2016/08/26 のログ
龍宮 鋼 >  
邪魔だッつってんだろ!!

(キレた。
 この街で話を聞いてからずっと逢いたかった男にやっと出会えたのだ。
 これまでに無いご馳走を前に、キャンキャン吼える野良犬が邪魔をする、そんな感覚。
 赤い瞳孔が細く鋭く変化し、叫ぶ。

――オーケイ、とっととこいつ潰すから待ってろ。

(男の言葉にそう返し、棍の動きに合わせてするりと動く。
 見るものが見れば、八極拳の動きに近い物を感じるだろう。
 血反吐を吐いて身に着けた独学の歩法。
 踏み込みつつ棍を左手で受け、ほぼ同時に右の掌底を今度は彼女の鳩尾へ全力で叩き込む。
 打ち付けた棍棒からはやはり衝撃は着え、放たれた右掌底には自身の膂力と棍の威力が合わさった衝撃が乗っている。)

水月エニィ >  
 
 半龍の体躯から成される魔術と技術・打撃。
 いくら水月エニィが肉体的に恵まれていようがひとたまりもない。
 罅の入る音。意志に反して生じる喀血。両の眼からは赤い涙が滴る。
 それでも引かず,膝を追っていない。
 折った方が楽だろうに。
 
「まだだ。まだ、まだ――ッ!
 返された所で、無かったことになるものか、ァ……ァァ!」

 直観・直情的に吐き出される怨嗟は霊を呼び、気温を下げる。
 恨み辛みが薄ら寒さを呼び、激情が熱を呼ぶ。
 だからどうしたと言うものではあるが、兎に角異様な空気を身に纏う。

 腕と身体が思う様に動かない。
 なら今一番動くものは何処か。

「ァぁ、ぁ――ッ!」

 頭。もとい歯だ。
 例え逆鱗すら噛み砕かんとの熱意と衰えぬ戦意を以って、
 そしてその実その通りを成せるだけの異様さを備え、龍宮の喉笛へと噛み付きに掛かる。 
 
 

虞淵 > 「(───女同士ってなぁこえーなァ)」

あとからきた小柄なほうは、堂に入った動きをする
それに対して───一方は、ただただ食らいつく

格闘者の動きでもない、ただただ自分自身の何かを礎に克己する

そんな動きを思わせる

龍宮 鋼 >  
――。

(彼女に打ち込んだ掌底は、狙い通り鳩尾を捉える事は出来なかったらしい。
 しかし、肋骨は折れたか、少なくとも皹は入った。
 手応えあり。
 血を吐いたところを見ると、折れて肺に刺さっているかもしれない。
 動けないであろう彼女へ、熱の失せた眼を向けた。
 彼女の牙の一撃は的確に喉へと迫るが、掲げた左腕の手首へと突き刺さった。)

オマエが強ェのは分かった。
また別ン時に相手してやる。

(言葉と共に右手を彼女の腹へ当てる。
 右脚を上げ、)

だから今はどけ。
邪魔だ。

(振り下ろす。
 今度は外部破壊の技では無く、魔力の拳による内蔵破壊の技。
 踏み付けた地面の質量が直接彼女の内臓を襲う。
 この瞬間だけは、男のことは頭の中から消した。
 それが、強い彼女に対する礼儀だと思ったから。)

水月エニィ >  
 引きちぎりかねない勢いで歯を引く。
 手ごたえは浅いし悪い。一切合切が通じていないようにすら思える。
 だから何だって言うのか、そんなことは何時もの事だ。
 そうは思う、が

