2015/06/12 のログ
■東郷月新 > 「ほう、島の征服ですか。
それは面白そうですなぁ」
うんうんと頷く。
野望が大きいのは好ましい。
東郷自身、『斬る』という欲望の為だけに生きているようなものだから。
「楽しみにしておりますよ。
もし首尾よく島の支配者になったら――
その時は、是非お相手願いたいものですなぁ」
常世島の支配者。
この混沌たる島を統べるもの。
――いいですなぁ、是非、斬ってみたい。
■能見さゆり > ありがとうございます、先輩。
もしかして……先輩も少々丸くなりましたか?
以前より余裕が増したように思います、戦い以外でも物事を昔より楽しまれるようになったのでしょうか。
【受け入れてもらったことに感謝をし、笑顔で礼。
いつも笑顔ではあるが、笑顔にも種類があるように思えるし表情が読み取れる。
昔はそもそも表情もなく能面みたいだったはずなので、屈託のない笑顔を向けるあたり見違えるのも無理は無い。】
■東郷月新 > 「グランドマスター殿から、斬る事以外も覚えろと言われましてなぁ。
今はロストサインの為に、と汲々としておりませんし。
案外、こちらの生活の方があっているかもしれませんなぁ」
好きな所を歩き、好きな時に眠り、好きな時に斬る。
そんな生活を、結構楽しんでいるのだ。
■魔王バラル > 「ふふ、気にしなくて良いわ。こっちの話。
ええ、宜しく。一応学園にも籍を置いているから、会う事もあるかもしれないわね。
――貴方の名前、一度聞いておいても良いかしら?」
不思議そうなさゆりを見れば、新しい玩具を見つけたような、にやりとした笑みへと変えた。
「ええ、いつでもいらっしゃい。
案外、貴方が彼女の提案を聞いて身を寄せる場所を見つけるなら、
征服する前にやりあうかもしれないわね。征服とは、そう云うものよ。」
"とても面白いわよ"。にやりとした笑みは東郷へも向けられる。
挑戦的に、挑発的に。
■能見さゆり > まあ、先輩……あの頃は衣食獣を満たしていればいいっていう感じでしたからね。
住むじゃ無くて獣のほう。
異能をあまり交えないスタイルの戦い方は今でも随分参考にさせてもらっています。
先輩の立ち回りは、強化系とやりあうのに随分と学ぶべきところが多いですから。
【さゆりは比較的オールラウンダーだ。基本的に広い範囲での対応力を優先とする
故に、相性の悪い自己強化系の対処を安定させたいのだろう。】
あら、素性を聞かれてましたからてっきり自己紹介が遅れていましたね
風紀の能見さゆりと申します、よろしくお願いします。
【魔王に挨拶。にこやかに会釈する。
ある種、嗜虐を誘う笑顔であるかもしれない】
■東郷月新 > 「はは、本当に上手い事を言いますねぇ」
衣食獣とは。
なるほど、言い得て妙だ。
「ま、小生はその戦い方しか出来ませんからなぁ
でも、有象無象相手はまだまだ負ける気はしませんがねぇ」
うんうんと頷く。
「――いやぁ、その日を楽しみにしておりますよ」
その笑みは、肉食獣のようであったかもしれない。
「さて、では小生はそろそろ行くとしましょう――
さゆり、縁があったらまた会いましょう。
風紀委員である以上――小生を追ってくる事も、あるでしょうなぁ」
■魔王バラル > 「風紀委員の能見さゆり、ね。覚えたわ。――いい顔、するじゃない。」
嗜虐を誘うさゆりの表情。
自分の中の感情が昂ぶれば、思わず己が魔力も昂ぶる。
それは外にも、少しだけ放出されるだろうか。すぐ、鳴りを潜めるが。
「でも、今度に取っておきましょ。勿体無い。
だって、風紀委員な貴方とは、私とも何度か見えるかもしれないもの。
――――愉しみにしているわ。能見さゆりさん。」
■能見さゆり > そうですね、先輩はどうせ成長した可愛い可愛い、じゃあやろうか、でしょう?
でも、もし私が捕まえたらさらに補修ですからね?
そっちの覚悟もしてくださいよ?
【苦笑する、先輩は相変わらずだ。あまり自分の知らない先輩になってなかったりはしていないらしい。
もっとも先輩からしたらほぼ別物だろうが、向こうからしたらそれも刀を交えるのが楽しみなだけなのかもしれない】
■魔王バラル > 「さ、私もそろそろ行くとしましょう。
――今夜の散歩は上々の収穫ね。」
上機嫌に声を弾ませ、踵を返す。
そうして、そのまま去るだろうか。
「愉しみにしているわ、東郷さん、能見さん。」
ご案内:「違反部活群/違反組織群・焼け跡」から魔王バラルさんが去りました。
■能見さゆり > どういたしまして。
バラルさんもこちらで騒ぎを起こしたい方面の方なんですか?
あまり私たちの手を煩わせないようお願いしたいところです
……私も別に捕まえたり処分対応したいわけではないですので。
【笑顔で返すとその背中を見送った】
■東郷月新 > 「いやぁ、小生の事をよく分かっている」
うんうんと頷く。
この少女が、もっとも人間らしくなったその時――あぁ、その時に斬れれば。
東郷はその光景を想像し、密かに微笑む。
「はは、またあのつまらない監獄はごめんですなぁ
――では、また」
背を向け、立ち去る。
再会を、心から楽しみにしながら。
ご案内:「違反部活群/違反組織群・焼け跡」から東郷月新さんが去りました。
■能見さゆり > はい、言ってもあまり意味が無いとも思いますが……先輩もあまり面倒は起こさないでくださいね
私と遊びたいなら、そのタイミングで先輩が怪我してたら元も子もないと思うので。
【別に万全な条件でなければいけないというわけでもないしそんな我儘をいう先輩でもないが
一応こういってけば言わないよしマシだろう。
たぶん言ってもやるのだろうし。
そんな先輩を笑顔で見送った。
不思議な再会だった】
ご案内:「違反部活群/違反組織群・焼け跡」から能見さゆりさんが去りました。
ご案内:「違反部活群」にクロノスさんが現れました。
■クロノス > 影で縛られる違反部活の生徒を冷めた目で見下ろす。
『新たに手に入れた』異能を試すついでに、
1つくらい違反部活を潰しておこう。
という、一石二鳥の作戦だ。
「なるほど、影を操る異能ですか。」
実際には闇を固形化したりも出来るようだが、
どうにもそれは出来ないようだ。異能力が不足しているのかもしれない。
影で縛られた学生を踏みつける。
鉄が底に仕込まれたブーツはさぞ痛いのだろう。
苦悶の声を上げている学生を、歪んだ笑みで見下ろす。
「あまり攻撃的ではありませんが、便利な異能ですね。」
