2015/07/18 のログ
久藤 嵯督 > 個人の情報収集ならば、こんな所か。
後は捜査に当たっている誰かが当たりを引き当てていれば万々歳だろう。
そろそろ大きな獲物を捕らえてみたいなどと思いつつも、一度落第街を後にするのであった。

ご案内:「路地裏」から久藤 嵯督さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にスラッシュさんが現れました。
スラッシュ > 今日はトランクではなくて1輪車を引いている。
22時過ぎ、暗くなった路地。
この近くには確か、マシマシで有名なラーメン屋があったような無かったような。

「あ゛~ぎもぢわる~…。
何であないな凶悪なモン、定期的に喰いたくなっちゃうのかニャー・・」
腹が破裂しそうだ。
さっき喰った狂気の塊が腹の中に鎮座している魔王の様だ。

スラッシュ > 口から漏れ出すにんにくの香りを、煙草で上塗り、
ふーっと紫煙を吐き出す。

舌が痺れる程強く吸い込み、勢いよく吐き出す。
口の中の支配権が煙草の香りに移っていく。

「やれやれ…、ま、次の日気にせずに好き放題食えるってのはいいニャ。
夏休みバンザイだニャ~♪」
なんてにこにこしつつ、その辺の壁によっかかって携帯を見る。

スラッシュ > 「んー…相変わらず連絡ナシィ…かニャ。
ま、いっか☆」
自撮り画像の待ち受けを閉じて、ドリームランドへ直行。

画面を眺めては一人にやにや笑ったり、我慢できずにひひひ、と笑ったり。

スラッシュ > 「なんか面白い噂とか流れてないかニャ~…
折角だし夏の自由研究として遊びにいったりとかニャ、あ~…」
なお、基本的にはぼっちなので、一人で。

特に探している物もなく、ひゅんひゅんとページを捲っていく。
とはいえ、ただ家でだらだらしているのもつまらなくて、お外でだらだらしているだけ。
そういう時に限って、面白い記事は見つからなかったりするものだ。

スラッシュ > 「ぶぇーっくし!!」
品の無いどでかいくしゃみだ。
男の時の方が女らしいくしゃみをしている気がする。

制服の袖でぐしぐしと口元を拭う。

「やっぱアレかニャ。
こーゆーのって、誰かがウチの噂をーって…コトかニャ。」
なんてお決まりのセリフを吐き、周囲を見渡す。

スラッシュ > 「げ、もう電池切れかニャ…。」
そんなガッツリ使っていた覚えはないんだが、と大きく溜息を吐く。

まぁ、外に居る理由も無いし、そろそろ家に帰れという啓示なのだろうか。

「んーっ!」
と大きく伸びをしてから、1輪車に乗る。
煙草はその辺にポイ捨て。悪い奴だ。

ペダルの壊れた一輪車に跨ると、一気に最高速で夜の闇を駆け抜けていくのだった。

ご案内:「路地裏」からスラッシュさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に惨月白露さんが現れました。
惨月白露 > 路地裏の闇の中、目の前の男に一万円札を数枚手渡す。
―――すると、千円札の札束が山のように入ったアタッシュケースが帰ってくる。

それは一見して錬金術のようだが、
数枚の一万円札を札束が山のように入ったアタッシュケースに変えてくれる、
そんな馬鹿な取引をする人間はこの世には居ない。

「…………。」

パラパラとその指先でその札束を確認する。
一見して本物のようにしか見えないそれは、『偽札』だ。

「へいへい、確かに預かったよ。」

とはいえ、別に自分が使うわけじゃない、
これを受け取って運んで来い、というのが今回の依頼だ。

惨月白露 > 男に手を振ると、くるりと踵を返して歩き出す。

「そんじゃ、ご苦労さん。」

その男が離れ、落第街の路地裏の闇に溶けた頃、
下卑た笑い声を漏らしながら出てくる男が数人。
「へっへっへ、お嬢さん、随分お金持ってるねぇ、ひひっ!!
 おじさん、ちょっとお小遣いが欲しいなぁっ!!」と、口上を述べる相手に、
そのケースから取り出した札束を1個手渡す。

