2015/08/09 のログ
ご案内:「路地裏」に焔誼迦具楽さんが現れました。
焔誼迦具楽 >  
「ああ……退屈。
 折角涼しいんだし、散歩にでも行けばよかったかしら」

【路地裏の一角。日当たりのいい場所で座り込む。
 散歩でも、と口にしてみたものの、とてもそんな気分ではなかった。
 原因はこの―― ――良くわからない。
 けれどなにか、喉に小骨が刺さっているかのようにむしゃくしゃして、気分の悪い苛立ちに苛まれているのだ】

ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
焔誼迦具楽 >  
「今なら騒がしい連中だって歓迎なのになあ」

【こういう時に限って、路地裏は静かなものだ。
 普段は迷惑なだけだけれど、今なら八つ当たり気味に憂さ晴らしをしてやれるのだけれど。
 ――今日は目が覚めたときから、どうもすっきりとしない。
 なにかを忘れているような気がするのに、何故だろう。思い出せない。
 昨日なにか。そう、なにか大切なことを考えていた……ような気がするのだ。
 けれどその内容が一切思いだ―― ――思い出せないならたいした事でもないのだろうか。
 とはいえ。すっきりせず苛々するのに変わりはない。
 もうずっと、しばらくは大人しくしていたのだが。珍しく一暴れもしたい気分だ】

蒼穹 > (涼しいのか、暑いのか。
夏は今でも真っ盛り。闇から闇に葬られるこの暗澹とした場所でも、日差しは差し込むし明るみもある。
一つ、静かなあたりを適当にパパーッと警邏して給料泥棒の目論見で参った次第。
概ね、見まわってそろそろ引き上げようと思っていた頃。)

…んお?
(何となく、前に会ったような、会わなかったような。
そんな記憶に曖昧な人物に似た誰かが座り込んでいるのが見えた。気がした。
焔誼と言っただろうか。確か、前は図書室かどこかで東洋医学と五行を学んでいたような―――?
目があったら「ここは危ないよ」とでも知り合いの好で一声かけて、それから引き上げる算段だった。)

焔誼迦具楽 >  
【――人の気配だ。
 いや、ヒトではない。
 近づくのはそれ以外のナニカ。
 どちらかと言えば自分に近い、化け物に寄った側の存在だろう】

「――ドチラ様かしら。
 ここは日向ぼっこには向かないわよ。
 面倒ごとが好きなんて変人でもないなら、さっさと回れ右をするのがオススメね」

【あからさまに機嫌の悪そうな赤い瞳で、視界に写りこんだ人影に先制して言葉を投げかけた。
 涼しいか暑いかといえば。
 この一角だけ妙に涼しいだろう。
 まるで熱が何かに奪われているかのように、夏というよりは春や秋とも言える涼しさになっている】

蒼穹 > (一応人間の風を取り繕っているけれど、看破するのはまぁ容易い。
分かる人には分かる、という事だろうか。こちらも何となく相手が人間とは違いそうとは察するが珍しいことでもない。特に、この場では。
して、送られた言葉に暫し沈黙。ぴた、と足を止めて。
不機嫌そうな様相から察するに少女っぽい様子だがこの辺のチンピラと何ら変わらない雰囲気。
知り合いだったので好意的に、と思ったが、そうでないなら好もない。)
あれ…人違いだったかな。ああ…見りゃわかるでしょ?
(他人の空似というやつだろうか。
どちらさまかと聞かれれば己の腕章に一瞥してから、ほれ、と腕を前に突きだし。)

そう、お生憎様、面倒事は大嫌いだからね、
言われるまでもなくこのまま回れ右せず光の如く真っ直ぐ引き返す所存だよ。
もうやることは済んだし、私は変人でもないからね。んで?一応聞くけどキミは、何してんの。
殺ってた?
(適当に或いは流れる様に風紀の職務的な質問を全う。仕事する気はなさそうという心持ちがびんびんであり、それを隠すこともしない。)

涼しい日向ぼっこにゃ最適の気温だろうに、こんな場所になかったら一服していきたいんだけどね。
(再び、ゆるりとした足取りを進め始めた。)

