落第街の大通りから一筋外れた路地裏では学園都市の闇が燻っている。
事件が起きても闇から闇へ、よほど大規模なものでなければ判明することは難しいだろう。
路地裏は非常に危険な場所であり、危険な取引もここでなされる。健全な学生はまず近づくべきではない場所だ。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:12:21 更新
ご案内:「路地裏」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 「…流石に冷えるな。帰って、温かい珈琲でも、飲む、か」
主の疲労も思いも知らず。
宙に浮かぶ金属の球体は淡く輝き続けている。
此方が大騒ぎした事もあって、今の所火急の案件は発生していない。
今夜はゆっくり休めそうだと、疲れた身体を引き摺るように学生街への帰路へとついた。
■神代理央 > 無様な命乞いをするくらいなら、逃げずに部下と共に散れば良かったのだ。
逃げる事は否定しないが、逃走に失敗したのならそれは敗北しっと同義。護衛も無く、移動手段も奪われ、必死に媚びへつらい此方を見上げるその様は見ていて不愉快ですらあった。
「三途の川で部下達に給金を弾むと良い。そうすれば、貴様如きの為に死んだ者達も、その甲斐があったというものだろう」
命乞いの言葉を遮って、空中に浮かぶ球体が一筋の光条を放って男を貫いた。
軟質な音と共に倒れ伏す男から視線を外し、夜空を仰いで小さく溜息を吐き出す。
異能の発動による鈍い頭痛が、倦怠感を強く訴えていた。
■神代理央 > 思うに、力とは何も暴力に限らない。
知力、財力、権力、容姿に至るまで。他者より秀でているものがあれば、ぞれは純然たる持ち主の力である。
とはいえ、こと権力争いに関しては有用な力は限られる。
そして、最も手っ取り早いのは金と暴力。これに尽きると言えるだろう。
「…従って、君らの行動理念は理解出来る。金を集め、力を蓄え、学園都市の預かり知らぬこの街の権勢を得ようとする事は大いに理解出来るとも。ただ、それを看過する訳にはいかんのでな」
制御薬を服用し、昨今勢力を伸ばしていた武闘派の違反組織を襲撃。
果敢な抵抗が繰り広げられたが、巨大な球体は無慈悲に敵を薙ぎ払い続け、一時間程の戦闘で抵抗は沈黙した。
それでも、首領を拠点から逃し、こうして路地裏まで追いかけっ子をする羽目になったのだから彼等の奮闘ぶりは褒め称えられるべきだろう。
例えその鬼ごっこで、無関係なスラムの住民達がダース単位で消滅していても、彼等は己の主君を守る為に逃げ続けた。
尤も、眼前で黒煙を吹き上げ、両手を上げて此方を見上げる初老の男にそれほどの価値があったのかは疑問だが。
ご案内:「路地裏」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「路地裏」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 「違いない。瓦礫と硝煙ではなく、陽光と珈琲の匂いが揺蕩う場所で、落ち着いて話をしたいものだな」
異形達が取り囲む男達に一瞬視線を向けた後、僅かに苦笑しながら飯屋かどこかで、と告げる彼に頷いた。
「ではな。貴様なら大丈夫だとは思うが、帰り道は気をつけ給えよ」
立ち去る彼を見送り、入れ違いの様に近づいてくるサイレン音を耳にして吐息を吐き出した。
結局、制御薬そのものに関する主要な情報は得られなかったものの、大量の制御薬を事前に抑えられた事について満足そうに目を細めつつ。やって来た後処理の車に乗って路地裏を後にした。
ご案内:「路地裏」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「路地裏」から白鈴秋さんが去りました。
