2015/08/06 のログ
ご案内:「純喫茶ラ・テェム」に流布堂 乱子さんが現れました。
流布堂 乱子 > この制服を着て座っていると注文せずとも目の前に並々と注がれた泥水が出てくるし、
店内はどんな状況でも満席なので外へどうぞと言われるし、
先程からランチメニューも終わったというのに店員が光り物を手で弄んでいることを除けば普通の喫茶店。

左右のインカムから流れる別々の音声に耳を澄ます少女は、
暑い日差しも、何処から汲んだかわからない泥水も、さして気にならない様子であった。
いつもどおりの、平坦な表情。

流布堂 乱子 > 昨日の戦闘のために突貫で持ちだした装備二点のリース料について考えていると、概ねこのような表情になる。

既に資金残高は、いつぞや何でも屋同士で笑って話せた
「借金で首が回らない」
域へと突入していた。
このまま考えもなく偽風紀委員を無報酬で続ける限りは、夏を待たずにこの島から消えるか、
飛びながら撃つことの出来ない肩に据える迫撃砲を撃てるように"ナニかされて"しまう。

……左の、風紀の無線をザッピングし続けるインカムから幾度か名前が出るが、
表情は変わることはなかった。
向こうも首が回らなくなっていたのだろうか。

流布堂 乱子 > 右のギルドからの通信用のインカムは未だに無音。
今日の依頼については指示があるまで待機の必要が有るため、
こうして最寄りの喫茶店などに入っているわけである。

制服についても、必要があって着てきている。
お陰で路地裏には寝かしつけられたこの町の住民があふれている。ベビーシッターならもう借金返せてるのではないか。

流布堂 乱子 > 今回の依頼はギルドとの直接取引。
要するに、報酬は高いが介入して調整してくれる第三者が居ない。

この先のマンションで違反部活が売春行為を行っているが、
この辺りで起きていた抗争が終了したために上位組織が上納金の額を引き上げた。
困った違反部活は安直な考えに走った。
リピーターを増やすためにワンドリンク(依存性薬物)制とし、
サービス提供者を囲い込むためにこちらにも薬物を投与した。

ここまでは果てしなくどうでもいい話である。
ところが、何をせずとも自滅を待つばかりの違反部活からの依頼である
「事務手伝い募集」に引っかかったギルド員が居た。
彼は既に薬物を投与され、"部活動"へ参加させられたところで脱走し、ギルドへと保護を求めた。
トップページの要注意団体リストに既に組織名を挙げていたことから、
ギルドは責任を追わないとしつつも、違反部活へは違約金を要求。
その要求が突っぱねられたことから、実働部隊の募集が掛けられた、という流れになる。

報酬は何処から出るかといえばギルドではない。
違反部活の構成員の売上から分配されることになっており、マネーロンダリングは各人に任せられているということになる。
もちろん構成員には異能者が多いほうが、買い手が固いし額も高い。
風紀委員の活動に見せかけて対象を捕縛する、なんて要求に対して低すぎる危険手当だと思うところでは有るのだが。

流布堂 乱子 > それが何故実行タイミングを待っているかといえば、
一般的な経営スタイルを踏襲しているせいで、
こちらのマンションに居るのはサービス提供者と薬物を扱うために居る少数の構成員程度。
いくらガサ入れが有ってもトカゲの尻尾として切り捨てられる方であって、
こちらの騒動が本体に伝わっては意味が無い。

歓楽街に有るという部活そのものへは別働隊、というか本隊が向かっており、
こちらは「風紀のガサ入れに見せかける」ための演出の意味が強い。
だからこそ時間前から落第街をうろつき、騒動に巻き込まれ、ブチのめし、喫茶店に居座って噂を立てさせている。
もちろんこの時間は無給。どのくらいギルドの直接依頼がブラックかご理解いただけただろうか。

「……とっとと連絡が来てくれると助かるのですけれどね」
突入したところで、たとえ報告書を書くにしたって一行で済むような小規模騒動しか起こらないのだから、
せめてまた別の騒動に巻き込まれるか、それともとっとと依頼が済むかしてくれたほうが精神的に楽だった。

流布堂 乱子 > 「………………………了解です」
少しうつらうつらしかかっていた頃に掛けられた右のインカムからの声に応答し、
机に手をついて立ち上がると椅子の盗難防止用の鎖が大きく音を立てた。
店員の殺気だった目つきには首を振りながら、
「コーヒーを頼んでしばらくしたら泥水に変わったんですけれども、
この辺りでは一般的な騙し方なんですか?」
飛んできた包丁から身をかわしながら。
目的地のマンションへ向けて、重心を高くしたキャリーケースを歩行器代わりにして歩いて行く。

マンションを制圧した。

腰につないだ手枷を前の者の腰につないで、連結させてぞろぞろと歩かせて階段をおろし、
既に連絡して手配してもらっていた白いバンへと全員がぞろぞろと乗り込んでいく。
危うく他の風紀委員とかち合っていたら、その人達何処へ連れて行くのと聞かれるところだった。
後部ドアを閉めて車体側面に周りアジア系の運転手に会釈すると、一仕事終わりである。
「ロッソさん、その服装だト赤多すぎるよネ」
「なるべく赤くならないように気をつけてるんですけれどね」

流布堂 乱子 > 太陽は未だ中天にある。
ひとまずは喉元まで来ていた危難を乗り越えたということで
「……誰かにおごってもらいましょうか」
自分へのご褒美を画策しつつ、ゆっくりと歩き去っていく。

ご案内:「純喫茶ラ・テェム」から流布堂 乱子さんが去りました。