2017/07/30 のログ
ご案内:「落第街大通り」に東瀬 夏希さんが現れました。
東瀬 夏希 > 「……何とも嫌な雰囲気の場所だな」

嫌そうな顔をしながら、落第街をうろつく。
この学園の裏事情を把握しておくために足を運んでみたが、嫌らしい目線も含め、不快感をとことん煽ってくる場所である。

「(一通り見て回ったら、さっさと帰るか……)」

自室で帰りを待つ『弟』の事を思いつつ、てくてくと歩を進める。

ご案内:「落第街大通り」に柊 真白さんが現れました。
柊 真白 >  
(裏の街は嫌いではない。
 昔からずっと裏世界で生きてきたし、暗いところと言うのは結構落ち着く。
 人は闇を恐れると言うが、種族柄自分にとっては逆らしい。
 仕事がないかと大通りをうろうろしていれば。)

――。

(でかい。
 背の丈は自身よりもやや高い程度だが、そこではない。
 身体の前方にぶら下がっているモノが自分よりも明らかにでかい。
 自身の正面から近付いてくるそれを、恨めしそうな目で凝視。
 あれだけでかいと邪魔だろうからうらやましくなんてない。
 うらやましくなんてない。)

東瀬 夏希 > 「………?」

なんだか、真正面から来る女性から視線を感じる。何というか、あまりよくない感じの。
なんなんだ、と思い視線をそっちに向けると……

「!?」

直感。目の前にいる少女は、自分にとって今なお深き憎悪の対象。
『吸血種』だ。数多の異端を狩って来た経験が直感となり、そして体を反応させる。
無意識のうちに半歩下がり、右手でゲート魔術を起動し対異端法化兵装群が一『Helsing』を呼び出そうとする。
思いっきり臨戦態勢である。

柊 真白 >  
(うらやましくは無いがうらめしい視線を向けていたら、相手がこちらに気付いた。
 これだけ見ていれば流石に気付くか。
 しかし様子がおかしい。
 いきなり戦闘態勢をとられている。)

――なに。

(こちらも歩みを止め、問いかける。
 右手に携えていた長刀を、左手に持ち変える。)

東瀬 夏希 > 「あ、いや……」

思わず臨戦態勢をとってしまったが、そもそも今の夏希は異端だからと無作為に狩る苛烈さは残していない。
構えてしまったのは、どちらかと言えば吸血種と言う直感と、自分の経験則が原因だ。
だが、ここまで来てしまった以上、取り敢えず確認をする。

「……お前は、吸血種か?」

柊 真白 >  
(話は通じるらしい。
 どうやらむやみやたらにケンカを吹っかけるような戦闘狂ではないと言うことか。)

そうだけど。
それが、なに。

(とりあえず聞かれたことには答えておく。
 別に隠す必要もないし、嘘を吐く必要も無い。)

東瀬 夏希 > 「…………」

やはりか、と嘆息する。
そして、Helsingを握る手に力がこもったことで自覚する。

―――自分は、あの日の悪夢を乗り越えられていない。

「私は、ある吸血種に恨みがあってな。思わず抜いてしまった」

それでも、今の自分はそれにただ呑まれるだけじゃない。と理性で憎悪を抑え込もうとする。

柊 真白 >  
(吸血種に恨みがある。
 吸血鬼にでも人生を狂わせられたか。
 だとしても。)

そう。
私には関係ない。

(自身には関係ない。
 誰かの人生を狂わせた覚えはない。
 仕事の後そうなった可能性はなくはないが、それは仕事の結果だ。
 自分がやらなくても、どうせ他の誰かがやっていたことだ。)

東瀬 夏希 > 「そう、だな……ああ、お前には関係のないことだ」

全く関係ないことであり、それをああだこうだというのは筋違い。
それは分かっているのだが……

「(憎い。憎い。憎い憎い憎い憎憎憎……!!)」

憎悪が止まらない。ぐさ、と地面にHelsingを突き立てて堪えようとするが、今にも襲い掛からんくらいの勢いで睨みつける。

「異端……違う、区分は関係ない。だが、くそっ……!」

柊 真白 >  
(件の吸血種が相当憎いらしい。
 さっき口にした通り、自身には一切関係ない。
 関係ないことではあるが。)

――私には関係ないけど。
八つ当たりには付き合ってあげても良い。

(最近ちゃんと身体を動かしていない。
 「軽い運動」でもしておきたいと思っていたところだ。
 何よりこの状態の彼女を放っておいて、どこかで八つ当たりでもされては目覚めが悪い。
 軽く脚を広げ、右半身を前に向けた。)

