2015/07/27 のログ
薄野ツヅラ > 声が掛かれば一瞬きょとんとした表情を浮かべて声の主を見遣る。

「物好きはアンタもじゃないかしらぁ?」

手を上げるのを見れば、小さく笑って同じようにひょいと左手を上げる。

「ンッンー……悪くはない、ってとこかしらねェ──……
 こんなとこで見るなんて珍しいわねぇ、何か探し物かしらぁ?」

其の意図を知ってか知らぬか、なんでもない世間話のようにひとつ。
杖にぐいと体重を掛けつつ、その場で立ち止まる。

麻美子 > 「それもそうッスね、ただ、ここで話すのが一番都合がいいんスよ。
 ここで話すのは間違いなく『ただの世間話』ッス。
 そこにはどこの組織の意思もなく、ただの個人の意見だけが存在するッスから。」

ハンカチを広げて手近なドラム缶に広げると、そこに腰掛ける。

「麻美子はこんな所はマジ勘弁ッスから、手短にすませるッスよ。
 ……ツヅラサンって、なんで公安委員会にいるんスか?」

薄野ツヅラ > 「ン──……公安にいる理由、ねェ」

困ったような声を漏らして、暫しの逡巡を重ねる。
ハンカチを広げる様を眺めれば「女子力ねェ」、と楽しげに笑った。
あくまで世間話。そして妙な彼女の安心感に流されるように、ぽつぽつと言葉を落とす。

「初めは自分だけでは手に入らない公安内の機密情報に興味があったから。
 ほら、だって面白そうじゃないかしらぁ?
 ───今は、其れもあるけれど。
 前の『室長補佐代理』が残してくれた場所だし、今の上司も中々に見所があるし」

困ったように笑顔を浮かべて、「居心地がいいからかしらァ」、と。

麻美子 > 「面白そうだから、あとは、居心地がいいから―――ッスか。
 ま、確かに公安委員会に居れば情報は掴み放題、
 それはツヅラサンとか麻美子みたいなタイプには嬉しいッスね。
 今の上司は―――ま、超イイ男ッスからね、麻美子が保障するッス。」

へらへらと笑いながら、
くるり、くるり、とペンを廻す。

「……今日ここに居るの、『室長補佐代理』サンの指示じゃないッスよね。
 ツヅラサンは、『何を思って』、『何をして』たんスか?
 前『室長補佐代理サン』の事、随分気に入ってたみたいッスけど、
 もしかして、似たような事を考えてるんじゃないッスか?」

ぴん、と指を立てて、にっこりと笑う。

「『彼女が出来なかった事を、違う方法で』とか。
 ―――まさか考えてないッスよね?」

薄野ツヅラ > 「情報は握るだけでも面白いし、モノの見方も変わるしねェ───……
 
 ……惚気かしらァ?
 手は出さないから安心してくれると嬉しいんだゾ──……☆」

若干辟易したように、彼女もまたへらりと笑顔を向ける。
そして次がれる言葉をやや真剣な面持ちでぼんやりと見つめる。

「えぇ、ボクの独断よぉ──……
 ンッンー、それにしてもこれまた難しい質問するわねェ」

顔を顰め乍ら、考え事をするように、とんとんと左手の人差し指で顎を叩く。

「『落第街にも公安にも面倒なことがないように』。
 『あくまで悪いことはよくないよ、なんて注意喚起を』してただけよぉ。

 あァ、先輩のことは大事に思ってはいるけれど其れはないわぁ──
 第一あの人ほど強くはないし、あの人ほど信条も、信念もない」

小さく伸びをしながらにっこりと笑顔を向ける麻美子を見遣って。

「あの人に出来なかったことがボクに出来る筈がないじゃない。
 ───第一死にたくないしぃ」

くすり、小さく笑う。

麻美子 > 「ま、視野は広いに越した事はないッスからね。
 情報屋なら猶更、広い広い視野が必要ッス、
 次のトクダネを見逃さないように……ッスね。」

「そりゃーもう惚気ッスよ、麻美子、緑サンの事大好きッスから。」

へらへらと笑ってまたくるりとペンをまわす。
シメトリカルシャドウを決めると、ペンをキャッチ。

「独断で、勝手に、ただ個人の意思で判断して、
 『公安にも落第街にも面倒な事が無いように』動いたッスか。
 随分と傲慢ッスね、自分一人が『良い』と思っただけで、
 それを全員が諸手を上げて認めてくれるとでも思ってるんスか?」

