2016/06/08 のログ
ご案内:「とある違反部活の前」に紫刃来十さんが現れました。
紫刃来十 > 日も暮れ、既に夜といっていい時間帯にもかかわらず
路地の隙間から差し込む光は今だ消えることなく、目に痛い程の光が地面を照らす。

そこは歓楽街の近く、とある違反部活の本拠地の前。
入り口付近には明らかに物々しい様子の、武装した男達が屯している。
その中にあって何人は異能者であろうか、普段の学生服や私服のままの人物も見られる

紫刃来十 > 「さて、事前にも説明したが…俺等のやることはもうわかってるな?」
武装した人物の中、一際体格の大きい、リーダー格らしき男が集まった者たちに声をかける。

「俺達のやる事は一つ、今日ここ…「第16特殊売買部」をぶっ潰すことだ。
中にいる奴らは残らずぶちのめせ、殺してもかまわん。
中にある『商品』についても同じだ、売り物にならなくしてやれ
手段はお前らに任せる」

男がそういうと、集まった者達が一斉に笑い、口笛を吹き、或いは舌なめずりをする。
…ただ一人、拳法着のような服を着た、少年を除いては。

紫刃来十 > 「第16特殊売買部」
とある違反部活の下部組織であるそこは、彼らの商品…主に女性を使った
性的な奉仕により収入を得ていた。
新規に立ち上げたばかりであるにも関わらず、周囲の同系統の店を超える売り上げを
記録していたが、余りにも勢いがつきすぎた事と、金にものをいわせた強引な手法

金で雇ったごろつきを使った他店への妨害、他所の店の売れている『商品』の
引抜などを頻繁に行った結果、とうとう彼らの敵対組織に目をつけられることになった。

今宵集まったのは、その敵対組織の構成員や、雇われた異能者達。
夜の間に奇襲を仕掛け、『商品』諸共第16特殊売買部を壊滅させる気だろう。

紫刃来十 > 「どこもかしこも出る杭は打たれるってのはかわらねえんだな…ふぁ」

勢いづくごろつき達を他所に、その後ろで冷ややかな目線を向ける拳法着の男…
「ま、俺は金が稼げればどうでもいいけどよ」
そう言いながら、軽く首を鳴らす。

彼にとっては組織同士のいざこざや、下らない覇権争いなどどうでもよいのだ。
重要なのは、金払いのよさと強者との勝負、その2点のみ。

「よぉし、時間だ!お前ら、相手が女だろうが容赦するなよ!とにかくぶっ潰せ!」
リーダー格の男の合図を皮切りに、武装した違反学生と、やとわれた異能者たちが
扉を破壊すると、一斉に雪崩れ込む!

紫刃来十 > 「な、何だお前…あ゛っ」
警邏の最中らしき下っ端の男が、振り向き様にバットのフルスイングを受け
壁に叩きつけられる。

おそらくまだ営業中だったのだろう、彼等が雪崩れ込むと同時に
客らしき男達が我先にと逃げ出す。

商売の最中を狙った突然の襲撃に、相手はなすすべもなく蹂躙されていく。
恐らくそう長くないうちに制圧され、ここは壊滅することになるだろう。

紫刃来十 > 「さて、と…」

そんな中にあって、先程一人冷ややかな視線を送っていたいた男…柴刃と呼ばれる拳法着の
男は、他の者らが女のいる場所を襲うのに対し、真っ直ぐに敵の首領のいるであろう場所へ向かっていた。

「あっちはほっといても盛りのついた連中がどうにかしてくれんだろ。
俺は…」

不意に、先程まで誰もいなかった空間に、複数の気配が現れる。
「こっちでお楽しみと。いきますかねえ…」
指を鳴らし、敵…おそらく敵のボスのボディガードであろう異能者達に対し、構えを取る。

紫刃来十 > 「ふん、これだけの数相手にやりあおうって気かよ」
気配のうちの一人…両手から炎を放つ青年が一歩前に出て、柴刃の蛮勇とも取れる行為を嘲笑う。

「油断するな、わざわざ一人で来るその自信、あいつも異能者だろう」
別の気配…氷を周囲に浮かべた冷徹な印象の青年が闇から姿を現す。

「どんな力を持っていようと関係ない、私達相手に一人で挑むのがどれほど
愚かな事か、身を以って知ってもらうまでだ。」
ショートヘアーの女性が最後に姿を現す。

「さて、誰に殺されたいか、リクエストがあれば聞いてやるぜ?」
尚も挑発を続ける炎の青年、対して拳法着の少年は

「口だけはよく回るな、如何にもやられ役の雑魚ですって感じだ」
敵の本拠地で多対一という状況にもかかわらず、微塵も動ずることなく
寧ろ余裕綽々といった表情で、逆に敵を煽り返す。