焔誼迦具楽 >  
【人違い、ああまたか。
 また『クト』か。
 どうしてこう、アイツは腹の立つタイミングで関わってくるのか】

「ああ、お仕事。
 私のほうも見てのとおり、退屈な日向ぼっこをしてたところよ。
 まあそうね、最近は『食べて』ないかしら」

【やる気のなさそうな相手に答えつつ。
 壁際からゆっくりと立ち上がった】

「そう、それは残念だったわね。
 ……ところで今、私はとっても機嫌が悪いの。
 憂さ晴らしにひと暴れしたいくらいに。
 ねえ。アナタは殺しても死なないような化け物かしら?」

【その取り繕わない言葉に似合わず、無邪気な笑みを向ければ。
 返答次第では気兼ねなく仕掛けるつもりで、防御、妨害二種の魔術を脳裏に思い浮かべ待機させる】

蒼穹 > そうそう、ああうん。
それはそれは…「殺ってるか」って聞いて「食ってない」って答えるってどうかしてると思わない?
(困り笑い。いやまぁ、この辺り何だし三度の飯より殺戮が好きな奴も珍しくないんだが。
今日は静かなところを、取り分けそういう危なそうな、面倒そうなヤツがいないところを散―――警邏していたのだが。)

いやぁ、何時になってもお仕事は辛いね。
お給料もらってんだから文句も言えないけど。
うわー、人に鬱憤ぶつけるなんてちょっと感心しないなぁ。
私もちょっとくらい暴れたいとは思うよ。けどねー、そうやって何の関係もない人を巻き込むのはどうかと思うんだ。切実に。
それにさ、どう考えても殺したら死ぬと思うんだよ。
鬱憤晴らしならその辺の犯罪者殺すか廃ビル切り倒してたら良いじゃん。
その方が社会貢献も出来るしいいと思うよ。
ああでも、私は化け物の部類になるのかなぁ。どう思う?
(足は止めない。立ち上がった様も一瞥するにとどまろう。
歩きながらに合間合間に彼女の言葉に口をあれこれ挟みながら、彼我の距離をある程度離して向き直った。
サボリに来たはずが化け物に殺されそうになってるなんて笑い事ではないが。
向き直って見えた笑みは無邪気………というか好戦的なそれを思わせられる。)

今日の御飯は私かいって…ええっと、それで、お話する気はないんだね?
(表情は相も変らぬ困り笑いとも苦笑いともつかぬ半笑い。最終確認。話が通じない相手とは何をやっても心を通わせることはできない。
例え、話す、通じる言葉を持っていたにしろそれは獣と扱いは変わらない。
こういう場所だし、殺らなければ殺られるのが悍ましい。まぁ、殺られる気はさらさらないが。)

焔誼迦具楽 >  
「あら、だって私は人を食べる怪異だもの。
 人と違って、意味のない殺しをするつもりはないわ」

【そう、迦具楽にとって殺人は食事なのだ。
 だから無意味に人を殺したりはしない。
 だが――相手が化け物なら話は別だ】

「殺しても死なない化け物なんていくらでもいるじゃない?
 それにそんなつれない事言わなくてもいいでしょ。
 アナタはここに来て、私に会って、わずかでも言葉を交わした。
 コレはもう立派な関係だと思うのだけど?」

【戯れるように言葉を返しながら。
 どう思うと問われれば、哂ってやるだけだ。
 お前のような存在が、化け物でないはずがないだろう、と】

「いいえ、アナタは私の食事には成り得ないわ。
 だから本当にただの憂さ晴らしよ。
 ――嫌ならさっさと帰ってもらえる?
 アナタは別に、まじめに仕事したいわけじゃないのでしょう?」

【迦具楽は特別、話の通じない阿呆ではない。
 だが今日のように『ハズレ』の日となれば、常のとおりとは行かないだけだ。
 相手が慌てて身構えるわけでも、逃げ出すわけでもないのなら、一応は言葉に答え、勧告もしてやる。
 そこらの会話すら出来ない有象無象と一緒にされるのは、たとえ機嫌が悪くともごめんだった】

蒼穹 > んー。どうだろう。意味があるかないかなんて良いけど、取り敢えず殺ったことは認めるのね。
そういうのカニバリストって言うんだけ。まぁいっか。
どういう理由にしても殺人は良くないなぁ。
(何とも安っぽい言葉を腕章を携えながら紡ぎつつ。)