ぴらりと写真を一枚ツヅラのほうに放る。
そこには、ツヅラが甘い言葉をかけて『合法化』した部活動と、
ツヅラが声をかけていない、違反部活が抗争を起こしている様子が映されている。

「いいッスかツヅラさん、誰かに手を差し伸べるって事は、
 つまり、同時に手を差し伸べていない誰かを捨てるって事ッス。
 ツヅラさんは、全部の部活動に声をかけて回るつもりッスか?
 そもそも、声をかける部活動は一体何を基準に決めるんスか?」

「ツヅラさんに声をかけてもらえずに、『不公平』だと感じた部活動が、
 何かおっきな問題を起こす可能性は考慮してたッスか?
 声をかける範囲が広がれば、居場所を奪われる可能性もあるッスね。
 落第街を追い出された落第街の住民はもう行くところないッスねー。」

ケラケラと笑いながら、
ペンをくるくると回し、空中に放る。

「ツヅラサン、信条も信念も無いヤツっていうのは、
 自分からは何もしないんスよ。『室長補佐代理』サンみたく。
 本当に必要な時に、上からの命令でだけ動いて、
 自分にかかりうる責任と発生しうるリスク徹底的に排除するんス。」

放ったペンを掴むと、ツヅラのほうに突きつけるように向けた。

「ツヅラサン『そういう事』は自覚無しにずっと続けてると、
 超危ないッスよ。いつか、後ろからブスーっと刺されるッス。」

とんとん、と自分のおでこにペンを当て

「やるなら、ちゃーんと自覚した上で『上手く』やるんスね。
 麻美子なら、絶対そんな事はしないッスけどね。面倒事は御免ッスから。」

薄野ツヅラ > 「視野が狭くなるのは案外気が付かなかったりするしぃ──……
 出来れば広く見られるようになるべきよねェ」

「あァそう、仲良くやってるんならなによりじゃあないかしらァ」

テクニカルなペン回しにおぉ、と小さく感嘆の声を漏らしながら目を細める。
立っているのに疲れたのか、ゆっくりと路地裏の地面に座り込む。
カラン、と杖が放られる。

「正しいことが出来てるとは思ってないわぁ、あくまでボクのエゴな訳だしぃ──……
 『緑サン』のお使いかしらぁ」

悪態をひとつ。
此の場に於いて正しいのは絶対的に麻美子であり、間違っているのは自分。
大人しく其れを認めることも出来ず、ただ悪態をついて誤魔化すしか出来ない。
放られた写真を見遣れば、「随分と準備がよろしいようで」と。

「全部ボクの自己満足よぉ、適当に洗い出して、適当に遊んで。
 好き勝手したらあとは放ったまま───」

深く、重く重く溜息を吐いて。

「向いてないわねェ、ボク。
 明らかに情が入りすぎてれば自分勝手な正義を振りかざして。
 ───冷静に進退考えたほうがいい気がしてきたわぁ

 ボク独りの責任になるならまだしも、そうはならないんでしょうしぃ──……」

ぽつり。思考を行う間もなく言葉は転がり落ちた。
何も考えていないのかもしれない。其れとも一瞬の思考で出た言葉なのかもしれない。
少なくとも、現状自分が考えられる最善の手を思案する。

「困ったものねェ、場所が此処になっただけで冷静に先ず考えられてない」

「公安なんて公組織向いてなかったわぁ」、と冗談交じりに言葉を溢し。

「まァ──……」
「考えとくわぁ、やるなら誰にも迷惑の掛からない状況作ってからねェ。
 忠告はありがたーく受け取っておくわぁ──……」

アリガト、と。ただ一言だけ漏らして立ち上がる。
時間を掛けて、ゆっくりと。

麻美子 > 「いや、独断ッスよ。最初に『ただの雑談』っていったじゃないッスか。
 公安委員会のお使いなら、こんな薄汚い場所じゃなくて、
 もっときれいな場所にご招待して、もっとムードたっぷりに話すッスよ。
 『室長補佐代理』サンがこんな事したって聞いたら、怒るんじゃないッスかね。」