縛ったままの学生に蹴りを入れると、部室から出る。
そのまま冷めた目でマッチを擦ると、中に投げ込んだ。
■クロノス > 「調査完了、備考特に無し。」と書類に記載すると、
満足そうに微笑んだ。
「私の異能はどこまでも強くなる。
―――そして、いつか、あの『炎の巨人』に。
この学園を浄化する『天使』に手が届く。」
空を見上げ、月に手を伸ばす。
「待っていて下さい、偲様。
―――私が貴女の悲願、必ず叶えて見せます。
ええ、愛する一般生徒達の為に。」
だから今は、真面目に仕事をする。
真面目に仕事をしながら、問題ない相手から、
―――少しずつ少しずつ異能を奪い取る。
■クロノス > 「それに、少しずつでも『浄化』は進めなくては。」
焼け落ちた違反部活を眺めると、満足気に微笑んだ。
全ての違反部活が、落第街が、腐敗しきった委員会街がこうなれば、
どんなに心が晴れやかだろう。
ご案内:「違反部活群」に鈴鳴トバリさんが現れました。
■鈴鳴トバリ > 「……――おォ、なンだなんだ」
――ぽつり。まるで雨がひとしずく落ちて広がるように。
焦げた匂いたちこめる沈黙の街に、声が転がり込んだ。
「……随分とまァ気の早ェキャンプファイアーだなァ?」
見遣れば其処には、いつから居たのだろう、少年が立っていた。
火事を釣られた有象無象の烏合ではあるまい。
鋭く濁った目付き。推察するに、少なからず全うな一般生徒ではない。
それを裏付けるように、その行為をとがめるようでも称賛するようでも、
ましてや通報なんてしよう様子でもあるまい。
ただただそこに立って、ただただ燃え痕を臨んで独り言のように呟くのみだ。
■クロノス > にっこりと口元を歪ませる、餌が転がり込んで来た。
落第街の住人『刃杭生成』の鈴鳴トバリ。
「では、あなたはそのキャンプファイアーに集まって、
愚かにも火に入る夏の虫といった所でしょうか。」
『そちらも些か早すぎましたがね。』と笑う。
この学生は素行不良が非常に目立つ、
たとえ死んでも誰も悲しまないだろう。
『天使』に捧げる生贄には丁度いい。
血のついた鎌を振るうと、彼に向き直る。
■鈴鳴トバリ > 「あァ?」
怪訝そうに、しかし口元に張り付くのは隠し切れぬ薄ら笑み。
「オイオイオイ、なんだァ? まるでいかにもぼくのことを知ってるみたいな調子じゃねェか。
生憎ぼくは手前のコトを1ミリたりとも知らねェんだけどなァ」
言葉と共に差し向けられたものは決して良い感情ではない。
ぴりぴりと空気が揺れて動く。ちりちりと灼けつくようなものが肌を突き刺す。
鈴鳴トバリはその正体を知っている。
――殺気。
「あッは」
気味の悪い笑みを溢して。ポケットに手を突っ込んだ。
「さァ、どうだかねェ。
さしずめガソリンかなァ、燃え盛るなかにぶちこんでやったら楽しそうじゃねェか?」
――視線は注意深く、鎌の鋭さを捉えている。
■クロノス > 「監視番号128番、鈴鳴トバリ」
にっこりと口元を歪ませる。
この少年の異能はさぞ美味しかろう。
「素行不良が目立ちますから、
公安委員執行部『クロノス』が、『厳重注意』させて貰いますね。」
鎌をトンと地面に打ち付けると、ドロドロと紅いものが広がる。
―――彼女が取り込んだ命の逆流。
出されたソレは『赤い人型』を形成し、
やがて、おぞましい声を上げて彼に向かって行くだろう。
「精々、『天使』の迎え火に派手な炎を上げてください。」
にっこりと、彼に笑いかけた。
■鈴鳴トバリ > 「あァ、成程ねェ。手前ェ、公安の狗か。クロノスたァ随分と大層なオナマエじゃねェか。
くっく、ぼくは手前らのタワムレゴトにゃァ興味なんざ無ェんだが――」
(……――正解だったなァ)
ぽつり。呟いた言葉は音も成さず空に溶けて夜に消えた。
飛んで火に入る夏の虫。或いはそうなのだろう。
彼がこんな場所に足を運んだのは「匂い」を感じたからだ。
といっても、肉や建物が灼けるような直接的なそれではない。
彼が感じたものは――
「えェ、どうするよ……」
――じゃり。ポケットの中で、何かが啼いた。
「――あァ、そうだなァッ!
興味なんざ無ェ! だが、こうもフッかけられちゃァノってやるしかないよなぁ!!」
彼が感じたものは――「歓喜の匂い」だ。
それは「闘争」 それは「血煙」 それは「鉄火」 それは「殺戮」 それは「絶叫」
生命を散らせ、覚悟を掻ッ捌き、因縁を喰らって混ぜ込んで平たく潰す。
「命の遣り取り」!それこそが「歓喜」!
後の事も先の事も考えていない。
彼はただただ愉悦のためなら業火の中にも狂喜して飛び込むだろう。
“だからこそここにきた”!
「――ッはっはっはっはっはははははははははははははははははははっ!!!」
疾走してくる赤い異形を認めるや哄笑。
そしてポッケから手を引き抜くなり、小さな黒い弾丸のようなものを射出する。
それも一発ではない。まるで散弾銃のようにだ。
赤い人型が大した強度も無ければ、爆散貫通は容易であろうが、果たして。
一方彼は、射出攻撃を行いつつ一歩バックステップを刻んだ。
■クロノス > 「公安の狗ではありません。
そうですね、風紀委員にもいるでしょう、狂犬ですわ。」
にっこりと微笑む。
彼にけしかけた赤い異形は黒に蹂躙され、塗りつぶされ、
次々と床に溶け消えて行く。だが量が量だ、後から後へと彼を追いすがる。
「―――神の罪を裁きしアダマンの鎌よ、
―――父すら許さぬ断罪の鎌よ、」
前衛を血の軍勢に任せながら、彼女も高らかに呪文を唱える。
鎌を持つ見た目に騙されたか、距離を取る彼に対応したかのような、
―――魔術士としての戦い方。
逃がすわけには行かない、彼には、存分に血を散らして貰わなくては。
それは完成されれば大量の刃を召喚し、
目の前の男目掛けて降り注ぐだろう。
■鈴鳴トバリ > 「はッはっ!! 良いねェ好いねェいいねェいいねェッ!!
それくらいにトんでるほうが気にいるってェモンだッ!!」
高める。昂ぶる。それは生命体として、命と命を等価に賭けるにあたり必要不可欠な野性の血。
その一方で、鈴鳴トバリは異様なまでに冷静に思考を回転させていた。
(――公安。こんなトコで接触するたァ、ツイてるんだか無ェんだか)
血人形の強度は並み以下。これなら「杭の散弾」でエンドレスに潰殺できるだろう。
しかし終わりが見えない。その一方でこちらには「残弾数」がある。
取るべき選択は「短期決戦」か――だが、未だ相手の手札が読めない。
まだだ。まだ「情報」が足りない――!