「あの、それで見逃してはくれませんか?」

にっこりと笑ってそう一言、札束を確認した男は、
「んだよこれ!!!千円札じゃねぇか!!!!」と怒り、武器を取り出した。

まぁ、そりゃそうなるよなと頭を掻く。
足元でキィンッ!!!と音を立てる銃弾を確認すると、俺は一目散に逃げ出した。

「―――ったく!!もうちょっとトークとか楽しむ余裕はないのかお前らはさ!!!」

悪態をつきながら、路地裏を逆方向に駆ける。
後ろから「逃がすな」だとか「殺せば全部俺のもんだ」とか、
「女も捕まえろ、売り飛ばしてやる」だとか不穏な会話と、ついでに銃弾が飛んでくる中、
路地裏の建物の隙間を縫うように走っていく。

落第街で偽札とはいえ、大量のお金を運ぶとこうなる、というわけだ。

惨月白露 >   
適当にドラム缶だとかポリバケツだとかを倒しながら、
その重たいアタッシュケースを持って走る。

抵抗してもいいが、その隙に置き引きにでもあったらたまったものじゃない。
「いたぞ、カモネギだ、へっへ!!!」と叫びながら回り込んで前にも躍り出る彼らに舌打ちしつつ、
路地裏の壁を蹴って屋根の上へ、渡って別の路地へ。人気の無い深夜の鬼ごっこは続く。

アタッシュケースの中の札束を適当に後ろに放り投げなげると、
それを拾うために一瞬だけ動きが止まる。

その隙に距離を少し離し、物陰に隠れて息を整える。

『クソッ、めんどくせぇな―――ッ!!』

そう思いながら、額の汗をぬぐった。

惨月白露 > 近くに居た浮浪者に札束を手渡し、指先で『静かに』と動作を取る。
「どぉこいきやがったぁぁぁ!!!」と叫ぶ男達の声を聞きながら、
そのまま物陰の壁を擦るように進むと、大通りに出た。

―――ハァ、と息をついてその人ごみに紛れると、目当ての場所へ歩き出した。

ご案内:「路地裏」から惨月白露さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に『死立屋』さんが現れました。
『死立屋』 >  
 
落第街の路地裏を、その男はゆっくりと歩く。
ゆっくりと、そしてゆっくりと。
 
 

『死立屋』 >  
 
『フェニーチェ』は最初はここからはじまった。
団長が路地裏で一人ではじめた人形劇、
それに魅せられた団員が、ファンが、一人、また一人と増えていき、
そして、『フェニーチェ』は出来上がった。

思えば、大きくなりすぎたのかもしれない。
『ファン』も『劇団』も、大きくなればなるほど、
最初抱いていた目的を、思いを、感謝を、尊敬を、全てを忘れてしまう。
 
 

『死立屋』 >  
 
男は、『死立屋』は、月明かりの下一礼する。
そして、手を広げ、月を背に、高らかに『台詞』を読み上げる。

「―――ヒヒッ!!!
 あゝ、なんという事か『出資者≪スポンサー≫』を失い、
 そして『劇場』すらも失い、そして『劇団員』もまた、いまや散り散りになってしまった。」

胸に手を当て、悲劇的に嘆く、嘆く、嘆く。
 
「あゝ、なんという事か―――。
 さて、ここから『フェニーチェ』はその名の通り、
 不死鳥の如き復活を遂げるのであろうかッ!!!!ヒヒヒッ!!!」
 
 

『死立屋』 >  
二歩ほど歩みを進めると、彼はスポットから外れ、
かわりに、一組の男女が現れ、月明かりのスポットライトを得る。
それは、『フェニーチェが』はじまったその時から、
『フェニーチェ』を見守り、応援して来たファンの内の二人。

足音に『死立屋』は振り向く。暗闇の中から、スポットライトに照らされた二人を見る。

『死立屋』 >  
「ヒヒヒヒヒヒッ!!!
 それは、実に『面白い』な―――ヒヒッ!!!
 ヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!!」

『死立屋』は、その二人をみて笑う。
否、二人ではない、その二人が持っていた『ソレ』を、自分の『結末』を見て、ただ笑う。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!!!!!
 いいッ!!!これはまさしく、この俺に、『死立屋』に相応しい最後だァ!!!」

