2017/08/28 のログ
神代 理央 > ―そんな事を考えながら歩いていれば、段々とネオンが煌めき往来する人々も所謂《普通》の身形をした者が増え始めた。
どうやら落第街を抜け、歓楽街の端まで辿り着いてしまったらしい。

「…こうして考え事をしている間は、疲労を感じずに歩いていられるのだがな。まあ、大した距離を歩いた訳でも無いのだろうが…」

改めて己のフィジカル面の脆弱さに辟易しつつも、小さく背を伸ばして探索を終了する。
流石に落第街の全てを見てまわったとは言い難いが、大通りから連なる大凡の土地感覚は把握出来た。

「後は、何処まで壊して良いかのお伺い立て、か。しかし、土地の事を心配する者は居ても、この街の住民を心配する者がいないというのは、それ自体が暗部だと思わなくもないが…まあ、知ったことではないな」

この街の住民はあくまで《存在しないもの》として扱われる。
この街で死んでも統計的な数字にすら反映されない彼等は、何故この街にしがみついているのだろうか。
僅かに疑問を覚えなくも無かったが―どうせ吹き飛ばす相手の事を気にしても仕方がない、と緩く首を振って落第街を後にした。

ご案内:「落第街大通り」から神代 理央さんが去りました。