「……はッ!そいつは『詠唱』かァ? 聞き飽きたぜ、そのクソ気取ったポエムもどきはよォ!!」
聴覚が警鐘を打って鳴らす。あれは「予兆」だ。「何か」が来る。
自分は防御手段をろくに持たない。ならばやるべきことは一つ。
「えェッ、ブチ撒けろッ!!」
即ち――『攻撃』。とにかくひたすらに押し切って反撃の隙を与えぬこと。
手を薙いで放ったのは散弾ではない。鋭く、長く尖った『杭』だ。
赤い軍勢が血液程度の強度しか持たないなら、それを貫いてなお、クロノスを狙うに余りある貫通力がある。
されどは直線ゆえ回避は容易。目的は詠唱の妨害、魔術の阻害にある。
それで刃の召喚を防ぐことができればベスト。発動が一歩でも遅れればベター。
もし妨害できなければ、刃を回避せざるを得ないが、果たして。
■クロノス > 彼の叫びには答えない、術の詠唱を優先―――。
と、そこに彼から飛んできた『凶器』、いや、
まさに『狂気』が、紅い大海を割って飛んでくる。
「―――役立たずどもめ。」
詠唱は中断、その飛んできた杭を鎌で断ち切る。
真っ二つになった杭の1本が彼女の腕を掠め、傷をつけた。
白い髪が何本か空中を舞う。
彼が『人型』を貫通して攻撃する手段を持つならば、
長い詠唱を必要とする大魔法は発動できない。
ならば、頼るべきは異能、そして、近接戦闘《インファイト》だ。
くるり、と鎌を回す。杖ではなく、武器として使うために。
彼女の影から走る行く筋もの黒い筋のが、
地を這い、彼を捕らえるべくどこまでも、どこまでも伸びていく。
<<縛る影>>の異能、彼を捕らえれば、
暫くの間、彼を縛り付けるだろう。
ご案内:「違反部活群」に鈴鳴トバリさんが現れました。
■鈴鳴トバリ > 「――はッ!!」
大袈裟に息を吐く。詠唱は停まった。目論見はなんとかハマったといったところか。
しかし状況は未だ好転しない。極めてイーブンに近いか、もしくは――
(――現状、こいつはぼくのほうが不利だなァ)
思考を加速させる。逃走――未だだ。まだ可能性はある。
こんなに面白そうな現場をみすみす捨て去るわけにはいかない。
今の牽制で相手も理解したはずだ。詠唱などしている暇はないと。
杭を連射して弾幕を形成できればラクだろうが、如何せんそうはいかない。
(……――『鉄粉』が切れやがった)
そう。先程から射出していたのは『鉄粉』だ。
彼は常にポケットに『鉄粉』を忍ばせている。
それを手の内に握りこみ、即座に「杭」として射出することで、
あたかも「掌から杭を放っているように“みせかけて”いる」。
「杭化」は質量保存の法則を無視するとはいえ、広範囲にばら撒くよう射出するには、
鉄粉を「杭化」させながら文字通りばら撒くのが一番手っ取り早い。
「大魔法」と「散弾型の杭」。奇しくも、互いに手札の一つが封じられた形になる。
ならばそう、取るべきは――
「――あァッ、なンだ手前ェ、魔術と異能の二刀揃えってかァッ!
いいねぇいいねぇ天才ってヤツは、うらやましくってヘドが出るぜッ!!」
吐き捨てるように叫びながら、地を這いずってくる影を捉える。
黒いそれが「影」であるということには未だ気付いていないが、
わざわざこんな回りくどい方法で追いかけてくるからには、相応の理由があるはずだ。
だから、ここからは最早直感の領域。
「――ッらぁっ!!!」
思考より速く、手を地面について目の前に「杭を集結させた壁」を生成する。
「黒いもの」が「地面に沿ってしか走れない」と予想しての行動。
ならば、この壁に沿って単純に越えるように向かってくるか、
それとも迂回してくるのか――迂回してくるということはある程度操作ができるということ。
単純な防御ではない。攻めの一手を生み出すための布石だ。
■クロノス > 「魔術は努力、異能は才能。―――貴方には努力が足りていないようですね?」
クスリと笑うが、その余裕の表情とは裏腹に、地面を走る影は、その場で停止する。
……いや、停止せざるを得なかったのだ。
(―――壁の影に相手の影が入っている。)
彼の影を一瞥し小さく舌を打つ。
対象を失った影は、暫く迷うようにのたうっていたが、
やがてゆっくりと彼女の元へ戻ってくる。
捕らえるべき『影』がないのなら、『影』の異能は使えない。
―――残り、切れる手札は。
そう考えるのも刹那、踏み込む。
遠距離で切れるカードはもう無い、ならば。
「やっぱり私はこっちのほうが………。」
大きく鎌を振りかぶる、そのまま弧を描いて、
その鉄杭の壁ごと彼を『巻き込む』べく―――。
「―――性に合ってるッ!!!!!」
―――その手にした白銀の大鎌を振りぬいた。
■鈴鳴トバリ > (――停まっただァ?)
壁を盾にしながら注意深く、黒いものを観察する。
いや違う。停止したというよりは、「行き場を失った」という風が近いか。
その理由を模索する。効果範囲が視界内のみなのか? それとも、この「黒いもの」自体が自立型で、視界を有しているのか?
或いはもしくは――
(……――「影」かァ?)
――すべては推察の域を出ないが、やり過ごしたことは確かだ。
「あれ」に触れればどうなるかは分からないが、少なくとも良い結果には転がらないだろう。
(にしてもだ……チッ、厄介だなァ、オイ)
脳内思考下で舌打ちする。
底知れぬ魔術、無尽蔵の血の軍勢、そしてこの黒い触手のような異能。
どれをとっても、トバリにとっては相性が悪すぎる相手。
本当に厄介だ。あまりにも厄介で、厄介で――
(――最ッッ高じゃねェかよォッ!!!)
ああ、――“そうこなくてはならない”ッ!!
その心が狂悦に彩られると同時、踏み込む足音が確かに聞こえた。……――来る!
「あッは!!」
刹那、彼が取るべき行動は決まった。
べたり、今しがた生成した「杭の壁」に手を付く。
……彼の「杭」は、生成後は完全な「物質」として存在する。
それは一切の魔術的要素や異能要素を持たない、単一なる「モノ」として生み出される。
……異能の発動条件は「モノに手で触れること」だ。
即ち、それが意味する解は一つ。
……――「杭」は「連鎖」する。
「えェ……『飛んで火に入る夏の虫』はどっちなんだってなァァァァァァァッッ!!!」
――『杭壁』から更に『杭』を生み出し、真正面に撃ち出す!
今度は「射出」ではない。単純に「突き出す」ものだ。
それゆえ、相対的なスピードはかなり速い。予期することができれば軌道は直線ゆえ回避もできるだろうが――
――どちらにせよ、杭を容易く斬った鎌による一撃は壁では防げない。
行動を反撃に消費したトバリは防御の術を持たず、杭の奇襲反撃の成功如何に関わらず、壁ごと斬られるダメージを負うだろう。
しかし“それでもよかった”。トバリにとっては、この「杭」さえ相手の肉を穿つことができれば。
例え結果が「痛み分け」になろうと、「引き分け」になろうと、トバリが求めるのは「勝利」ではない。
求めるものは――
「――ひゃはッ、ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!」
求めるものは――「歓喜」それのみッ!
だからこそ――「この気に入らないイヌ野郎のどてッ腹をブチ抜いてやる!」それさえ達成できれば後は、自分自身さえどうだって良いッ!
■クロノス > 全力で踏み込んでいた彼女は、その一撃に目を見開いた。
彼女の『計算の異能』は予期せぬ攻撃―――つまり、突然のその杭には対応できない。
今更ブレーキを踏む?
―――いや、そんな馬鹿げた事。
ブレーキを踏んでも、恐らくあの杭は私を貫く。
貫くために打ち出された凶器だ、貫くまでは伸びるだろう。
「確かに、そうかも、しれ、ないです―――ねェッ!!!」
頭の中で今度こそ『計算』する、
おそらくこの『攻撃』は、『防御』の手を捨てた一撃
―――ならば。
口を大きく歪める。
その美しい顔を、彼と同じく狂気に。
「全部は無理でも、
腕の一本、いや、血の一滴くらいは―――ッ!!」
身体を捻る、避けるためではない、鎌を振りぬくためだ。
捻った事で結果として被弾は減る。
彼の杭は、彼女の腹を抉り取る。
「あ゛ああああああああああああああああああああああァッ!!!」
そのまま手にした凶刃を振るう、自らを突き刺した杭を寸断し、
壁を寸断し、その刃は彼を巻き込む死の旋風となって襲い掛かる。
―――殺すための一撃ではない、当てるための一撃。
■鈴鳴トバリ > 「―――ッは!!」
入った! 絶叫が交響し残響する。なんと美しく甘美な響きだろう!
己が杭が相手の腹部を抉ったのを見届けるのもつかの間、
自らの杭壁をまるで紙のように容易く引き裂いて迫りくる凶刃をトバリは見た。
――その太刀筋には迷いがない。つまり、それは何を意味するのか。
分からないトバリではなかった。
つまり、それは、自分と同じ――
「……はっ」
「は、はははははははははっ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!