へらへらと笑って、彼女の言葉を否定するように首を振る

「自己満足でもそれはそれでいいんスよ、
 人間、欲の一つ二つは確実にあるものッス。正直、緑サンが異常なんスよ。
 麻美子も『緑さんの為に』、独断で考えて、
 彼の意思とは全く関係なく勝手にツヅラさんに声をかけに来たッス。
 少なくとも『室長補佐代理』サンは、ツヅラサンにこれからも自分と『仕事』をしてほしい。
 1年後も一緒に過ごしたい。……そう言ってるッスから。」

彼女が立ち上がれば、自分も立ち上がる。

「つまり、これは麻美子の私情ッス。
 ツヅラサンと違うのは、私情で動いてる自覚があるか無いか、それだけッスよ。
 ツヅラサンと同じく、緑サンの事となると冷静ではいられない、バカな女ッス。」

そう惚気を一つ漏らし、やれやれと首を振った。

「向いてないって理由で辞められると困るッスけど、それ以上に、
 ツヅラサンが『室長補佐代理』サンに殺されるような事をするのも困るし、
 勝手に死なれるっていうのも困るんスよ。
 緑サンは、ああ見えて案外繊細な人ッスから。
 これ以上身内が死んだら悲しむッス。」

ペンと手帳を鞄にしまって、ペットボトルから炭酸飲料を一口。
ぷはーと声を漏らして、ペットボトルを鞄に戻す。

「まぁ、ツヅラサンは今更『向いてない』くらいで辞めるようなタマじゃないッスよね、
 だからこそ、死なないようにこうして『雑談』に来たんスよ。」

鞄から先ほどとは別のもう1本のペットボトル、グレープ味の炭酸飲料と、
期間限定のパイナップル味のポッキーの箱から1袋取り出すと、
ペットボトルと共にツヅラのほうに放る。

「精々頭を回して、『誰にも迷惑のかからない方法』を考えるんスね。
 勝手に死ぬならだれにも迷惑はかからないって自殺した、前『室長補佐代理』みたいな意味じゃなくて、
 ほんとーの意味で迷惑のかからない方法ッスよ?」

鞄のチャックを閉めると、それを肩にかける。
 
「自覚を持って、ちゃーんと上手くやるなら、麻美子は何も言わないッスよ。
 ぶっちゃけ、ツヅラサンがどうなろうが、麻美子には関係ないッスから。」

言葉を紡ぎ終われば、
『それは長話に付き合ってくれたお礼ッス、呼び止めて悪かったッスね。』
と、彼女に向けて手を振った。

薄野ツヅラ > 「アタマのいい奴の独断とアタマの悪い奴の独断は違うわぁ──……
 此れがボクとアンタの明確な違いねェ」

困ったように肩を竦めて、大仰に左手を宙に浮かせる。

「其の欲の所為で誰かに迷惑を掛けなきゃいけないってなら──
 そうねェ、別に彼女をなぞる心算はないけれど。
 迷惑を掛けるくらいなら相応の覚悟をしたうえで好き勝手やらせて貰うわァ」

「そんな覚悟したくもないけど」、と苦虫を噛んだような表情でひとつ。
彼女の言葉に明確な返事を返すことなく、ぼんやりと視線を宙に浮かべた。

「誰にも迷惑はかけてないじゃない、其れ。
 私情で動いても今アンタは何一つ迷惑を誰にも掛けてないわぁ?
 だったらバカはバカでもボクとは天と地ほどの差がある」

惚気も華麗に受け流し、先刻よりはやや軽めな溜息をひとつ。

「でも面白いことが出来ないなら───
 ボクは公安委員会のイヌになる心算もなければ飼い慣らされる心算もない。
 もし其れが損なわれて、上のゴキゲン伺って顔色伺ってボクのやりたいことが邪魔されるようなら」

彼女の言葉を踏まえたうえで、どうしても譲れないことを。
大してプライドも高くない彼女が唯一譲れない、『誰か』の言葉を借りた其れを。

「ボクは躊躇いなくやめると思うわァ──……
 何時だってボクは公安委員会のイヌになる心算はない。利用して、利用される
 其の関係が崩れるようなら、幾ら頼りになる上司がいても、居心地が良くても。
              ジャンク
 ───集団行動の出来ない落第街上がりは何時だって自分可愛さを優先するわァ」