ヒヒヒヒ、アヒ、アヒ、ヒヒヒヒヒ、
狂ったように男は笑い続ける、その二人の視線も気にせず、
その二人が言っている『台詞』も気にせず、いつまでも、いつまでも、
唯、演者として、『死立屋』として笑い続ける。

『死立屋』 >  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――――――ドスッ。
 
 
 

『死立屋』 > 『ソレ』は無抵抗なままの『死立屋』に吸い込まれる。
冗談のように、斬られ役のモブが、ただ無抵抗に、そして大げさに倒れるように。

ドロドロ、ドロドロ、ドロドロドロと、ゆっくりと赤いものが地面に広がって行く。
ドロドロ、ドロドロ、ドロドロドロドロ。血が、真っ赤な血が、地面に広がって行く。

「あゝ―――、これは、本当に、最高に、面白い――――――な―――ヒヒッ!!」

笑みを浮かべたまま、彼の身体が倒れ『びちゃり』と、音を立てる。
ゆっくり、ゆっくりと、暗い路地裏に血が広がって、
やがてそれは暗闇を抜けて、月明かりのスポットライトに照らされた二人の足元に届く。


「――――――。」


彼には、『死立屋』には、もう『台詞』はない。

そして、役目を終えた二人も、
やがてそのスポットライトから出て、暗闇へと消えて行った。

全ての『役者』が消えた暗闇には、『死体』が一つと、赤い海が一つ。

『死立屋』 >  
 

『本日の舞台はこれで終了、次回の開演予定は未定となっております。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              『―――次の開演を、楽しみにお待ちください。』

 
 

ご案内:「路地裏」から『死立屋』さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にジブリールさんが現れました。
ジブリール > 【女は月を背負いながら街中を歩む。奥深くへと突き進む。
 ――といっても、女の足ではそう長い道を歩行できない。視界の封鎖されているこの状況、この場所ではものが傍に落ちていることが理解できるくらいだった。
 月光のライトは女の周りを明るく照らす。地を見下ろす銀色からすれば、照らされるそれは有象無象に過ぎない。このすべては箱庭と同等にも思える。
 そんな矮小と思える詮無い思考をめぐらせながら、杖を突いて歩いていた。】

ジブリール > 【人の活気は無い。落第街より通ずるこの場所は、あちらにある喧騒とは無縁だった。
 情報はやや古いが、面白そうな劇団の存在を聞きつけてきたは良いものの、とうに閉演していたということで拍子抜けを食らった覚えがある。】

「――――」

【鏤められた星屑。指を伸ばせば届きそうな程に近く見えるのは、単にそれが大きいからだ。地には程遠い、あまりにも遠い。
 コツリと響き渡る踵が踊る音色。踵が鳴れば杖が鳴る。夜に歩む三本足――なぞなぞめいた光景は、月に映され影へとうつる。
 もっとも、それは老骨ではなく、若き女のもの。
 悪戯に散らされる髪を左手で押さえる。近くで捨てられた缶が転がる音が聞こえた。】

ジブリール > 【音の鳴った方向――缶が転がったほうへと足を進める。肩透かしを食らってからは特段面白いものがあるわけでもなく、目的も無く歩き回る。
 缶の感触を杖が確かめる。端へと転がすとすぐ近くの壁に当たって止まる。少しばかり狭い感じがしたことから、やや手狭な場所だと理解した。
 見えない緑眼で先を見据える。内外共々果ての見えない漆黒が続いている。吹き込んでくる風が貌を覆う様に、然し叩き付けるように吹いていた。】

「……、さて、はて」

【小さく漏らす溜息はごくごく微量に。闇夜の中、踵で再び鳴らす音。後ろ髪を跳ね揺らす。】

ジブリール > 【夜気が叩きつける。熱風まではいかない暑さには、まだ少し届かない。
 細い通路を渡ると――少し広い路地裏に出た。面白いものがあるかと問われれば――ないと言い切る他にない。
 この場所で喧嘩でもあったのか、地面に血液が点々とこびり付いているだけだった。おおよそ常通り、たいして"面白みも無い"。
 女は包帯で眼を覆っているが、生物の"臭い"は認識できる。時間経過からして数時間前のもの。やった側もやられた側もここにはいないだろう。】

