2018/03/12 のログ
■イチゴウ > 「目標をスキャン中。」
無敵という言葉は一種のマジックだ。
そんなものは存在し得ない、物事は必ず弱点がある。
兵器であるこのロボットは一番理解していた。
現状、あらゆる攻撃が効果を成していないこの現状で
パズルのピースを埋めるかの如く相手を観察する。
良くみればこの装甲列車、装甲が施されている部位にムラがある。
動力車こそ強固に固められているもののその他の部位は
そもそも施されていない箇所がある、
それはターレットとその周辺、そしてIFGS。
確かにこの列車の抽出する火力は非常に強力で
近付くあらゆる者を容易にねじ伏せていく。
だが重要部位に物理攻撃が通る、
この事実だけで戦略を組むのには十分だ。
複数人で放出される火力を分散出来れば?
IFGSを物理攻撃で破壊できれば?
「不可能ではない。」
威嚇するかの如く煙をあげ続ける線路の支配者に
その無機質な視線をぶつけつつ、歪む合成音声でそう一言。
だがいくら戦略が組めるとはいえ今のこの状況で撃破は無理だ。
迫る機関砲弾ないしはレーザーを避け、受けつつ
風紀の多脚戦車はこの戦場から離脱を図る。
「現状では対処不能、これ以上の交戦は無意味と判断し
退却する。」
拠点にあったビルは粉々に粉砕され
広大な土地が穴ぼこになってもはや使い物にならなくなっている。
その景色の奥に居座る巨大な化け物列車はまるで
勝利の雄叫びのような汽笛を高く鳴らすと
重々しい駆動音を響かせながら敷かれたレールの上で
ゆっくりと加速を始める。
この兵器もまた巨大組織を繁栄させるという
任務を背負っているだけに過ぎないのだろう。
そのためにこの化け物は他の違反部活をまた時には
風紀委員の部隊を吹き飛ばし続ける。
大きさこそ違えど存在として見れば
彼らは似たもの同士だったのかもしれない。
ご案内:「とある違反部活の拠点」からイチゴウさんが去りました。