2015/07/15 のログ
ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」にライガさんが現れました。
『演出家』 > 生前のそれを偲ぶように十字を切って神に祈る。
「おお、神よ。天に召されました哀れな子羊達をお導きください。
 ついでに十字を切った私も許しておいてください」
そんな細かいことを気にする宗派でもないのだが。

「『この劇場の警邏を行うと死ぬ』『死なないまでも怪奇現象が起こる』
 ……いやぁ、困った。これでは守る側のモチベーションがあがらない」
困った困ったと頭を振る。
「そんな曰くつきの劇場でスリル&ショック&サスペンスな演目を起こせば、それは私達の箔となる。
 ……そもそも、フェニーチェのファンはそのような些事を気にしないものではありますが」

くくく と笑う。

「そうは思いませんか、そこの御仁?」

ライガ > 「なーんか、どこかで聞いたような声がすると思え、ば」

警邏をしていた連中を踏まないように気を付けながら、スーツ姿の男が現れる。
『演出家』から視線を外しながら、黄金色の眼が当たりを見回し、深くため息をついた。

「はーあ。まったく手の早いことで。場面転換が急すぎる。
せめて感想言えるだけの余裕はもたせてやりなよ。
今度は『演出家』って名前だったか……ワンマン・レギオン」

魔に携わる者として、その名を知らないわけじゃない。

『演出家』 > 「大演目『正義の味方』はパワーゲームなのですよ……。
 打てる手は打っておく。撃てるなら撃っておく。そういうゲーム」
金色の目を持つ男に向かって一礼。

「感想は、演目が終わってからご友人たちと歓談するか役者に伝えるものですよ“魔剣殺し”。

 その名で私を呼ぶならば―――」

ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」から『演出家』さんが去りました。
ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 「『演出家』でなく、『ルギウス』として相対しましょう。
 何か御用でしょうかねぇ?」

ライガ > 「歓楽街で妙な司祭が路上パフォーマンスやってたらしいって聞いたぜ。
……どうせアンタの事だし、常世財団無期限定期パスでも持ってるんだろ?
あるのか知らないけど」

やるんなら異邦人街か、宗教施設あたりでやってくれ、と肩をすくめる。
よく知るその名を名乗り、用事を問われれば、いや、とやんわりと否定して。

「そう名乗られると困ったな。
うちら特殊情報課の御得意は団体の追跡だ、特定個人は追跡しない。
あとそんなに武闘派でもないしね、ここには風呂の帰りに様子見に来ただけさ」

ルギウス > 「まさか。私はIDすら持ち合わせていませんよ。
 前のIDは亡くしてしまいましてねぇ。
 信じるかどうかは別問題ですが」

あっさりとライガから視線を外して、舞台の上を徘徊する。
タン……タン とゆっくりとした歩調で、偶に足音を響かせて。

「ああ、それはそれはお仕事ご苦労様です。
 特定個人が団体だった場合は、どう対処なさるのか気になるところではありますが―――公安のやり方は手緩いんですよ。
 対象があくまで生徒だったせいかもしれませんがね」

ライガ > (……ってことはもしかすると生徒会はノータッチか?
この言を信用すれば、だが)

「余計なお世話だと思うけど、IDないといろいろ不便だと思うけどなあ。
ま、いいや」

警邏の一人、だったものに屈みこむと、苦悶にゆがんだその顔をじっと見る。
たしか……道に迷いかけた時に、委員会本部に案内してくれた奴だった気がする。

「手ぬるい、ねえ……。割と思い切ったと思ってたけど。
っていっても僕は時間旅行者でもないし、
現時点でろくに意見出せないから、そんなこと言われたって困るけどさ」

ルギウス > 「足りなければ、そこらから拝借すればいいというだけですからね。
 円滑な社会生活をそもそも放棄しているのならば、IDに拘る必要がないわけです」
代価を支払う気がなければ、どこでだって生きていける と。
その場にある公的組織が怖くなければ という注釈が入るが。

「手緩いですとも。
 接収し、使い道がないのなら即時解体してもいいくらいです。
 『フェニーチェ』の危険度がそれほど高くないと判断しているのかもしれませんが……ポーズでなく見せしめに使いたいならそれくらい過激にやっていただきたいのですよ」

ライガ > ああ、と目を伏せる。

「そういや“スナッチャー”だったっけ……
気ままに動けるのは多少うらやましくはあるけど、やりたい事のために手持ちを犠牲にする僕には一生たどり着けない領域だな」

警邏の人数、顔ぶれを改めて確認し、劇場跡に背を向ける。

「ところで用事と言っちゃあ用事だけどさ。
──このあたりでゲリラ豪雨ってなかった?滅茶苦茶狭い範囲で。
1度とは言わず、2度3度。なかったら別にいいけど」

ルギウス > 「いえいえ、やりたい事があるなら何を支払ってでも行動すべきでしょう。
 私はその支払いの敷居が他の皆様方より低いというだけのお話です」
どこまで本気なのやらわからないような、張り付いた笑みが動くことはない。

「さて、血の雨であるならば心当たりが多すぎてなんとも。
 そうでなくても、多少の心当たりならないこともないですが……公的情報であるならば気象庁と公安、風紀の広報ページって役に立ちますよ?」

ライガ > 「所謂ローコストってやつか。
上手くいかないものだな、どうせならゼロにしない?」

血の雨はしょっちゅうだろ、ここらでは。
そういいかけて、目を上げる。

「血の雨じゃなくて、普通の雨なんだけどさ。
観測ポイントにも限界ってあるだろ。
範囲狭すぎるとレーダーすり抜けることもあるんだよ。
この島のレーダーは高性能だと思うけど」