前言撤回だ前言撤回ィ、気に行ったぜ公安のクソイヌよォッ!!!
手前もぼくと同じ、ドタマのイカれた狂人じゃァねェかァッ!!!」
ああ、それすらも歓喜と成る。今日はなんて良い夜だろう。
彼は、まるでスロウモーションのように、その白い鎌の切先が自身の右肩に抉り入るのを見ていた。
――ぞぶり。
(――あ?)
――ぞぶり。ぞぶり。
(オイ、ちょっと待て、
これ、腕、飛――――)
「はッ……
がァはッ、あッはァッはハははハはハハハははハはハはッ、
ァ、あぁァあァアあアぁアあああアぁァァぁぁアああアぁアあああッッ!!!!」
狂ったように笑い狂いながら、
彼の全力を以て身を捻る。――ばづん。肉が爆ぜる音がした。
絶叫が混ざり合う。それすらも素敵だ。――視界が真っ赤に染まる。
結論から言って――腕を飛ばされることは無かったが、右肩を大きく抉り斬られ、胸部も浅く裂かれた。
びしゃり、切先に肉片が喰らい絡みつく。
「ぐッ、ふゥっ、は、あはァッ、ははハははハはぁっ」
ぼだぼだと血が流れる右肩を抑えながら一歩後退。相手の様子を見遣る。
■クロノス > 「ぐッ………!!!ゲホッ……ガッ……!!!」
鎌を振りぬくと、そのまま膝をつく。
膝をついた衝撃で口から吐いた血が、地面を汚す。
「こんなクズ野郎に……この私が……ここまで―――ッ!!」
ギリッと歯を噛みあわせると、突き刺さった杭を引っこ抜く。
その虚空から、ドロリ、と血が流れ出す。
ピチャピチャと音を立てて地面に落ちると、
先ほど吐いた血に重なり合うように広がった。
「ゲホッ…ッ……『天使』…の…力は―――。」
鎌の先にこびり付いた彼の肉を見る。彼の血を見る。
―――そして、満足気に歪な笑みを浮かべた。
「厳重注意は、これで終わりです―――。
また会いましょう、監視番号128番。」
最後に再び血を吐き、
鎌を杖にするように立ち上がる。と、同時に
流れ出た彼女の血から、最初と同じように『人型』のモノが生み出され、
壁になるように、あるいは、彼女を守るように、隠すように彼に襲い掛かる。
―――その後、それによって彼がどうなったにせよ、
その壁を振り払う頃には、既に彼女の姿はないだろう。
■鈴鳴トバリ > 「ぐ、ッ……ふ、ゥくっ、は、ヒ、ひハはははッ」
嫌な脂汗が止まらない。それでも目に焼き付けておきたかった。
この公安の、如何にもプライドが高そうなクソイヌが、血と苦痛に塗れ膝を着く姿を。
そしてその、……――死にざまを。
「えェ、……はは、ハハハハッ……どうしたよ、とんだ良いカッコだなァクロノスさんよォ。
お陰でぼくは今最ッ高の気分ってヤツだ」
がたがたと震える、いや、もう震えすら返さなくなりつつある右腕をぶらさげたまま、ごそりと左手を懐に突っ込む。
取り出すのは――
「やっぱ……ラストはシンプルなモンが良いッてなァ」
――改造された大型拳銃。
路地裏での戦闘で入手した非正規品――恐らく、人間の頭蓋を一撃で吹き飛ばすには充分だ。
宣言通り――最後の最後に誰より笑っているのは、この――
「――あァッ、往生際ってもんをわきまえろよなァッ!!」
されど、再び繰り出された血液の人型。
銃を捨て、今しがた切り裂かれた杭壁から再び杭を生成し一掃する。
しかし、今度は散弾ほどの掃射力はない。全て片付いたころには、彼女は居ない。
「……チッ。逃がしたか。こいつは少しマズったかァ……?」
……気にかかることもある。あそこで引いた相手の様子。
……あれは、決して「敗走」のそれではなかった。
なにか、「目的」を達したかのような――
「……まァ、いいさ」
ふらり、右肩を抑え、杭壁を背にしゃがみ込む。
「……く、クク、まさかこのぼくがこんなザマとは。
ひ、ヒヒ、面白い。おもしろいねェ……こうでなくちゃァ……ならねぇよなァ……」
「……――廿楽ァ。ぼくだ。止血剤持って今すぐに来い。
じゃねェと死んじまうぞォ……――あッは!!」
――血の香る闇のなか、笑い声が響いた。
ご案内:「違反部活群」からクロノスさんが去りました。
ご案内:「違反部活群」から鈴鳴トバリさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にクロノスさんが現れました。
■クロノス > 魔術で召喚した鎌を杭に変え、目の前の違反部活の生徒に突き刺す。
痛みに呻く絶叫が、違反部活郡に響き渡った。
「私が食らった時も痛かったけど、これは随分と凶悪な異能ですね。」
突き刺さった杭を握ると、
そこから炸裂するように生徒が串刺しになる。
「―――ふむ。」
満足気に、しかし歪んだ笑みを浮かべる。
この異能はなかなか使えそうだ。
「ククク……ッ」
自らの口から漏れた笑みに、気がつき、ぶんぶんと頭を振る。
いけない、どうやらまだ異能の制御は安定していないらしい。
■クロノス > もはや生きてはいない学生の一部を切り取ると、口に運ぶ。
「―――調査完了、備考、特に無し。」
書類に書き込むと、いつも通りにその場に火をつける。
火をつける異能でもあれば便利なのだが。
―――ふむ、と顎に手を当てる。
■クロノス > 「まぁいいでしょう」
後ろ髪を払うと、帽子の鍔を持ち、帽子を正す。
「……おっと。」
見れば、服に大きな穴が開いている。
身体は再生しても、服は再生しない。
「これは少し恥ずかしいですね。」
うーむ、と考えると、頷く。
そろそろ一度、委員会街へ戻ろう。
部屋を出ると、盛大に火の手が上がる。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に否支中 活路さんが現れました。
■クロノス > あたりを見渡すと、随分の建物が焼け落ちていた。
『少しやりすぎたか、上司に怒られるかもな』
……と内心考える。穏健派代表のようなモノだ。
『正義の味方』を自称しつつ、大事な人すら守れなかった愚か者―――。
「―――彼も、そのうち理解してくれるでしょう。」
後手に回っていては手遅れになる事も多い、
局長は、それを彼に身を以って教えてくれたとも言える。
その点には感謝しつつも、一女性としては同情を禁じえない。
報告を聞いた時には、
腸が煮えくり返る想いを抱いたものだ。
■否支中 活路 > 帽子を上着に仕舞うとともに、燃え上がる炎の勢いに吹かれてうなじから伸びた包帯が翻る。
別口の要件であてもなくさまよっていたらこれだ。
とはいえ落第街ではよくあること。
問題は、出てきた相手だが。
「――――――仕事熱心か?」
公安委員であることを全く隠す気がない服装。やや戸惑う。
服に穴があるが傷がない。再生したのか。
■クロノス > 「―――準違反学生。」
手を翳すと、鎌が現れる。
「ええ、仕事熱心ですよ、監視番号50。
……いい加減、その口を割ったらどうなんです?」
『最近、それに関する噂も随分と出回っている事ですし』と笑う。
■クロノス > 風を切る音を立てて、鎌を構える。
「―――それとも、『仕事熱心』な公安委員に、
直々に聴取されてみますか?」
彼の異能は一切不明だが、
過去に『ロストサイン』の門を消したと噂される程のモノ。
手に入れておいて損は無いか。
ひゅんっと鎌を鳴らす。
これは警告の音だ『これからお前を殺す』と。
■否支中 活路 > 「あとで行くて言うてるやろ」
そうして二年近く経っている。
燃え落ちる建物を一瞥し、少女に視線を戻す。
緑の目が捉えている相手に違和感。
“混ざっている”――生命の流れがつぎはぎに見える。
目を細めるが、その時には相手がもう鎌を振っている。
溢れる魔力の流動が眼に痛い。
「えらい急ぐやんけ」
公安委員の中でも過激なタイプは自分をさっさと捕縛してしまおうという者も少なくない。
それにしても妙に手が早い。単なる性格なのか。
学園に長いと言っても二年前から学園区にはあまり近づかないし、公安の人間となれば更にわかりづらい。
判断がつかず、その場に立ったまま、しかし一歩にでも後ろに下がる様子はない。
「したいんか? 喧嘩」
■クロノス > 「あとで行く、と言いながらもう2年ですよ?
