2018/07/16 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 世間では三連休の最終日に当たる今日。
それは犯罪者達にも適用されるのかは知らないが、夜の帳が下りた此の時間では、落第街の通りを行き交う人々の数も何時もより少なく見える。

そんな落第街の大通り。隠す事も無く風紀委員の腕章を腕にぶら下げた少年は、眼前に浮かび上がる液晶を眺めながら大通りを闊歩していた。

「今の所、目ぼしい情報は得られていないか。まあ、最初から期待している訳でも無いが…」

落第街やスラムで行われている密輸組織についての聞き取り調査。といっても、堂々と風紀委員が聞き込みに訪れて情報を話す者は早々いない。
以前なら、適当に切り上げてスラムや違反組織の拠点に乗り込んでいたのだが―

「既に7発。余り弾薬を消費したくは無いのだがな。まあ、致し方あるまい」

この街ではさして珍しくもない硝煙の匂いを纏わせる少年。
聞き込みで訪れていた情報屋や商店の店主達には、謝礼として腰の拳銃から何発か贈呈していた。
服が汚れるから、と返り血を浴びないようにはしていたが、火薬の匂いまでは消せる訳でも無し。
シャッターの下りた雑居ビルの前で立ち止まると、軽く制服を叩いて匂いを落とす。

「さてさて、お得意様を失って義憤に燃える様な連中でもあるまいが…」

次はどの業者をあたってみるか、と思考に耽りながら、シャッターに凭れかかりぼんやりと思考に耽る。

神代理央 > いわば、撒餌の様なもの。
フリーの違法商店や情報屋なら別に見咎められる事も無いが、違反組織に関与している者達であれば、当然殺害された時点で何らかの動きがあるだろう。
当たりを絞り込むのは中々面倒な作業ではあるが、狩りの前の下準備だと思えばさしたる苦労でもない。
追い立てられた獲物を狩るというのは、己の欲求を十二分に満たしてくれるのだから。

「…商店や商人に限らず、賭博場や娼館の連中も的にしてみるべきか。あのマーケットから定期的に仕入れている奴なら何でも構わんのだが…」

ふーむ、と考え込みながら懐から取り出した飴玉を口内に放り込む。舌の上で溶けて、味覚が崩壊する様な甘さが唾液と共に広がっていく。
その暴力的な甘味に満足気に目を細めながらも、次のターゲットを思案する様に浮かび上がる液晶を眺めていた。

神代理央 > 時折振動音と共に通信機が鳴動する。
浮かび上がる液晶にリンクさせれば、大抵は他の風紀委員からの任務報告、雑多な報告事項、明日の予定表等。

機密事項に関する事は表示されない様になっているので、こうして落第街でも堂々と眺めていられるのだが―

「……ターゲットに関する情報が無いな。諜報係は何をしている?」

此方に流れて来るはずの落第街の情報屋や違反商人、業者の情報が無い。
最後の商店を襲撃―もとい、情報収集に訪れるまでは受信していたのだが。

「また、『穏健派』の連中が横槍を挟んだか?…全く、人の狩りの邪魔をするとは無粋な連中だ」

苛立たしげに舌打ちすると、転がしていた飴玉を噛み砕き、飲み込んだ。