2018/02/02 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にイチゴウさんが現れました。
■イチゴウ > 背部に物々しい巨大なガトリング砲を背負った
四つ足の機械が薄暗い道を突き進んでいる。
顔と機関砲を左右に振りつつこの地区全体に
威圧をかけていくように。
無論違反部活を営む生徒たちは風紀委員会の戦車出現を
快くは思わない。
少々高めの家屋から光学照準器を覗きつつ
対物狙撃銃を構えて
大きなマズルブレーキを向ける者さえいる。
しかし誰も攻撃を加える者はいない。
そこら辺の違反部活が用意できる火力では
この戦車を撃破できない。この事が周知の事実だからだ。
むしろロボットに反撃の口実を与えてしまい
こちらが消されかねない。
悔しさと面倒くささを滲ませる学生たちの視線を
焼き付くほどに浴びながらロボットはこの薄汚い地を
我が物顔で歩いているだろう。
■イチゴウ > ロボットに命令された任務は違反部活に関するもの。
強力な戦闘力を持つ暴力装置を徘徊させ
違反部活の営業活動を妨害する。
もちろん定められた条件に触れれば直接部活に対して攻撃を加える。
新興の新しい部活でない限りこの戦車を排除しようとする行動は起こさない。
この機械を相手にするのには代償が大きすぎて
主に分かっている大きな部活程活動を休止する。
このようにして違反部活間の
パワーバランスを取っているのだ。
「量子探査を開始、怪異をスキャン中。」
さらにこの地を戦車が歩む理由はもうひとつあり
最近、妙な怪異の報告が相次いでいる事だ。
違反部活のパワーバランスに少なからず影響を
与えているらしく発見次第攻撃せよという命令を
預かっている。
以前、強力な怪異との戦闘経験はあるが
話を聞く限り今回はそれとは別のタイプらしい。
■イチゴウ > 怪異の反応に注意しつつパトロールを進めているが
今回の場合、それほど怪異に対して神経質になる必要はない。
あくまで主任務は違反部活の監視であり
怪異の方は見つけた時に排除すればいい。
とはいえ現在は非戦闘モードなので機関砲に
厳しいリミットが掛けられており
怪異だろうが違反部活生だろうが
レーダーを稼働させ奇襲にだけは警戒しておく。
しばらく舗装されていない凹凸のある
アスファルトの上を歩いていると
錆びかけて赤茶に染まりつつある鉄柱で
支えられた歩道橋に差し掛かり
睨みをきかす視線も自然と少なくなっていく。
そこから下方向を眺めれば明かりの少ない落第街を
良く眺める事が出来る。
こう見れば落第街もまた広いと感じさせると同時に
もし一般的な風紀委員なら管理する大変さという
気苦労にも襲われる事だろう。
生憎眺めている張本人であるロボットはそのような
複雑な感情など抱いていない様子であるが。
橋の上に居れば落第街にありがちな
罵声や悲鳴などは意外にも聞こえないもので
冷たさを感じさせる微弱な風が疲れ切った鉄に
吹き付け揺れる音がよく聞こえる。
■イチゴウ > 橋を渡り終えれば路面はまた荒れたものへと戻り
道の左右には灰がかったビルが乱立している。
その多くの窓の明かりは灯されており
活動しているという事がこれ以上ないほど伝わってくる。
何の活動をやっているなど知る由は無いが。
辺りに学生が増え始めたのを見計らって
背中に背負った機関砲をゆっくりとだが回転させておく。
その重武装を見て攻撃してくるものなど
誰もいないだろうと思われたが
突如鳴り響いた鞭を打ったような乾いた音。
そこから間を開ける事無く何かを弾いたような
甲高い金属音がロボットのシャーシから奏でられる。
その事実から戦車が何者からかの攻撃を受けたのは明白で。
「攻撃を検知。」
ゆっくりと前足、後ろ足と攻撃が
放たれたと思われる方角へと向き直す。
ロボットの目と鼻の先に居たのは
自動小銃を構えた一人の生徒、
目は見開き気味で足から順に全身を細かく震わせている。
恐らく違反部活に入ったばかりの新米だろう。
同じ部活に属していると思われる生徒が
発砲した青年の胸ぐらを掴み罵声を浴びせる。