東瀬 夏希 > 「!」

顔をあげる。相手は臨戦態勢。そして、自分はこの燃え上がる憎悪をこらえきれそうにない。

「すまない、感謝する。
……異端審問教会所属異端審問官、東瀬夏希だ。やるからには全力で行かせてもらう……!」

言いながら、真っ直ぐにHelsingを構えて突貫する。
通常、吸血種にとって単なる突きは特に意味がない。しかも、心臓ではなく腹部を狙っている突きなので弱点を狙えてもいない。
……が、Helsingは正式名称を『Anti Heresy Holy Weapon Series Assault type「Helsing」(対異端法化兵装群強襲型「ヘルシング」)』と言い、その固有特性は『防御貫通』と『不死殺し』。
このブロードソードによる突きは、不死者をそのまま死に至らしめる。
慢心し『体で受けて反撃』などしようものなら、そのままHelsingは命を奪い取る……!

柊 真白 >  
柊真白。
暗殺者。

(相手が名乗るなら、こちらも名乗る。
 構えた相手に対し、こちらは構えもせず両手をだらりと下げたまま。
 突進してくる彼女を見ても、やはり動かず。
 そうして突きが放たれた瞬間、)

――遅い。

(自慢の速度を持ってして、その剣の上に飛び乗った。
 ついでに刀の鞘を彼女の首筋を狙って軽く振り、飛び越える。
 当たっても痛いと言うほどではない威力のそれは、あくまで遊びだと言うようなもの。)

東瀬 夏希 > 「なっ!?」

夏希の突きは決して遅くない。
そもそも、Helsingは突きに異様に特化した性能をしている。
それを使いこなすため、夏希は突きをかなりの練度で鍛え上げているのだ。
それを、遅いと一蹴。

「(コイツ、出来る……!)」

少なくとも、Helsingだけでどうにか出来る相手ではないと判断し、別の武器を取り出そうとして……

「あっ……」

ぺち、と首筋に一撃貰う。
避けて、乗る。それだけでなく、即座に命を奪いうる攻撃。
―――今の一撃。本気ならば死んでいた。
それを自覚し、いよいよもって油断も妥協も出来ないと判断する。

「Siegfried!!」

Helsingをゲート魔術で戻し、即座に「Siegfried(ジークフリート)」と呼ばれるツーハンデッドソード型の新たな対異端法化兵装を取り出す。
その特性は背中以外を無敵の硬さにする「穢れたる血は全てを阻む(ファフニール)」と、浄化の光を斬撃の形で飛ばす「黄昏の極光(バルムンク)」。
速度で叶わぬと判断し、鉄壁の防御を誇るジークフリートで状況の反転を図る。

「おおお……『黄昏の極光(バルムンク)』!」

そして、真白に向かってそれを振り抜き、浄化の光を斬撃として飛ばす。
着地前後ならば、この突然の遠距離攻撃の回避は難しかろうという判断だ。

柊 真白 >  
(彼女の頭上で一回転し、そのまま着地――しようとしたところで飛ぶ斬撃を放たれた。
 なるほど、なかなかに鍛えられている。
 しかしそれを貰うわけにもいかない。
 速度で勝るとは言え、それ以外は負けている。
 ふと彼女の胸に視線がいく。
 ――胸の大きさは今は関係ない。
 着地して避けていたら間に合わないと判断し、空中でナイフを投擲。
 ナイフに付いたワイヤーを街灯へ巻きつけ、軌道を変えた。
 すんでのところで斬撃を避け、着地。)

――鬼さんこちら。

(手首を返して街灯に巻きついたワイヤーを解き、そのナイフを回収。
 そのあと彼女の方へ刀の柄尻を突きつけ、二度軽く振って挑発。)

東瀬 夏希 > 「ぐっ、この……!」

明らかに挑発されている。と言うより、軽く遊ばれている。
夏希とて、数多の異端を狩って来た異端狩りだ。自分の戦闘力に一定の自負はある。
それを刺激されては、ムキにもなろうというもの。

「加減は出来んぞ、これは!」

言いながら、今度はSiegfriedを送り戻し、即座に新たな対異端法化兵装……ブロードソードの『Innocentius』を取り出す。
対異端法化兵装群試作型『インノケンティウス』。最初期に生み出された対異端法化兵装であり、異端に対する汎用的な固有性能を二つ持つと同時、それを同時に発動できないという欠陥を抱えてしまっている試作品だ。
そして今回使う固有性能は……

