2016/10/08 のログ
ご案内:「落第街大通り」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > アパートの管理人曰く。
『この島には、落第街と呼ばれるスラム街があります。あまり治安の良い所ではないですから、近づかない方がいいですよ』
との事。

そう聞いては、顔を出さずには居られない。
というわけで、オーギュストは落第街の大通りへと来ていた。

「……思ったよりもさっぱりしてやがんな」

王都、平民街の雑多な街並みくらいだろうか。
すくなくとも、あの世界の、特に港湾都市ダイラスや、奴隷都市バフートのスラムのような、人間が住むべきではない場所ほどではなかった。

オーギュスト > ものめずらしそうにきょろきょろと歩く。
おのぼりさんにしか見えないが、そこは大柄な体格と持ち歩く大剣のせいか、チンピラに絡まれるような事はない。
王都なら、この男に喧嘩を売るのは自殺志願と同じだったが。

「おう、一本くれ」

なんの肉かもわからない串を一本、屋台で買う。
学生通りの、あのわけもわからない文明の街並みよりかは、こういう場所の方が落ち着く。

ご案内:「落第街大通り」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 > 俺にも一本。

(横合いから手を伸ばす。
 男と近くに居た別の男の間に割り込むように身体をねじ込み、右手で乱暴に硬貨を叩き付けた。
 割り込まれた男が何か文句を言ってきたが、睨み付ければ怯み、悪態を吐きながら去っていく。
 屋台の主人から出された串を受け取り、それを齧る。)

――財布の中身カラにされる前に帰った方が良いぞ。

(肉を飲み込み、そう男に告げる。
 先ほどの男は彼の財布を狙っていた。
 見たところかなりやる男に見えるが、あまりにも無警戒過ぎる。
 縦に長い瞳孔を彼に向け、肉をもう一口。)

オーギュスト > 「ん……? あぁ、スリか」

そうか、スリか。
王都ではこの10年、スリになんざ出会っていなかった。
第七師団長の財布を狙うなんざ、よっぽどの命知らずか無知しか居ない。

「助かったよお嬢ちゃん」

楽しそうに笑いながら礼を言う。
王国の師団を率い、千単位の軍団を統率していた身が、今更スリに用心しながら生きていかなくてはいけないわけだ。

(面白いな。昔の、軍にすら入ってない頃を思い出すじゃねぇか)

バクりと串にかぶりつく。

龍宮 鋼 >  
スリなら可愛いもんだ。
気が付いたら財布の中身丸ごと消えてた、なんてことぁ日常茶飯事だよ。

(様々な異能使いがうろついている常世島の落第街なのだ。
 歩くだけですれ違ったヤツの財布の中身を自分の財布に移す、なんてチカラを持ったやつだっていてもおかしくは無いのだから。)

龍宮鋼。
二度とそう呼ぶな。

(不機嫌そうに顔を歪め、吐き捨てる。
 確かに不機嫌ではあるのだが、その言葉にはどこか覇気が無い。)

オーギュスト > そういえば、この島は住人のほとんどが魔術師みたいなもんだったっけか。
まったく、そういう所は物騒な限りだ。

「おう、ありがとうよ――お嬢ちゃん」

呼び方を変える気はないらしい。
懐かしい雰囲気だ。こういう尖った奴は嫌いじゃない。ついつい、挑発するような言い方をしてしまう。

「にしても、あんなすげぇ文明ができても、こういう街はなくならねぇんだな」

周りを見回しながら呟く。

龍宮 鋼 >  
(再度のお嬢ちゃん呼びに、店主の顔がこわばる。
 異邦人らしき男は知らないだろうが、龍宮鋼は落第街でそれなりに名の知れた不良だ。
 怪我をしていようが相手が強そうな男だろうが、気に入らない事があればすぐに手が出る。
 実際のところはもう少しおとなしいのだが、とにかくそう言う印象を持たれているのだ。)

――ッチ。

(だが、今日は舌打ちだけで終わった。
 確かに普段なら路地裏にでも引き摺っていくのだが、今日はそんな気分じゃない。
 詰まらなさそうに肉を全て齧り取られた串を投げ捨て、ポケットから出した煙草を銜えて火を付ける。)

人が集まりゃはぐれものは出てくる。
なまじチカラ持ったやつばっかなら、尚更だろ。

(普通の街ならそうでもないのだろう。
 しかしここは常世だ。
 力を持てば振るいたくなるのは道理。
 そう言うやつが集まるのも道理だ。
 更に「財団」についての黒い噂も絶えないのだ。
 むしろ無いが不自然だとぼやきながら、通りを歩く人々の顔を眺めて。)

オーギュスト > 「くくっ」

面白そうに笑う。さて、こいつはどんな過去を持っているのか。
この世界に来たばかりのオーギュストには想像もできない。

「そうかな。食う物もある、娯楽もある、それで侵略してくる敵もいねぇのに争う。
俺にゃあ、見当もつかないね」

それだけ揃うのは、マグメールでは貴族どもくらいだ。
ましてや、ここでの生活は大貴族でも為せないような特別なもの。
これだけあって、まだ満足できない奴の気がしれない。

「持ってて当たり前のもんには満足できない、って事か」

じぃ、と煙草を吸う少女を見る。
そういえば、忙しくて長い事葉巻きも吸っていない

龍宮 鋼 >  
(楽しそうに笑う男に対し、自身はとことん不機嫌だ。
 眉間に皺を寄せて不味そうに煙草を吸う。)

今日のメシに困ってるヤツぁ、明日のメシの事なんて考えねェだろ。
――平和だから起きる争いっつー奴もあんだよ。

(無いから奪う、のではなく。
 あるから奪う。
 溜め込むために奪う。
 そう言うモノもこの世にはあるのだ。
 何より。)

人間の欲なんてモンに制限なんてねェんだよ。
――今のアンタならわかるだろ。

(モノ欲しそうな目でこちらを見てくる男。
 そちらを見ずに、煙草を一つ差し出してやる。
 受け取るならば、ポケットからオイルライターも取り出した。
 カキン、と言う音を立てて蓋を開け、火を灯す。)

オーギュスト > 「ちげぇねぇ」

かかっと笑って敗北を認めると、煙草を受け取りオイルライターから火を貰う。
まったく、便利な事だ。火種を用意しなくて良いのだから。

「じゃあ、お前さんもあるのに不満に思ってるクチか?」

ギラつくような目をしながら、何故か何もせず、覇気も無い相手に問う。
こういうタイプは幾人か知っているが、ここまでぐったりしているのも珍しい。

龍宮 鋼 >  
――そうか。
オマエからは、「ある」ように見えるのか。

(煙草を銜えたまま呟く。
 彼の方には視線を向けず、変わらず通りの方を眺めているだけ。)

「ある」って思ってんなら不満なんざ出てこねェよ。
ねぇって思うから不満があるんだろうが。
テメェの欲しいモンが俺の欲しいモンと一緒だと思うな。

(相変わらず覇気はない。
 覇気はないが。
 代わりに、龍の魔力が膨れ上がる。
 殺意でもなく、敵意でもなく。
 魔力に鋭いものなら――いや、鈍いものでも圧迫感と言う形で受けるであろう、濃い魔力。)

――ケンカ売ってんのか、テメェ。

(睨むのではなく、見る。
 縦に細い瞳孔の、赤い龍の瞳で。)