2018/01/27 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアーバリティ エルグランデさんが現れました。
アーバリティ エルグランデ > スラムの小さな裏組織の拠点。積み上げられた死体の上で胡坐をかく。
少し警戒しすぎていたようだ。
ほんのすこーし策を練った結果がこれである。さぞかし性欲が満ちていないのか、白昼堂々、そういう者がくるという予定もないそうなのに簡単にいれてもらえた。
あとは簡単である。個室で一人殺して変身して外に出て暴れる。
呆気に取られて動けない者、舐めている者、馬鹿な者、恐怖で震えているもの。
銃やら刃物やらも下手くそが多く一方的な虐殺となった。
今さっきのことなのにもう記憶にないほどだ。

「あ、こいつらどうしようかなー。全員見るのも面倒だし仕切ってた数人だけ見とこ」

肉の山からおりて触手を伸ばす。長身はあまり慣れておらずバランスを崩しかける。そして記憶の中にある上位者を探すために山を荒らし出す。

アーバリティ エルグランデ > 「これぐらいでいいかなー。これでも面倒だけど。」

4人ほど選び出し全員ひんむく。
服や身につけているものは適当にあまり血で汚れていないところに置いて一人ずつじっくりと眺める。
女一人男三人の裸を真面目な表情で眺めている様子は何とも言えない不思議さを醸し出しており。

「誰かに見られたくないなー。やっぱり変態見たいだし。」

何百年生きて恥じらいというものこそ無に等しくなってきてはいるがやはり変態や馬鹿とは思われたくない。
男女四人の体を完全に覚えて立ち上がる。あとはこの死体を隠蔽して誰が死んだかわからなくするだけだ。

「フライーからのー融解毒~」

切り刻んでもいいが面倒。よって毒でとかしてしまう事にした。一枚の板のような形で死体の山に降る毒は死体を形状も残さずに溶かす。
あたりに濃い死臭を撒き散らす何かを見ながら失敗だったかな、と思いつつ部屋を出る。

「あ、回収した服もとかしちゃったー…まあいいかー」

外へと歩みを進めて。

アーバリティ エルグランデ > 「人集まってくるかなー?強い人とか来ないかなー?手応えある戦いしたいなー」

組織の拠点の入り口からひょっこりと顔を出す。今の容姿のままでもう一個組織を釣ってみるのもいいかな、と大迷惑な事を考えながら外へと踏み出す。
人が二人通るのが限界であろう細い道をペタペタと歩く。
地面の冷たさを感じながらあたりを不安げにー演技だがー眺める。

「誰かー!誰かいませんかー!?」

今にも泣き出しそうな様子で悲壮感あふれる叫び声をあげる。
このような場所でこのような叫びでつられるのは正義感あふれる風紀委員会や普通にいい人、そしてバカである。
キョロキョロして誰も来ない事を確認すれば再び声をあげて、を繰り返しながら道を歩いて行き。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > その怪異たる黒狗――今は人の姿に擬態し、しかも諸般の事情で何故か執事服姿だが…が、色々あって落第街に戻ってきた。
そして、特に目的も無くブラリと歩いていたのだが…そこで、妙な気配を感じた。
厳密には違うのだろうが、何処か”自分と似た”感覚…そんな感じだ。

「……俺以外の怪異……か?」

そういえば、何だかんだで同類とはまだ遭遇した事は無い。とはいえ、この怪異が誕生してまだ2ヶ月程度。
新参も良いところである。

ともあれ、そのまま歩みを進めていればそこには――白いワンピース姿の美女。
…所々赤黒くなっているのは、何とは考えるまでも無い。鉄錆びた臭いを男の嗅覚が捉えた。

「――ただの通りすがりならここに居るが?」

無表情のまま、落ち着いているが良く通る声で美女へと呼び掛けてみようか。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
アーバリティ エルグランデ > 「!人が!人が殺されてて!助けて下さい!」

突如現れたその人物ーどこか既視感を覚えるがーに抱きつく。
目に涙を浮かべてその人物を見上げる。
嬉しさに口を歪めてしまいそうなのを堪えて、今すぐにでも殺しにかかりたいのをなんとか堪えて。

「化け物がぁ…化け物がぁ…」

今にも泣き出しそうなのを堪えてその人物を見つめ続けて。

狗隠 > 「……そうか…。(ここでは珍しくもないと思うのだが)」

と、内心の声でそう呟きつつ、堂々と抱きとめる男。目に涙を浮かべる美女というのは結構クる…らしい。
あくまで一般男性の感覚なので、怪異である男としてはその裏に何が潜んでいるのか方が気になるが。