そうだね、不死身なんて珍しくもないか。
…んで?その言葉交わしたばっかりの人で憂さ晴らし?
キミ多分友達少ないでしょ。私もだけど。
ああはいはい、私は化け物ですよーだ。
(からかってみたり、からかわれてみたり。
互いが互いの距離は測りかねているのだろうが。
少なくとも互いに最早人間同士の会話をしていない心算なのは事実か。)

ん?初対面の人に不真面目って言うのは頂けない。
確かに正しいけど。
どれ、良いよ。ちょっとくらい遊んだげる。どうせ人通りもないんだし、暴れたってこの場所だ。文句も言わんでしょ。
んじゃ今日の仕事は職務取りやめで。
やることは殺し合いじゃなくって、遊びだからね。うっぷん晴らしには付き合ってあげるけど、さ。
(腕章を外せば握り潰して。それから後ろ向きにぽーい、という効果音が付きそうな投擲。
何とも無責任で適当な風紀委員だが、これは異端。風紀委員の風評が下がるのは己が結構原因なのかもしれないが、本人は改める気はなさそうだ。
あくまでも温和にいこうよと、それでも何処となく馴れ馴れし気な口調を残しながら話せば。)

じゃあ先手後手はどうしよう。じゃんけんで決めるかい?
(こんな呑気な事を言っている間にも先手を取られかねないが。
要は暴れるにしても暴れていいという大義名分がいるという事を仄めかす。)

焔誼迦具楽 >  
「そうね、最近は殺してはいないけど。
 それは人を食べる人、異常者を指す言葉じゃない。
 私は元からそういうモノ。コレで正常なのよ。
 良い悪いとか、そういう問題じゃないわ」

【食べなければ死ぬ。当たり前の事なのだ。
 とはいえ最近となれば、人を殺す必要も特になくなっているのだが】

「あら、残念ながら友達は少なくないわよ?
 残念だったわね、お仲間じゃないみたい」

【とはいえ、迦具楽もそれほど多いわけじゃないが。
 そもそも友達とはどの程度から多い少ないと分けられるのか。
 ……まあそんな些末事は、今はどうでもいい。
 言葉を交わしていた、迦具楽の影が一瞬揺らぐ】

「ふふ、思ったよりもご機嫌なヒトね、アナタ。
 そうね遊び。これから行うのは、鬱憤晴らしの他愛ないお遊び――命がけのね」

【愉快そうに笑い――哂いながら、視認できないだろう迦具楽の足裏から、コンクリートの下を隙間を縫って自身の一部が伸びていく。
 それは細く鋭く伸びて行き、目の前の風紀――いや、化け物の足元へ】

「もちろん誘った以上、私がリードしてあげる。
 ――さあ、楽しく愉快に戯れましょう?」

【そう言葉を締めると同時、蒼穹の足元――真下でなく爪先から10cmは手前から黒く鋭い棘が飛び出す。
 それはまっすぐに蒼穹の正中、鳩尾へ目掛けて矢のように伸びていくだろう。
 同時に迦具楽はさらに魔術を備えはじめる。『魔術の始動に反応する』妨害用をさらに一つ。
 どうせこの棘は防がれるか、無力化されるだろう、と期待して。
 常人なら回避不能の一刺だが――これくらい分けなく対処してもらわなければ、とても憂さ晴らしにはなりやしないのだから】

蒼穹 > まぁ…そうだね。人間が豚肉を食うのと変わらないかな。
でもまぁ、あんまり歓迎はされないよね。
それってつまりあれだよ。人間が豚の前で正常だぜ俺様はって言ってるのと変わんないって思うんだけど。

(悪びれない素振りは、きっと彼女自身食事しているとしか思ってないのだろうし。
そう言う種族もまぁ珍しくもない。
珍しくもないことと、善悪は関係ないが。)

ありゃ残念。これを機にお友達になってくれればありがたいんだけどなぁ。
どうにも其方様にはその意がないみたいでほとほと残念だけど仕方ない。
ああもう。掴みづらいなぁ。
(さて友達と言える人が果たしてどれだけいたかと考えるが。
右手の指を5本折った辺りで止めた。)