「折角評価して頂いたところだけどぉ」、と悪戯っ子のような笑みを浮かべて。
地べたに座り込んだまま、麻美子の顔を見上げて。

「ま、あくまで雑談だし深い意味は何一つないけれど」

投げられた炭酸とポッキーを珍しく開いた両手で受け取って。
「炭酸を投げんじゃないわよぉ」、と忌々しげに漏らしてポッキーの袋を開ける。
口に不機嫌そうに突っ込めば、さくさくと幾らか長さが縮む。

「アタマの悪いバカなりに頑張るわぁ、生憎脳は詰まってるようだし」

とんとん、とこめかみを2回叩く。

「関係ないくせにこうやって教えてくれるんだからお人好しよねェ」

憎まれ口を叩きながら、また小さく笑う。
「無論貰えるモンは貰っとくわぁ」とぼそり、呟いて振られた手を振り返した。

「精々上手くやれるように善処はするわぁ」

麻美子 >  
「投げるんじゃないわよ」という文句には
『せいぜい気を付けて開けるんスよー?』と笑みを返し

「ま、生まれも育ちも違うッスからね。
 とはいえ、頭の良さも色々ッスよ、
 ツヅラサンにも使いどころによってはイイ頭があるッス。
 『適材適所』ッス、この世っていうのはそうして回ってるんスよ。」

麻美子もポッキーの袋を開けると、パキパキと噛み砕いて行く。

「『迷惑をかけない事』と『バカじゃない』事はイコールじゃないッスよ。
 本当に頭のいい人間は、ちゃーんと考えて迷惑をかけるものッス。
 誰にも迷惑をかけないようにするのは、頭がいいんじゃなくて、ただ臆病なだけッスよ。
 迷惑っていうのは、かけかたによっては自分の味方を作る手段になるッス。
 そこまで利用して初めて、本当の意味で頭がいいって言えるんじゃないッスかねー。」

「ま、そうなってくると『悪女』ッスけどね、そんな風にはなりたくないッスねー。
 ―――麻美子はイイ女ッスから。」

そういってケラケラと笑うと、次の1本に手を伸ばした。
同じくパキパキと噛み砕いて行く。

「それは麻美子も同じッスよ、
 麻美子のやりたい事が邪魔されるなら、躊躇いなくその団体は捨てるッス。
 その『やりたい事』っていうのが、ツヅラさんと違うだけッス。」

麻美子は好きな男と添い遂げる為だけに『広報部』を辞めている。
『根っこでは同類ッスよ』と、肩を竦めた。

「ま、だからこそ、自分のやりたい事は存分にやるといいッスよ、
 あるのは、それをやった結果起こる『現実』だけッス、
 誰かがそれを許さずに敵になって、誰かがそれに賛同して味方になって、
 誰かがそれに対する結末を持ってくるだけッス。」

ケラケラと笑いながら、次々とポッキーを口に運ぶ。
やがて再び炭酸飲料を口にすると、わざとらしくぷはーと声を漏らす。

「物事っていうのは全部なるようにしかならないんスよ、この世に偶然なんてないッス。
 それがちゃーんと覚悟できてた結末なら別にいいんじゃないッスかね。
 怖いのは、無自覚にその結末に全力ダッシュしてる場合だけッスよ。」

袋に手を伸ばすが、そこには既に手ごたえがない。
僅か数分で、ポッキーは全て胃におさまってしまったらしい。
『……あ、無くなったッスね。』と呟く。

「麻美子の話ちゃんと聞いてたッスか?
 ぜーんぶ、緑サンのためッスよ。ツヅラサンへの善意じゃないッス。
 ……ま、それに、麻美子はイイ女ッスからね。」

そう言って口元に笑みを浮かべる。

薄野ツヅラ > 「開けないわァ、炭酸塗れになる趣味はない訳だしぃ──……

 ボクが最善の状態でアタマを使えるのは屹度大好きな人の為だけねェ
 随分と限定条件下だけなもので」

生憎、と笑みを溢せばまた同じようにポッキーをひょこひょこと動かす。
見るだけ見て場所さえ違えば仲の良い部活帰りの生徒にしか見えないであろう、話の内容にしては和やかな雰囲気。