「…化け物…化け物か。分かった。気が乗らないが俺が対処しよう」

そう答えて、抱きとめた美女の背中を軽くトントンと叩いて安心させるように。
そうやっている男の姿は服装や武装はあれどまともであり、同時に隙だらけにも見える。

アーバリティ エルグランデ > 「そこの…そこの中に…」

片腕を離してさっきまでいた組織の拠点の入口を震える指で指し示す。
もう死体は無いしその化け物とは自分のことである。狭い入り口だ、そこで後ろから奇襲すればいいスタートをきれるだろう。
と、下衆な事ー彼女からすれば常識ーを考えながらその人物の背中へと回る。
刀やリボルバーを悟られないように確認してどうするかも決めて黒い笑みを浮かべる。

狗隠 > 「分かった。俺が確認するから君は下がっていろ」

無表情のまま、落ち着いた声色で美女へと忠告し…その狭い入り口へと、迷いの無い足取りで歩み寄る。
そして、中を覗き込んでみるまでが彼女の計画通り――そして男なりの茶番の付き合いでもある。

(…さて、これ見よがしに背中を見せているがどう来るのか)

男は普段抑えているが、好奇心は実は旺盛でありこの状況でも彼女がどう仕掛けてくるのか、それに興味が惹かれた。
無論、男は自分の強さに絶対的な自信がある訳でもないし何でも対応可能な万能さも無い。

「…ふむ、何も居ないように思えるが――…。」

と、呟きを発しながらさり気なく彼女に気付かれない程度に後ろへと気を配る。
こちらの左右の腰に下げた武装は彼女も分かっている筈。と、なれば奇襲はそれを見越して来る筈だが…さて?

アーバリティ エルグランデ > 「…はい。」

涙を拭って数m離れてついて行く。
おどおどとした様子で一度入った場所を歩く。
と、ここで一つの疑問の答えにある程度目星をつけて奇襲計画を見直す。
謎の既視感。それはこの人物が怪異だからではないか。
毎日見ている怪異ー自分ーがあるから既視感があるのであろう。
遠近それぞれの武器。ここからある程度は強いと思っていたが、怪異であるということはさらに強いのであろう。
警戒レベルを2、いや3上げる。

「エンチャント・マジックシールド・融解毒」

小声で何かに魔法を付与する。
そして計画を始動させる。

「そこの部屋…そこの部屋に…」

指し示した部屋は先ほど死体の山を築き、消した部屋だ。
死臭は先ほどよりも薄れたがそれでも確かに匂っており。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > おどおどした様子の美女へと一度チラリ、と肩越しに赤い瞳を向ける。薄暗い中、その瞳だけが何処か炎のように輝いた…かもしれない。
警戒レベルを彼女が上げている事までは流石に男も見抜けはしなかったが、それでも空気が若干変化したのを嗅ぎ取る。

(……わざとらし過ぎたか?嘘や演技は苦手だからな俺は)

内心で溜息。この街で生き抜くにはそちらも上達しなければいけないと痛感する。
そして、彼女が魔術を唱えたのと同時に男も小声で何かを呟いた。
もっとも、魔術そのものは単純だ…ただの風の魔術。しかも何か風を発する訳でもない。
隠密的に風の魔術を発動しながら表には変化を出さず、美女が指し示した部屋へと足を踏み入れる。

「……死臭が残っているな。殺しがあったのは間違いない…それもついさっきだな」

独り言のように呟く。さて、そろそろ男も茶番が苦しくなってきた。そろそろ彼女も仕掛けてくると思うが――…

アーバリティ エルグランデ > 「そりゃぁ…僕がしたんだから」

悪意が爆発して狭い建物を悪意が埋め尽くす。
発言と同時にワンピースの右腕の袖から触手が現れる。
先ほどの魔法はこれが対象である。

「融解毒!」

触手に融解毒が付着し狗隠へと伸びる。
否、狙いは刀とリボルバー。
少しでも付着すればあっという間に毒はそれらを溶かし蝕むであろう。

「そしてビーファスター&ストロンガー!」

早さ、速さの強化及び筋力増強である。

狗隠 > 「ああ――”最初から気付いていたさ”」

振り向かず男が美女に答える。背後で爆発する悪意と悪意と悪意。
美女のワンピースの右腕の袖口から飛び出す触手。狙いはこちら…ではない!