人の話聞けよおおい。
誰が命がけの遊びなんかするもんかっての。
ジェットコースターもバックドリフトも安全が保障されてるから楽しいんだけど、分かんないかなぁ。
うわー、なにこれ。シャドウとかいうモンスター?
…はぁ、先手は打ちたかったんだけどな。
私と愉快に戯れたいんなら、適当に蹂躙されて噎び泣いてくださいなっと。
おっとっと。
(横っ飛び、若しくは大きく右に二歩とも取れる動き。
それっぽく驚いたと言わんばかり。影から弾け上がる様に飛び上がってきた棘を、御期待通り距離的にはかなり大袈裟に回避しようか。
人間から見たら化け物じみた動きだろうが、これも別に珍しくもない。矢の速度は…200km/hくらいだったろうか。)

んじゃ、適当にお返しするよっと。
どうしよ。まぁオーソドックスに。ほい。
破壊魔法・第一術式「滅の矢」
(殴る、蹴る、歩くと言った働きより、魔術の行使の方が割と簡単で体になじんでいるが故の芸当。
数瞬で魔術を、無詠唱で行う。尚、技の名前を宣告するのは本人なりの拘りである。
妨害用のソレには引っかかるのだろうか。当の本人は知る由もない。
向けた右手人差し指から、同じく、真っ黒な「矢」を撃ちこむ。

全ての防御を否定しながら。空間さえも一時的に切り裂いて。
破壊、崩壊、殲滅、燼滅、貫穿、直進、撲滅、消滅―――それらの指向性を束ねて。
人智を超えた極限に近しい威力の一端が、矢として、
(妨害を考慮しなければ)大凡相手の下腹部あたりにでも斜めから迫るのだろう。
避けるのは恐らく容易い。相手もバケモノ、己もバケモノ。
矢の速度等遅すぎるに違いない。妨害されようがされまいが、きっと避けられる。
要は、ただの威嚇射撃。物騒な威力だが、当てる気はまるでない。)

焔誼迦具楽 >  
「あら、アナタは人じゃないでしょう?
 そうね、気が向いたら友達になってあげるわ」

【そんなふうに、攻撃前の軽口は締めくくっただろう】

「あら。アトラクションがお望みだったのかしら。
 それは残念ね。私は殺し殺されるくらいのスリルの方が欲しいのよ。
 ソレくらい本気にならないと、憂さ晴らしになんてならないじゃない」

【たとえ遊びと銘打ったところで、本気でなくては。
 期待通りに避けられれば、嬉しそうな笑みが浮かんだ】

「お詫びに手品くらいは披露しようかしら。
 ――そのお返しはご遠慮するわね」

《スペル:インターセプト》

【蒼穹が魔術を行使しようとすれば、それが無詠唱であろうと関係なく。
 待機させていた魔術が魔力の動きに自動的に反応し、作動する。
 魔力の運用を一瞬阻害し、魔術行使を妨害する魔術だ。
 とても精密な魔力運用とは縁のない相手にも見えるが、効果はあるだろうか。
 完全にとめられるか、暴発するか、コントロールが狂うか――あるいは意に介せず打ち出されるか。
 矢が打ち出されるなら面白そうに哂いながら、ステップを踏んで軽がると避けて見せるだろう】

蒼穹 > 私は人なんだけど。
それは異常者だっての。
遊びってのは適当に楽しむもんだよ。私は遊びで命を落としたくはないなぁ。
(彼我の距離は離れるばかり。これくらいで御話はお終いか。
何だかんだ乗せられた気がするが。まぁいいか。たまにはこういうのも悪くない。)

おっと、これは―――っと。
(蹴ろうとしたら、その足を止められた。そんな感覚が走った。
だが何の事はない。止めた枷ごと蹴り飛ばせばいい。
相手の思索通り、精密とは正反対、非常に効率の悪いながら、それを量で押し潰している質より量の典型的タイプ。
幾瞬ほどストッパーが掛けられた様に、本人の意図としては少しラグを作って黒い矢が放たれる。
コースはそこそこぶれたがレンジ外ではないだろう。
スピードもかなり落ちているが一般人から見たら早い部類。
レンジ外ではなくとも、躱されないかどうかは別問題で、余裕で回避されるのだが大体意図通り。
寧ろ、例の妨害がなかったとしても避けられた想定だから、これは当然避けられるに違いない。)