彼女との待ち合わせに2年も遅れたら、たとえ100年の愛でも冷めるでしょう。」
にぃっと口元を歪め、彼に笑いかける。
「私の異能は、相手の身体の一部を体内に取り込む事で
相手の記憶を読み取る事ができます。」
そう前置きしつつ、
『私はその異能を生かして、公安委員としての仕事をしているわけですが。』
と付け加えて、書類をバサバサと動かす。
「―――少し献血に協力していただけるなら、別に喧嘩なんてしなくても構いませんよ。
出来れば腕1本くらい置いて行ってくれると助かるんですが。」
■否支中 活路 > 「別に公安とベッドに入った覚えはないで」
答えながら、手持ちの術具を頭のなかで確認する。
一目散に逃亡しようとしない。そういうところは素行が悪かった頃からかわっていない。
今ではなく、外で高校生だったころまでの話だが。
「ところで――」
言いかけたところで、笑うクロノスの顔を怪訝そうに見る。
己の異能を他人に全て教える者は多くはない。
記憶が読み取れる。それが事実だとしてそれだけではあるまい。
服の向こうの肌に違和感を覚える。光学上の外見ではない。
焼けて落ちた建物が音を立てる。
公安委員会の正規の立ち入りなら、何故燃やしておくままにする必要がある?
「食ったんかジブン」
あったはずの違法部活には用事があった。探しものの情報のために。
代わりにこの少女が教えてくれることは、期待できそうもないが。
■クロノス > 「確かに、貴方の貞操観念はしっかりしてそうですが。」
クックと笑う。
一目散に逃げようとするなら、
その背中に攻撃を仕掛けるだろう。彼の選択は正しい。
『逃げる相手』というのは『自信の無い相手』だ。
それが心理的自信にせよ、肉体的自信にせよ、
『一目散に逃げる相手』というのは追いかけて損が無い。
一旦地面に鎌を突き刺すようにおくと、にっこりと笑う
「―――ええ、食べましたよ。もちろん。
と言っても、調査の為に最低限食べただけですが。」
『身体の一部で構いませんので』と笑みを漏らす。
焼け落ちた建物の中の人間が、果たして
本当に『一部』しか食べられていないのか、それは、もはや彼女しか知りえない事だ。
「ここに何か御用でも?」
■否支中 活路 > 「記憶がわかるーちゅうことやったら言うまでもあらへんかもしれんが、ちょっとした調査を頼んでたんや」
能見さゆりに――――というより能見の背景ついて、活路も放置する気はなかった。
この付近に謎の機械施設が不規則に『発生』するということ。
研究区もそれを利用した施設を持っているということ。
なんでも己との繋がりの可能性を考えるのはいい傾向ではないが、ともあれ調査はしておきたい。
調べ物は得意な相手に任せればいいと、依頼だけしておいた形だが。
「せやけど結果は聞けそうにあらへんな」
言って、包帯の間から薄く息が漏れる。
「…………ジブンの方は、なんやねん、いい骨でも見つけたんか?」
■クロノス > 「残念ながら聞けませんね、
元々違反部活です、いずれは取り締まりに合い、
潰される事もある、それは貴方も理解の上では?」
べろり、と口元を舐める
「悪人である以上、何れ同じ悪に滅ぼされる事を覚悟しなくては。」
「ただそうですね」
そう言うと、帽子の鍔を掴んで正す。
「この付近に発生する機械施設については、
どこか、別の『違反部活』が作っているようですよ。
『貴方がよく知っている違反部活』なのではないですかね?
監視番号50番。」
ニッコリと笑って、彼の目を見る。
独特の輝きを持った目だ、自分の事を見透かしているような。
「あと、常世財団の研究員にその元構成員が居るという噂も聞きますね。
―――といっても、こちらは噂ですが。」
『いい骨で喜ぶのは犬くらいですよ』と笑みを漏らす
「残念ながら、いい骨も何も見つかってませんよ。
ただの仕事、いつもの取締りです。
皆、無益な上に面倒な事はやりたがりませんからね。
そのためだけにこんな町に出て来たくはないでしょうし。
まったく、どいつもこいつも腐りきってる。」
『無益な上に面倒な事』というのは違反部活の取り締まりのことだろう。
違反部活なんていくらでも湧いて出る。
しかも、潰せば潰すほど余計な恨みを買う上に、
潰すためにはその恨みを買ってる対象が住む落第街に来る必要がある。
―――だから、違反部活の取り締まりには他の公安委員も、あるいは風紀委員も消極的だ。
■否支中 活路 > 仁王立ちのまま、細めた眼はもうほとんど睨むようになっている。
相手がべらべらと喋る意図がつかみにくい。
勿論全て鵜呑みにする気はないが、全くでたらめに今作り話をしているとしたら大したものだ。
自分の意識を乱したいだけなのだとしたら、ある程度その目的は達せられている。
考えても結局わからないのだ。一旦頭から押し出すしかない。
さきほどは鎌を出す瞬間の予兆がほとんど読み取れなかった。
少しでも隙を見せるわけにはいかない。
だからクロノスの薄く笑う口元が映る。
「腐りきってる……か。
穏やかやないな。おんなじ委員会の仲間ちゃうんか」
言ってから思いあたる。
死んだとされる女と、その解体された組織。
「連絡局の…………」
公安の細かい処分まで活路が知るわけもない。ただ、当然ながら解体した準備連絡局には相応の人員がいた。
それらを全て免職処分というわけもあるまい。
となればおおよその流れは想像できるし、それについて表向きの態度はともかく彼女がどう感じているかは今明白ではないか。
それに執拗に番号で呼んでくるのなら、今の務めは監視。第二か。
■クロノス > 「何故話したのか分からない、
―――という顔をしていますね。監視番号50。」
薄い笑みをさらに薄くして、目を細める
理由は答えず、話を続ける。
「同じ委員会?―――公安委員会の内部が
『同じ委員会』と呼べるような構造になっていない事は、
もはや一般生徒でも知っている事でしょう。」
クスクス、と笑みを零す。
先の事件の事を言っているのだろう。
一人の『公安委員』が事件を起こし、
そして、『同じ公安委員』がそれを切り捨てた。
察したような彼を見れば、にぃっと笑みを漏らし
「ま、そういうわけですよ、監視番号50。」
地面に突き刺した鎌を手に取る。
どうやら、もはや戦闘の意思は無いらしい。
「貴方からの聴取は、また今度に致しましょう。
……なにしろ貴方は『公安委員会の監視対象』ですからね。」
彼の顔を覗き込みそう言って、帽子の鍔を摘んで正す。
彼女が彼に情報を話した意図は、彼女のその言葉から察する事ができるかもしれない。
『精々動き回って目立つがいい』と。
「では、良い午後を。」
そう言ってにっこりと微笑むと、
帽子を少し持ち上げて一礼し、
彼の肩をぽんぽんと叩いてその場を後にするだろう。
■否支中 活路 > 視線は笑うクロノスから外れない。
恐ろしいとも感じるし、凶々しいとも感じる。あるいは儚いとも。
第二教室だとなれば、ああ、あの男と同じような話し方をするのだなとも思えるが、しかし似ているようで似ていない。
もっと、多分、あやうい。
「……そうやな。何も急ぐことはあらへんよ」
鎌を持ち上げる間も、一礼して自分の横を通り過ぎようとする間も、横目にクロノスを追い続ける。
肩を叩かれる瞬間、右手が強張るがそれだけだ。
ここで去るということ。先ほどの念押し。
言葉の餌は、だが食いつかざるをえないだろう。
半ば舌打ちするように口を開く。
すらりとしたクロノスの背へ。
「今度会うた時はなんて呼べばええんや」
■クロノス > (にっこりと笑って振り返る)
