2016/06/05 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > 委員会からの注意を受けて久しぶりの保険課としての活動
「…相変わらずひどいなぁ」
薬物中毒症状を起こした二級生徒達、
力のある男子の保険課生徒達が協力して次々に車に運びだしていく
誰が通報しやがっただのと暴れる生徒を当身で眠らせつつ、凛霞も運び出しを手伝ってゆく
迅速な行動もあり、3人ほどの保険課生徒を残して、移動用の車両が全て出発する
「戻ってくるまで一旦待機かな。みんな油断しないでね」
此処は落第街、何が起こってもおかしくはない
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に東郷月新さんが現れました。
■東郷月新 > 「――ようやく、ですなぁ」
ビルの上から眺める男。
かの古武道の生徒、ようやく見つけた。
まったく、一般生徒はなかなか落第街には寄り付かない。
今日この日、ここで見つけられたのは、僥倖と言えるだろう。
「――っ!」
ビルの上から飛び降りながら、刀を構える。
狙いは凛霞、ただ一人。
声もなく、奇襲を狙い。
■伊都波 凛霞 > 「戻ってくるまでは30分くらいかかりそう。
そのうち公安もきて調査とかはじめると思うから───」
ヒュッという風切り音が耳に入る
横?後ろ?…違う
「離れて!!!」
とっさに放つのは警告の一声
キッと頭上を睨めつけて、両腕を交差させてその奇襲を受け止めた
制服の袖の下からギィンッという金属の衝突する音が響く
「───う、くっ!」
グラつく姿勢をなんとか両の脚で支え
「逃げて!はやく!!」
まっすぐに、明らかに自分狙ってきた刃、目的は否応なくわかる
受け止めることで、他の保険課の生徒の逃げる余裕を稼ぎたかった
それがしっかり伝わったか、他の生徒達は駆け足で現場を離れてゆく
■東郷月新 > 「ムっ!?」
自分の着地の為にそこまで重さを重くしていなかったのが災いしたか。
なんと、篭手を腕に仕込んでいたとは!
そのままの勢いで地を転がり、体制を立て直す。
「いやいや、お見事! 今の一撃を受け流しますかなぁ!」
嬉しそうに言いながら構える。
他の保険課の生徒には見向きもしない。
狙いはあくまで、彼女ただ一人。
「ごきげんよう、お久しぶりですなぁ」
■伊都波 凛霞 > 「いった……とんだご挨拶ってやつ……」
制服の切れ目から黒光りする金属の光沢が除く、がまだその全容は見せず
痺れた腕を降るような仕草で、東郷月新を睨めつける
「なんの用…っていうのも、無粋かしら……」
できれば痺れがなくなるまで言葉を交わして時間を稼ぎたいけれど、
話は通じても遠慮をするタイプにはあまり見えない
すぅっと浅く息を吐いて、戦闘態勢を作る
■東郷月新 > 「はは、小生、粋な挨拶というのはどうも苦手でしてな」
風流とは縁のなさそうな無骨な日本刀を構え。
少女を薄っすら開けた瞳で眺める。
「もちろん、再戦ですとも。いやぁ、今日出会えた事に感謝ですなぁ!」
嬉しそうに言いながら、ゆっくりと日本の刀を向け――
地を蹴り、凛霞の方へと駆け出す。
余裕は与えない、一撃で決めようと上段と中段、大振りに切り込んで行き
■伊都波 凛霞 > 「望むところ、ってわけにもいかないんだけどっ!」
タタンっと舞踊のようにステップを踏み、間合いを突き放す
「(──凄い、殺意。まるで隠そうともしてない、この人…生粋の人斬りなんだ)」
嫌な汗が流れる
死合いの経験がない、などと言ってはいられない状況
ギリギリでの回避などしてもこちらが徒手のままではリーチの関係で意味がない
スウェーからの、片手をついての後転で斬撃をやり過ごし、即座に反撃体制を整える
「───はっ!!」
風を切る音と共にいつその手にとったのかも見えないほど自然に、鎖分銅、そしてその影に隠された苦無が2本、東郷の両腿を狙って放たれる
■東郷月新 > 「なんと!」
あの体勢から、いきなり立て直すか!
