2016/10/23 のログ
ご案内:「落第街大通り」に蕎麦屋さんが現れました。
蕎麦屋 > 秋の夜長に蕎麦屋台、というのは風流かもしれない。
そんなことを思いつつ、久しぶりに店を開ける心づもりで出てきたものの。

ちょっと広まった、空き地のような場所。
通りからもちょこっと見えるし、立地としては申し分なかろう。
目立つと要らないものも寄ってきますし――

「さて、場所は――この辺りでよいですか」

決めてしまえば、担いだ屋台を降ろし。
さくりと椅子と机を出して、設営完了。

最後に提灯の火をいれれば、「蕎麦 二百円」の文字が明りに揺れる。

ご案内:「落第街大通り」に鮫汰さんが現れました。
鮫汰 > 空き地のがれき、とでもいうのでしょうか。
コンクリートの欠片や錆びたブリキ板の破片みたいなものが、モリモリと盛り上がりました。
それはちょうど、屋台の正面より少しずれたところ。視界にはバッチリと映るというようなところ。

「ああ~~~~~~~~~~!!!」

なんということでしょう。

「……ここどこ?」

土の中から、得体のしれない魚のようなものが顔をだしました。
ちっちゃなスプーンを片手ならぬ片ヒレに持ち、ぴすぴすと外の匂いを嗅いでいます。
なんだかちょっと、良い匂いがするような。

蕎麦屋 > 「――あら、毎度。」

なんか無駄に平常だった。
人が生えたり降ったりするのだ。鮫が生えてもおかしくない、多分。

「此処ですか。
 落第街の通りの傍ですが。」

迷子も今更珍しくなかった。
いい匂いは正面の屋台から漂ってくる。鰹と昆布の合わせ技は何とも言えず、食欲をそそる。

なんか器用にスプーンを持っているが、まさかあれで穴を掘ってきたのだろうか。

鮫汰 > 丸い鮫は自分の周りをほりほり掘り進め、地面にビタンと飛び出しました。
薄汚れた前掛けのようなものには、常世の文字です。

「らくだいがい?…うみにでるはずだったんだけどなー!しかたねえなー!!
 こんぶのにおいしちゃったからなー!カァーッ!」

スプーンをぽいちょとどこかへ投げ捨て、屋台の方へいそいそと張っていきます。
大好きな匂いが――そう、昆布の匂いがしているのですから、もう一直線です。椅子にも器用に飛び乗りました。
頭の上にちょこんと小さな石をのせたまま、ちいちゃなヒレをピッとあげてアピールして

「ねーちゃん、おっぱいおおき……じゃなかった、えっとねえ」


「おいなりさんある?」

蕎麦屋 > 前掛け……?の校章を見る限りは学園の生徒らしい。
異世界異種族なんでもござれ、というのは知っていたが、鮫も居るのか。

鮫というにはぷにぷにしているがそこはそれ。

「ああ、海に出るにはもう少しでしたね。
 あと、頭の上に石が乗ったままですけど、払わなくても大丈夫ですか。
 
 お稲荷さんは生憎とありませんけれど。きつね蕎麦ならご用意できますよ?」

椅子に飛び乗った――ということはきっと客、ということでよいのだろう。
何か聞こえた気がするが聞き間違いだろうか。というかいきなりいなりを要求されてもさすがにありません。

鮫汰 > 「おいなりさんないの?そっか~~」

ヒレがあり得ないほどの柔軟性をもってニュッと伸び、指摘された小石がつままれます。
そして、それはこの丸い鮫の口の中に消えていきました。なんて大地を感じるオヤツでしょうか。
きつねそばと言われ、少し首…は、無いですね。これは頭をかしげていますね。

「うんとねえ、じゃあねえ、きつねそばのこんぶのせ!
 こんぶ、だしとったコンブとかない?そっちはある??」

メニューなんてこれっぽっちも考えて無い血眼です。

蕎麦屋 > 「生憎と。蕎麦屋ですので――」

あ、石食ってる。鮫は雑食だっただろうか。
というかそもそもなんで稲荷だったのだろうか。疑問は尽きない。

「なら、そう致しましょう。少々も待ちくださいな。

 出汁とった後の昆布――ありますけれど?」

なんか非常によくわからない注文ではあるが、受ける。
受けた以上は用意する。蕎麦を茹でる間に、揚げと――とろろ昆布でよいだろうか。
どうやら昆布にやたら執着しているようであるし、とろろ昆布は山盛りにしておく。

「はい、お待ち。きつねそば、昆布やまもり一丁。
 ――あと、こちらは出汁とった後の昆布です。けど。えー……」

とりあえず、座る鮫の前に、器を二つ。
片方はそば。もう一つは……どう調理したものか。こちらは普通の昆布が山盛りだ。

鮫汰 > 蕎麦屋が調理をしている間の丸い鮫は、よだれがたれっぱなしでした。
よほど楽しみにしていたのか、それとも昆布しか頭になかったのかは定かでは無いですが。
時々首が伸びてキリンのような形をとっていたのは、ともかく。