面白い手品だけど。あんまり卑怯な手は感心しないなぁ。そんなんじゃ面白くないでしょ。
ん、ま、こうなるよね普通。
(笑う相手とは反対に、凄く詰まらなさそうな表情で事の顛末を見送った。
分かりきってはいたのだが、厄介な奴に絡まれたことよと内心で詠じて。
その回避のステップから見ればまた眼前のソレが化け物であることを再認させられた。
笑うタイミングに笑い方と言い、彼女は結局、殺戮を楽しんでいるのではないだろうかと思うのだが。)

じゃあ続けていこうか。発展破壊魔法・第一術式「神速滅矢」
(右手を、くいっと掬い上げる様な動きから、手刀を振り下ろす様な仕草を燕返しの様に動かす。
因みにこの動作に意味はない。これも本人なりの拘り。
手先から先程の真っ黒な、破滅の矢を幾十か繰り出す。
絶対的な威力を持って。先程の矢に大きく直進の属性を加えた矢。
そもそもそれが矢と言えるかどうかも怪しいのだが、それはさておき。
同じ手から出た矢は、思い思いの方向へと。葡萄弾と言うのが適切か。
狙いにまるで正確性がない。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの理論。
質より量を体現した理論。まぁ、バケモノだし矢が何本刺さろうと死にはしないだろうと、結構無責任な考え。)

焔誼迦具楽 >  
「ふうん、中々乱暴な戦い方なのね。
 ふふ。か弱い少女が戦おうと思ったら、卑怯な手を使うのが普通じゃない?」

【一体誰がか弱いのやら。
 自分で言いながら可笑しくなりつつ、放たれる多くの矢を眺める。

 ――速度:反応可能
 ――精度:回避可能
 ――威力:防御不能

 頭の中で『聲』が騒ぐ。
 なるほどこの属性――いや、性質は相性が最悪だ。
 いかに物理を無効化する流体の身体があったとしても、並の魔術なら意に介さない『ストック』があったとしても。
 アレを受ければ被弾した部分がごっそりと持っていかれるだろう。
 とはいえ、今の程度の魔術ならいくら受けたところで命にかかわる事はないだろうが――少しくらい本気にさせたいところだ】

「――そうね、アナタに合わせるのも面白いかしら」

《スペル:アクセル――カルテット――》

【自身の『動作』を加速させる魔術、ソレを四重に掛ける。
 かといって、高速移動や瞬間移動じみたことが出来るわけではない。
 あくまで『動きに加速』するだけの魔術。動作の初速は大して変わらない。
 だがソレも、四重に掛ければ――】

「よ、っと」

【軽く地面を蹴って背後へ飛ぶ。その動作は決して速くはなく、初速だけ見ればせいぜい一メートル飛びのけるかという程度。
 しかし、魔術によって『加速』され、理不尽な加速を行いビルの壁へと叩きつけられるように着地する。
 もちろん足裏を変質させ衝撃を吸収しつつ、壁へと張り付くことも忘れない。
 高さは地上4mほどの位置か。
 避けた矢によって破壊される路地を見下ろしながら、掃除が面倒そうだなどと雑な感想を抱いた】

「矢の雨には弾丸の雨でお返しするわ」

【手の平から黒い流体があふれる。
 バスケットボール大になったそれを二つ。
 蒼穹へ向かい投げつけた。
 コレもまた迦具楽の一部であることに変わりなく、普通に投げられた程度の速度から理不尽な加速を得て、まさに砲弾のように飛んでいく。
 しかしコレでは雨とは言わない。
 この砲弾の本領は見せ掛けの膜に覆われた、内部の無数の小さな弾だ。
 蒼穹の至近へ迫るか、迎撃されれば。
 その膜が破裂し内部の小弾を撒き散らす――炸裂弾である。
 一つ一つは銃弾よりも小さいが、そのどれもが迦具楽の一部であり、触れれば恒星の如き高温でもって当たった部分を融解させる。
 本来温度も、融解させる対象すらも制御できるのだが、今回は見せ付けるためにあえて制御を手放した。
 弾が炸裂すれば、周囲は溶けて穴だらけになるか、熱により何かに引火するか――どれであっても構わないと思っての蛮行だ】