素直に驚きながら東郷は追撃をせず、相手の出方を見る。
案の定、鎖分銅にクナイ。引き出しの多い女子生徒である。
「ふっ――!」
鎖分銅を弾きつつ。クナイはギリギリで――
かわしきれずに、太ももにかすり傷。
まったく、飛び道具は苦手だ。
「やりますなぁ」
嬉しそうに殺意を向ける。
男にとっては、それはただの戦意と同じ。
男にとっての戦いとは、すなわち殺し合いである。
■伊都波 凛霞 > 「(掠った───? でも、見えてはいる)」
こちらとしても奇襲を兼ねていた
そうそうの強者でも見落とす、所謂影投であったが──
「私も怪我しないように必死なもんで!」
弾かれた鎖分銅を呼び戻し、その両手に垂らす
片方は分銅、片方は、鎌
そしてそれを8の字の描くように振り始める
やがて速度が上がって行き、まるで暴風のような音を立て始める
故に、風神鎌
「(この状態は攻防一体…彼の得物の間合いなら、見てから対処できる)」
先には動かず、風神鎌を維持するままに出方を伺う
■東郷月新 > 「ふむ……」
鎌と鎖分銅。その振り回す勢いを利用している。
まるで結界のようだ。
「女学生の使う技ではありませんなぁ」
苦笑しながら、東郷はちらりと上を見る。
あれに飛び込むのは、さすがに自殺行為だ。
となると――
(――アレにしますか)
ここは落第街のビルの谷間。
そして東郷は、落第街の地形を完璧に把握している。
なので、今の彼女の傍には――
「――ふっ!」
東郷は大きく刀を振りかぶり、刃風が衝撃波を生む速度で振りぬく。
もっとも、その衝撃は彼女に向かわない。達人相手にはそよ風にも等しいだろう。
狙いは、彼女の上――むき出しのビルから伸びる管。
そう、下水管。
落第街の廃ビルは、至る所で下水管がむき出しになっている。
その一つを叩き割り、彼女に汚水を浴びせその『風神鎌』の速度を制しようと。
■伊都波 凛霞 > その眼光はしっかりと、東郷の動きを見ていた
風神鎌を展開しつつも、真っ直ぐに。 だから、見えた
大きく振りかぶったその切っ先、その強大な殺意は
「(私に、向いてない!)」
刹那、風神を身に纏ったままに地を蹴る
切断された下水管、そこから吹き出す汚水を置き去りにして、真っ直ぐに東郷月新への間合いを詰める
その間合いはもはやクロスレンジに近く──
「(縛法──九字搦め!)」
鎌の柄を脇で捕らえ、遠心力を匠に操作した分銅をその両足へ、
反応できなければあっさりとその両足に鎖が巻きつきその自由を奪う
剣士との戦いはまず脚を制する、その手本通りに
■東郷月新 > 今日何度目の驚愕であろうか。
普通、あの結界を展開していれば、こちらの『後の先』を取ろうとするだろう。
だが、それにしても一瞬でこちらの懐へ潜り込む判断。
(――前よりも、強くなっている!?)
狙いはこちらの――脚!
まったく、どこまでもお手本通りだ!
「小癪!」
だが、間合いはこちらのもの。
ここまで近づけば――!
「――っ!」
脚に鎖が絡みつき、動きを封じられる。
だが、その動きと同時に――カウンターで、一撃を入れる。
狙いは、心臓。
鋭い突きを凛霞に向かって繰り出し。
■伊都波 凛霞 > 狙い通りに鎖は絡む、が
そう、この場合は当然両腕は"生きて"いる
強すぎる程の人斬りの殺意が突き刺さる
この間合いなら、狙ってくるだろうと思っていた
そして脚をとられ、重心を疎かにした手突きなど───
「ふっ───」
ギャリリリッと火花が散る
左腕を刃の下に滑りこませ、その軌道を逸らす
結果、凶刃は左肩を浅く切り裂き空を突く
「───でやぁーっ!!」
裂帛の気合一閃、その勢いのままに鋭く入身、右肘でその腕をかち上げ、
脚に絡ませた鎖も連動させた強烈な変則四方投げをお見舞いする、が
──地面は、固い。下手をすれば死ぬ
そう思った凛霞は咄嗟に、身を放る方向を木箱の打ち捨てられた路地隅へと見定め、投げを極める
■東郷月新 > この上、まだ。
間合いを詰めてくるというのか!
(――この娘、強い!)
東郷は歯噛みしながら次の一撃を覚悟した、が。
「ぉぉぉぉっ!」
投げ捨てられた場所は、木箱の上。
くらくらするが、まだ――
「――っはぁ!」
肺の空気が無理矢理出されていく感覚。
まったく、ここまでしてやられたのは久しぶりだ。
■伊都波 凛霞 > ジャララと音を立てて引き戻された鎖を腕に巻きつけ、分銅を垂らす
投げ捨てた東郷月新と、まっすぐに対峙する
普段の温和な笑みは消失せ、真剣の切っ先のような鋭い視線
その立ち姿に、闘争への迷いは一切感じられない
「古流武術、伊都波凛霞。…まだ名乗ってませんでしたっけね?」
今しがたの攻防で破れた左の袖から覗いているのは、黒鋼のトンファー
最初の一撃を防いだのもこれであろう
もはやこの少女のどこから武器が飛び出してくるかもわからない始末である
■東郷月新 > 「いやはや――」
ふらり、と何とか立ち上がる。
この上まだ、男は戦いを諦めていない。
勝敗は、生死をもって決着する。
この男の、譲れない部分である。
とはいえ――
(参りましたなぁ――)
相手の引き出しが多すぎる。
東郷は状況を限定し、誘導し、そして命を刈り取る事によって相手を制する『人斬り』である。
ここまで状況に対応できる武術とは、相性が悪い事この上ない。
(準備不足でしたか――まさか、こんな小娘にしてやられますとはなぁ)
「人斬り、東郷月新。元はロストサインという組織におりましたが、今はただの無頼、ですなぁ」
さて、仕方がない。
東郷は剣士ではあるが、勝てない死合を続ける趣味はない――さっきと言っている事が矛盾しているが。
ゆっくり構えつつ、タイミングを見計らう。
最後の一撃を繰り出す為の。
■伊都波 凛霞 > 「東郷さん、人斬りならばこそ、わかるよね?
