2018/08/30 のログ
ご案内:「落第街大通り」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 「レールガン、チャージ。」

エフェクトがかかったノイズ混じりの如何にも
機械と言ったその声。
それと同時に放たれた20mmの弾は即座に数多もの
鉄球として分散し、通りを制圧する。
哀れにも引き裂かれる事となったのは
最近、裏の世界で話題をかっさらう真っ赤なアンデッド達。

「目標に弾着、有効打。」

対集団用として設計されているキャニスター弾は
一色となっているアンデッドの群れを霧へと変える。
風紀委員会の中でも暴力的として知られる派閥は
収まらないパンデミックに多脚戦車の投入を決定した。

イチゴウ > 汎用機譲りの二つの目を持つ顔パーツは
粉々にしても奥から補充されるアンデッド達の群れを
真っすぐと捉え続けている。
機体に貼られた風紀委員会のエンブレムは
彼らにとって何の象徴にもなりやしない。

「質問する、キミ達はどこから来たのだろうか?
キミ達の目標は何だろうか?」

この異変に関しては多方から情報をキャッチしていた。
だからこそ彼らには興味がある。
機械は恐怖など感じない、
人工知能はその知識欲をただ純粋にぶつけるが
彼らは何も語らない。
ただ唸り列を成し行進してくるのみ。
彼らの中には何もないのだろう。

「レールガン、チャージ。」

四足機に背負われた二本から成る砲塔が再び
電気エネルギーをチャージさせる。
この惨事に多くの住民は逃げたようだが
一部の逃げ遅れた者がいる。
電磁加速された音速を超える散弾はアンデッドのみならず
そういった者達までバラバラにしてしまうが特にロボットは気にしない。
与えられた任務は「アンデッドの殲滅」なので。

イチゴウ > 駆除を始めてから幾分かの時間が経った。
すると他のアンデッド達を踏みしめ粉砕しながら
一際巨大なアンデッドが通りを支配する。
その姿はまるで人をまとめて捕食してしまいそうな程
大きな甲殻虫。それは周りのコンクリート製の建物を
破壊しながらはるかに小さい戦車へと
徐々に徐々に歩みを進める。
だがその本質は他のアンデッド達と変わらない。

「レールガン、チャージ。」

無機質な音声でまた一言。
プラズマ化寸前まで加速された弾は
大きなインセクトアンデッドを貫き破裂させる。
何の唸り声を上げる暇さえ与える事無く
その大きな巨体は真っ赤な液体として飛散し
しばしの間、一帯に血のような雨を降らせる。

「ただサイズを大きくするだけでは効果的とは言えない。」

紅い雨粒を受け機体の色を変えながら誰に対してでもなく
そんな事を呟く。