(…先に武器破壊を狙ったか!)

反射的に隠密的に発動していた風の魔術を発動。これは全身に薄っすらと気流を纏わせるものだ。
そこに触手がぶつかり…あっという間にその防護を突き破ってしまう。
これには男も少々予想外。かなり魔術が練られている…数年程度の熟練ではない。
結果的に刀――霊刀の方は刀そのものが悪意に反応して薄っすらと光を放ち毒や触手をはじき返す。
だが、リボルバーの方は突き破った触手と毒に僅かに触れてしまいジュウジュウと解け始める。

男の判断は迅速だ。銃が溶け切る前にそれを抜き放ちながら背後へと振り向きざま連射。
44口径のマグナム弾…6発全てを彼女の眉間、心臓、胴体、それぞれに2発ずつぶち込む狙い!

アーバリティ エルグランデ > 「だよね!そんな気がしてた!マジックシールド・銃弾!」

正確にはついさっきからでだが。
防御を失った触手が融解して床に落ちる。
銃弾を遮断するシールドは何の問題も無く銃弾を遮断する。

「スラッシュ!切り刻まれろ!んでもってトルネード!」

幅1mはあろう斬撃が狗隠めがけてとぶ。威力はただの刀程度しかないだろう。
そして室内での竜巻。彼女を中心に建物を破壊し尽くす威力の建物が発生して建物を消し飛ばす。

狗隠 > 「まさか、ここで”同類”と邂逅するとは思わなかったが…な!」

6発の弾丸全てを撃ち切ると同時、銃身が完全に駄目になったそれを投げ捨てる。
一方、こちらの弾丸は彼女の魔術にてあっさりと遮断されてしまう…が、それは見越している。

「――生憎と、切り刻まれる猟奇的な趣味は無くてな」

右手が翻り、左腰に下げていた刀を一瞬で抜き放つ。淡い霊光を帯びた白銀の刀身を一閃、まず飛ぶ斬撃を迎撃する。

「…風には風を…だ」

すかさず、開いた左手を一振りすれば、男の周囲を暴風が覆うように吹き荒れる!
結果的に暴風と竜巻のぶつかり合いで、その建物は一瞬で無残な瓦礫の山と化してしまうだろう。

男は暴風を解除しつつ、相手の出方を伺いながら別の建物の屋根へと着地する。

「……あまり騒ぎすぎて風紀委員会が出張ってくるのは勘弁願いたいものだが」

目の前の美女は脅威でしかないが、ついそんな独り言をボヤくように口にする。

アーバリティ エルグランデ > 「やっぱり!同類だよね!久々のまともな強者!楽しませてもらうね!」

相手の銃をダメにした事を確認すればにぃっと口元を歪めてシールドを解除する。そして風を纏い狗隠と同じ建物の屋根に向かって、飛行し、狗隠の前10m程のところで浮遊する。

「いいじゃん風紀委員会。一回は戦ってみたい!」

指を狗隠に向けるとそこから突風の銃弾が10以上、射出されて飛翔する。当たれば肉を捻じり骨をも貫くそれは肉を引き千切らんと狗隠へと一切の狙い違いもなく飛翔する。

狗隠 > 「…俺は誕生してまだ2ヶ月程度の新参者だぞ?強者とはとても言えないのだが」

何処か苦笑気味にそう告げる。美女はこちらの10メートル前方、空中に浮遊して佇んでいる。
それを見上げながら、軽く右手の霊刀の柄を握り直す。銃が早速駄目になったのが地味に痛手だ。

「…俺は一度交戦したが、色々と洒落にならんぞ」

しかも相手はロボットだった訳で。あの時は右腕を吹き飛ばされたし、撤退するしかなかった。
その苦い記憶を思い出してか溜息を無意識に零すが、彼女から注意を一瞬たりとも外さない。

「……一つ、君に尋ねたい事があるのだが!」

美女の指先から放たれた都合10発の風の弾丸。それを、驚異的な刀捌きで受け流し、切り裂いていく。
一発だけ通過を許して左の頬を軽く風の銃弾が切り裂いて血飛沫が舞う。