「『迷惑をかける事』と『バカである』事はニアイコールになりそうだけどぉ。
 残念ながらボクは元から『本当に頭のいい』人間にはなれなさそうだしぃ、気付いたらかけてると思うわぁ。

 まァ、其の臆病さで救われる人間も居れば其の臆病さを盾に出来る人間もいる訳だしぃ──……
 ボクは後者に成りたいわぁ、臆病さを、弱さを盾にして自分を守る」

「あッは、中々にアンタも悪女だと思うわぁ?
 此処まで狡猾でカレシの事ばーっかり想ってアレコレ出来るなら十分『緑サン』をたぶらかしてるんじゃなくてェ?」

ケラケラと笑う麻美子を他所目に恐る恐るぷしゅ、と音を立てて炭酸を開ける。
ふう、と安心したようにキャップを開けきればごくりとひとつ喉が鳴った。

「じゃあボクだって公安をやめたっていい訳ねェ、いい話聞いたわぁ」

好きな男の為なら何だってするのは廿楽も同じだ。
其れが犯罪であろうが、其れ以外であろうが。世界を敵に回すのも躊躇わない。
『恋する乙女』とは大概そんなものだろう。

「まァ、そこントコはしっかり考えてる心算よぉ──……
 だから存分にやる為にアタマ回すわぁ、『緑サン』を巻き込んだらアンタも敵にまわすでしょうし」

そんなの願い下げよぉ、と。
困ったように笑った。

「当然そうよねェ、無自覚にその結末に全力ダッシュはしないように気をつけるわァ──……
 自覚をした上で全力ダッシュかけ………まァ、比喩表現だけどぉ」

自らの右脚をぼんやりと見遣って、これまた眉を下げた。

「全部聞いてたわァ、とんだ悪女に捕まったものねェ──なんて」

冗談めかして、ポッキーをまた1本口に含んだ。
あっは、と楽しげな笑い声が路地裏に響く。

麻美子 > 「それは残念ッス、いつか風紀委員にやった時は見事に被ってくれたんスけどね。
 好きな人ッスか、ま、恋する乙女はいつでも強いッスからねー。
 麻美子も好きな人の為になら存分に頭を回すッスよ。」

そういってケラケラと笑う。

「ま、コイバナはこんなとこじゃなくてカフェテラスとかでしたいッスね
 ここはちょっと長話には向かないッスから。
 好きな人について話してたらいくらでも話せちゃうッスからねー。
 夜の話とかしたら絶対超長話になるッスよー?」

炭酸を片手に、笑顔で話す。
学校帰りに、ちょっとコンビニ前で話しているガラの悪い女子高生といった体だ。

「バカは迷惑をかける事が人より多いッスからねー。
 弱さを盾にッスか、なるほどそりゃ随分な『悪女』ッスね。
 男って生き物はそういう守りたくなる女の子が大好きッスからねー。」

肩を竦めると、『怖い女ッスねー』と苦笑いする。

「どうッスかね、緑サンはどっちかというと『ほっとけない』って感じッスから、
 悪い男に捕まって誑かされてるのはむしろ麻美子のほうな気がするッスよ?
 そりゃーもう、ベタ惚れッスからね。」

そう言って、恐る恐る炭酸を開ける彼女を見て、
プッと吹き出しつつ、自分も炭酸を一口飲む。

「ま、それは好きにすればいいと思うッスよ、別に脅迫に来たわけじゃないッスから。
 緑サンに何か迷惑をかけるなら容赦しないッスけど、
 『室長補佐代理』さんの仕事の範囲で迷惑かけるなら別に構わないッスからね。」

瞳を伏せると、空になってしまったペットボトルを指揮棒のように振り回す。

「ちょーっとばっかし無欲すぎるんスよ、『室長補佐代理』サン、
 そうなると、見えなくなる場所っていうのもどうしてもあるッス。
 それをなんとかしようっていうなら、それは『室長補佐代理』サンの仕事は増やしても、
 『緑サン』の為にはなるッスから、別にいいんスよ。」