「限りない願いをもって要望する。異端に裁きを、同胞には平穏を!『異端迫害聖域(スンミス・デジデランテス)』!」

上記の言葉を唱え、地面にInnnocentiusを突き刺すことで、そこを中心とした半径7mの円状に特殊な結界を発生させる『異端迫害聖域』。
その結界の効果は『人ならざる異端に対し、継続的に負荷を与え、加えて能力をある程度抑制する』というもの。
性質上、異端の能力を流用しているSiegfriedとは併用できないが……

「遊んでいられるのもここまでだ!」

即座にHelsingを取り出し、『異端迫害聖域』による制約を利用して今度こそ必殺の突きを放つ。
当たりそうならば寸止めで止めるつもりではあるが、果たして。

柊 真白 >  
(彼女の言葉。
 それが意味するところは、能力の発動で身をもって思い知る。
 ずしりと身体が重くなったような感覚に、脳を圧迫されるような負荷。
 ち、と小さく舌打ち。)

異端狩りというだけのことは――。

(放たれる剣をカチ上げように、抜き放った刀を合わせる。
 当然力の差がありすぎて剣を手放させるようなことは出来ないが、それでも僅かに突きをずらすことは出来る。
 そのまま剣を押し、その反動を利用して横へ飛ぶ。
 先ほどまでの圧倒的な速度差は見る影もないが、それでもまだ戦える程度には動けるのが幸いか。
 長い刀と鞘を突き出し、追撃を防ぐ。)

東瀬 夏希 > 「(よし、『異端迫害聖域』は機能している!)」

先程までの圧倒的速度差が埋まり、パワーでは夏希が勝る。
Helsingは固有性能を発揮させる場合は突きを行わなければならないが、斬撃でも十分な威力を持つ武器だ。
夏希のパワーとHelsingの丈夫さを加味すれば、下手な防御はそのまま斬り伏せることも可能……!

「おおおお!!!」

攻撃を直接本体に当てるというよりは、防御をパワーで吹き飛ばす狙いの斬撃を繰り返す。
……ついでに、可能な限りInnnocentiusから真白が離れないような位置取りを心掛ける。
『異端迫害聖域』はInnnocentiusを中心とした半径7mの円状に発生する。
つまり、そこから出られてはこの優位はたちどころに消えてしまうのだ。
そうならないよう、立ち回りで中に押し込めるように動く。

柊 真白 >  
(全く、嫌な相手だ。
 異端――つまり自分のような人外を狩ろうというのだ。
 そのぐらいは当然だろう。
 振るわれた剣を、反対側へ飛びながら防御する。
 そうでもしなければ腕が折れるが、その分身体が思い切りはじけ飛ぶ。)

馬鹿力め。

(それでもただ黙って良いようにされるつもりも無い。
 転がりながら着地し、起き上がりざま腕を振るい、スカートの下から取り出したナイフを投げつける。
 追撃をしてくるならその足を地面に縫いとめる軌道、やや遅れてそれを防ぐと肩へ刺さる軌道の二本。)

東瀬 夏希 > 「逃がすものか!」

飛んで威力を逃がしながら防御され、そちらに向かって追撃を行おうとする……ところに飛んでくる、ナイフ。

「(ちっ、上下段同時か!)」

飛んでくるナイフは、上下段同時攻撃。両方を同時にどうにかしつつ追撃を行うのは不可能。
ならば。

「この程度で、止まると思うな!」

Helsingで足狙いのナイフを弾き、そして肩へのナイフはそのまま受ける。
……ダメージと言うのは、それを受ける際の心構えで随分と変わってくる。
最初から覚悟して受ければ軽減されるし、意識していない攻撃を受ければ大きくなる。
今回、夏希は二本目のナイフを最初から受けるつもりで気構えた。
それにより……ダメージに歯を食いしばりながらも、足を止めずに済む。
痛みを意志でねじ伏せ、そのまま追撃を行おうと接近。上段からの斬り下ろしを放つ。

柊 真白 >  
(動きの止まる足へのダメージを嫌って、肩のナイフはそのまま受けた。
 それはつまり、多少の被弾を気にせず確実に相手の息の根を止めると言う意思の表れだ。
 他人の選択だ。
 自分には関係ない。)

――。

(振り下ろされる剣を、半身になって避ける。
 速度を殺されても、長年培った技術までは殺せない。
 右半身を前にして、右手に持った刀を彼女の首へと振るう。
 が、それは当てない。
 身体に隠してやや遅れて放った左手の鞘の先端を、彼女の肩へと――突き刺さったナイフの柄へと、思い切り突き出す。)