2016/01/25 のログ
獅南蒼二 > 相手の瞳を真っ直ぐに見つめ返したままに、小さく頷いた。
魔術師として未熟者、という発言にも、それから、観客の望む見世物ではない、という点に関しても。

「未熟であることは悪ではない。
 随分熱心に眺めていたが、未熟な自分を克服しようとしているのだろう?
 下手に自信を持っている輩より、よほど優れているよ。」

だが、と、肩を竦めつつ周囲を見回した。

「確かに、お前と私の魔術合戦を見たがる観客も居ないだろう。
 それに…ここでは私を“殺す気”で戦えないだろう?」

ポケットから煙草を取り出して、ライターで火をつける。
その煙を薄く、長く吐き出して……

「魔術学部棟、第三研究室。
 そこに来れば、いつでも相手をしてやろう。ここではない、お前が私を“殺す気”で戦える場所で。
 ……尤も、私が研究室に居れば、の話だがな?」

”望月満月” > まずは話し終えるまで、ただ聞き、見、そして考える。

「……克服とは少し違うかも知れないわ。」

成熟には遠すぎるし、成熟、完成に至りたくは、まだない。

「ここのルールだから、”殺す気”で戦えないのは間違いないわ。
変わり者は居るでしょうけれど。」

それと、と言う代わりに、首を振る。
たっぷり間を貯めて煙草の煙が薄れて見えなくなってからこの点だけは、言っておこう。

「”望月満月”は生徒ではないわ。
ただ、似たような思いを持っている子がこの話を聞いて挑むかも知れないわね。」

一応、別人として変装中なのだ、と主張はする。
この姿の時に本来の名前を呼ばれる危険は下げておきたい。

獅南蒼二 > 貴女の言葉を聞けば、楽しげに笑う。

「ほぉ、では……研鑽か?
 その様子では、倒すべき強大な仇が居る風でもない…目的があるというよりかは、自己を高めることが目的か?
 いや、それとも、単純に“力”を欲しているのかな?」

そんな風に見解を並べつつ、白い煙を、貴女の方へは流れないよう気にしつつ、吐き出した。
それと、と、付け加えるような言葉に、視線は再び貴方の瞳を見る。
その数瞬だけは、煙を吐き出すことなく……

「ははは、なるほど、よく分かった。心当たりはあるよ、私にも。
 だが、聞かれてもいないことを、口にするものではない…特に、この街では、な。
 誰が聞いているやら、わかったものではないぞ?」

楽しげに笑って、そうとだけ忠告する。
目の前の生徒が、裏側の世界に精通しているとは考えにくかったから。

”望月満月” > 少し苦笑する。
強大な仇、目的がある、自己を高める、”力”を欲している。
単純に欲していると言う部分と仇の解釈の範囲さえ除けば、ある意味全て当たり…やっぱり仇はそうでもないか。

「まぁ、そんなものね。」

仇と言うには広すぎる解釈だった、と口にはせずに肩を竦めて笑って。
視線が、少し泳いだ。

「……気をつけるわ。
こっちの迂闊で未熟な部分は克服したい所ね。」

忠告を聞き、ゆっくりと試合場を見れば…その少し前に観客席から歓声。
スキンヘッドの男が倒れている。
周囲の声を聞き分けられればどうやら無精ひげは、拳の戦いと言うから外れ接近した相手へのジャブを喰らいながらのヘッドバッドからの攻め返しで勝ったよう、と聞き取れるだろう。

試合が終わった事でもう一度振り返り、問いかける。

「今日はこの後どうするのかしら?」

獅南蒼二 > 白衣の男は、貴女の答えにはもう興味が無いように、紫煙を燻らせていた。
だが、確かにその瞳は、貴女の視線が泳いだことを捉え、男は確かに、笑みを浮かべた。

「崇高な目的など無い方が、素直でいい。
 だが、目的のない努力というのは、えてして壁にぶつかった時には続かんものだ。
 ……さて、お前はどう転ぶだろうな。」

小さくそうとだけ言って、煙草を携帯灰皿へと入れる。
歓声にも特に興味を示すことなく、冷静な表情のままに、眼下で雌雄の決した2人を見下ろした。
貴女の問いにも、視線を眼下に向けたまま、

「もう少し時間を潰してから…“この街の生徒たち”に魔術学を教える。
 と、予定はそのくらいだな。」

この街というのが落第街を指しているのなら正式な“学生”はほとんど居ないはずだ。
それが学園の認めた正式な授業でないのは、誰にでも推測できることだろう。

「……戦う相手が居ないのなら、私についてくるか?
 お前の知り合いのような“面白い生徒”はたくさん居るぞ、望月満月。」

”望月満月” > 復讐。その目的もあってこの島に来る前に自力で魔術を習得した。
その経験を持って言葉にする。

「大仰に彩ったりしない、自分に素直な努力こそ一番続くのかも知れないわ。
……私がこの先どうなるかは解らないけど。」

予定を聞いて、少しばかり考える。
思い出すのは以前の落第街での拾い上げられなかった少女の事。
当たり前の暮らしを求めてはいたが力を求めては居なかった、とすればあの少女は居ないだろう。

「ついてこれる生徒がどれ位居るのか、それも授業と共に見てみたいわね。
…眠る時間には戻らないと行けないけれど。」

付いていく、と頷きを返し。
それに、本来学べる環境に居ない人への教え方、にも興味がある。
懸念は帰宅時間位だった。

獅南蒼二 > この白衣の男は、貴女の多くを知っているわけではない。
だが少なくとも、その努力の質は悪くないと、そう感じていた。

「そうだな…どんな分野でもそうだ。
 有名になりたい、金が欲しい、誰かを超えたい…そういう輩の努力は信頼できる。
 尤もそいつらが人間的に信頼できるかどうかは別だがね。」

そう呟きつつ肩を竦めて笑い、眼下の男から視線を離す。
くるりと闘技場に背を向けて、

「考えたことは無いか? この街に生きる者も、平等に学ぶべきだと。
 誰もが平等に学び、誰もが平等にその力を発揮するべきだと。
 虐げられた者たちの中には、恐るべき才能を温めている者も居る。
 そして、彼らは純粋だ……お前にとってもいい刺激になるだろう。」

そう時間はとらせないさ、そうとだけ言って、男は歩き出す。
やがて貴女は、路地の行き止まりの、小さな教会へと誘われるだろう。
そこで貴女が何を見るのか、誰と出会うのか、何を感じるのか。
それはまた別の話。

けれど貴女はきっと、“本来この島に居ないはずの”何人かの知り合いを増やして、帰る事になるだろう。

”望月満月” > 「能力は、自分の欲求を満たそうと頑張る努力に、ついていきやすいものね。」

その欲求が受け入れられるかどうかは別だし、受け入れられない種の欲求である事は多い。受け入れられる種の欲求も多い。
少し、何かもやもやとした気持ちを抱え、そのまま。

「それは、あるわ。まずは平等に学ぶべき、とね。
虐げられた者程、欲求もより強い。
……そうね、学べる事も増えそうだわ。」

納得した素振で頷き、そして、闘技場を後にする。
小さな教会で、その後どうしたのか、何を学んだか、語る日が来るかは解らないけれど。

人付き合いに多少は慣れる事になったかも、知れない。

ご案内:「地下闘技場」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「地下闘技場」から”望月満月”さんが去りました。