下に敷いていたハンカチを広げて眺めるが、少し考えてその場に捨てた。
路地裏には色々なゴミが散らかっている。多少増えても別に目立つという事はない。

「だから、自覚した上で全力ダッシュするなら構わないッス。
 人類最速の男も真っ青なダッシュを期待してるッスよ。」

麻美子 > スマートフォンを確認すると、ふぅ、と息をつく。

「随分と長話になっちゃったッスね、
 そろそろいい時間ッス、麻美子はそろそろ帰るッスよ。」

にっこりと笑って歩き出すと、すれ違いざまに彼女の肩を叩く。

「『いい学園生活を』ッス、ツヅラサン。」

薄野ツヅラ > 「近いうちに恋バナでもしましょーか、こんな話ばっかじゃ華の10代が廃るわァ」

夜の話、と聞けば一瞬。極めて一瞬だけ表情を硬くした。
麻美子がスマートフォンを見遣れば。

「そうねェ、落第街の女の子の独り歩きは危ないわよぉ?」

自分もゆっくりと杖を片手に立ち上がり、ゆらり麻美子に背を向ける。

「じゃあ、アンタも『好い学園生活を』」

ご案内:「路地裏」から薄野ツヅラさんが去りました。
麻美子 > 「そうッスね、カフェテラスなり、有名なスイーツのお店なり、
 焼肉に行くなりしてゆっくり話すッスよ。
 ……ま、お互いに恋人自慢ばっかりになりそうッスけど。」

そう言って『楽しみにしてるッスよ』と笑みをこぼした。

「麻美子はちょー強いッスから大丈夫ッスよ、
 じゃ、ツヅラサンこそ、気を付けて帰るんスよ?」

そう言ってケラケラと笑うと、
『またどこかで会うッスよー』と彼女に手を振り、
彼女に背を向けて歩き出す。

ご案内:「路地裏」から麻美子さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に服部ローニャさんが現れました。
服部ローニャ > 夜、曇り気味で星や月が隠れている為に夏特有の蒸し暑さが体を汗ばませる。

ただ、汗程度ではローニャは困らない。
寧ろ、月も星も見え隠れする夜ならばローニャは好都合なのである―――その方が《SHINOBI》らしいから


そのローニャは何かが入っている袋を抱え、
建物の屋根から屋根へ飛び移って行き、時折地図のようなものを確認しながら命令された場所へ向かっていく。

こんな場所にいる理由としてはこれを所定の場所へ届けてくれと《依頼》されたからである。
異邦人であるローニャは生きる為の資金を稼ぐ為に主に運び屋としての仕事を請け負う事が多い。

服部ローニャ > 「ここ…?」
とある建物の屋上で止まり、下を眺めて目印であるドラム缶の上に果物が置いてある事を確認すると
袋を途中で落としてしまわないようにしっかりと抱えて4,5階程ある建物の屋上から躊躇いもなく飛び降りる。

勿論ローニャでもこの高さから飛び降りるのはただでは済まない。
例え梟の羽があっても、それは飛ぶ為にあるのではない。
人にかかる重力は皆平等に重石をかける。
しかし、ローニャはその平等を崩す業を持っている、寧ろこの業を持っているのだからこのような無茶もやって退ける。

「…止木の術!」
そんな術は存在する訳ではなく、ローニャオリジナルの術…というよりは異能で、ローニャ本人の重力を操る事が出来る異能である。
ローニャは念じる。自分が《羽根》のように軽くなるイメージを

そうするとローニャは本物の《羽根》になったかのようにふわふわと人が重力に従うように落ちるのではなく、
紙飛行機が人の投げる力を無くして落ちていくように、ゆっくり、ゆっくりと着地する

ローニャは無事着地するとぐるりと周りを見渡すと、
どうやらそれらしき受け取り主がいないことを確認するとその辺りの壁にもたれかかり、ゆっくり待つ事にした

服部ローニャ > 「暑いのう…」
先程屋根から屋上へ、屋上から屋根へと本物の《SHINOBI》らしい動きが出来たと自負しながら、自分の手を団扇のように仰いでいる。
それでもそよそよと自分の汗に触れる風は路地裏だからか、
今のこの天気だからかジメジメした風が体当たって涼しいようで全く涼しくない。
それどころか腕の羽が体に当たって少し痒い。


