2016/02/20 のログ
ラウル・ゲレロ > 「……!」

と、例の薬局に、ふいに路地から現れた常世学園の学生らしい男が、
やや人目を気にするようにしながら、入っていくのが見えた。
どの途端、刺青の小男の虹彩に、火が入れられたかのように赤い色が宿り、
車の中にいた男たちも、緊張で顔をこわばらせる。

「ヤツだ! 全員仕事だ、仕事の時間だぞ。」

いつのまにやら取り出した拳銃で、小男がガン、ガン、と車のボンネットを合図するように叩くと、
車の中にいた男たちが運転手を除いて皆、一斉に外へ。 彼らは一様に赤色のスカーフで口元を隠し、
自動小銃で武装しており、それを見てこれから荒事が始まる気配を感じ取ったドーナツ屋の主人は、
素早く、店のシャッターを下ろした。

「……ヘイ、何をやってるんだお前。貧相な×××を握るのをやめて、ハンドルを持て。
 この前組んだエチオピア人連中みたいに、もっとシャキッとしろ。
 予定通り俺たちが店に入ってから、30秒後に真ん前につけろよ。
 お前にかかってるんだ。頼んだぜ兄弟。」

小男は自身も、口元をスカーフで隠しながら運転手に檄を飛ばすと顎で、男たちに合図し
薬局目がけて、素早く駆け込んでいく。

ラウル・ゲレロ > 十数発の銃声。ガラスの破砕音。悲鳴。
それらが薬局の中から聞こえたのは、これより30秒も経たぬうちの事だった。

「車を回せ! 早く! ×××野郎! フーハハァーッ!!!」

肩を怒らせながら、悠然と店内より歩み出る小男。
興奮しているのか、トロトロと店の前へ進んでくる車に向けて罵り声を投げつけると、
そのまま空に向かって数発弾丸を放ち、高らかに笑った。

「野郎の顔をトマトみたいにしてやったな!!! さァ、ズラかるぞ!!!」

力任せにドアを開け、転がり込む様に中へ。
エンジンを吹かせながら、車は路地裏へと消えていく。

ラウル・ゲレロ > それからしばらくして、常世島の朝のとあるラジオ・ニュース。

『こんばんは、トコヨ・コミュニティ・ラジオニュースの時間がやってまいりました。

昨晩深夜、落第街大通りの薬局で銃撃事件があり、
店主と偶然居合わせた常世学園生徒のあわせて2名が死亡。さらに買い物客1名が重傷を負う惨事となりました。

店の商品や、レジの金に手が付けられていない事から常世学園風紀委員会は
強盗の線は薄いとみており、落第街大通りの住民に広く情報提供を求めています。

それでは、次のニュースです――。』

ご案内:「落第街大通り」からラウル・ゲレロさんが去りました。