構わず、左手を彼女へと向ければ砲弾の形に凝縮された闇の魔術を放つ!
速度は彼女の風の弾丸に比べやや劣るが、凝縮された魔力はかなりのものだ。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
アーバリティ エルグランデ > 「雑魚じゃないだけでいいよ!初撃に対応できないやつよりは圧倒的にマシ!」

簡単には倒せないであろう事実に身震いする。
ただしそれは恐怖などからではなく強者と戦えるといった歓喜からである。

「僕より強いならそれはそれで勉強になるからね!大丈夫!情報ありがとう!」

相手の弱気な一言に驚きつつも大丈夫であろうと自分の中で結論する。
そしてやはり戦いたい、そう確信する。

「なにー?答えてあげてもいいよ!マジックシールド・闇!」

一発ではあるが命中した突風の銃弾に歓喜しつつあえて相手の魔法を防いでやる。闇の砲弾が完全に遮断されて消え去る。
そして魔法のシールドの後ろにはニヤつく彼女。

「耐えてみてねー?」

触手が四肢から狗隠へと同時に襲いかかる。前後左右上。
威力は肉を抉り硬さは鋼鉄にも匹敵する。
日光を反射するそれは50以上にも及ぶ。

狗隠 > 「……褒め言葉だと受け取らせて貰おう」

そう答えつつ、同時に相手が生粋の戦闘狂に近いタイプなのだと何となく悟る。
男は無闇な殺しや戦闘を避ける、怪異としては温厚というか異質なタイプだ。
だが、こうして戦う事そのものは否定しない。彼女の歓喜も実は少し理解できたりもする。

「…そうか。だがそれは俺もだ。君はどうやらかなりの年月を経た怪異だろうからな」

経験値で言えばダントツで彼女の方が上だ。男が表面上は良い勝負をしているのは己の怪異としての特性に他ならない。
そして、戦いの最中に問いかけた内容はある意味で意外なものだ。

「――折角だ、君の名前を教えて貰いたい。まさか名無しではないだろう?」

闇の砲弾が命中――したが、矢張り完全に遮断されてしまう。あのシールドを貫くのは難易度が高い。
そして、単純にあちらの方が手数が多い気がする…まぁ、それはしょうがないと割り切ろう。

「……耐える以前に普通の人間なら即死級だと思うが」

冷静に突っ込みを入れつつ、前後左右上下、その全てから襲い掛かる触手を一瞥する。
少々疲れるし、手の内を無駄に晒すのは控えたいが仕方ない。無造作に刀を屋根へと突き刺す。

そして両手を無造作に広げた所で――触手が全て彼へと着弾する。衝撃で彼の立っていた屋根ごとその建物が崩壊する。
粉塵が立ち上り、一見するとそれで男は肉塊にでもなったのかと思われるが――…。

「……何とも言えない”味”だなこれは」

粉塵を切り裂くように飛び上がり、執事服があちこちボロボロだが五体満足の男が姿を現す。
また別の屋根の上に着地すれば、一本だけ右手に掴んでいた触手をそちらに掲げてみせよう。

――そして、次の瞬間その触手が削り取られるように唐突に消滅した。男の限定的異能≪悪食≫だ。
ちなみに、ちゃっかり霊刀は左手の方へといつの間にか握られている。ただの刀ではないからこその芸当だ。

アーバリティ エルグランデ > 「そうすればいいんじゃない?」

褒めてはいない。あれで死ぬのが雑魚。今のところ雑魚ではない、その程度の認識である。
相手はあまり戦闘したがらないタイプなのであろうか。そんなことを予想しながら。勝てそうだな。と予想しつつも残念に思う。

「そうだねー。僕何年生きたかわかんないからねー。君みたいな若者の大先輩!まぁ従えとかしたってとか言う気はないけどー。
あえて言うなら逃げないでね?」

触手が狗隠を襲って粉塵がたつ。避けない事に驚きつつもどうなったのだろうと期待してどうなろうと大丈夫なように構える。

「…僕の名前はアーバリティ。本当は名無しだったけどね。この名前はずーーーーーーっと前の人間の名前!どんなやつかは忘れたけどね。
いやー、にしてもまさか喰われるとはねー。異能かな」

味という発言から喰われた、と判断する。
物理攻撃効果が薄そうだ。使うごとに体力消耗でもしてくれればありがたいなと思いつつ魔力残量を確認してまだまだまだまだ余裕があることを確認する。