蒼穹 > うーん。今のは一発は当たる自信あったんだけどなぁ。
(腕組みして急に加速した彼女の行く先を眺めよう。
幾十の矢は路地裏を覆い尽くすには不十分だったらしい。
故に、潰したところと潰れていないところの境界面がはっきりくっきりと見える。
足場が悪くなってしまったか。
まぁ、幾等壊したところで弁償させられることもあるまいし、
この地に思い入れがあるわけでもないのでどうでも良いのだが。)

…うーわ。
(二つの真っ黒な弾。異様な熱量。化け物は化け物でも炎の化け物らしいとこの辺りで察した。
あれを喰らったら流石に肉は溶けそうだ。これを目視できるのも大概だが、どうにかこうにか避けるか迎撃するか。若しくは防御か。
喰らうのは少なくとも得策ではないし、うかうかしてたら火達磨だろうか。
落としたとしてもきっとロクでもないことになりそうだ。)

だーから殺しに来るなってーの。…わ、わっ?!
ああもう!面倒くさいなぁ!これあんまりやりたくなかったけど…!
破壊魔法・第七十六術式「永遠《とわ》と永久《とわ》の神隠し」
(悠長な思考タイムは束の間。
持っている魔術の中では取り分け強い方の結界魔術を、選ばざるを得なかった。
まともな障壁ではだめだ、完全に干渉を防ぎきらねば。
己の上面と弾を隔てる時空間を切り伏せて、ぶち壊す―――完全なる遮蔽の術を。
手は、その時空を薙ぎ去る様に、また手刀として振りかざしたが。
こんな時でも拘りであって、別にやる必要はない。
広がるは永遠の距離と永久の時間。極限の中へと、その赤熱弾の如き黒い弾を飲み込もう。
真っ黒な、結界の様な、暗雲の様な何かを己の意図した上側へと横たえて…。
副産物の如く、この術式によって莫大な魔力が滝の様に流動するけれど今更そんな事は互い気にも止めないだろう。)

止め切―――っ?
(と、思ったが、少しだけ遅かったようだ。
流石にあんな魔術は矢の様に一瞬でスパンと打てるものでもない。
それに、弾自体がとても速かったというのもある。
炸裂のタイミングに間に合わなかったのだろう、上に伸ばしていた手や腕から何かの液体が垂れた。
皮と、肉。骨は…まあ、熱じゃ溶けないか。
パッパッと、黒い何かと融解した液体を振り払えば。
未だにしたたり落ちた熱いそれは路地裏を焼き潰しているのが分かる。
コンクリートなり道が焼ける煙が薄っすらとたなびく。)

あっはは、成程。アツいことしてくれんじゃん。
そのビルごとぶち壊してあげよっか?
(やっと、笑った。)

焔誼迦具楽 >  
「『本気で遊ぶ』って言ったじゃない。
 少しはその気になってくれたかしら?」

【煙か、熱による陽炎か。
 路地の一角を異様な熱気で埋めながら、蒼穹の笑みに応えるように哂う。
 時間と空間すら破壊する魔術にはゾっとしたが――弾の半数近くはその破壊に飲み込まれただろうか。
 相性は最悪。直撃させられれば、問答無用で『破壊』されかねない。
 有利を取れている部分があるとすれば、速さと自在さか。
 とにかく、息をつかせては。間を取らせてはいけないと言うことは、理解した】

「けれどまだこれから。
 さあ、お待ちかねのアトラクションよ」

【炸裂した黒い弾。
 それらももちろん――迦具楽自身である。
 その一つ一つは自在に制御され、蠢く。

 蒼穹の足元に落ちたいくつかの弾が跳ねた。
 コンクリートを溶かした弾が地を這う流体となり蒼穹へ向かう。
 速度は今は緩慢だが、徐々に、確実に『加速』していく。
 さながら虫の群れに囲まれたかのように、小さな黒が周囲から群がるように集まっていく。
 今度は熱が制御され、蒼穹へと触れたときのみ高熱を発するようになっている。
 地を這い、跳ね、集まってくるソレらは、生理的な嫌悪感すら誘発しかねない光景を作り出しているだろう】

「さあ、追加よ。
 アナタの『破壊』、もっと見せてもらえるかしら」

【両手の指を重ね合わせ、細く、長く、黒い流体が網目状に伸びていく。
 軽く手を振れば両の手から切り離されて、黒い網が宙を舞った。
 網はまるで意思を持つかの用に空中でうねりながら、蒼穹の頭上から覆いかぶさろうとするだろう】

ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
蒼穹 > いーや。遊びに本気にゃならないのが私のルールだよ。
こういうのは塩梅ってのが大切なんだよね。でもまぁ、ちょっとくらい気合入れても良いなぁ、とは思ったよ。
さっきも言ったけど、ジェットコースターのバックドロップみたいなアトラクションは安全性が確保されてるから楽しいんだよ。
命懸けのスリルなんて私には分かんないなぁ、何で死に自分を晒して笑えんのか理解不能だよ。
(軽口を叩きながら、己の周りを取り囲み始めようと蠢いた黒に一瞥。)
ダメ、芸がない。
それにさっき何が起こったか見てなかった?
(ダメ出し。
しながら先程作った時空の亀裂をもう一度広げよう。
上から来る黒い何かを先に対処しつつ。確実にちょいちょい焼かれていく。
回避しながらだが、掠るは愚か、近くを通っただけで脆い人の皮膚は容易く焼けただれる。)

ああもう…こういうねちっこいの鬱陶しいなぁ。
何てったってこう暑いとやってらんないよね。
そろそろ一矢報いますか…っと。ほーら、御望みの破壊だぞー!
破壊魔法・第二十一術式「轢殺の剣」
(適当に狭い所に誘導しながら、焼け跡の付いた腕を振るって。
それから、ちょっとだけ走ってみよう。いままでの緩い足取りとは変わって、疾走。
ビルとの擦れ違い様の少しあと、真っ黒な剣の様にも、棒のようにも見える塊をその手に。
長さは大凡自分の身長の倍くらい。別に手で握る必要はないのだがこれも前述の通り本人のこだわり。
ビルの壁面を、容易く、薄紙を斬り裂くかのように、
反作用などまるでないかのように、それはそれは気持ちいいくらいスパッと3度、一瞬にて斬りつけ、断絶した。
黒い刃とビルが衝突した音はなく。文字通り、切ったところを破壊し、消滅させたことが分かるだろうか。
一瞬。質量のない仮想物質を振るうだけなら、それの斬撃と言う動作には時間が殆ど必要ない。
ただ、破壊を具現し続けているその魔術は…まぁこれが魔力効率が悪い。
固体として固まっているビルは、間もなく崩落するだろうか。
崩落したなら狙い通り。また、有言実行ともなるし万々歳。ビルが壊れることもまぁ珍しくもないだろう。
狭い所に誘い込んだ黒い熱物体にビルの落盤を押し付ければ何とかなるか。
何とかならなかったらいよいよ氷でも使おうか。
そんな事を考えながら、細い路地の一本を抜けた。後ろを振り返る事もない。
結構スリリングな逃走劇である。が、やっぱりあんまりいい気分はしない。
踊らされている様で癪だ。
派手にダメージを喰らってくれれば楽しいのだが。)

ご案内:「路地裏」に蒼穹さんが現れました。
焔誼迦具楽 >  
「別に死にたいわけでも、死にそうになって楽しいわけでもないわ。
 ただ私は――ソレくらい本気でいたいのよ」

【なにに対しても、だ。
 そうでなければ、自分が自分であると自信が持てなくなる】

「見ていたわよ、もちろん」

【小さな黒点は確実に相手を焼いているはずだが――ダメージにはなっていない。
 聲が勝ち目はないと告げているが、そんなのは誰に言われずともわかっていた】

「そりゃあ搦め手が私の武器だもの――ッ!?」

【疾走する蒼穹を目で追い、悪寒を感じた。
 直後黒い刃がビルを切り裂き、足元が揺らいだ。
 ――あんなものを食らったら。
 そう考えるだけで背筋が凍るようだ。
 今更のように、喧嘩を売る相手を間違えたと気づき、頭が冷えていく】

「……でも、もう少し」

【あと一発だけ、『遊んで』もらおう。
 ビルが崩壊し、崩れる壁と共に地面へと落ちる。
 落下するコンクリートや壁面につぶされながらも、迦具楽の身体は流体のようになり、ダメージを受け流す。
 そして、土煙にまぎれて分離した黒点を回収し始めた】