10分程経った頃だろうか、受取人はそれでも現れない。
もしや受取人の身に何かあったのか、という思考が過る。
ここは落第街という常世島でも有数の危険地帯ということぐらいは流石のローニャは知っている。
もしも、このまま受取人が現れないようだったら、依頼人に返すだけでいいのだが、その場合報酬が出ない為困る。非常に困る
「…速くこーい」
暑さと報酬を天秤にかけるものの、報酬が圧勝しているがこのまま待機させられると暑さが勝つのもそう遠くはない…かもしれない

ご案内:「路地裏」に惨月白露さんが現れました。
惨月白露 > 「―――ああ、暑いな。お仕事ご苦労さん。」

雑談をしに来たように、ドラム缶に背を預ける。
目を伏せると、指先でトントン、とドラム缶を叩いた。
そこに荷物を置け、という合図らしい。

服部ローニャ > 「ん…おぉ、そちらもな」
手に持っていた紙袋を爆弾でも扱うかのようにドラム缶の側へそっと置く。
中に何が入っているかは分からないが、ローニャでも持てるぐらいだからそこまで重いものは入っていないだろう
そうしてそのまま立ち去ろう…という気持ちに負ける前に貰う物を貰うのを忘れていた

「あ、と…何か、受け取った証みたいなものを渡して貰おうかの?」
この暑い中、運び終えたという解放感に負ける前に思い出せたらしく、受け取った証を欲しがる
これを渡してもらえなければ報酬金が貰えないのだから文字通り徒労に終わってしまう所であった

惨月白露 > 傍らに置かれた荷物に視線を向ける事もなく、
どこか遠くを見つめたまま、呟く。

「あぁ、聞いてなかったのか?
 今回の依頼はこっち側から即金で報酬が払われるんだぜ?」

ドラム缶の果物の横に茶色の封筒を置く。
中には依頼内容に見合った少なからぬ金額が入れられてるだろう。

「一応、運んだ証が必要ならその中に入ってる。
 だけど、依頼者に報告に行くのはやめたほうがいいんじゃねぇかな。
 ここがどういう場所か、知らないわけじゃねぇだろ。
 バカ正直に報告なんて行ったら、口封じにバラされても文句はいえねぇぞ。」

服部ローニャ > 「なんじゃそうだったのか。
 拙者は『いつも通りの仕事』と言われておっただけじゃからな
 ただすぐ払われる事を考えると……ううむ」
依頼主と受取人からの辻褄が合わない言葉。
それらがどういうことを示すかはローニャには分からないが、
ただローニャの梟の血がイヤな予感を告げているのか、胸騒ぎだけがローニャの思考を刺激する

「確かに嫌な予感がしおるわ…まぁ、ただの直感じゃがな。
 しかし拙者も学園の一生徒故に、ヒト故に、働き口が無くなるのは困る。
 何か、良い働き口はあったりせぬかの?」
茶色の封筒を置かれるのを見るとそっとドラム缶の上から取って中身を確認する訳でもなく、そのまま言葉を受取人へ言葉を投げかける

惨月白露 > 「ああ、馴染みからの依頼だったのか、そいつは妙だな。
 ……ま、でもなーんかキナ臭いだろ、俺の鼻はそう言ってる。」

そう言って、トントンと鼻を叩く。
頭上に伸びる狼の耳が、ぴくぴくと動いた。

「顔なじみで、しかも同類の同業者の死体は見たくはねぇし、
 用心に越した事はないと思うぜ。」

『名前も知らないけど、お互い、仲良く長生きしようぜ』と言って肩を竦める。
髪の毛を弄りながら、空いた手を軽く挙げた。

「働き口ね、俺はフリーの運び屋だから心当たりはねぇけど、
 お前くらい技量も信頼もある運び屋なら、フリーでも専属でも
 引く手はいくらでもあんじゃねーの?」

服部ローニャ > 「馴染みと言うても…拙者がこの島に来てからずっと働いとった場所じゃからな
 まぁ、拙者も直感もそなたの言う事もある故、そこにはもう顔を出さぬ事にしよう」

