なのだ
その理由など考えないし必要もない、良いことに理由はいらない)

雪城氷架 > 「似てるよ、髪型とか、そういうのだけじゃなくって」

氷架の父であるダリウスは娘から見ても得体の知れない部分を持っている
ずっとずっと、自分が生まれる前から異能の研究に身を捧げている
父が養子に入った雪城の家からもあまりよくは思われておらず、
……ようするに何をしているのかが全く掴めないのだ

そんな父が突然新しい家族と紹介してきたこのヴァルトラウテという、妹

「………まいっか、で…。
 そ、そのねえさま、っていうの、恥ずかしいんだけど……」

ヴァルトラウテ > そうなんですか、だとしたら嬉しいです!

(相変わらず、似ている、というのは肯定として受け取っているようだ)

でも姉様は姉様ですし……氷架姉様に対してあまりいい加減な呼称もどうかと思いますし……

(むしろ尊敬する姉様をどう呼んでいいかのほうが迷う
いい加減に呼んでしまっては申し訳ない気がするのだ)

雪城氷架 > 「いや、それはそうかもしれないけど…」

あまり普通の兄弟姉妹で呼び合う呼び方ではない、という一般認識を持っているのだ
ルームメイトの芙蓉なんかは兄をお兄ちゃん、と呼ぶし
自分も自分で子供の頃から兄貴分だった来島教諭を今でも兄貴と呼ぶ

ここへきて突然自分のことを姉様と呼ぶ、
ほとんど見た目の年齢の変わらない少女(しかも一部分は自分よりも育っている)
にそう呼ばれるのはなんだか気恥ずかしさや、よくわからない感情が湧いてくる

「別に、氷架って呼び捨てにしてくれても全然構わないんだけどな…」

相変わらず、頬をかいているのだった

ヴァルトラウテ > でも、姉様はすごい方だと父様にたくさん聞かされているので、私の中では姉様は尊敬すべきかたになっていまして……
なのに呼び捨てというのはなかなか……

(逆に困ってしまうのだった、ただこう、それはそれとして同格の呼称というのも憧れではある)

……氷……架
わあ、すいません呼び捨てにしてなんだかそれだけでも認められたようでそれはそれで光栄です……!

(いちいちちょっとのことにも大げさに喜んでいるようだ
それだけに、呼び捨てができるかどうかはたぶん本人にもわからない状態でもある)

雪城氷架 > 「う……」

目の前の少女の反応っぷりに逆にこちらが赤くなってしまう

「(何なんだ一体父さんはこの子に何吹き込んでるんだ…!?)」

自分が凄いと誇れるところなんて何もない
この外見だって自分の周りがここまで育て整えてくれたものだ
父がこのヴァルトラウテという少女に何を教えたのかはわからないが…

「あの、さ…私は…」

勉学は芳しくなく、運動も全般が得意というほどでもない
努力家かと効かれればサボリ癖もある
人に言えないような趣味だって持っている
自立した大人ですらない、周りに心配ばかりをかけている

そこで、気づいた

「……や、なんでもない。
 そっかー父さんはそんなこと言ってたんだ」

何を聞かされていようと、妹が出来たのならカッコ悪い部分を見せてはいけないはずだ
ましてや自分から遜るなんて

「ヴァルトラウテは、今は何処に住んでるんだ?」

ヴァルトラウテ > はい、大丈夫です、姉様は何があろうと姉様ですし、それはきっとそれだけですごいことです。
姉様はあの父様がすごいと言うんですから、それは安心していていいと思います。

(すこし不安絵なことを感じたからだろうか、そんな氷架自身を肯定する
ほぼ盲目的なレベルで肯定しているのではないかという気もしなくはないが
少なくともヴァルトラウテは本当にそう思っているし、父様が言うのであれば間違いないのだ)

私、ですか?
今は父様の研究棟で住んでいます

(そしてあっさりと……ダリウスと同居であることを明かした)

雪城氷架 > 「ストップ、ストップ…さすがに照れる……」

赤くなって俯く
元々外見以外を大して褒められたことがない、これは効く
褒め殺しというやつだ

「え…研究棟から学園に通ってるのか…?」

あの父親が養子にしたのだから異能者であるのだろう、というのと
見た目の年頃から当然学園には通っているものと思っている

ヴァルトラウテ > それくらい姉様は素晴らしいから大丈夫です

(コレがまた本気だから困るのかもしれない)

はい、この間から学校にも通わさせていただいてます
初めての学校なのですごく楽しいです

(そもそもヴァルトラウテには過去がない上に、経験も少ない
故に、新しい刺激は何でも喜ばしく思うところも大きいのだが
それを抜いたとしても学校は楽しいだろう、そういう娘だ
無論、成績の面では申し分ない)

雪城氷架 > 「………」
この子は多分何を言ってもダメそうだ、少なくともこれに関しては
諦めとともに乾いた笑いが浮かんだ

「そ、そっか」
研究区から直接学園に通っている
異能の研究対象になっている何人かはそんな生徒もいると聞く
で、あれば…父とこの少女の関係性も少しながら納得できる

「…そういえば、ヴァルは此処に何しに来たんだ?
 友達がいるんだっけ、落第街に」

にわかには信じがたい話だが、ヴァルトラウテの話を信じればそういう可能性もある

ヴァルトラウテ > はい、一応、外から通ってもいいみたいなことは言われてるんですが
今のところは特に理由もないので……

(特に理由もないのに父様のところを離れるはずもなく)

ここには、その……学校には内緒ですよ?
闘技場があるのでよくそこに通っています

(サラッと言った)

