2018/12/02 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 落第街の一角。何の変哲も無い古びた倉庫に、風紀委員会の車両が集結し、続々と中に居た者達が連行されていく。
倉庫内の物品も次々と押収され、防弾加工が施されたバンやトラックに山のように積み上げられていく。
煌々と灯る赤色灯の群れが周囲を照らすのを、落第街の住民達はありふれた光景だとばかりに一瞥しているのだろう。
「存外抵抗しないものだな。まあ、無駄な戦闘が避けられた事は僥倖だが」
制御薬の販売と密造に携わっていた組織の摘発。
鋼鉄の異形と部隊を率いて押入れば、その戦力差をみた構成員達は早々に降伏した。
その呆気なさには些か拍子抜けしたものの、此方側に被害が無かったのは良いことかと考えを改める。
「……周囲の警戒を兼ねて少し出てくる。何かあれば知らせるように」
捜査員達に指示を出していた風紀委員に声をかけると、喧騒に包まれた現場から離れて一人歩き出す。
此方が一人になれば何らかのアクションを起こす違反部活もあるだろうかと、散歩半分な気持ちで薄汚れた落第街を歩き始めた。
■神代理央 > 今夜は、比較的楽な任務―というより、運が良かった。
アンデッド騒ぎによって相変わらず戦闘要員の不足は続いているものの、巨大なアンデッドとの戦闘跡が違反部活の倉庫から発見され、落第街への配置人員が増加。
その恩恵に預かって、今回の摘発任務への人員も確保できたというわけ
「毎度一人で戦争ごっこというのも疲れが溜まるからな。偶には、こうして羽を……まあ、伸ばせてはいないが」
目に映るのは、学園都市の暗部を凝縮した様な落第街。
こんなところで羽を伸ばすも何もないか、と歩きながら小さく溜息を吐き出した。
ご案内:「落第街大通り」にルギウスさんが現れました。
■ルギウス > 落第街の一角で。
ふとスポットがあたり、ある男がやや身形のいいチンピラにアタッシュケースを渡している。
「さて、今回の代金をいただきましょうか。
もちろん、耳をそろえて払っていただきますよ?貴方の代わりはどこにでもいるのですから」
理央が気がつけば、たまたま会ったような友人のように軽く手を上げて挨拶をするだろう。
■神代理央 > 気の進まぬ散歩の途中。
余り明るいとは言えない落第街で照らされたスポットの先には、否が応でも忘れ得ぬ男の姿。
此方に手を上げる彼の姿に暫し逡巡する。
この街では忌み嫌われる風紀委員の制服を身に纏っているが、問題ないだろうかという懸念。
だが、問題があるのなら態々挨拶を寄越したりはしないだろうと思い直し、此方も軽く手を上げて返礼すると彼の元へ歩み寄るだろう。
「商談は順調か?金は天下の周り者だ。適正な商品を適正な金額で売買している事を願うがね」
■ルギウス > 「ええ、順調ですよ。
とても順調です……ついでに彼を捕まえたらポイントの足しになりますよ?」
ははは と笑いながら風紀の前で堂々と対価を受け取りしっしっとチンピラに向かって手を振る。
「そちらこそ、体調他に変化はありませんか?
あの薬そのものには副作用らしいものはありませんから、あるとすれば異能によるものでしょうからねぇ」
暇つぶしなのか、光の球をつくり指の周りをクルクルと回している。
■神代理央 > 「小物を捕まえて得られる得点よりも、貴様と話している時間の方が有意義だ。何せ私は被検体だからな。主治医と話す時間は貴重でね」
チンピラを僅かに一瞥するが、興味を失ったという様に彼に視線を戻す。
「服用して直接的な副作用や体調の不良は見受けられない。だが、そうだな。異能そのものは確かに強化されるが、発動後に頭痛に悩まされていてね。良い頭痛薬があれば、分けて欲しいものだが」
制御薬の服用について、特に隠し立てしたり情報を欺瞞する事は無い。
何せ、彼は製造元ないし流通元だ。正直に言えば、完全な制御薬を完成させて欲しいという思いもある。
「精神的な面については…どうなんだろうな。今の所自分が変わったという自覚は無いが、こればかりは自分自身では分からん」
そう締めくくると、僅かに肩を竦めてみせた。
■ルギウス > 「私の専門は、主に心の方面ですけれどね。
それ以外は魔法で治してしまいますので」
まぁ、自分の心はよくわからないのですが なんて笑い。
「ええ、異能を使うのに邪魔なのは“心”ですからねぇ。
できないと思う心、抑えなければならないと思う心。それらが異能にとって一番邪魔なんですよねぇ。
使用後に頭痛があるとすれば……器が耐え切れていないか別のトラウマにでも抵触しているかでしょうかねぇ?」
くつくつと笑って。
「頭痛が辛いなら、何かと痛みを引き換えにするような薬なら処方できますよ?」
■神代理央 > 「制御薬をばら撒きながら精神科医の真似事とは、マッチポンプも良いところだな。これまで服用した者達から、良いデータは得られたかね?」
笑みを浮かべる彼に、皮肉げな笑みを返して視線を向ける。
尤も、その表情は直ぐに思案気な、真面目なものに切り替わって―
「…ふむ。器の問題と言うならば、未だ発動に至らぬ私の異能と、現段階で強化されている異能がリンクしている可能性もあるのだろう。トラウマについては…分からんな。記憶がない、という方が正しいのだろうが」
自身が持つと父から言い含められている異能については、発動した記憶が全く無い。それがトラウマになっていると言うのなら、違った方面からのアプローチが必要なのだろう。
「…引き換えるものにも寄るがな。頭痛ごときに大層なものを失うつもりは無いぞ?」
■ルギウス > 「むしろ、心に問題のある方ほど制御薬を必要とされているのが多いですよ?
……ええ、もちろん“その悩みは”解決しますとも。
そして良いデータは得られていますよ。被験者のデータほど役に立つものはありませんからねぇ。
無論、貴方からも」
皮肉を言われても何処吹く風の張り付いた笑顔。
面の皮が鉄でできててしかも厚い。
「単純に異能に対価が必要であるパターンもありますよ。
己の炎で身を焼く なんていうのはよくある話でしょう?」
肩を竦めてああ大変だ とサングラスをくいっと上げる。
「さて、その三つ目の異能があるとして。
現在見えている技能は、その下位互換……ないしは零れ落ちたモノの可能性が高い気もしますねぇ。
無理に使っているから、無理が生じている」
本当のことは、父親でも脅して聞くのが一番早いでしょうがね と付け加えて。
「寿命と正気、どちらがお好みですか?」
ろくな対価じゃなかった。