「っ、強いとか、そんなの、じゃ 」

 そうではないと否定する。
 とは言え、ある程度認められている事には違いない。
 それだけでも激情は引いてしまう。引いてしまえば、撤退が脳裏に過

「  な 」

 
 過る前に追撃を受ける。
 退いたところに浸透しに掛かる勁 ではなく魔力。
 魔力であるならば。

 腹を起点に魔力の性質としての爆発が生じる。
 聖女として備える聖性、身に纏う霊と熱。
 幾つもの要素が重ねられた所に染み込ませる魔力撃を叩き込めば、そうなる。
 
「する、な、ッ……!」

 迸る反骨心。
 滾る怨嗟。
 纏う怨念。
 理性と肉体は撤退を命じている。
 砕け、折れ、焦げた満身創痍の体で立ち上がる。

「――邪険に、するなッ!」

 壊れた箇所は意志力足りえる熱意と怨嗟を備える霊が補う。
 ……最後の一撃だ。そう言わんばかりに上着を長槍に見立て――

 報酬・応酬と言わんばかりに鳩尾を狙って放つ。
 踏み込み切り、腕を伸ばし切れば、そのまま体が崩れる。
 ……それでも、放たれた一念は岩をも通す。
 穿つに、足り得る。
  
 

虞淵 > そろそろ〆だろう

最初から、大きな差はあった筈
何がそこまであの女を食い下がらせるのか、それは知ったことではないが

ぽつりぽつりと降りだした小雨を眺めて、煙草の火を地面でもみ消し立ち上がった

龍宮 鋼 >  
(魔力の拳が彼女の内臓を打つ。
 なにやらこちらが思っていたのと違う効果が出たらしいが、知ったことではない。
 左手首の皮と若干の肉を食いちぎられて、血が吹き出た。
 だがそれだけだ。
 腰を落とし、拳を突き出した体勢のまま、鳩尾に槍を受け、足元の地面が割れた。)

――ッげほ……悪ィな、それは通せねェ。
この後にメインディッシュが控えてっからな。

(それでも全ての衝撃は流しきれなかった。
 眉を軽く潜め、咳き込んだ。
 鳩尾にめり込んだ槍が上着に戻る。
 倒れ込んだ彼女の身体を受け止め、通りの端へと運び、壁へもたれかからせる。)

待たせたな。
さ、やろうか。

(そうして通りの中央に戻り、震脚。
 腰を落とし、重心を低く。
 八極拳を思わせる構えで、立ち上がった男に相対する。)

水月エニィ >  
 されるがままに運ばれて凭れかかる。
 龍宮が離れた後に、微かに口を開いた。

「……また、勝て、ない。
 何が 足りない 足りないのよ……」

 熱は引いた。残るはただただ冷えた怨嗟。
 枯れた尾花のようにふらつきながら立ち上がり、目頭を押さえた。
 
 そこに先のような激情はない。
 それでも今の顔は見せたくない――。
 
 二人を尻目に這う這うの体で落第街を抜ければ自力で病院に辿り着く。
 即担ぎ込まれ、治療を受ける事となる。
 供えられてしまった聖性によって回復力に優れていようが、それだけの重傷だ。
 

ご案内:「落第街大通り」から水月エニィさんが去りました。
虞淵 > 「おう、んでお前誰よ?」

自身の足で歩いて落第街を出て行くエニィを尻目に、鋼と対峙する

「手早く頼むぜ、煙草が湿気っちまうぜ」

正面に自身より何周りも小さな鋼を据えて、立ちはだかる

龍宮 鋼 >  
龍宮鋼。
別の名前を知ってるかどうかは知らねェが、呼んでくれるなよ。
ああなったら楽しくねェ。

(自身もチンピラ相手であればそれなりに名前が知れている方だと思う。
 自身の蔑称を彼が知っているかは知らないが、それを知っていても呼ばないよう頼んでおく。
 アレは、面白くない。)

おォよ。
んじゃま、――いくぜオラァ!