雪城氷架 > 「…まぁ、父さんとヴァルがそれでいいならいいんだろうけど」
友達と遊びたい時とかちょっと不便じゃなかろうか、なんて少し思いつつ
いらない心配かなと打ち払う

「…闘技場!?」

まさかの単語が出てきて驚く氷架
一般生徒からすれば驚き以外が出てこない
もちろん学園にも演習場みたいなものがあるし、異能を競う場所もある
しかし落第街にそんなものがあろうとは……

「……観戦するのが好き、とか…?」
装いや帯刀していることを見れば、なんとなく察したのだけど
一応そうやって聞いておく

ヴァルトラウテ > 父様と一緒ならそれで十分ですし

(特に外に行かないといけない理由が思い当たらないうちはこのままだろう)

はい、闘技場です
あそこではよく体動かしてます、訓練にもなってちょうどいいですよ!
この辺の喫茶店や観戦も好きですけど

(明らかに闘技者だった
活動内容からして接点がなかっただけで、どうもだいぶ慣れているようで詳しいようでもある)

雪城氷架 > なるほど
この子は、いい子だ
理由はどうあれ、人を疑わないタイプに見える
それが逆に心配な部分でもあるところだが、それは続く言葉で打ち消された

「体動かしてるって、要するに闘技場で戦ってるってことか…」

ひぇーと思わず驚く
まさかこんな、自分とさほど変わらない少女が
おそらくは非公式であろう落第街の闘技場で訓練がてら戦っているなど…
しかもこの子のことだ、隠し事はしない
自分の父親もそれを認めているということだろう
…一体どれだけ強いんだと素直に感心する

ヴァルトラウテ > はい、みなさん良い人で、すごくいろんな方法で戦ってくれるので参考になります!
姉様はそういうことはなされないんですか?

(そもそも闘技場では命のやり取りは御法度なのもあるが
なんにせよ、学園の訓練所よりかは彼女に向いているとも言えた
訓練所だとむしろ試し打ちなどになるのだが、そういったデータ的なことはだいたい住んでいるという部分も大きい
特に異能が膨大なため、組み合わせ運用については実戦のほうが有効とも言えた)

雪城氷架 > 「わ、私はやらないよそういうことは…。人と優劣を競うような異能じゃない」

言いつつ、視線を外す
扱う訓練こそしてきたものの、闘技場のような場所で使うものではないはずだ

しかし目の前のこの子を見ていると、そういうのも良いものなのじゃないかと思えてくるから不思議だ
……零だったら、そういうところにも飛び込むんだろうか、とふと考える

ヴァルトラウテ > でも、優劣を競う意味でなくてもいいんじゃないです?
たとえばスポーツをやってる人は優劣を競うためにやってるのかというとそういうことでもないと思うんです
もちろん勝ったらそれは嬉しいんですけども!

(ヴァルトラウテの目的はもともと、異能の運用である
故に経験を積む必要があるという面が大きい
だが、それを抜いたにしろ、もともと優秀な自分が研究をすることに意義を見出しているという部分がある
優秀であってもミスや事故がまったく発生しないわけではないのだから

姉様がどう考えているかはさておき、ヴァルトラウテとしてはそういった考えだった)

雪城氷架 > 「そ、それもそうか…でも、うーん……」
闘技場、というとどうしても競うもののイメージが根付いてしまっている

と、すっかり話し込んでしまっていることに気づく
此処には借りていたものを返しに来ただけなのに

無駄に長居していたことがわかったらまたどやされてしまう

「た、立ち話もなんだしさ…歩きながら話そうよ。
 なんだったら私の部屋でだっていいし…!」

ルームシェアしている女子料の部屋ではあるが、まぁ妹をつれていったところでおかしなことは言われないだろう
たぶん
きっと
めいびー

ヴァルトラウテ > 姉様の力がそういったことに向かないというのでなければ、それはそれでありなんじゃないかと思います
女性のかたも結構いますし、組み合わせにもよるんじゃないでしょうか

(試合と練習は別だ
要は大会みたいな部分も大いにあるわけで、そういった点では役に立つ部分もあるといえる)

あ、はい。ぜひよろしくお願いします!

(部屋でもいいと言われればしっぽを振ってついていくだろう
なにせ姉様の部屋である
それだけで特別の場所なのだ)

雪城氷架 > 「(…正直、素直で可愛い妹…って感じだけど)」

なんとなくその手を繋いで、先に歩き始める

やっぱり引っかかるのは父親のこと
信頼していないわけでもないし、疑っているわけでもない
ただ、娘の視点から見ても父ダリウスは『変わった人間』であった
家にほとんどいないのもあって、子供の頃の自分は懐いていなかった
この島に転勤してきたという連絡はあっても、娘に会いには来ない
家族に愛がないとか、そういうことではなく、研究に囚われているのだと最近になって理解ができた

そんな父を、この娘は心から信頼している
ずっと育ててもらったのだと言う

「(私と母さんを家において…ずっとこの子と暮らしていたのかな)」

浮かんでしまった疑念は消えず
ついヴァルトラウテを引く手にも力が篭もる

自分の顔が、不安とか寂しさとかが入り混じった変な表情になっていそうだ
手を引く少女には見られないように、自然と足が早まった

ヴァルトラウテ > (手を引かれるままについていくだろう
ヴァルトラウテには悪意や雑念からの疑念がない
疑問は疑問だしそれ以上の意味を持たないし、基本的にものごとは良い方向に解釈する
だから、手を強く握られれば。
……その手をその力を感じるままに、嬉しそうにしっかりと握り返すのだった)

ご案内:「落第街大通り」から雪城氷架さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からヴァルトラウテさんが去りました。