■白鈴秋 > 「了解だ、約束通り後処理は任せるぞ。お前の手柄にしておいてくれ」
ヒラヒラ手を振るう。
もし追撃となればこんな場所だ。最悪逃げられていたかもしれない。
「本当にな。まぁ買い手の身分を洗い出せば……その辺はわかるはずだ」
視線を地に伏している男達に向ける。
ここから先、風紀委員の尋問が始まるだろう。まぁある意味で彼らにしてみれば幸運だ。風紀なら尋問で済む。本来なら強制的に割らされていたのだから。
「さて、じゃあ俺はそろそろ行かせてもらう。風紀に鉢合わせすると面倒な事この上ないからな……今度は物騒な場所じゃなくて普通に飯屋かどこかで会いたいものだな」
軽く手を上げると建物の上へと消えていく。足音はすぐに消えてしまうだろう。
■神代理央 > 「ああ。巡回中の委員に今連絡をいれた。もう少ししたら、後片付けの連中がやって来るだろう」
助かったと告げる彼に、鷹揚に首を振って礼は不要だと告げながら答える。
実際、此方は殆ど何もしていない。この集団を戦闘不能にまで追い込んだのは、彼のスキルによるものなのだし。
「大当たり、と言ったところだな。全く、何処に流すつもりだったのやら」
鈍く輝く制御薬のアンプルに視線を落としつつ、呆れた様に肩を竦めてみせた。
■白鈴秋 > 足を止めた男達。アタッシュケースを持っていた男が片手で銃を抜こうとするも。両方同時にビクッと震え……完全に動きを止める。
背中には紫の糸が突き刺さっている。つまりは。
「助かった。追撃する手間が省けた」
何時もの常套集団。つまりは猛毒で動きを取れなくさせた。
手をヒラヒラと振るい背中をむける。
「今回は弱めにしてある。1時間もすりゃ効果は切れるから早いうち全員拘束しちまってくれ……その間に荷物はこっちで改めておくからよ」
箱をけりあけると中から出てくるのは色々な種類の薬。そして目を引くのは。
「ビンゴだ」
制御薬。それが大量に箱に仕込まれていた。
■神代理央 > 彼の言葉と共に、路地からの出口を塞ぐように巨大な金属の異形が現れる。
異形達は、その身で狭い路地裏いっぱいに展開すると、背中から生やした砲塔を僅かに軋ませた。
「…肉片も残さず消し飛ばしても良いが、今夜はそう言ってられんでな。無様に踊れ」
彼が相手どる集団への砲撃は最小限。精々、牽制の為に小口径の砲弾を数発放つ程度。
だが、駆け出した二人の男には、その数倍の火力がぶつけられる。
荷物と命を取らぬよう、しかし恐怖で足を止める様、狭さ故にその砲身は半分以上動いてはいないが、それでも十分過ぎる程の複数の異形が、路地裏の出口を塞いだまま男達の足元へと攻撃を開始した。
■白鈴秋 > しばらく待つ。すると小箱を二つばかり抱えた4人の男。
さっき来た3人を見つけると寄っていき仲良さげに話し始める。
「……」
小箱の中はおそらく制御薬か薬。ならばアタッシュケースは金だろう。お互いがしっかり寄り、握手を交わそうとした……刹那。
「やれ理央!!」
声を上げる。彼が建物から飛び降りるとその重さで糸がしまる。張り巡らせた糸は7人に迫った。
もがき、吼える男達。銃を出し射撃をするが飛び降りるような早い速度の対象。その上射手は焦りに焦っている当たるわけも無い。全てがもう遅い……だが。
「そっちに2人いった。買い手だ」
全員を捕らえる事は出来なかった。一人なら追撃するが。今回は信頼できるバディがいる。その必要は無いだろう。
アタッシュケースを持った男と小箱を持った男。ズル賢くタダで薬を貰おうという魂胆だった。
■神代理央 > 「成る程。ならば、精々此方は名誉を稼がせて貰うとしよう」
彼の冗談に僅かに笑みを零しつつ、異能を発動する準備を整えた。
この路地を囲むように数体の異形を召喚する準備を終えれば、後は彼が動くタイミングに合わせようと呼吸を整える。