2018/12/09 のログ
■神代理央 > 歩きながら通信端末を開き、風紀委員会のページにアクセス。
各員の任務遂行状況や緊急の通報内容が表示されるが、今の所火急の案件は無いようだ。
強いて言えば、歓楽街で暴れている酔っぱらいが多い、ということくらいか。
「流石に、酔っぱらいを消し飛ばす訳にはいかんしな」
小さく苦笑いを零すと、懐から取り出したチョコレートを一つ口に放り込む。
銀紙に包まれていた香りの良いチョコレートは、程よい甘みと糖分を口内に満たし、仄かに精神を高ぶらせた。
■神代理央 > とはいえ、多少は騒ぎが起こって貰わねば此方も仕事にならない。
治安の悪化は風紀委員会への攻撃材料であると同時に、存在意義の強化にもなり得る。
人員と予算の確保。政治的な対立要因を持つ公安委員会との確執。それらを優位に進める為には、風紀委員会の武力が必要不可欠であると市民に訴える必要があるからだ。
「三流国家のマッチポンプではあるが…まあ、致し方あるまい
」
やはり違反組織を焚きつける必要があるだろうかと、口の中でチョコレートを転がしながら思考に耽る。
自然視界は狭まり、此方を避ける住民達の視線はより鬱陶しそうなものへと変わっていくだろう。
■神代理央 > チョコレートが溶け切った頃、端末が鈍く振動する。
何事かと開いてみれば、本庁からのお呼び出し。落第街の警邏について対策会議を行うので参加する様に――との仰せだった。
「…やれやれ。そんな事、暇な連中だけでしてほしいものだが」
とはいえ、後方での会議や事務仕事は元々望むところ。
というよりも、本来はそちらの方が希望職種と言える。
軽く背伸びをして背中を解すと、足早に落第街から立ち去っていった。
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。