「まぁ触手はいくらやられても再生できるしー。問題なっしん」

その言葉どうり、触手は完全に再生して再びうねり出す。

「弱点を探らせてもらうよー」

先程とは違いー前後左右上であることは変わらないがー何重にも重ねて攻撃する。五重の触手の層が狗隠を滅ぼさんと殺到する。

狗隠 > 「そうさせて貰おう」

雑魚、と言われても別に憤りはしないがあまり良い気分ではないのは確かで。
ならば、多少は骨のある相手と認識された方がまだ気分的にはマシであろう。
もっとも、強いと認識されれば彼女は嬉々として更に苛烈に潰しに来るだろうが。

「…そうか。では怪異の大先輩に恥じない程度の戦いを心掛けよう」

決して勝つ、とは口にしない。勝負場どう転がるか分からない上に、現時点ではこちらがやや不利だ。
彼女の名前を聞けば、僅かに目を細めてジッと彼女を見つめて。ややあって頷いた。

「…アーバリティ。…≪黒触姫≫か。俺自身は君に会うのはこれが初めてだが”記憶”にはあるようだ」

記憶…男を構成する落第街やスラムでの死者の想念から該当する名前を探し当てた。
とはいえ、その記憶と彼女の外見は全然違うのだが。変身も自由自在なのだろうか?
ちなみに、異名らしきものは記憶の中で彼女が一部からそう呼ばれていたのを拾い上げただけだ。

「…ああ、本来の怪異の姿ではないので劣化しているがな。限定的に使っている。…名乗り遅れたが俺はクオンという」

そう、律儀に己も名を明かしつつ、彼女の出方を眺める。触手の一斉攻撃…いや、少し違う。
何重にも重なったそれは、一度に”喰う”のは結構骨が折れそうだ。

「――模倣再現…剣術検索…始動」

霊刀を両手で構え、次の瞬間、目にも留まらぬ速さで分厚い触手の波を切り付ける。
一度や二度ではない。瞬間的に何十もの斬撃を重ねて拮抗させているのだ。
もちろん、これは異能でも魔術でもない。彼女の触手と同じ特殊能力…特性の部類だ。
とはいえ、勢いはあちらの方が上だ。このままだとジリ貧なのは否めない。

「……やれやれ」

何処か嘆くように呟けば、急激に男の怪異としての気配が膨れ上がる!
次の瞬間、男の両手と両足に巻き付くように黒い鎖のようなものが出現する。

怪異の本性の限定開放。このくらいはしないと彼女に対抗できそうも無い。
刀を振るって触手を切り裂き食い止めつつ、四肢の鎖が無数に分裂して数十もの数に変化する。
先端が刃のように鋭いその鎖の群れが、カウンターのように彼女へと一斉に襲い掛からんとする!

アーバリティ エルグランデ > 「頑張ってねー」

こっからどう抵抗を見せてくれるのか。楽しみでたまらないと言った風に言う。

「黒触姫?いいねぇー。かっこいいね!じゃあそう名乗るとするかなー」

二つ名に純粋に喜ぶ。記憶にある、といった発言に疑問を覚えるがまぁいいか、と切り捨てる。
この姿をとるのは初めてではないが普段違う姿ではあるのでもしかすると変身出来るのがばれてるかもしれないなぁと思いながら。

「へぇ、久遠ねぇ。まぁ覚えては・おくよ」

は、の部分を強調して言う。本来の姿ではない、という方に興味を惹かれたようでワクワクしている様子。

「おおー…おおっ!?」

狗隠の剣に驚き、さらに解放にさらなる驚きを見せる。
こちらへと迫り来る鎖をどうするか、ほんの一瞬悩み。

「マジックシールド・鎖!ポイズンレイン・融解毒!」

巨大なマジックシールドが鎖を遮断し、さらに横殴りの毒の雨が鎖をとかして無に返して行く。
そしてその雨は狗隠にもおそいかかる。
触手は器用にそれを避けながら新しい層を作り狗隠へ殺到する。
ただしその数はだんだん減って行き。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > 「ああ…死なない程度にな」

勿論こちらが。死んでも何度も復活するタイプだがそこまでは口にしない。
あと、こちらが拾い上げただけの異名を何かお気に召していたアーバリティ嬢。まぁいいか。

「…全く、異名持ちで大先輩とは格が違い過ぎるものだが」

無名で誕生して数ヶ月の後輩としては、さて大先輩にどうやって一矢報いたものかと思う。
覚えて「は」おく、というアーバリティの言葉に、あぁこれ本来の姿の方に興味を持たれたな、と何となく察した。

「…全く、ほぼ無尽蔵に出せるのかこの触手は…」

ノーリスクで出せるとなると、それこそ手数ではどうしようもなくなりそうなのだが。
こちらの鎖も似たようなものといえばそうだが。一斉に襲い掛かる鎖の蛇の群れも、しかし彼女のシールドで防がれた。
おまけに、毒で溶かされる…怪異の鎖を溶かすとは矢張り怪異ならではか。

(…さて、どうしたものか――…それ所ではないな!)