「ええ、そうですね、『クロノス』とお呼びください。監視番号50。
今後の活躍に期待していますよ。」
彼女の所属する部署から察するに偽名、あるいは
それに順ずる何かであることは明らかではあるのだが、
そう名乗ると、その場から立ち去る。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からクロノスさんが去りました。
■否支中 活路 > (クロノス、で、鎌かい……XやなくてKの方ね……食うわけか)
向き直り、クロノスが背を前に相手の名乗りを反芻する。
彼女が完全に姿を消すまで、じっと眺め続けた。
そうして、独りになってから腰のあたりまで軽く手を挙げる。
開いた両手が、未だ燃える炎に横から照らされる。
クロノスの言葉を思い返す。
「……まあ、やめといてよかった思うわ」
負け惜しみであるまいし、聞こえるところで言う言葉でもない。
大きく息を吐いて視線を落とす。
■否支中 活路 > 聞いた話をどこまで真と受け取るかはなんとも言えない所だ。
ただ、クロノスの能力に強い懸念を覚える。
(まぁ別に相手の心配なんかする必要あらへんっちゅうたらそうやけどなぁ……いやでもやっぱ結構ヤバいんちゃうか、それより記憶見れるってのがマジかどうかやが……)
それにこちらを捕らえる口実を欲しているのはわかるが、
かと言って完全な嘘で釣れると思われているわけでもないだろう。
となれば開示された(恐らくは元の)調査情報も、多少の真実は混ざっていると考えてよいのだろう。
視線を横に。まだ火は燃えている。
入り組んで建築物で押し固められた落第街であれば、次々延焼していくのが目に見えている。
どちらにしたってこの辺りの魔術師か異能者かだれかが消しに来るとは思うのだが、その誰かに自分がなって悪いということもない。
■否支中 活路 > 上着のポケットから始まりと終わりの文字の掘られた短剣を取り出すと、しゃがんで地面にガリガリと刃を立てる。
「……なんやったっけ」
手が途中で止まる。人間の記憶力というものはあまり大層なものではない。
しばらく頭をひねったあと、ポケットから手帳を取り出してめくりはじめる。
ごうごうと燃える火の前に座ってごそごそやっているのも、あまり外見にいいものではないが。
■否支中 活路 > 暫くめくると、地面への書き込みを再開した。
この後どうするかのあれこれは一旦頭から追い出し、陣に集中する。
合計で七年。こういう作業は好きだ。
今でも発動具の作成をする時は愉しんでいる自覚がある。
「…………まあええやろ、ちょっとぐらい余計なことしとっても」
オーソドックスな四大精霊式、正確にはパラケルスス流になるか。
活路はそれほど大きい魔力を持つ人間ではない。祖母の血で平均より上ではある程度のものか。
だから消防車数台分の仕事をするには、パンと手を叩いて終わりというわけにはいかなかった。
■否支中 活路 > 「……っし」
書き終えるとともに立ち上がる。
火の粉を払うように上着をバサバサと振ると、指を軽く刃先で切った。
少しばかり流れる血を見て思う
献血とやらに実際に協力していたらどうなっていただろうかと。
「いや、せえへんけどな。…………わかっとるわ、んなこたぁ」
言葉とともに血を零して、指先を舐めた。
眼を大きく開く。
魔力の流れは正常だ。陣は成立。
「んじゃまあ頼むわ波の乙女」
そうして地面が輝く。
すぐさま半透明の人影が飛沫をあげて弾けた。
■否支中 活路 > 「燃えてるヤツ全部水浸しで頼むわ」
どちらにしても居合わせだ。それ以上の気を遣うことを求められても困る。
水気のない場所に呼び出すために陣が妙に複雑になったが、心配するまでもなく呼び出された水の精霊は仕事をはじめてくれた。
浮かんだ人影が空中で手を振ると、噴水のように水が吹き上がる。
クロノスが仕事を果たした以上、中にいたはずの者達と会うことは二度とあるまい。
もう用はないと、短剣とメモ帳を仕舞って踵を返す。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
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ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
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ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「」に井戸木さいこさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に魔王バラルさんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から魔王バラルさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に瀬田 瑞央さんが現れました。
■瀬田 瑞央 > 「ぅ、ん……久しぶりの第一歩は、一応仁義でも通そうと思ったのですけれど……」
やや困惑したように辺りを見回す。焼け跡……は、まあこの辺りの日常茶飯事かも知れないが……
「地理が大分変わっているような気がしますね……かつての跡地など、一体何処へ行ってしまったのでしょうか」
はて、と。考えこむ素振りをする。
■瀬田 瑞央 > 「まあ、やむをえませんね。それならば、出来ることをするだけです。
さて……私としては情報の方が欲しくはあるのですが、普及活動も悪くはありませんね……」
思考を口に出してまとめ始める。
癖のようなものだ。まあ、誰が聞いているでもなし、特に問題はないだろう。
いや、仮に聞かれていたとしても大したことではない。
■瀬田 瑞央 > ガラリ……
瓦礫が音を立て、違法部活動学生がその場に現れた。
「くそっ、また焼かれてやがる……てめぇの仕業か!?」
焼け跡に立つ、明らかに部外者らしき女。
確かにそんな濡れ衣を着せられても仕方がないかもしれない。
思考を中断し、相手に向き直る。
「いえ、私が来た時には既に……おそらく一時間は前のことだと思いますが……」
一応、所見を述べてみる。これで相手が引き下がってくれればいいが、どうだろうか。
まあダメならダメで、反応を見て考えるしか無いだろう。
人とのコミュニケーションは研究のようにわかりやすくないのだ。
「そんなこと信じられ……てめぇ、瀬田か……生きてやがったのか。」
学生が、呻くようにいう。
なんだか生きていたら悪いようである。申し訳ないが、生きていたのでしょうがない。
■瀬田 瑞央 > ああ、でも……そう、私を知っている人物なら話が早い。
彼には、情報提供と普及活動……どちらも担ってもらえばいい。
古いよしみというやつだ。きっと、上手くいく。
「はい、生きておりました。どうやら、私をご存知ということはあそこに居た方ですね。
ちょうどいい機会です。あなたに、少し協力をしていただきたいと思うのですが……」
満面の笑顔を浮かべる。邪気のない笑顔だ。
■瀬田 瑞央 > 「……と、いうわけで……私としては、『暴走薬』という薬についてのお話と、
それから……こちら。この道具の使用感を伺いたいと思うわけです。
ええ。今、あなたに使ったものです。ご安心ください。理論上でも実験上でも副作用はないことはわかっています。」
