2017/03/10 のログ
ご案内:「違反部活群」にラクリモサさんが現れました。
■ラクリモサ > びしゃり、びしゃり
何か濡れたようなものが何度も地面に打ち付けられるような音が
人の訪れない裏路地に響く。
白衣の裾と足先を真っ赤に染めた小柄な体が薄暗い闇の中を行く。
何処か夢見がちなその瞳はまるで現を眺めていないようで
そしてだらりと下げた手の片方は何かと手を繋いで。
いや、正確にはひじから先だけの片手を持っているというのが正しいかもしれない。
まるで強引にちぎられたかのような断面のそれと手を繋いだ形のまま
「……ふぁーぁ」
あたかも花束を持っているかのように気軽に、気だるげにそれは歩く。
今日は少し暖かい。どこか適当な日溜りでも見つかればそこで眠れるかもしれない。
今何時だっけ?そう思い腕時計を見ようとしてふと気が付いた。
「なんだろこれ。あ、手か」
いつの間にか持っていた手をぽいっと側溝へと投げ、
何事もなかったかのように腕時計を覗き込む。
ああ、もう夕方だ。だからこんなに暗いのか。
今日は寮に戻ろうかな?ああでも面倒だな……
そんなことをぼんやりと考えながら立ち止まる
■ラクリモサ > 「……んぁー」
小さく欠伸をする。
この辺りは行方不明が多い。
この付近の住人も何か危険と知っているのか殆どこの辺りには入ってこない。
お陰でいつもあまり邪魔されずに散歩できる。
時折ネズミが入ってくるものの別に彼女は気にしていなかった。
自分から実験室に入ってくるネズミなんて、彼女からすれば実に都合が良いのだから。
「あーぁ……せっかく作ったお薬ちょっと試してみたいんだけどなぁ」
出来れば薬を常用していないような相手が良い。
自分で飲んでも良いのだけれど、以前自分が飲んでも少々ふらふらする程度の物を
モルモットに飲ませたら全身から血を噴出して死んでしまった。
あれでは麻薬としては役に立たない。
川の向こうまでぶっ飛べるお薬が欲しいというならぴったりだけれど
大体の売人が欲しがるのは川の手前でタップダンスを踊るような薬ばかりだ。