横殴りの毒の雨がこちらにも襲い掛かる!得意の系統である風の魔術で気流の防壁を重ね掛けするが…。
駄目だ、端から貫通していく。なので、毒雨を空気の壁を常時展開しながら一気に間合いをつめていこうと。
当然、触手も襲い掛かってくるが、模倣再現で引き出した達人の剣術で切り払い、受け流し、体捌きで回避する。

「――行くぞ、アーバリティ嬢」

静かに告げる。その赤い瞳は真っ直ぐに彼女だけを見据えた。
同時、集中する為に空気の防壁を解除。毒の雨に身を晒すが構わない。
衣服や肌が毒に侵されて溶け始めるが――…。

「――ッ!!」

極限まで集中力を高め、両手で握った霊刀の輝きが増す。一気に彼女の近くまで間合いを詰めて気合の一閃を…!

アーバリティ エルグランデ > 「死ぬかもよ?」

相手の楽観的な発想に否定的な感情をわずかに抱き。そしてさらに攻撃を苛烈にすることを決める。

「あんまり舐めてるとー 痛い目どころか死に目に会うよー?」

もちろんこちらも舐めているわけではない。まだ全力ではない。と直感的に感じているので油断するのは愚策。そう判断する。
触手は無尽蔵ではない。魔力をわずかではあるが再生に要するためこうしているうちにも魔力は減って行きー

「さぁ?どうするかなぁーここまで攻められて受け続けるのは愚策だしねー」

そろそろ動くか。その場合どう動くかを頭の中で数パターン作り出しいつでも可能なように構える。

「速ッ!いけどぉ!クリティカルトルネードォ!」

構えていた一つの手段。逃げる、こちらへと飛んでくる、本気を出す。
様々な対応を考えたうちの一つ。右手を掲げて狗隠に向けて振り下ろす。右手の軌道どうり狗隠に向けて放たれた竜巻は狗隠に突き刺さり建物の屋根に向けて吹き飛ばすーが、少し侮っていたか。
垂らしていた左腕を刀が通過する。

「んぎゃぁぁっぁっ!?腕がっ!」

左腕があった場所を右手で抑えて絶叫しつつ痛みをやわらげる魔法を行使しながら飛んで行く腕を触手で捕獲する。

狗隠 > 「嗚呼…それは心配無用だ。死者が無くならない限り俺には無意味な事だからな」

何処か悪戯っぽい笑みでそう告げる。何せ体の構成は死者の想念だ。
つまり、死人がこの島から無くならない限りは死者の想念を糧として無限に復活する。
勿論、一度死んでしまうと直ぐに復活!というのは流石に無理ではあるが。

「――まぁ、要するに。死は俺にとって当たり前の事だという訳だ」

死ぬか否かはこの怪異にとって些細な事だ。むしろ大事なのは生き様の方だから。
さて、模倣再現で剣術の達人の経験と記憶を引き出し、身体反応を引き上げて触手を切り抜け、毒雨に身を晒しながらの一閃。
彼女の左腕を取った――のはいいが、代償にほぼまともに近距離から彼女の竜巻を受けて吹っ飛ばされる。
そのまま、成す術なく建物の一つに叩きつけられ、更に竜巻で崩壊したソレに埋もれてしまうだろう。

今度は流石にまともに食らったせいか、生きているにしても直ぐに出てくる様子は無い。

だが、やがて瓦礫の一部を魔術で吹き飛ばしてその姿を現す。
とはいえ、全身竜巻でズタズタで毒雨で溶かされかけて酷い有様だ。
人間で言えば普通に集中治療室か、下手すれば既に死んでいるレベルだろう。
だが、その赤い瞳は真っ直ぐに彼女を見据えている。