「残念だけど、コレで終わりにするわ」

【相手の姿は煙に紛れ見えない。
 けれど、その魂の色は匂いは捕捉できている。
 瓦礫に押しつぶされた黒い流体が、一部をライフルのように変形させた。
 いやその必要はまったくないのだが、相手に影響されたのかもしれない。
 そして、そのライフルに銃弾に似せた自身を乗せ、ただただ、熱を集束させる。
 自身が発した熱を、太陽光がもたらす熱を、すべてただ、その銃弾に集束させる。
 迦具楽の力の芯になっているのは、炎ではなく、熱。
 そしてそれを、寸分の狂いもなく制御し尽くすコントロール能力だ。
 集束された熱は9000K――およそ8726℃。
 窮極の熱を込めた、必滅の弾丸。
 狙うは土煙の向こう、路地の先へ消えた蒼穹の背中。
 タン、と。
 軽い音と共に打ち出された黒い弾丸は、両者の間に存在するあらゆる障害物を貫通し、多重に掛けられた加速魔術によって音速すらも越えて迫る。
 最小であり最大の灼熱が、蒼穹の背中に迫る――】

蒼穹 > (走り抜ける。
跳ね上がる様な少女の言葉尻を背に。
瓦礫が崩壊するそれを、駆け抜けて。
だが、ビルを倒壊させてそれに巻き込んだくらいじゃ死んではくれまい。
最も最初から言っているように殺す気はこちらにはないのだが。
遅れて漸く倒壊音。
爆発音とも取れる様な響きが、路地裏に響き渡る。

振り返ってどうよ、降参かい?とそろそろ言う頃合いを見計らったが…甘かった。)

そう、それで終わりかい。
そりゃあ残念だ―――ねッッ?!!
(そちらにも向かず、突っ走る背を向けてやりとり。
感じるのは熱量。圧倒的な。
この距離でも分かるほど。
夏の蒸し暑さとは比べ物にならない、地獄に近しい熱量。
それは、ただただ大きく、大きく、大きく膨れ上がって行くのが分かる。
流石にこれはまずいだろうかと、不安が過った。
のも束の間で。それは文字通り超速で己へと向かうのだろう。)
…ッ…!
破壊魔法・第八十三―――あぁくそッッッ!!
(ここに来て、相手が始めたソレと対照的に、こだわりを投げ捨てた。
余計な振り付けなど不要。余計な仕草も、宣告も不要。魔方陣なんかの装飾も不要。
破壊は破壊。それ以上でもそれ以下でもない。こんな状況で拘ってられるか。
迫る熱を感じられる時間はどれくらいか。そんな間に拘りなんかを挟んでいてはならない。
そんな事を考えている暇もない。
さっさと対処しないといけない。
どんな大きな数字も無限の前には無力。
熱は有限、破壊は無限。なのになぜこうも焦らされている?
自問自答の答えを出す間もなく。
この状況における、正面衝突の愚策を切りだした。
切りだしたというよりそれは、一切考えを持たない何かの衝動的な反射行動だった。
背中に感じる熱を打ち滅ぼすには、熱を壊すしかない。じゃあ熱を壊せ。
そんな短絡的な、1本の紐の様に単純な策をぶつけよう。
それは寒気、氷、冷風。
分子運動を破壊しながら、熱と言う熱を、そこかしこから奪い去る。
季節外れの猛吹雪。空っ風。破壊魔法・第八十三術式「凛冽寒気―ゼロダウン―」
汎用的な氷の大術式を、無理矢理破壊魔法に当てはめて使っているという荒業。
走って、彼我の距離を開け放ちながら、出来るだけ寒気に触れる時間を稼いで。
その威力を極力落とし込めた状態にせんと試みる。
一帯に吹き荒ぶ冷風はしかし、どれくらい熱を下げてくれるだろうか。
熱と冷の正面衝突。時空間を斬り裂くとか、もっと、良い策があったはずなのに。
相反する属性で対応したのはなぜだろうか。それは本人も分からない。
ただ、熱が衰えなかったら、どれくらい体を持っていかれて骨にされるだろうか。
あの熱量をじかに浴びたら、全部骨にされてしまいかねないだろうか。
人間の体は不便なものだねと、余裕があったら嘲ったろうが余裕はなかった。)