2017/08/21 のログ
ご案内:「違反組織アジト」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 何時もと変わらぬ仕事。感情を挟まず、ただ粛々と淡々と依頼を遂行する殺し屋の夜は変わらない。
この日も、とある違反組織のアジトの殲滅―つまり、皆殺しを別の敵対する違反組織の長から依頼を受けた。
既にその依頼は滞りなく終了し、あとは依頼人に報告を済ませるだけだ。

男は左手に、適当にアジトの構成員から奪った安物の刀…血錆と刃毀れが酷い…を、下げながら右手で携帯を取り出す。
カメラ機能でその惨劇をきっちり撮影してからデータを保存、今度は何処かへ電話を掛け始める。

「……私だ。……ああ、依頼は遂行した。後で証拠画像を送る。確認次第口座に振り込んでおいてくれ」

淡々と、抑揚の無い口調はしかし仮面越し故か男か女かも分からないもので。電話の相手はこの組織と敵対していた違反組織の長、依頼人だ。

「……では……何?追加依頼?……最近路地裏を中心に暴れている……ああ、『血腐れ』とかいう女通り魔か…それの始末を?」

僅かに沈黙を挟む。その名前はつい最近裏社会で聞こえ始めた名だ。女学生じみた外見に血塗れの刀を持つと聞いたが。

ご案内:「違反組織アジト」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 「……済まないが断らせて貰おう。…他にも適任は居る筈だ。『純白』辺りに依頼すればいいのではないか?」

淡々とそう結論付ける。正直追加の依頼は面倒臭い。殺せるか否かという以前の気分的問題だ。
勿論、依頼を正式に受ければ誰であろうとただ殺すだけだが、『無貌』は淡々とその追加依頼を辞退する。

後は、こちらから通話を切って仮面の奥で密やかに吐息。”新入り”は随分と派手にやっているようだ。

「…このまま名を上げるか、それとも風紀の凄腕か第三者に潰されるか。さて…」

ご案内:「違反組織アジト」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 無論、顔も馴染みも無い赤の他人が名を上げようと野垂れ死のうと無貌の殺し屋にはどうでもいい事。
この落第街では珍しくも無い、死体がただ一つ積み上がるだけ。
…が、こちらの仕事に不都合が出るのもそれはそれで困る。だが面倒臭い。

(……既に同業か、別口が動いてるだろうがこちらは様子見だな。下手に関わるとややこしくなりそうだ)

関わる時は関わるだろう。そうでなければ特に縁も何も無いという事だ。

…そして、思い出したように死屍累々の周囲を見渡す。辺りは斬殺死体の山。それらを淡々と一瞥し。

「……取り合えず、後始末か、か」

無造作に右手を一振り。ただそれだけでどういう現象なのか死体も血液も、全て風化して砂と化していく。
そして、パチンと革手袋に包まれた指を鳴らせば、砂とも灰ともつかぬそれらは風に流されるように割れた窓の外からか夜風に流されて霧散していく。

証拠隠滅は手馴れたものだ。だからこそ10年以上も正体不明でいられる。あくまで要因の一つ、というだけだが。

百鬼 > そして、思い出したように携帯で先ほど撮影した死体の群れの証拠映像を依頼主に送信しておく。
勿論、この違反組織の長らしき人物も顔が分かるように撮影して送った…首だけしかないが。

今はその長を含んだ全ての死体はもうただの塵となって夜気に散っているが。
その場に軽く片膝を着いて右手を床へと添える。…生体反応は無い。盗聴、盗撮の類の機械も魔術も既に残らず破壊済み。

(…”仕掛け”の類は残らず潰した…不審な生体反応も他には無い…後は…)

一通り、そうやって5階建ての建物全てを”精査”すれば一息。面倒だがこれをしておかなければ取りこぼしや見落としが出る。
そこから、余計な面倒に繋がる事も十分にあるのでこの行動は無駄でも何でもない。

ご案内:「違反組織アジト」に百鬼さんが現れました。
百鬼 > 本当なら建物を丸ごと圧壊させた方が話が早いが、そこまで派手にやると余計なあれこれが食いついてくる。

ゆっくりと立ち上がれば、フと左手に持ったままだったボロボロの刀を軽く掲げて眺める。
言うまでもなく安物の粗悪品だ。お気に入りの黒刀はとある人物に未だ預けたまま。

その刀身部分だけを、先ほどと同じく謎の現象で風化させてこれも外に粉状にしてばら撒いて捨てる。
残ったのは鍔と柄だけ。それをクルン、と手の中で回転させてから外套の裏へと収める。
刀身がアレなら、むしろ無い方が取り回しがいい。”刀身が無くても斬るのは容易い”。

百鬼 > 「―――さて、」

長居は無用だ。依頼は終わったし追加の依頼は断った。証拠画像の送信も依頼主への報告も済ませた。
ならば、後はさっさと引き上げるだけだろう。靴音一つ立てずに室内を歩き…そのまま窓から飛び降りる。

5階立ての高さからの自由落下。しかし、矢張り靴音一つ立てずに地面へと着地する。
素の身体能力が高いのか、それとも魔術や異能でも使っているのか…それは謎。

そのまま、闇夜の落第街へと溶け込むようにその場を立ち去っていく殺し屋であった。

ご案内:「違反組織アジト」から百鬼さんが去りました。