2016/08/31 のログ
ご案内:「落第街大通り」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
櫛鉈 蛟 > 『ここはこの島のゴミ溜めだ――』とは、何時か誰かに聞いた言葉であったか…既に記憶に乏しいが。
落第街の陰鬱で血生臭い、それでいてある種の活気がある大通りを欠伸を噛み殺しながら歩く。
専ら、蛟の活動時間は主に夜となる。ついさっきまで惰眠をスラムの拠点の一つで貪っていた訳だが。

「あーくっそ眠てぇ……つか、下らねぇ抗争事に巻き込むんじゃねーよ」

昨夜は、どこぞの組織同士の小競り合いに巻き込まれ、取りあえず面倒だから逃げた。
その際、双方の異能者だか魔術使いだか知らないがきっちりぶちのめしては来たが。
ついでに、財布の中身だけはちょろまかしておいた…迷惑料だ。
サングラス越しに茫洋と周囲に向けられる赤い蛇眼。見えるのは何時ものクソッタレな光景だ。

(ハッ、俺みたいな悪党にゃお似合いでもあるが…むしろ、何で学生なんてやってたんだかな俺ぁ…)

櫛鉈 蛟 > 昔は、こういう場やそこに居る輩を巡回、取り締まる側であったが、今は見事にドロップアウト。
まぁ理由があって自ら落ちた身とはいえ、環境が違えば見える景色も当然差異がかなりある。

「…っつっても、派手に暴れて”連中”に目を付けられんのもかったりぃしなぁ」

”古巣”の連中の顔を数人思い出し、歩きながら苦笑とも何とも付かぬ笑みを一つ。
道中、闇市場で仕入れた外国産の煙草を1本ケースから取り出し口に咥え。

ご案内:「落第街大通り」に八百万 頼さんが現れました。
八百万 頼 >  
いやいや、暴れんとっても兄さん目付けられてますやん。

(男の背後から掛けられる軽薄な声。
 彼の気配察知を持ってしても唐突に現れたとしか思えないようなタイミングである。
 尾行などをしていたわけではない。
 文字通りその場に現れたのだ。)

ああ、一応人違いやったらアカンので聞いとこう思いますけどな。
兄さん、お名前なんですか?

(いつも女の子に聞くのと同じ言葉。
 しかしそれよりは声のトーンが数段落ちる。
 猫のような笑顔も、いつもより細い目の眼光が鋭くみえるだろう。
 もちろん、いつもの自身を知らぬ彼からすれば、知らぬことだろうが。)

櫛鉈 蛟 > 「――あン?俺如きに目を付けるなら、もっと大物がゴロゴロ居るもんだろーがよ」

突然現れた気配。勘が鋭い蛟でも唐突に現れたようにしか感じ取れなかった。
だが、慌てず騒がずついでに軽口を叩き、咥えた煙草の端にジッポライターで火を点ける。

「そーいうお前は何処の誰よ?名前を聞く時はまず自分が名乗るもんじゃねーのか?」

くはっ!と笑みを零しながら煙草を蒸かしつつ…やっとこさ、そこで彼の方へと振り返る。
サングラス越しに相手を見据える……少なくとも見覚えは無い顔だ。

(あー…何だ…”どっち”からの監視だ?両方、もしくは別のトコか?わっかんねぇな…)

八百万 頼 >  
何言うてますのや、兄さんみたいなヒト以上ってなったら、もう数えるぐらいしかおりませんわ。

(にい、と口と目を吊り上げる。
 殺気も敵意も放たず、しかしその顔は明らかに雑談をしようと言うものではない。)

ボクですか?
八百万頼て名乗っとります。

(右手を上げる。
 何も持っていないその右手に、何枚かのカードが握られていた。
 何の前触れも無く取り出したそのカードを両手で弄びながら、くすくすと笑う。)

櫛鉈 蛟 > 「人間以外の連中も多いし、そもそも人間以上?…んな訳ねーよ」

口と目を吊り上げる男を眺めつつ、煙草を咥えながら気だるそうに肩を竦めてみせる。
殺気も敵意も対峙する彼からは感じ取れない…が、ただの雑談目的とは到底思えない。

「八百万ぅ?…聞いた事ねーな…」

彼の名乗りに首を捻る。だが、彼は『名乗っとります』と口にした。
単純に考えれば偽名、だろう。馬鹿正直に本名を口にする輩とも思えない。

(…あーこりゃ、面倒なのに目を付けられたっぽいな…いや、前からマークされてたか?)

不意に、男の掲げた右手に現れたカードを一瞥し、直ぐに視線を男へと戻す。やれやれ、と一息零し。

「――クシナダだ。で、俺に何の用だ?八百万とやら」

八百万 頼 >  
兄さん、人間とちゃいますやん。
いっぺん首切り落とした程度では死なへんのやろ?

(ざり、と歩を進める。
 無造作に、無警戒に、彼の射程へと一歩一歩近付いていく。)

何のようて、分かってますやろ。
昨日大暴れしてたやないですか。
困るんですわー、そう言うの。
ボクらのお仕事増やさんといてくださいよ。
ユミちゃんとデートする予定やったのに、パァやないですか。

(歩きながら、バラバラとカードをばら撒いていく。
 彼の歩いた後には相当な量のカードがばら撒かれているのに、
 手の中のカードは一向にその枚数を減らさない。)

櫛鉈 蛟 > 「死に難いだけで、別にすげぇ力があるって訳でもねぇんだけどなぁ」

謙遜ではない、実際今の蛟は本来の力のほぼ全てを喪っている。
”本来の姿”にそもそも戻る事が適わず、しかも一度完全に死んだ身の上。
こうして、何の因果か人の姿でこの島に今、こうして居るが…。
一歩、また一歩と歩を進めてくる、八百万と名乗った男を見据えたまま。

