2017/04/15 のログ
東雲七生 > 初めてこの区域に来たのは何時だったか。
いつ来ても嫌な空気が漂い、長居をする気にはなれない。
最初の頃はそんな風に思っていたのが、今は割とそこまで苦では無いように感じる。
だからと言って好ましく感じる類でも無い事を考えるに、多分、慣れただけなのだろう。

「……まあ、何だかんだでこの辺りも島の一部なわけだし。」

否定や拒絶をしてみたところで見えなくなりこそすれど消えるわけではない。
それならば歓迎はしなくとも認めるくらいのことはしても良いだろう。
そんな考えの変化が、慣れの根本にある気がした。

「……どっちかと言えば拒絶される側だろうけどね、俺は。」

この街で生きるには、馬鹿正直で真っ直ぐ過ぎるだろう。
何となくだけれど、そんな自覚はある七生だった。

東雲七生 > 「帰る、か……」

一応ぐるっと辺りを歩いては見たが、先程の以外には好奇心で立ち入った新入生は居ない様だ。
あるいは、居たとしても見回りの風紀委員会に補導されたりしたのだろう。
こういう事は本職がやるに越したことはない。彼らの面子の問題もある。

「晩飯、何にすっか……なぁ……」

小さく鳴る腹を片手で押さえ、独り言をつぶやいたところでふと路地に居る人物と目が合った。

さっきまで自分を追いまわしていたチンピラだった。

「うにゃああああ! っとに今日は!!散々だな!」

次の瞬間には脱兎のごとく駆け出して、どうにか異邦人街に出る頃には撒き切った七生だった。

ご案内:「落第街大通り」から東雲七生さんが去りました。