昆布を盛ったきつねそばと山盛りの昆布を目の前にすると、丸い鮫は目の前で溶けました。

すぐに元の姿に凝固しましたが。

「さみゃああーーー!!!!こんぶいっぱい!!すごい!!!やったあー!いってきます!!」

「じゃなかった、いただきます!!」

鮫は唐突に足を生やして椅子に座り直すと、割り箸をパキリと割って山盛りのとろろ昆布をつゆに沈めました。
わずかな肌寒さを感じるこの瞬間の湯気ったら、なんてすてきなことでしょう!
目を輝かせながら、はふはふと昆布を頬張っています。そばにまず辿りつけて無いです。

「ふぉふぉふぇふぉんう!」

蕎麦屋 > 調理中、横目に見えた気がするのはなんだろうか。
伸びてたよね。

そして器置いたら溶けたよ。――さすがに溶けるとなると出汁は取れそうにない。
それはともかく。

「はい、どうぞ。
 ――はい、昆布は山盛りにしておきましたけれど。」

なんか伸びたり溶けたり足が生えたり、余程嬉しいのだろう。たぶん。
――ちょっと昆布盛すぎたかもしれない。

「食べてから喋りましょう?」

さすがに何を言っているのかわかりません。

鮫汰 > 昆布を食べる速度はボガヒュッと最速に入っているのか、小さな頬にめいっぱいつめこんでいます。
もがもがと何かを懸命に伝えていましたが、ツッコミを貰うとドヤ顔で昆布に専念しはじめました。
時々、器用にどんぶりを持ち上げておつゆを飲んでいます。

「――あのねえ、さっきもいってたんだけどねえ、さめたね、ひさしぶりにおそとでてん!」

なにやらお話を始めました。
大量の昆布を頬張って気持ちが落ち着いたのか、ようやくお目見えしたそばをつるつるとすすります。

「おぱんつをみつけて、それをもちかえろうとしてね、そしたらパンツどろぼうっていわれてな………。
 おぱんつさんは、さめたといっしょにおそとにでるってゆってたのに、ドロボーあつかいだよ!」

どうやら愚痴のようです。
要するに下着泥棒なのですが、その自覚が本人にはない様子。

「ところで、おねーちゃんはおぱんつはいてるのん?」

昆布の欠片がめいっぱいついた顔で、かわいく頭をかしげました。

蕎麦屋 > ――昆布専用掃除機?

「久しぶりに、お外へ、出てん。
 ―ーああ、なるほど。」

さめた、とかいうのが名前なのだろう。
器用にひれで器を持つのはなかなか愛嬌があって可愛いかもしれない。
昆布に関してはもうちょっと落ち着いて食べてくれれば尚のこと。

で。

「おぱんつさん?
 はぁ、それはもう―ーいくらおぱんつさんが言ったところで他人にはわかりませんしねぇ……

 世間一般で言うなら窃盗、でしょう、たぶん。」

おぱんつさん。という人物でも居るのか、と一瞬思ったが。
どうも違うらしい。なんだこの生物。首をかしげつつ――

というかこの法律どころか物理法則も通用しなさそうな生物に法律当てはめたの何処の誰だろう。顔を見てみたい。

「はい?履いておりますよ。
 ――あと口周りは拭いてくださいね?」

とりあえず、器の横にそっとおしぼり一つ、おきながら。
何を聞いているのだろうか、この鮫は。

鮫汰 > 「にんげんのかんかくでさめたをはかろーとするんだから、
 さめたのかんかくでおぱんつさんとトウヒしてもいいじゃんね?」

ダメなの?と顔にべたべたくっついている昆布の欠片を舌でペロペロと回収します。
首を傾げた蕎麦屋さんに、さらに首を傾げ返しながら

「おそばやさんでもおぱんつははくのか…」

感慨深そうに麺をすすりおえると、別の器に盛ってもらった昆布をつゆにつけて食べ始めました。
わんこ昆布のごとくです。にゅるにゅるたべます。
おしぼりは後で使うのか、貰った時に慈しみまくった眼でそっと撫でただけでした。

「たそがれってかかれたおぱんつとかなの?やっぱ?」

七味の瓶を探して、それをおつゆに振ろうとします。
が、片ヒレをどんぶりにそえ、もう片ヒレに割り箸を持っているのです。
見ているだけでは七味は一切動きませんでした。物理法則と言うのは大変不便です。

蕎麦屋 > 「郷に入れば郷に従え、とは申しますからねぇ。
 学園の生徒でしたら、法律はともかく、学園の規律は守った方がよろしいかと?」

この島では学園の規律はイコールで法律のようなものだろうが。
綺麗に舐めとった――というか本当にどうなってるんだろうか、この鮫。
おしぼりは不要になったが一応、置いておく。