紫刃来十 > 「てめえ…!」
他人に煽られる事には慣れていないのか、先程とはうって変わり
怒りの表情を見せる炎の青年。

「熱くなるな…」
氷の青年が宥めるが、耳に届いてる様子はない。

「あーあ、あいつああなると後が怖いよ~、普通にやればまだ生き残れたかも
知れないのに、あんたも馬鹿だね」
ショートヘアーの女が笑う、相手が勝てるとは微塵も思っていないようだ。

怒り心頭といった炎の青年に対し
「何だ、怒ったのか?悪い悪い、まあそりゃそうだよな、人間言われたくない
事実ってのはあるもんだよな」
尚も煽り続ける、そして片手で呼び寄せるような動作をしながら
「いちいち一人ひとり対応するのも面倒だ、纏めてかかってこいよ」
お前らでは相手にならないと言外に伝えながら、とどめの挑発を見舞った。

紫刃来十 > 「そうかよ、そんなに死にてえなら、お望みどおり焼き殺してやる!」
炎の青年が吼えると、怒りのままに巨大な炎の玉を作り上げ、紫刃へ向けその火球を放つ。

「恨みはないが、消えて貰おう」
氷の青年も、それに続くように巨大な氷柱を作り上げると、火球の周囲、紫刃の逃げそうな
位置を予測し、あえて遅れたタイミングでそれらを放つ。

直後に、火球が柴刃のいた位置に着弾、爆炎が広がる、その威力と衝撃は
割れたガラスの勢いと、窓から噴出す炎の勢いで容易に想像できる。

さらにその逃げ場を塞ぐ様に放たれる氷柱、異能の力だろうか、アレだけの炎の中
溶けることなく飛ぶ氷柱は、狙った場所へ刺さると同時にその箇所を一瞬で氷付けにする

「へ、ざまあみろ…!?」
炎の青年が勝ち誇るも煙の晴れた光景を目の当たりにするやそれが驚愕に変わる。

消えたのだ、先程までそこに立っていたはずの少年が、影も形も。
だが先程の火球で
焼き尽くした残りも、爆炎で吹き飛ばした様子も見当たらない、氷柱に貫かれたかと
確認するが、その姿は見当たらない

「あいつ、どこに」

紫刃来十 > 「ここだよ」
炎の青年の発言を遮る様に、不意に目の前に現れる少年、そしてそれが
炎の青年が見た最後の光景になった。

直後、柴刃の体を纏う様に電気が奔った瞬間、人の限界を超えた嵐のような連撃が
炎の青年を滅多打ちにする。
百を容易に超えるその連撃を受けた炎の青年は、壁まで吹き飛ばされそれでも止まらず
その壁を突きぬけ、建物の外へと落ちていった…

「な、貴様…!」
とっさに反撃を加えようとした氷の青年…だが、次の瞬間その目が飛び出そうな程剥かれ
口からは声に鳴らない声を出し、ぱくぱくと金魚の様に口を開閉する…
その腹には、直前に
炎の青年を倒したはずの男の拳が、深々と突き刺さっていた。

紫刃来十 > 少しして、氷の青年の横を悠々と通り過ぎる…
氷の青年が膝から座り込むように崩れ落ちたのはそれから間もなくであった。

「…ぅ、あ…」
残った最後の一人、ショートヘアーの女は、先程までの勢いはとうに消えうせ
目の前の相手との圧倒的な実力差にただ恐怖し、震えていた。

二人の男とこの女は、三人一組の用心棒であった。
二人が遠距離攻撃で闘い、身体強化の異能を持った女がその間隙を縫い打ち漏らした相手を倒す。
もしくは実力のある相手なら二人の援護を受けた女が三人がかりで倒すというのが
彼女らの常套手段であった。

援護をしてくれる仲間二人がもういない今、今の自分はただのどこにでもいるレベルの
身体強化の異能力者、目の前の相手にはどう足掻いても勝てない。

「お、お願い…助け…あがっ!!?」
許しを請う女性の腹に、容赦のない蹴りが飛ぶ。
悲鳴を上げて悶え苦しむ女に、男の方は至極冷淡な視線を向けていた。
「何だ、負けそうになったらごめんなさいで済まそうってか
女だから許してもらえるとでも思ったのかよ」

その体に雷を纏いながら、男が一歩一歩近づく…
「ほら、抵抗してみろよ…しなきゃ嬲り殺しにするだけだぞ」
その視線は、男が本気である事を十分に伝えてきた