「あ?俺は巻き込まれただけだっつーの。あっちが勝手に勘違いして襲ってきやがっただけだ。
降り掛かる火の粉を払って何が悪ぃんだよ?…つぅか、そのカードは”仕込み”かぁ?」

未だに蛟は動かない。ただ暢気に煙草を蒸かしているだけのように見えて。

「……あー思い出した。八百万って、何か落第街にそんな情報屋が居るってのを小耳に挟んだ気がするな…」

八百万 頼 >  
死に難い言うんがどれだけ脅威なことか。
あっさり死ぬボクらからすれば、充分大物や言う事や。

(ざり。
 あっさりと射程に入る。
 カードをばら撒くのを止め、彼の目の前でにっこり笑う。
 狐を思わせる猫のような笑顔。)

もう夏休みも終わる言うのに仕事させられるボクの身にもなって欲しい言う事ですわ。
そのままひっそり潜んどってくれたらなんの苦労もせんで良かったのに。
まぁ、とりあえず――

(開いたまま伸ばされる左手。
 一見ただ掴むためだけに伸ばされたような動きだが、勘の良い彼には分かるかもしれない。)

お話、聞かせてもらいましょか。

(得体の知れない能力が、その手に潜んでいる事が。)

櫛鉈 蛟 > 「俺からすれば、お前等人間の方がとんでもねーけどなぁ…」

煙草から紫煙を吐き出しながら苦笑を浮かべる。
己が生きた時代、こうまで不可思議な力を持つ人間がゴロゴロ居た訳ではない。
それに比べれば、今のこの国…この島は男から見れば異常でしかない。

「あ?そんなの知ったこっちゃねぇよ。”監視”はご苦労なこったが、俺が頼んだ訳でもねーし。――あと、触られるならイイ女の方がいいからパスな」

と、勘が何かを察したのか、そのままスィッと、音も立てずに後方へと一歩…それでも、2,3メートル程度の距離まで後退する。

(まぁ、予想しちゃいたが異能持ちか魔術か…どちらにしろ、あの手に触れるとマズいっぽいな…)

後退に成功したのならば、そんな内心を呟きながら一息。たかが力を喪った神話如きに大袈裟な。

(つーか、風紀委員の連中の感じじゃねぇな…と、なるとコイツぁ…公安の方か?)

が、確証が足りない。そう簡単に情報を漏らすとも思えないし、フェイクも仕込んでいる筈だ。
腹の探りあいは正直苦手なので、あれこれ考えを巡らせてもしょうがないのだが。

八百万 頼 >  
バケモン殺すのはいつの世も人間――か。

(伸ばした手は避けられた。
 その動きを目で追い、そのままの体勢で止まる。
 やがて左手を引っ込め、その掌をじい、と見て。)

兄さんの力で撫でれば折れるようなボクに、何をそんな警戒してますのん。

(呆気に取られたような、予想外と言った表情。
 一歩も動かず、動く気配すら見せず。)

――ま、結果は変わらんのやけどな。

(声は彼の後ろから。
 直前まで居た筈の場所には姿も形も無く、彼の後ろへ移動――いや、立っていた。
 声と同時に、今度は彼の背中へ手を伸ばす。)

櫛鉈 蛟 > 「…かもな…ま、俺なんかよりお前等人間の方が色々と業が深いだろ」

(…もっとも、俺を殺したのは人間じゃなくて”英雄”だけどな…)

嫌な記憶を思い出した。ある種の戒めとして”クシナダ”の苗字を名乗っているので、この辺りは根が深い。
未だに”英雄”という単語だけでも不快な気分になるくらいだ。トラウマなのかもしれない。

「見た目で判断して痛い目に遭った事は一度や二度じゃねーからなぁ」

彼の表情や反応、言葉を観察しながらそう軽口を飄々と返していく。
…が、彼の方が一枚上手だったらしい。振り返る余裕があれど、交わすのは間に合わず、か。

(おいおい、やっぱ今の時代の人間って、どいつもこいつも面倒だな…!)

で、無抵抗に触れられる…前に、口に咥えていた煙草を彼の掌に向けてプッ!と吐き出そうと。
当然、煙草の先端はまだ火が付いている…下手すれば火傷は免れない不意打ちだ。

八百万 頼 >  
(吐き出される煙草を右手で弾く。
 手に当たったところはちょうど火の付いた先端。
 触れたのは一瞬だが、熱いものは熱い。
 顔を歪めつつも、左手はよどみなく彼の背中に触れ、)

――複製して張り付ける(コピー&ペースト)。

(呟くと同時に、自動車に突っ込まれたような衝撃が彼を襲う。
 殴ったのでもなく、何かを撃ち出したのでもない。
 ただ単純な衝撃を「貼り付けた」のだ。)

櫛鉈 蛟 > (――あ、こりゃちょいとヤベぇな…)

煙草に一瞬でも気を取らせて再度距離を取るつもりであったが、淀みなく背中に触れられた。
途端、まるで背中から自動車でノンブレーキで追突されたような衝撃が走る!

「――がぁ…っ!?」

そのまま、派手に前方へと吹っ飛んで行く。今の衝撃だけで内臓や背骨、肋骨等がヤられているが…。

(この程度は問題ねぇ…が、どうにも厄介そうだな)

呟きながら、吹っ飛んだ先で両手を地面に付き、そのまま半回転して両足で着地。
軽く口元から喀血しながらもゆっくりと立ち上がり振り返ろうか。
この時点で、既に肉体の再生は完全に終わっている。そもそも、首を飛ばされても粉微塵にされても平気なのだ。
こちらの特性を相手が熟知していると仮定すれば、この流れは予想範囲内だろう。