2016/10/09 のログ
オーギュスト > 「そうかな」

オーギュストは肩をゴキゴキと鳴らす。
そういえばこちらに来てから、ロクに運動をしていない。
たまには――いいか。

「『ある』って思ってんだろ。
自分には何かがある。でも、それが自分では見えねぇ。
だから、空っぽに見える器覗きこんで不満に思ってる。
違うか?」

オーギュストの悪い癖だ。
悩める若者、それも強そうな奴を見ると、ついからかいたくなる。
それで挑発してブチのめして、第七師団へ引っ張り込んだ事が何回あるか。

ちなみに内緒だが、何回かはブチのめされた。
世の中、強い奴はいくらでもいる。

「売ってたら買うのか?
んな元気があるようにも見えんが」

龍宮 鋼 >  
欲しいモンがねェのは、持ってねェと同じなんだよ。

(煙草と共に吐き捨てる。
 自分にとって価値が無いものがいくらあっても、欲しいものがなければ意味が無い。
 いらないものはゴミと一緒だ。)

買わねェ。
いつもなら買い叩くが、今日は買ってやらねェよ。

(右手をゆるりと動かして、男の腹へ向ける。
 攻撃の動きには見えない、ただ何の気なしに動かしたような。
 実際何の気なしに、ただ動かしただけだ。)

――今日のはケンカじゃねェ。
八つ当たりだ。

(しかし地面を思い切り踏みつければ、拳から恐ろしい衝撃が発せられる。
 そのまま何もしなければ、間違いなく屋台ごと後方へ吹き飛ばされるほどの衝撃。)

オーギュスト > 「――っとと」

慌てて地面に剣を突き刺し衝撃を受け流す。
ずりずりと靴跡をつけて地面を少し後退する。
まったく、女のガキがこんな攻撃をしてくるんだから恐ろしい島だ……魔族も同じようなものか?

「ったく、病み上がりになんて事しやがる」

顔をしかめながら服についた埃を払う。
なるほど、確かに物騒な場所だ。

「八つ当たりねぇ。ガキがダダ捏ねてるようにしか見えんな」

軽く剣を素振りする。
傷が開くような事はないようだ。あのヨキという男に感謝しなければ。

龍宮 鋼 >  
(やる気になった彼を冷めた目で眺める。
 ケンカだというのに、妙に気分が乗らない。)

俺もこんなだ、諦めろ。

(左腕を吊っていた三角巾を破り捨てる。
 本調子ではないのはどちらも同じだ、と。
 額には龍の角、右腕には鋼の甲殻。)

――ッハ。

(ガキがダダを捏ねている。
 明らかな挑発だが、納得もした。
 考えれば、その通りだったのだろう。
 思わず笑い、歩を進める。
 無造作に、家に帰るように。
 そのまま腕を伸ばし、男の目へ二本の指を突き出した。)

オーギュスト > 「あぶねっ!?」

慌ててよける。
いきなり目潰しとは、ダーティーな奴である。

まったく、裏町の喧嘩為れした愚連隊のような奴である。
いや、まんまそうなのかもしれない。

「ったく、女ならちったぁかわいげでも見せろってんだ!」

そのまま殴りかかる。
グーで。

龍宮 鋼 >  
そう言うのは表で言え。

(迫る拳。
 感覚が鋭敏化した今の状態であれば避ける事はたやすい。
 が、拳が狙う箇所を甲殻で覆いあえて受ける。
 彼の拳が普通の人間の拳なら、むしろ殴った方がダメージを受けるほどの硬さ。
 更に被せる様に拳を振るう。
 パンチの外側から殴りかかる、クロスカウンター。)

オーギュスト > 「いってぇ!?」

硬い感触に慌てて拳を引き被害を最小限に抑えるが、それでも大分痛い。
まったく、色々仕込んでる娘である。
仕方がない。こんな場所でこんな娘相手に振るうのは気が引けるが。

「なら、こっちだ!」

魔獣アダマンタイトの甲殻で出来た大剣。
これならば、硬さで負ける事はない!

大薙ぎに大剣を振るうオーギュストに、辺りから悲鳴があがる。

龍宮 鋼 >  
(剣に手をかける男に、思わずため息。
 落第街とは言え表通りだ。
 風紀委員に目を付けられることを考えていないのか。
 そう考えて、まだその存在を知らないのだろうか、と思い至った。
 ともかく。)

――こんなとこでンなもん振り回すんじゃねェよ。

(地面を蹴る。
 大きな剣を振るったところに飛び込むように、距離を詰める。
 そう言う得物は、早いうちに距離を詰めてしまうのが定石だ。)

オーギュスト > 「……ちっ!」

硬い上にすばしっこい。
一番苦手なタイプだ。となると……
こういう奴には、これだ。

「衝撃よ、疾走れ!」

簡易詠唱とともに魔法弾で迎撃する。
この男、パワータイプに見えて一応魔法剣士なのである。
もっとも魔術の知識・制御能力・本質的な魔力ともに最低ランクなので、基礎魔術しか使えないのだが。

龍宮 鋼 >  
(詠唱が聞こえた瞬間、横へ飛んだ。
 物理攻撃には滅法強いが、その分魔法耐性が無い。
 直前まで自身が居たところをえぐる魔法弾に舌打ちをし、着地。
 意外と器用な男をどう下すか、と思案したところで風紀委員が数人こちらへ走ってきたのが見えた。)

テメェが滅茶苦茶やるから邪魔が入った。
――終いだ。
じゃあな。

(短く告げて、近くの路地へと飛び込む。
 ただでさえ問題児扱い――間違いなく問題児ではあるが――されているのだ。
 これ以上厄介な事になってたまるか。
 そのまま近くのアジトへ走り去っていく――)

ご案内:「落第街大通り」から龍宮 鋼さんが去りました。
オーギュスト > 「あ、てめっ」

と、追おうとした所で、謎の集団(風紀委員)に捕まる。
そうか、そういやスラム街だろうと治安維持する連中は居るよな。
むしろ自分が治安を維持する方だったので、すっかり失念していた。

「あ? 身分証明? あーっと、これと……え、おいちょっと、いてて引っ張るなって!」

と、オーギュスト初の落第街訪問は、風紀委員による補導という形で幕を閉じた。
なお、初犯という事でお説教で済んだとか。

ご案内:「落第街大通り」からオーギュストさんが去りました。