「…やっと腕を一本…か」

独り言のように呟く。意地で霊刀は握ったままだったが、手に力が入らない。
魔力はまだ残っているが、余裕を気取るには少しキツいか。どのみちダメージを考えると圧倒的に不利は否めず。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
アーバリティ エルグランデ > 「はぁ…ハイエスト・ヒール…シャットダウン・ダメージ…はぁ…やってくれるねぇ…」

切られた腕を触手から受け取り切断面にくっつけて治癒魔法を唱える。
すると腕が切断前と同じ状況になる。
さらに痛みを一時的に遮断する魔法。これだけで魔力がぐっと減少して初期の半分程度になる。
特に目は変わらずにただただ狗隠が落ちたところを見つめ続ける。
生まれたての後輩にしてはよくやったもんだ。
そう思いながら狗隠の元へと降りていきー

「おめでとう。僕の腕を切るなんてね。ますます興味が湧いたよ。
でも僕の腕はこうやって治せるんだ。残念!」

満面の黒い笑みを浮かべて狗隠の3mほど前に立つ。触手をいつでも狗隠を襲えるように構えており。

「久遠だっけ?ずっと忘れないでおくね」

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > 「……嗚呼、まぁそんな気はしていた…な。全く」

あれだけやって腕一本。しかもその腕もくっついたとなると流石にキツいか。
本来の怪異の姿になればまだまだ戦えるが、正直あちらの姿には進んで戻りたくは無い事情がある。

黒い笑みを浮かべるアーバリティを見つめながら、ややフラつきながらも立ち上がる。
左手の霊刀はまだまだ健在だが、それを振るう己の方が少しキツいのは否めない。

「クオンで間違っていないが、久しく遠いではなく。狗に隠者と書いてクオンだ」

と、この期に及んでそんな律儀な訂正をする余裕があったのだな、と我ながら苦笑する。

「…光栄だな、これで有象無象扱いされたら俺の立つ瀬が無い」

覚えられる、というのは案外悪い気はしない。もっとも、彼女からすれば覚える相手はそれこそ強敵という意味合いでなのだろうが。

怪我が酷い箇所は四肢の鎖を再び分裂させて無理やり傷口を縛り上げ止血代わりに。
左手の刀を握り直し、息を整えて――

「まだやるのか?結果はおそらく君の勝ちだろうが…。」

とはいえ、男もただで負けて殺されるつもりもないが。ゆらり、と刀を構えつつ。

アーバリティ エルグランデ > 「へぇ。狗隠…くがくれだね。
んじゃあそっちで覚えておくよ」

黒い笑みを崩さない。今にも襲いかかりそうな雰囲気を纏いながらしゃべり続けて。

「僕は強者と戦う事が好きだからね。次戦うかもしれない相手の名前を忘れないのは半ば当たり前なんじゃないかな?」

しれっと生かして逃がす、と伝える。
いい戦いとは言えなかったが予想を上回って腕を切ったというのは評価大である。

「君は僕の腕を切ったからね。生かしておいてあげるよ。
挑んでくるなら別、だけどね。
次会う時はもっと強くなっておいてねー」

返事する時間を与えずに風をまとって空へと浮かび上がり無事な家の屋根に登って手を振っており。
攻撃の意思が無いならここで去るだろう。

狗隠 > 「……ああ…しかしまぁ、次に戦う時はもっと酷い事になりそうだなこれは」

現状、彼女の方が強いのは間違いない。そのくらいの判断力はあるつもりだ。
それに、どうやら彼女のポリシーなのか、強者にはある種の彼女なりの敬意?みたいなものを感じる。
とはいえ、結果的にはこちらの負けで見逃されたようなものだ…少々情けない。

「……ああ、研鑽しておこう。そちらこそ、こちらの顔と名前くらいは忘れずにいておいてくれ」

小さく苦笑を浮かべ、構えていた刀を下ろしてそのまま一振り、鞘に収めれば既に今回の戦いが終わった合図。

もっとも、その時には既にアーバリティは黒い風に乗って無事な家屋の屋根に移動していたが。
手を振ってくる彼女に、こちらも軽く手を振り返しておく。

「…この借りはちゃんと戦いで返させて貰うさ。≪黒触姫≫アーバリティ」

そう、呟くように口にして。男もズタボロの体を引きずって歩き出そうと。
怪異同士の激突は、こうして人知れず一先ずの終わりを迎えるのだろう。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からアーバリティ エルグランデさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から狗隠さんが去りました。