「ふぅー……ん」

【頬に指を当てながら、熱気が包もうと涼やかに思案する。かと思えば杖を弄ぶ。
 缶の次は血の跡を辿っていくことにした。】

ジブリール > 【カツッ カッ  カツッ  】

「あら……」

【辿ってみるとそこは行き止まりだった。壁に触れても可笑しな箇所も無い。いたって普通の通路。
 壁を突いたら隠し扉が開きました、などということも無い。唇に指を這わす。今度はどう歩いてみようか。そんなくだらない考え事。】

「面白いことでもないでしょうか」

【カミサマに祈ってみれば、天使サマがお願い事を聞きつけてくれないだろうか。メッセンジャーたる神の使いの名を冠する女が届けたところで、カミサマに届くかは知れない。
 くるりと方向転換する。位置の把握は慎重に。女の持つ杖が3つの壁に触れたのを確認してから歩き出した。】

ジブリール > 「……」

【月光は相変わらず空から見下ろしていた。銀色の月は暗闇に等しく降り注ぐ。しばし闇の深い場所を歩いていた女は見えない眼をあげて月を"視認"する。
 また開けた場所に出ていた。強い風は吹くことの無い穏やかな通り。"楽しげな会話"をしている怖いお兄さんや、品の無い女がうろついている。
 無論この場所は危険区域。ただ沈黙があるだけで、穏やかには程遠いのだと理解している。
 はぁ。女は嘆息した。】

「カジノ……いえ、今日は止めておきましょう」

ご案内:「路地裏」にミウさんが現れました。
ミウ > 神であるミウは何者かに追われていた。
追われているミウは、地面から足を少しだけ放して浮遊しながら逃げる。
そんなミウの表情は余裕の微笑みだった。

『ま、待てえええぇ!』
ミウを負う者は黒服の三人組。

なぜ、ミウが追われているかというと……。
神の気紛れに裏路地をぶらぶらしていたら、偶然、違法取引現場を目撃してしまったのだ。
ミウの実力があれば三人組ぐらい、余裕で倒せてしまえるだろう。
それでもあえて逃げている理由は、ミウは違法取引をしていた三人組など相手にすらしていないという事である。

「そろそろ、まこうかしらね」
そう思って、飛行速度を上昇させる。
そして、路地裏の複雑な道を滑るようにして、突き進んでいく。
それがいけなかった……。

なんと、曲がり角を曲がった時、包帯で目を覆う銀髪の少女がそこにいた。
このままでは、ぶつかってしまう!
こちらからの回避は、残念ながら間に合いそうにない。
「……!?」

ジブリール > 【―――声が聞こえた。女は開けた通りを曲がり、角のほうへと注視した。
 杖を持つ手は地面の危険な場所のみを意識して歩いていた。
 流石に、滑空されているのは、無理だ。】

「……あら、あら」

【遠くに黒服の怒号が聞こえた。状況を察する暇はない。今は――】

【魔術:幸運による判定。1以外の出目が出れば避けることができる。】
[1d9→3=3]
ジブリール > 【そちらから避けることは叶わなくとも、女から避けることはできる。
 流れてくる空気。通る声。物体の速度と位置関係。すべてを把握することは叶わなくとも偶然避けることは出来る。
 そして女は幸運にもそれを避けた。具体的には一歩下がっての逃げ。なお相手を受け止めるという選択肢は存在しないものとする。】

ミウ > 銀髪の少女にぶつかりそうになる。
まずい……と思った、束の間……。
少女はなんと、一歩下がって回避してみせた。
目を包帯で覆い隠す少女が回避できるとは思えないが……。
これは、偶然?