(地面を蹴る。
 小手先の様子見などしない。
 初手から全力をぶつける。
 地面を踏み付け、拳に巨大な質量を乗せて真っ直ぐに最短距離を走らせる。
 カウンターのことは考えない。
 全神経を拳をブチ当てることだけに注ぎ込んだ。)

虞淵 > 「龍宮鋼?
 ───あァ、確か」

小耳に挟んだことはある
随分と喧嘩っぱやいのがいるとは聞いていたが
どう喚ばれていたかと思い返してみれば──

「おっ」

素早い踏み込み

そのまっすぐな拳を片手で受け止める

本人は不動───代わりに、グエンの足元、その後方のアスファルトが砕けて吹き飛んだ

「この俺相手にストレートかよ、小っちぇえ癖に蛮勇だな」

龍宮 鋼 >  
(全力で殴りつけても微動だにしない。
 強いなんてもんじゃない。
 岩どころか山を殴っているような感覚だ。
 それでも、笑う。)

逃げ回ってたってケンカ出来ねェからな。

(蛮勇、確かにそうだ。
 この体格差で真っ直ぐに突っ込むなど蛮勇を通り越して自殺行為だ。
 それでも自身には龍の膂力と耐久力、そして地撃拳がある。
 受けられた右腕を畳み、前に出した右足を回す。
 そこへひきつけるように左脚を寄せ、更に一歩踏み込んだ。
 密着の間合いを狙い、踏み込みと同時に背中を叩き付ける。
 同時に魔力を射出、内部破壊の透勁をぶち込む。)

虞淵 > 「そりゃアそうだ。そういう流儀は嫌いじゃねェよ」

真正面から闘志をぶつけられたのも久しぶり
その相手が自分から見ればとても小さな少女というのは皮肉なものだ

こんな少女よりも大きな男がいくらでもいるであろう落第街で、
自身の退屈を吹き飛ばしに現れたのがこの鋼という少女だったのだから

「じゃア、受けて立つとするか───」

正面から叩きつけられた浸透勁
片足を上げて受けたそこから感じる魔力の滾りを───

「噴ッッッ!!!」

裂帛の気合と共にガードのために畳んだ足を跳ね上げ、魔力ごと無理やり蹴り飛ばす
───理屈も何も無理やり捻じ曲げ吹き飛ばすような、純水な力で以って

龍宮 鋼 >  
(膂力は見た目よりもある。
 耐久力も文字通り鋼並み。
 地撃拳だって生ぬるいものじゃないと自負している。
 だが、)

――!!

(圧倒的に身体の重さが足りない。
 跳ね上がった足に軽々と吹き飛ばされ、宙を舞う。
 車にノーブレーキで衝突されたような衝撃が背中を襲い、渾身の魔力と重量を乗せた一撃が弾かれた。
 地上から軽く数メートルは飛んでいるだろう、何とかバランスの崩れた身体を捻り、着地。
 蹴りの衝撃で首を痛めたが、問題ない。
 問題なのはむしろ彼の常識外れの膂力。)

聞いてた通り、ホントバケモンだな。

(そう言う顔は相当に楽しそうなそれだ。
 攻撃が通らずとも尚、真っ直ぐに突っ込む。
 先ほどよりもより強く地面を踏み付け、より速く拳を突き出す。
 今度は拳に重量を乗せつつ、魔力を打ち出す発勁と透勁の合わせ技。)