「それは、まぁ――でもそれ、ほかの人に聞くのはあまりお勧めいたしませんよ?
 あと、その名前で次読んだら燃やしますので。」

名前知っているのは、この生物からすれば不思議なことに不思議でもないが。

なんか七味見つめて……睨んで?いるが。
流石にそれでは動かない――こともないのがこの島の怖いところ。

鮫汰 > 学園の規則は守りそうにない顔で、静かに頷きました。
結局七味は諦めたのか、昆布もペロリと平らげてしまいました。
おつゆを飲みながら、眼だけをキョロリと向けて

「なまえ?おぱんつじゃなくて?」

黄昏じゃなかったら鎖狼とでも書いてあるのかなと口の先まで出かかった言葉を飲みこみます。
なぜならば、おつゆを飲んでいたからです。

「じゃあねーちゃん、なんてなまえなの!あのねえ、さめたはねえ、さめたっていうの!。
 ところでおそばとコンブのおかわりできる?」

蕎麦屋 > ああ、うん、神妙な顔してるけど絶対守らないやつだ、これ。
私もそうだからよく分る。理解したうえで投げ捨てる系の顔をしている。

「――?
 とりあえず、下着から離れません?」

どれだけ下着で頭の中埋まっているのだろう、とちょっと心配になったり。

「はい、存じておりますよ。私?私は蕎麦屋ですけれど。
 はい、おかわり。少々お待ちくださいな。」

あれだけ名前連呼すれば聞く前に分かるというもの。逆に蕎麦屋が名前、というのは通じるだろうか。
お代わりの要求には答える前に作っていた。なんせわかりやすい。
一杯目と同じく、どっちも昆布山盛りです。きつねはないけど。

「はい、どうぞ。」

鮫汰 > 「えっ、さめたのなまえしってるの?!なんで?
 ………あっ、さめたがプリチーでサイコーにキュートオブスペシャルだから?やだな~、てれりんぐ~~」

決してそんなことは無いのですが、こうやって一人で幸せになってしまうのもこの鮫汰という生物です。

「え?そばやでそばやなの?そばやってなまえなの?
 こう、ミチコとかそういうなまえはついてないの?ポチとかこんぶーーーーーーー!!!」

生まれた時から蕎麦屋なんだ?くらいの顔です。
昆布たっぷりのおそばを受け取ると、話が昆布で滑りました。
今度は最初から七味をパッパと振って頂きます。
あつあつ醤油味のだしを感じながら、鮫の尾っぽをふりふりさせて。

「サチコはいつもここでおそばしてるん?」

蕎麦屋 > 「自分でさんざん呼んでいましたからね。
 ああ、うん。ぬいぐるみ的なかわいさがあるのは否定いたしませんよ。」

言動と行動がなければマスコット枠でも勝ち取れるだろう。
現状間違いなくイロモノ枠だが。―ーとは思うだけ。

「はい、蕎麦屋と名乗っておりますよ。
 ミチコでもサチコでもポチでも昆布でもありません。残念ながら。」

ミチコサチコはともかく、ポチとか昆布は人の名前ではない。
蕎麦屋も人の名前かと聞かれれば疑問なところではあるが。

あ、今度は七味きちんと掛けた。

「いえ?割とあちこちで店は開いていますし、出前も承っておりますけれど。」

手持無沙汰なので、茶など淹れつつ。

鮫汰 > 先におそばをすすり、ふにゃけていない麺を堪能してから昆布に移ります。
食べていても喋り倒す鮫汰ですが、顔が食べ物に向いているときだけはそこそこに静かです。
かわいさがあると褒められれば全力でドヤ顔を放ちますが…。

「ほうろうのそばやたいってコトなのか…。
 あっ、でまえあるの?ふーきいいんのとこでもこれる?
 
 さめた、このおそばたべたら、またふうきいいんのトコもどらないといけないわけよ…。
 おぱんつどろぼうとまちがえられてるままおそとにゴハンたべにいくと、おこられるの!」

だから今回もまた怒られると思う!と言いながら昆布をぞるんぞるんと吸いこんでいきます。
怒られると分かっていても大脱走してしまう理由が、ここにあるわけです。買い食い気分なのです。

蕎麦屋 > どや顔とにやけ顔の区別がつきません。
つまりはおおむね同じように見えるということ。――雰囲気で何となく分かりはしますけど。

流石に食べながら喋るような器用さはないようで。そこは生物の枠の範囲だった。

「はい?あー……まぁ、行けないこともないですけれど。
 あんまりオススメはしませんけどね。そもそも出前頼むにも電話、掛けれますか?」

留置場――留置槽?に放り込まれて電話掛けるような余裕があるのかどうか。
そもそも脱走できるならそっちのほうが早そうであるし。

さらに言えば、たぶん出前に行くと蜂の巣つついたような騒ぎになりそうで気が向かないのもある。
注文貰えば行くけど。

「怒られるのがわかってるのでしたら、しおらしく大人しく。
 脱走繰り返してますと、いつまでも出れない気もしますが―ー出なくても困りそうにないですしねぇ……」