数分の悶着の末……彼女は学生を見下ろす立場になっていた。
仕方ない。非力な一般人である自分に襲いかかってこられれば、自衛するのはやむを得ないことだ。
■瀬田 瑞央 > 「有用な情報がいただけるのであれば、こちらの道具を差し上げますよ。
効果時間はよくて一時間ほどですが、使いようによってはそれなりに効能を出来るのではないでしょうか。
もっとも、試作品ですから多用は出来ませんし、高度の異能に対応できるかは未知数ではありますが。」
女は笑顔で語りかける。まるで、セールストークのような何か。
対価にしては法外である。
■瀬田 瑞央 > 「……本当、だな……いや、てめぇは嘘は、つかねえ……
いつも、それだ。ノーマルのクソ女め……」
違法部活学生がうめくように話す。彼には薬の効果が絶大だったらしい。
試験段階なので効果のブレが大きいのが不安ではあったが、とりあえず一定の効果があったのは嬉しい。
それにしても異能が使えない相手に対しての蔑みというのは昔からあるが、酷い言われような気はする。
そんなに悪いことをした覚えはないのだけれど……
「さあ。それではお話してください。」
■瀬田 瑞央 > 「……なるほど。」
とはいったものの、流石に資料以上の情報は出てこなかった。
財団管理の情報なので、それ以上の精度となると実物の一つもないとダメだろうか。
ああ、でも資料にはなかった情報が……
「あの非常連絡局が解体、ですか。なかなか世知辛いお話ですね。
折角素晴らしい薬を創りだしたというのに……
失敗作の誹りをしていらっしゃる方も居るようですが、わかっていませんねえ……」
やれやれ、と溜息をつく。
いつだって、結果しか見ない連中は多いのだ。まあやむを得ないことなのかもしれないが。
■瀬田 瑞央 > 「ん……大体知ってることではありましたが……やや興味深い情報もありましたし、それは進呈いたしますね。
まあといっても、まだ暫くは動きづらいとは思いますのでお近くに置いておきます。」
彼女は、目の前で呻く学生にそう伝える。
こんなところで一時間弱も動きづらいまま放置されればどうなるか。
想像にかたくないはずであるが、そこは全く考慮されていない……
否、そういったことを考慮する、という発想がそもそもにしてないのだ。
■瀬田 瑞央 > 「さて……それでは失礼致します。」
学生に真面目に頭を下げる。
置いていくな、とか色々言っているが、安静にしていれば治るのだ。
特に考慮する必要はないだろう。
「……とはいったものの、どういたしましょうか。
あまり目標を定めずにあちらこちらを歩いてみたほうがいいのでしょうかね……」
うぅん……と、ひとしきり考える。
■瀬田 瑞央 > 「ん……そうですね。どうも他にも色々あるようですし……何がしかのヒントが拾えるかも、しれませんよね……?
あまり好みではありませんが、公安や風紀といった政治的な向きの考察も必要な気もしますし。
そうなると、次は通常の学生のいる辺りにも出向いたほうがいいでしょうか……」
そう、一人でまとめる。
学生街か……別に人が嫌いというわけではないが、予測の付かない動きをされるのはどうにも対応がしづらい。
しかし、贅沢は言っていられないだろう。
■瀬田 瑞央 > 「ひょっとすれば、久しぶりのお顔にも逢えるかもしれませんし。
逢えたと言ってもどうにかなるわけでもないでしょうが……彼らなら、面白くも有用な情報を持っている可能性がありますよね。」
なんとなく、自分を奮い立たせる。
いずれにしても先は長い。
■瀬田 瑞央 > 「では、まずは……あちらに」
そう、一言発して……この焼け跡を去っていく。
残された学生や道具がどうなったかは……彼女の気にするところではない。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から瀬田 瑞央さんが去りました。
ご案内:「違法部活『総会』」に『総会』メンバーさんが現れました。
『総会』メンバー > 狭い部屋の一室、と言うよりは個室と言ったほうが通りがいい。カラオケルームくらいの狭さの部屋で今宵もメンバーが続々と集まって……
『こないね。相変わらず皆、自由だなぁ』
黒尽くめの男性が頬をかいて苦笑いを浮かべている
『まぁ、今日は他でもないキミのためにここを選んだんだから感謝してほしいんだけれど』
暗い部屋のなか、パソコンの前から動く気配のないフードを被った狐耳の少女へとその言葉は向けれれた。
「嫌じゃ……めんどうくさいことはしとうない……」
『ボクは登校拒否の生徒の家を訪ねてきた担任の先生じゃないんだけど……』
『総会』メンバー > 「ンだよ、なんでこんな狭いトコなんだ?こないだはもうちょい広かったじゃねえか」
と、ぶっきらぼうな言葉遣いのショートポニー、長身、かわいいドレスに身を包んだ少女が意見する
なお、その胸は豊満であった。
『爆殺姫ちゃんは、なんだかんだで毎回参加してくれるよね。』
「うっるせえよ!!たまたまだよ!たまたま!!丁度俺様の時間が開いてる時に声かけるから仕方なくだよ……」
『爆殺姫ちゃんはかわいいなぁ』
「ーーーーー~~~~ッッッ!!!」
火花を放つ勢いでなにか怒鳴りだした爆殺姫をとりあえず置いておいて
『前回の会議所は、壊れちゃったよ』
『最近物騒だからねぇ、やれやれ、正義の味方ならともかくよくわからないのに悪役がやられるわけにはいかないっていうのに』
『というか今回はその辺りのことを議論していこうかと』
と、狐耳の少女へ向き直る
『キミはあんまし動かないから、逃げ遅れたりしないか心配なんだよ、これでも』
「まぁー……なるようになるじゃろ。逃げるのは得意じゃ、これでも」
はいはい、わかりましたよ、と言わんばかりに会話を終わらせてディスプレイに視線を動かす
『総会』メンバー > ソファの端のほう、ごてごてとしたネイルアートがやけに目を引く
スマホ端末を操作していたいかにもイマドキな女子高生といった風な少女が口を挟む
「物騒っていうか、手当たり次第って感じね。確かに関わりたくはないわ。」
『ネイルアーティストちゃん……今日は来てくれたんだ?課題が忙しいからって何時も断られてたのに』
「課題はもう諦めたわ。人生諦めが肝心よ。」
流れるような冷たく美しい視線で笑みを浮かべる
『セリフが課題のことで無ければ最高にクールだけど』
『ま、僕らのスタンスとしては正直関わり合いたくはないよねぇ。』
「はァ?何いってンの?俺様は見かけたら片っ端から声かけてぶっ潰してぶっ殺すぜ?」
会話に割って入る、赤髪ポニテの少女は楽しそうに笑う。多少回復したようだった。
『そうだね、肝心なのは自分が楽しいかどうか、だ』
『総会』メンバー > 『そうそう、だからやりたい事があるならやってもいいけど』
『ボクは悪の組織の長として面倒事は面倒、ってコトで逃げるよ』
『ま、ボクは争い事はそんな好きじゃあないしね』
「私も、賛成。釘を刺すつもりじゃないけれど、自由にしていい、から私たちはここに参加しているわけだし。」
「自由を謳歌できないのなら、参加している意味が無いわ」
「ノリ悪ィーよなお前ら……」
ぐ、と呻いている。
「我は、邪魔してくる奴には容赦はせんよ。ネトゲの時間を削ってくる奴は絶対に許せぬ。」
『狐ノちゃん、そんなキャラだったんだ』
ご案内:「違法部活『総会』」に先導者さんが現れました。
『総会』メンバー > 「というか今こうして無駄な会議に出席させられてるこの状況だけで我の力を開放して世界を滅ぼせそうな気がするのじゃ」
