2018/01/21 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 「…卒業間近だからといって、こんな場所を訪れる連中の気が知れないな。度胸試しで訪れる様な場所でもあるまいに」

卒業式まであと1ヶ月程となった現在。
落第街にて風紀委員にしょっぴかれる一般生徒の学年が上がりつつあることに小さく溜息を吐き出していた。

卒業後島外に進路を定めている者も多く、島を出る前に訪れてみたいという気持ちは分からなくも無いが―

「こんな所を訪れた所で、何かしら満たされる訳でもあるまいに」

警邏に当たっている他地域の委員からは、既に数件の補導報告が上がっている。
砲身を針鼠の様に生やした金属の異形を引き連れて、此の街に相応しくない――邪気も度胸も無いような一般生徒――者を探して、少年はゴロツキの跋扈する大通りを闊歩していた。

神代理央 > 相も変わらず、風紀委員の腕章を身に着けた自分に向けられるのは憎悪、蔑み、疑惑の視線ばかり。
マイナスの感情を向けられる事には最早慣れっこになってしまったが、行動を起こす者がいない事には些かフラストレーションが溜まってしまう。

「まあ、起こされても面倒なだけではあるのだが」

ゴロツキ程度に遅れを取るつもりはサラサラ無いが、後処理を考えれば戦闘は他の委員に任せたい。
むしゃくしゃした気分を晴らす様に、ポケットから取り出した飴玉を口に含む。
甘味だけを追求した人工甘味料に彩られた飴玉が口内でコロコロと転がる度に、少しだけ表情が穏やかになっていく。

そんな様を眺めるゴロツキ達に侮蔑の入り混じった視線を向けられても、甘味を摂取する事は少年に取って重要な事であった。

神代理央 > 口の中の飴玉が溶け出し、暴力的な甘味を少年の口内に広げていく。
その様を遠巻きに眺めていた落第街の住人が一人、下卑た笑みを浮かべて少年に近付いていく。

この街の住人にしては些か小奇麗な見繕いの男は、少年の背後に控える異形に竦みながらも言葉を発する。
《飴玉よりも女の肌に口付けたくはないか。ウチの店は風紀委員様の為に上玉を揃えていますよ》と。

そんな男を無感動に眺めていた少年は、ふむふむと小さく思考を咀嚼する様な素振りを見せた後―

「風紀委員相手に淫猥な誘惑を持ち込むのはどうかと思うが、異能を発動させている相手に臆さず向かってきた事は評価しよう。貴様の様な連中が街を取り仕切って居れば、無秩序な暴力が吹き荒れる事もあるまい。
とはいえ、その提案は不愉快だ。後ろの砲塔が火を噴く前に、貴様の縄張りに戻るが良い」

男は男なりに、自分に出来ることで風紀委員の暴力と権威から自分のテリトリーを守ろうとしたのだろう。
そういった気概を持つ者が街を纏めている限り、この落第街からゴロツキが溢れる事は無いだろう。
この街は、ある意味で必要な存在ではあるのだ。ゴミ箱として。落第者の受け入れ先として。権威を振るう対象として。

そんな少年の思惑を知ってか知らずか、些か拍子抜けしや様な表情を浮かべなから男は足早に立ち去った。
硝煙が吹き荒れるかと身を隠していた住民達も、怪訝そうな表情と共に通りに戻りだす。

「……別に、火力を行使する事に快楽を覚える様な性癖は無いんだがな」

この街の住民に自分はどのように思われているのだろうか。
無駄に甘さを増した溜息を一つ吐き出した。

ご案内:「落第街大通り」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 落第街。底の見えない闇が渦巻いて、澱んだような街並み。
そんな場所に近づかなくていいなら近づきたくはないのだが、
弾薬を安く買おうと思うとどうしてもここに来ることを避けられなかった。
そう言う意味で軍隊という場所が如何に恵まれていたかを痛感する。

「ええ、約束通り。
 弾数と状態も良好よ。ありがとう」

いわゆる武器商人という輩。その一人とはここ最近ずっと取引をしていた。
なぜ彼がこんな場所で武器商人をしているのか不思議なくらい真面目。
まだまだ信用はしていないが他と比べて比較的まともだった。

そんな様子で取引をしていると、少し遠い場所に風紀委員らしき人影。
背後にはなんとも形容しがたい金属のそれ。
見るからに威圧的な姿は遠くからでも十二分に認識できた。
出来れば関わりたくないなぁと思いながら代金を承認にわたして>

神代理央 > ともあれ、暴力沙汰は回避できた。
街中――といって良いのかは疑問だが――で異能を行使するのは、落第街と言えども気が引ける。
後処理を頼むのが面倒であるし。

「補導の実績は無し、か。まあ、素行不良な生徒が居ないことを喜ぶべきなのだろうな」

飴玉を転がしながら再び大通りを闊歩する少年と金属の異形。
後は巡回を終えて本部に帰投するだけ。そう楽観的に構えていたのだが―

「……あれがこの街の住民か、それとも生徒なのか。出来れば前者であって欲しいものだが…」

住民が行き交う大通りで相手に視線を向けたのは偶然だった。
服装は目立つものでは無いが、相手が持つギターケースは雑踏の中でも十二分に目立つものだった。
そして、此の落第街で音楽活動に勤しもうという気概のある音楽家を、少年は知り得なかった。

「…声だけかけてみるか。何事もなければそれで良い訳だし」

補導対象なら少し面倒だな、と思いながらも、少年は視界に捉えた相手へと歩みを進める。
其処で行われている物騒な取引等知らぬまま―

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ええ、そうですね。これからも定期的に貴方のところから買うことになりそうです。
 次回は来月の同じ日にお願いできますか?その時は9ヤードを10本で」

お金を渡すと、商人から商品、つまり機関銃弾がじゃらじゃらと音を立てて箱から出される。
それをギターケースにしまっていくのだが、いつもより多く買ったせいかおさまりがわるい。
なかなかギターケースにおさまってくれない弾丸に四苦八苦していると、
件の風紀委員がこちらに向かっていることに気づけなかった。
そして彼に気づいたのは、彼が引き連れる異形たちが地面を引きずるような音が届いた時だった。
ハッとして視線を音の方向に向けると、声が届きそうな位置に風紀委員。
マズいと思って視線を前に戻すが、先ほどまでそこにいた商人は姿を消し、どこにもいなかった。
本格的にマズいのでは?と思って慌てるが、ギターケースの蓋は一向にしまってくれず、
完全に不審者だった。>