一先ず金はあるから暫く生活は大丈夫だろうと思いながらも
新しい仕事を探す事を考えると気が重いのかムゥ、と唸り声をあげている

「なんと、同じ異邦人であったか。
 まぁ、拙者は運び屋というより《SHINOBI》である故、運び屋は生きていく為の繋ぎにしか過ぎぬよ」

まさか異邦人の仲間と出会えるとは思ってなかったらしく思わずホウ、と特徴的な声を漏らす。
同類の言葉も『名は知らなくとも、お互い見た目が特徴的じゃから忘れる事はなかろうしの』と苦笑い気味に同じく肩を竦める

「運び屋の仕事に巡り会えるかはまさしく出会いじゃからな。
 拙者は《SHINOBI》と言ってもこれといった主も見つかっておらぬのでな」
《SHINOBI》は一人の主を見つけてその為に働く。
あの時見た《SHINOBI》の書籍にはそう書いてあった……はず

惨月白露 > 「そうか、ま、俺の側の依頼者が大分と厄介なトコだからな。
 ま、お前のフクロウの直感もそう言ってるなら、
 そりゃ信用しといたほうがいいんじゃねぇかな。」

悩む様子を見れば、飽きれたように髪を掻く。

「んだよ、仕事に心当たりがねぇのか?
 なんならま、俺のほうに来てる仕事を流してやってもいいんだけど、
 俺の依頼は俺の立場上ちょっとあぶねぇ橋が多いからなぁ。」

クックと笑い声を漏らす。

「………アンタみたいな可愛い女の子に任せるのは気が引けるな。」

寄りかかったまま足を組み、一層ドラム缶に体重をかける。

「《SHINOBI》?」

彼女の言葉に首を傾げるが、やがて納得したように頷いた。

「ああ、『忍者』の事か。
 んなもん目指すなんて変わってるな、お前。」

そう言って、再び小さく笑い声を漏らす。

「あ、言っとくけど、俺は主にはなれねぇぞ?
 自分を飼ってくれる主が欲しいなら、
 風紀か公安のやつあたりに頼むといいんじゃねぇかな。
 あのへんの奴らなら、いいように使ってくれんだろ。」

服部ローニャ > 「拙者は女…まぁ、メスであるが、仕事に性別に関係無いと思うがのう…
 かくいうそなたも女性………女性?」
可愛いと言われると照れ臭そうに頬をぽりぽりと掻いた後に同類に言い返してやろうと思い
相手を見たは良いものの中性的で結局何も言い返す言葉が思い浮かばなかったとか。

「うむ。拙者の世界では《SHINOBI》と呼ばれておるぞ。
 忍者とも言うらしいが、拙者は《SHINOBI》と呼んでおる」
特に誇らしい事は何も無い、外の世界の文化に憧れて、それを真似ているだけなのだが、何故か誇らしく語っている
それだけローニャの中では《SHINOBI》という存在は大きいものなのだろう

「あぁ、いやそういうつもりは無いのだ
 一匹の伝書梟を飼うのならば確かにその辺りが都合良いかの…うむ。参考にするぞ」
風紀・公安辺りには面識が全く無いが、もし出会えたのならば交渉するのも悪くない、
と忘れないようにメモに『風紀・公安に飼って貰う』と書いている。
後ほどこれを見たローニャは赤面して枕を濡らしそうではあるが

惨月白露 > 「さてな、どっちだろうね。」

彼女の照れくさそうな笑みにクックと笑みを返す。

「ふーん、ま、いいんじゃねーの、
 俺はそういう一本筋が通った奴は好きだよ、
 ま、俺にはちょっとばっかし眩しいけどな。
 なれるといいな、立派な《SHINOBI》ってやつにさ。」

ぼんやりと空を見上げて、すぐに下を見て、首を振る。

「ああ、存分に飼って貰え。いけ好かないやつも多いけど、
 少なくとも落第街の奴に飼われるよりはずっと信用できるぜ。」

ちらりと、足元の荷物に視線を落とす。

「中身がアイスだったら溶けちまう頃だな。
 俺はそろそろ行くよ、また会える事を祈ってるよ、可愛いフクロウのお嬢さん。」

人差し指を口に当てて、ぱちんとウィンクを飛ばし

「―――俺とここで話した事は、皆には内緒にしてくれよ?」