『そ ん な に』
冗談なのか、そうでないのかいまいち掴めない発言をする狐耳の少女
「ンなことで世界滅ぼされてたまるか……」
「あ、ナース☆エンジェルのやつは割りとノリ気だったぜ。」
『君ら結構気が合うっていうか割りとナイスコンビだよね。ちゃんと名前に☆つけてあげてるし』
「ダッ、テメぇ!!だれがあんなクソカスコスプレナースと仲がいいとかッ!!ふざけろっ!!!」
『良きかな良きかな。』
「はいはい、キマシタワー。キマシタワー」
カチャカチャとスマホのパズルゲームで遊びながら対岸の火事と言わんばかりに茶化す女子高生
「ともかく、逃げるって言ったってこうも適当に破壊活動されてたら割りと洒落にならないんじゃないかしら?」
アテはあるの?と付け加える
先導者 > 「おはよぅ――狭っ!」
ふわりとローブをはためかせて入室
開口一番不満を漏らす
「あ、どぞどぞ、続けて続けて。」
隅っこに椅子と机を並べトランプを並べる。
一人神経衰弱を決め込むマイペース。
『総会』メンバー > 『あ。はい、授業始まってるよー ってボクは先生じゃないって』
ローブの生徒、もとい同士に声をかけて。
『仕方がないでしょう。広めの廃屋みつけるの割りと面倒なんだ。何でボクがこんな面倒事をしなくちゃいけないのか、腹が立って仕方がないくらいには面倒だよ。』
『あ、ちなみにここ、カラオケもちゃんと使えるよーなので、歌いたい人はどうぞ』
「会議じゃなかったのかよ!?おい!?」
ポニテの少女がツッコミを入れる
『意外と真面目だよね、爆殺姫ちゃん。』
ツッコミへの感想ついでにマイクを渡しながら、女子高生へと先の質問を返す
『アテがどうか言ってたね。』
『ぶっちゃけちゃうとないね!!』
『だって無理だろ?目的意識のある犯人ならともかく自然災害みたいなものなんだから何処にいたって、巻き込まれるときは巻き込まれるし』
「じゃあ……どうやって……」
「……どうやって、”今まで、事前に襲撃の情報を得て逃げ出せていたの?”」
『総会』メンバー > 『どうやって?あぁ、それは……』
「私の彼はー 私の彼はー」
コスチューム通りの可愛い歌を歌う、コードネーム爆殺姫。中々に熟れた歌唱力であった。
『歌うんだね、爆殺姫ちゃん。』
「おまえがマイク渡したんだろォーがぁああああ!!」
キーーーーーーーーーーンとハウリングが起こる。
耳を防ぐ一同。
「……で、どうなのよ。優秀な情報屋でも取り入れてるとでも?地震速報よりも速く地震がわかるような情報提供者が貴方にはいるっていうの?」
「そんなの、もう、予言とか予知みたいなものじゃない……」
先導者 > クラブの7とハートの7のペアを引き当てる
「カラオケで恋愛運上昇、友達が怪しいかも?」
ハウリングに耳を塞ぎながら占う
次はクラブの4とダイヤの4
「大凶。友達と一緒にいれば吉」
「信じるものは救われる、早速壷を買いに行こう!」
『総会』メンバー > 『ははは、そんな優秀かつ便利なコネあったら持っておきたいねぇ』
『ま、簡単だよ。何度も同じテストをやったら答えを覚えてしまうだろ、あれと同じさ。』
さも当然、といった体で答える。
『もしも、もう、この世界がツマラナイって思うくらいにおんなじ事を繰り返してしまったら。』
『なんて適当に言ってみたけど、地震は分からないし、先のことなんてわからないし、やっぱ起こってみるまではどうしようも出来ないよね』
「なによ……それ、どっちにしろデタラメじゃないの。」
遊んでいたスマホを取り落とす。それを、知っていたかのように。先んじて動いて。落ちる前に受け止めてみせた。
『やっぱさ。世界は楽しくないとダメだろ。なんども見た映画は飽きてしまうものだから、常によりよく』
『常に面白く、そして最高に楽しい世界にする』
『ただ、それだけだよ。』
含むような笑みを浮かべる黒尽くめの男は、女子高生の隣へ腰掛ける
『だからまぁ、どうやったらいいかなんて検討もつかないし、判るわけもないんだけれどさ』
『精一杯、やれるだけはやるつもりだから安心して愉しんできて欲しいんだ、皆にはね』
『総会』メンバー > 「もってっけぇーーーーーっ!」
熱唱が続いていた。アニソン系だった。
『うん、愉しんでいるようで何よりです、はい……』
ため息を一つ、ついてポテトチップスの袋をあける
『先導者ちゃんも一人で遊んでないでお菓子食べる?なんかもう、会議ってノリでもなくなってきたし』
『相変わらず来てくれないメンバーがいるし……』
『これ以上ないほどに自由を謳歌しているなぁ……』
先導者 > 神経衰弱の手を止め、総会長の動きに注視する
まるで『全部きっと間違いなくわかって』いたようにスマホをキャッチする
―――いや、あれは違う。もっと別の、二重三重、いやそれ以上の『重み』と『厚み』が、
「えっ、あっ、ハイ。」
まるで視線を読まれてたようなタイミングで
総会長のポテチ袋から2枚取り出して咥える。ドナドナダック。
バリバリと噛み砕く
「はいはい、さっき総会長がいいこと言ったーー!!」
部屋前方のホワイトボードに書き込む
『常に面白く、そして最高に楽しい世界にする、それだけ!!←テストにでる』
ご案内:「違法部活『総会』」にあの日の思い出さんが現れました。
『総会』メンバー > 『ははは、本当にテストとかやったら何人赤点になるかなぁ。』
『ところで何でボク、こんな教師ポジションみたいなことやってるの、おかしいな、皆と早々年齢違わないよね』
『先導者ちゃん、こういう面倒事押し付けちゃダメカナ?ボクだってホントは自由に遊びたいんだよ』
言いながら、カラオケのリモコンで予約を入れている
アニソン系だった。爆殺姫の熱唱で火がついたらしい。
「ところで我、そろそろ帰って自宅に引き籠もりたいんじゃけど。終電あるんで……」
『えっ、これからカラオケオールするんじゃなかったの?帰っちゃうの狐ノちゃん!?』
「我、3000円あげるから帰ってよい?」
『俗物かよ!!』
総会長のツッコミがカラオケルームに響いた。
先導者 > 「僭越ながら司会、信仰を勤めさせて頂く先導者です」
「さぁまずは本日一発目、総会長のありがたいお言葉でーす!! はい、拍手ー!!」
「それでは続きまして、総会長の愛のメモリー、お聞きください」
「こんな感じになりますが宜しいので?(ドヤ顔)」
おいでおいでと戸口に手招きしながら
あの日の思い出 > 「…御邪魔するよ。」
結構、揃っているだろうか。何だか如何にも儚げな笑顔の浪人生が姿を現した。
「賑わってるね。…何の話だい?…ああ。ええっと。」
爆殺姫を一瞥すれば、察したと言わんばかりに眉を下げて。
「取り敢えず、私は勉強してるからね。」
どっさり、勉強道具を広げながら。
「わー。」
結構な棒読みで拍手を送ったのだった。
『総会』メンバー > 『申し訳ございませんでした、先導者ちゃん……』
見事なまでの土下座だった。それはもう、ものの見事な。
深々と下げた頭を上げつつ
『浪人ちゃんも無理にノらなくていいんだ、というか会議的にはもうだいたい、終わったので割とフリータイムなんだ。カラオケ的な意味でも』
『……あとで纏めてプリントを渡しておこう。あ、先日の夏休みの強化合宿の件もだった。』
『ボクはリーダーっぽいことをするのが本当に嫌いだからやりたくないんだけれど、他にまとめてくれる人がいないからね、仕方ないね。』
本当に三千円渡して、ノートパソコン抱えて帰っていった狐耳の少女を見送りつつ
『そう、仕方がないんだ!仕方がないからこの鬱憤は歌で晴らす!』