どうやら、男達をまく事には成功したようである。
「ごめんなさい。
 あなたがうまく避けてくれなかったら、ぶつかっていたところだったわ」
ひとまずその場で止まり、銀髪少女に謝罪する。
「それにしても、包帯を目に捲きつけながらこんな場所にいるなんて、何かあったのかしら?」

ジブリール > 【とっさに避けたせいでよろめる体。つんのめってコケかけたような動作に近い、が、バランスを保って杖を突く。】

「……あぁいえ、でも急に飛び出してはいけませんわ。アブないですからね」

【女は柔らかく微笑んだ。声の位置からして随分低い。背の低い女よりももっと。聞こえる声もどこか幼い気がする。
そちらへと視線を向ける。そちらの、眼を見た。】

「鑑賞会に出席しようとしたのですが、既に閉められていたようなので……仕方なくこの辺りを散策していましたわ」

ミウ > こけかける少女を見て咄嗟に受け止めようとするが、どうやらバランスを保ってくれたようで安堵の息をもらす。
「仕方がなかったのよ。
 偶然、違法な取引現場を目撃してしまったかと思えば、黒服の男達がこちらに気づいて追いかけてきたのよ。
 あれは、不幸な事故だったわ……。
 やばそうな人達に追いかけられたから、逃げていたの」
そう弁明してみせる。

「鑑賞会……?
 こんな場所で、鑑賞会なんてやっているのね。
 どんな鑑賞会なのかしら……?」
この前、『共作者』なる者から聞いた劇団……というやつなのかな?

ジブリール > 「まぁ、黒服の。それは恐ろしいですわ。大事にならなくて良かったです。"やばい"と即座に逃げるのはイイコトですわ。それにしても随分なスピードで滑空していたようですが。念力か羽でもおありなのでしょうか。
 それと……声の限り幼い子と認識していますが、あなたさまこそ大丈夫でしょうか」

【弁明する声に宥めるよな声を降らせる。かるぅくしゃがみ込みながら、女は子を見上げるように。】

「さぁ、フェ……何とかといった存在だったでしょうか。わたくしも話に聞いただけなので詳しいことはわかりませんわ。でもそう、そんな感じの団員さんがいる劇団かもしれません」

ミウ > 少女はしゃがみこみ、宥めてくれる。
「この場所、さすが関わると碌でもない事が多いわね……。
 そうね、大事なく逃げられてよかったわ、ありがとう」
優雅に微笑みながら、お礼を言う。
「路地裏なんて、やばい事がよくあるものね。
 少し、右手失礼するわね」
少女の右手を掴み、そして自身の翼へと触れさせようとする。
「わたしには翼があるのよ。
 ついでに言えば、念力も使えるわ」

「フェ……なんとか……?」
なんだろう、聞き覚えがあるような気がする。
首を傾げて、考えてみる。
ちなみにミウが『共作者』から聞いたのは、『共作者』自身がとある劇団に所属している……という所までだ。
「はたして、どんな劇団なのかしらね……」

ジブリール > 【反応を見る限りただの子ではないらしい。
 もっともこんな場所にいるのなら、ただの子でもないだろう。
 キモの据わった子か、単なるはしゃいできた子か、好奇心のままに訪れたのか。少し親近感が沸く。】

「…… あぁ、はい」

【事前の断りのお陰で女は手に触れられても特に挙動を起こさなかった。無言でやられると肩が自然と跳ね上がるのだけど、今回は落ち着いて対処できた。
 その手触りは翼だった。そして念力も使えるという。指先にすべる、滑らかなそれ。まるで、】

「……天使?」

【そんな反応がほとりほとりと。】

「噂では演劇の為に色々とされていたそうなのですが……あくまで噂です。わたくしもこの眼で確かめたかったのに、残念でなりませんわ」

【包帯を撫でる。その奥にある眼は僅かな落胆の色があった。】

ミウ > 翼にも感触がある。
少女の手の感触が翼に伝わってくる。
「天使ではないわ。
 わたしは神よ。名前はミウというわ。
 あなたは?」
自己紹介がまだったので、済ませてしまう。

「色々……ね。所属しているという者からは、台本を投げ出して団員が好き勝手演劇やっている……と聞いたわ。
 あなたの目では……確かめられそうにないわね」
失礼ながらも、目に包帯を巻き付けた少女を見て、そんな事を言ってしまう。
「今日のところは、残念だったわね……。
 開演時間も閉会時間も気紛れ……らしいものね」
本当に、話を聞く限りではよく分からない劇団である。