さっきの投げ、私がその気なら地面に頭から落とすことも、ビルの外壁に叩きつけることもできた」
じゃら、と鎖鎌をまるで手品のように仕舞いこみ、代わりに
黒鋼のトンファーをその両手へと滑らせグリップを握りこむ
「保険課の私の領分じゃないけど、貴方のやってきたことは見過ごせない。
捕まえて、罪を償わせるよ」
殺しはしないけど戦闘不能にはさせる、宣言である
相手の目を見ればまだまだ勝負を投げていないことは理解る
大丈夫、殺意のある剣ならば物の数じゃない
何よりも剣を得意としてきた自分、確固たる自信があった
■東郷月新 > 「それで保険課なのだから、反則ですなぁ」
まったく、風紀公安でもこれほどの使い手は少ない。
それがこんな見目麗しい美少女とは――
見目麗しい、美少女?
あぁ、その手があった。
東郷はすぅっと息を吐き、そして叫ぶ。
「おい、お前ら!
女だ、イキの良い『外』の女がいるぞ!」
まったく最低の手段だが、仕方ない。
ぞろぞろと沸いて出る、違法部活の男たち。
ある者は慰み者に、ある者は薬品の実験に、ある者は邪悪な儀式の生贄に。
『外』の連中を捕まえようと、這い出してくるクズども。
凛霞は確かに強いが、他の保険課メンバーというハンデを背負っている。
■伊都波 凛霞 > 「っ…何を…!?」
まさかの行動に、目を見開く
辺りからぞろぞろと現れてくる男達
まさか、こんな真似をするとは
互いに名乗りあったような戦いで
先に逃げた仲間はもう安全な位置まで移動している
そう違いない、と 思いたい
完全に予想外の行動に思わずその目を東郷から、離してしまう
■東郷月新 > 「申し訳ありませんなぁ、お嬢さん。
小生、まだ捕まるわけにはいきませんでな!」
一瞬、視線が逸れた。
やはり――殺し合いには、慣れていないようだ。
人は、足掻く。
生きる為には、何だってする。
よって、生きる手段は選んではいけないのだ。
「では、これにて」
言い出した頃には、すでに東郷は落第街の奥へと駆け出しているだろう。
コテンパンにやられて尻尾を巻いて逃げるわけだが。
なぁに、目撃者は彼女自身が「消して」くれるだろう。
(準備が要りますなぁ――あの、極上の獲物を仕留めるには!)
■伊都波 凛霞 > 「あっ!」
まさか そんな の連続だった
あの目は確実に最後の一撃を狙っている目だったのに───
ここで逃げ…?
まるで噛み合わない、そうこうしているうちにぞろぞろと現れた二級生徒達に囲まれてしまった
「く…」
これでは追撃もできやしない
ましてや、保険課生徒としてはこういう時に深追いをするわけにもいかない事情がある
■東郷月新 > 戦場は臨機応変に。
なにせ、東郷は一度『負け』ているのだ。
誇りも、闘争心も、力も。
全て奪われた経験がある。
今の東郷は『ヒトキリ』。
人を斬り、その日を生きる、惨めな落第者である。
そして東郷は落第街の奥へと消える。
凛霞との再戦を、己の胸に誓いながら。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から東郷月新さんが去りました。
■伊都波 凛霞 > 「………」
逃したのが悔しいわけではない
それでも込み上げてくるこの嫌な感情は…
死合いとも呼べるような、立ち会いを何だと……
武術と共に生きてきた少女の心に微かな苛立ちが灯る
周囲を見る
今にも掴みかかってきそうな男達に、静かに目を伏せた
「………はぁっ」
深い溜息
それと共にバンッという炸裂音、弾けた閃光は真っ白な煙幕となってその一角を包み込む
煙が晴れた時には、そこに既に少女の姿は影も形もないのだった
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から伊都波 凛霞さんが去りました。