虞淵 > 「おう、バケモンにバケモン呼ばわりされるのは慣れてるが一応フツウの人間なんでな」

クク、と楽しげに嗤いながら、一歩前に出る

「まぁそういう流儀なら───」

真っ向から斬り倒すのが礼儀だ

今度は受け止めなかった
少女の大きなモーション、獣の動体視力と反射神経はその突きを見切り、
その巨体がまるで滑りこむように少女の懐へ

「───把ッッ!!」

まるで、一切手加減のないアッパーをその顎に向けて、噴射砲のように拳を突き上げる

龍宮 鋼 >  
(動きは捉えている。
 その拳も見えている。
 しかしあまりにも意識を攻撃に置き過ぎた――否。
 防御は捨てていたと言いきって良い。
 しかも、自身が脚を振り下ろすタイミングに合わせて、力の掛かる方向――下から突き上げられる。
 クソが。
 心の中で呟いた悪態を口に出す暇もない。
 そのまま顎へ強烈などと言う言葉では生ぬるい威力の拳が突き刺さった。
 咄嗟に衝撃を地面へと逃がすが、流せる衝撃の限度を遥かに超えている。
 ましてや地面へ魔力を放ったタイミングとほぼ同じだ。
 衝撃を奪う魔力の操作が追い付かず、それほど多くも流せない。
 結果、背中側へくの字に折れ曲がり、背骨と首がみしりと嫌な音を立てる。
 それがなんの音かを判断する間もなく、再び上空へ打ち上げられた。
 十メートルほど吹き飛ばされ、今度は受身も取れず地面に落下。
 意識はまだあるが、思い切り脳を揺さぶられたらしい。
 身体を起こそうとしても、上手く起き上がれない。)

虞淵 > グエンの足元の地面を大きく陥没している
それぐらいの一撃を放った
自身に向けられた一発から、、遠慮はいらねぇだろうと

「お、ちゃんと生きてんな、よしよし」

倒れている鋼へと歩み寄って、そこへしゃがみ込む

「俺に真正面からガンガン来るヤツァあんまいねェんだけどな、
 見上げた女だぜ、お前」

龍宮 鋼 >  
(視界が揺れる。
 至近距離にしゃがみ込んでいる男の姿が歪んでいる。
 何か言っているが、耳鳴りが酷くて聞き取れない。
 しかし、なんとなく言っている事の内容は聞き取れた。
 無理矢理脚に力を込めて立ち上がり、)

――ま、ぁだ、動け、る――ぞォあァ。

(右拳を突き出す。
 しかし脚は踏ん張れないし、腕に力も入らない。
 避けられなければぺしり、と彼の左肩を力なく叩くだろう。)

虞淵 > 「───ま、死にゃあしねエだろうし、見たところ異邦人か」

力なく左肩を叩いた、その右腕を掴んで捻り上げる

「また遊んでやってもいいぜ、鋼。
 思ったよりも随分イイ女みてェだしな」

ひねりあげたままに、その耳元へ口を寄せてそう囁く

振り払うようにその腕を開放し立ち上がると、踵を返す

「言い忘れたな、知ってるかもしれねェが俺ァ虞淵(グエン)だ。
 また会ったらお前なら相手してやってもいいぜ」

そう言って満足気な笑顔を見せ───そのまま、小雨の降る裏路地へと消えていった

ご案内:「落第街大通り」から虞淵さんが去りました。
龍宮 鋼 > (腕を掴まれ捻られれば、簡単にバランスを崩して掴み上げられる形になる。
 耳元で囁かれた言葉はまだ聞こえないけれど、その意図はなんとなく伝わった。)

次ァ――ブ、飛ば、す。

(こちらも囁く――と言うかそのぐらいの声しか出ない。
 そのまま投げ捨てられるように地面に転がり、仰向けの大の字になった。
 彼の名乗りに無言で中指を立てて返答。
 彼が路地裏へ消えてもしばらくは立ち上がれず、濡れた地面に転がったまま。)

――ってェ。

(寝転がっているうちに体力は戻ってきた。
 それと同時に激痛が全身を襲う。
 首、背中、肋骨、左腕、右脚。
 首は筋を痛めた程度、背中は打撲程度だろうが、他三つは最低でも皹は入っているだろう。
 打ち上げられて受身を取れず落下した時に折ったか。
 それでも自力で立ち上がり、脚を引き摺りながら近くの病院へ向かう。
 向かった病院はきっと先ほどの少女が向かった病院で、もしかしたら再会することもあるかもしれないが、それはまた別の話――)

ご案内:「落第街大通り」から龍宮 鋼さんが去りました。