あんまりこれといった情報はなさそうだな、と考えて離れ、歩き出す。

ルギウス > 「ゼロになるとしたら、それは神くらいなものでしょう」
祈りを捧げるポーズをとる。

「劇場ですからねぇ。
 その手の情報なら、現地に根ざしたネットワークに当たる方がよろしいかと」
恭しく一礼する。
「貴方の舞台が幸福に満ち溢れる事こそをお祈りしております」

ルギウス > 「ああ、それとひとつ注釈を。

 貴方が目撃した事件は、『フェニーチェの演出家』ではなく『ワンマン・レギオン』の凶行ですよ。
 報告なさるのならば、そちらにてお願いします」

ライガ > 「あれ、アンタでも一応その線引きはするんだな。
やりたい放題って印象だから神も何もあったもんじゃないって思ってたんだが、これは失敬したわ」

は、と小さく笑って片手を上げる。

「報告って、どこにだよ。それこそ特定個人の案件だろうが。
ま、どっかに放り投げでもするさ。
アンタが真の意味で『演出家』に向いてるってのを確認しただけでも良しとするか」

足音はまるで猫のように無いが、気配が遠ざかってゆく。

ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」からライガさんが去りました。
ルギウス > 「適正と本人の希望が合致すると限らないのが難しいところでして」
一礼したままライガを見送る。

「さて、と。
 後は少々小細工をしなければいけませんねぇ……」

ルギウス > 「此度の劇場での惨劇は私の舞台にしてしまいましょう。
 『フェニーチェ』でなく、“スナッチャー”の“ワンマン・レギオン”の“自由なる”ルギウスの舞台」

再び、舞台上を徘徊する。

「我、ここに在り と 存在を示すのに 偶々、この劇場を使用した とするための、痕跡」

ルギウス > 「まぁ、私のする事の理由なんて 面白そうだったから が大半を占めるわけですが」

ふむ、と思案顔。

「どのみち、取引は破綻でしょうねぇ。
 フェニーチェに縁ない誰かが同じ事をした場合でも、行政側はフェニーチェのせいにしてしまう公算が高いでしょう。

 そうであるなら……完全に国家の敵になってしまう方がドラマティックですかねぇ。
 フェニーチェの方々には悪いのですが……ね」

ルギウス > 思考という名の独り舞台は続く。

「取引が反故になっていない場合……劇場には集まれず、フェニーチェという団体の活動は個々の活動に留まるでしょう。
 取引が反故になった場合……捕縛を恐れなければ劇場には集まれますが、やはり団体の活動としては個々の活動がメインですかねぇ。
 おおっぴらにできるかどうか だけに焦点が移りそうな気もしますが」

ルギウス > ゆっくりと歩を進める。時折、タン タン と 足音が響く。

「第三者の可能性を示唆し、フェニーチェに損害を与え、公安にダメージにもダメージを。
 となると……些か不本意ではありますが、コレですかねぇ」

ルギウス > 一際強く、舞台を踏む。
それを合図にしたかのように、舞台のそこかしこから火の手が上がり始めた。

「過去の再現のみならず、後世に語られるべき不死鳥ならばこの炎からでも姿を見せるでしょう。
 不死鳥を騙るただの鳥ならばそのまま焼け死ぬのも運命。

 彼らには少々、厳しいことになるやもしれませんが……私は、舞台が見られればそれでいい。
 不死鳥が足掻く舞台、体制が惑う舞台、大衆が煽る舞台。
 どれも魅力的ですからねぇ」

ルギウス > 炎の中で愉快げに肩を揺らす。
「いやぁ、困りましたねぇ。
 寄る辺を失う劇団も大変ですが、面子に泥を塗られた公安も大変だ。
 いやぁ、困った困った」

笑みが張り付いたままの顔で、実に困った と繰り返す。

ルギウス > 「誰も彼もが大弱りだ。
 あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

我慢できないとばかりに、体を くの字 に折って大哄笑。

ルギウス > 「はぁー はぁー。
 まぁ、舞台そのものの破壊なんて褒められた事じゃありませんがねぇ」
多少なりとも落ち着いたのか、台詞を紡ぐ。

「さて、役者たちはどのように舞台を進めますやら……今しばらくは特等席からの観覧を楽しむとしましょうか」

ルギウス > 「あー 楽しい」

その言葉を残して、炎があがっている舞台からスポットが消える。
炎は依然として燃え続け―――

ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」からルギウスさんが去りました。
ご案内:「ミラノスカラ劇場跡」にルフス・ドラコさんが現れました。
ルフス・ドラコ > レッドベルベットのソファに、腰を掛けて。
舞台が見えるよう角度をとってある背もたれには触れもせず、
少女が何かを読んでいる。

『夏の夜の夢』
……夏至の祭りを舞台にした喜劇の脚本を、ペラリペラリとめくっている。

ルフス・ドラコ > 「……恋人たちよ、妖精の時間だ、と」
読み終えて、本を閉じる。
元々演劇に詳しいわけでもない、何らかの感慨を表すには素養がない。

ただ、何か読んでおいたほうが公演を楽しめるのではないか、と
そう思って聞いたことのあるタイトルを本屋で買ってきただけのことである。

だから、次は全く脈絡なく別の文庫本を手に取る。
『アイーダ』。
おそらく音楽だけなら、常世島の学生たちも大半が聞いたことがあるであろうオペラの対訳を、
行儀悪くもソファに載せているトランクから取り出した。