2016/02/17 のログ
ご案内:「落第街大通り」にラウル・ゲレロさんが現れました。
ラウル・ゲレロ > 夜の落第街大通り。

表向きには歓楽街の一部として処理されているだけあって
治安が悪いとはいえ、それなりに活気があふれている。

「あァ、いいね。後で寄るとするか。」

その一角に、半分切れかけたネオンのしたで声を張り上げ、
道行く人々に声をかける場末のショーパブの客引きの
一時間2000円なる声を聞きつけ、ひとりごちる人相の悪い小男がいた。

「今は腹ァへってしかたねえぜ。なんか適当に入れていくか。」

ショーパブにも興味はあったが、男の当面の目的はまず腹ごしらえだった。
1~2ブロックほどすきっ腹を抱えてぶらぶらと物見遊山がてら、落第街を歩くと
元は小さな公園か、休憩所であったろうスペースに小汚い屋台が数件集まったものをみつけて。

もう少し探しても良かったが、あまりショーパブから離れ過ぎても面倒だ、とこの屋台で食事をすることに決めた。

「ちょっくら、じゃまするぜ。 ……おい、そこどけよ。 俺が座るんだ。」

法外に安い、怪しげな肉の入った丼を貪るように掻き込んでいた落第生を手荒にどかせて
最もマシな――といってもビールケースに貧相な座布団を乗せただけの椅子を確保すると。

「アー、とりあえずなんか酒をくれ。ラム酒があればいいが、なければライスワイン?
 ニホンシュっつーの?そんなんでいい。とにかくアルコールだ。」

面倒事はごめんだ、とばかりに仏頂面を浮かべる老店主に酒をせびる。

ラウル・ゲレロ > 「……まずいな。 ヘイ、これどんだけ薄めてんだよ。
 昨日飲んだ雨水入りの酒のほうがマシだったぞ。
 オウ、マッシュルームある?ガーリックマッシュルーム。」

出された酒を口に含むなり、冗談めかしてつっかかるが
店主はこうした客の類はもう、慣れているのであろう無表情にマズイなら他の店に行きな、
それとガーリックマッシュルーム何て洒落た物はない、と切り返しキノコが食いたければこれでも食え、
とばかりに焼いて塩を振っただけのシイタケを皿にとって差し出した。

「……ケッ、しけてやがんのな。」

ラウル・ゲレロ > 「じゃあ、ガーリックトーストある?ない?
 ヘイッ!ヘイッ!、じゃあ何が置いてあるんだよ。
 なんでもいいから適当に喰わせてくれや。」

そうまくしたてる男の目の前に、間髪入れず麺と汁の入った丼が置かれる。
ベトナムのフォーと中国式の麺の折衷のような、屋台飯だ。

「アー、こういうのね。アメリカに旅行に行ったとき食べたことがある。
 チャイニーズシアターのとこで。しってるか?シド・グローマンはいいセンスしてるよな。
 あんなのをハリウッドに建てようなんておもいつくなんてよ。ジャック・ニコルソンの
 手形と足型だって見てきたぜ。ほらほら。」

ポケットからスマートフォンを取り出し、興味なさげに煙草を吹かす店主に
画面を見せてまくしたてる。時折、空いた片手できようにフォークを操り面を口に運ぶものだから
汁が飛び散って屋台のカウンターをぼたぼたと汚した。