2016/05/03 のログ
ご案内:「路地裏」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「いやー…聞きしに勝るというか、流石落第街というか…」

ぱたぱた、と手を叩く少女
遠目に転びそうになりながら走り去っていく数人の男の姿が見える

「噂には聞いてたけどひどいなぁ…」

はぁ、と大きく溜息
話は30分ほど前に遡る

伊都波 凛霞 > たまたま歓楽街で友達と遊んだ帰り、一人になったタイミングで前の生徒らしく男の子が財布を落としたのだ
あ、と思って拾って追いかけようとしたのだが曲がり角で見失ってしまった
どっち行ったのかなーと探し歩いていたら、噂に名高い落第街に来てしまった

そしてきょろきょろと目的の相手を探しているうちに、なんか二級生徒と呼ばれているらしい彼らに絡まれ、撃退して今に至る

「いやぁ…すぐ追いかければ大丈夫と思ったんですよね?ほんとに。
 まさかこんなことになるとはおてんとさまでも思わないよ。うん」

まるで誰かに言い訳するかのように独り言を呟く
おとなしく諦めて公安委員にでも落し物として提出してばよかったなと反省する

伊都波 凛霞 > いやそもそもちょっとだけ色々見て帰ろうとか、
そんな好奇心があったことは否定しない、否定できない

それなりに武術の心得があるので、
さっきみたいな不良に絡まれるくらいは大丈夫だろうけど
違反部活の連中には異能を悪用するのが当たり前、みたいな生徒もいると聞く

「(考えれば考えるほど、この学園の闇の部分だなー…こわこわ)」

肩を竦めて、振り返る
確かこっちから来たはずである、ドラム缶が転がっている
もう一度振り返り、元の視点に戻す。ドラム缶が転がっている

「さて……」

どっちから来たっけ

伊都波 凛霞 > 「おっ、そうだ」
ピコーン、両手をポンと打つ
折角便利な異能力を持っているのだ、ほんの数分前の残留思念を周囲から獲れば良いではないか

「んー…とりあえず、壁っ」

ひた、と打ちっぱなしのコンクリートの建物、その壁に手をつく

目を閉じて、集中
キン、キン
耳鳴りのような音、次第に瞼の裏をスクリーンに、朧気に映像が映し出される

強引に肩を抱いて歩こうとする不良の顔面に自分のハイキックが入った

「(おぉ、我ながら惚れ惚れする蹴り足…って違うそうじゃないもっと前だよ前…)」

伊都波 凛霞 > 「(もうちょっと遡ってー、もっと前だよー、前ー)」

比較的メジャーな超脳力の一つだが、この微調整が難しい
個人差はあるものの、うっかりすると巻き戻しすぎたりしてしまうのだ

そして残留思念は人の記憶と同じで『うろ覚え』のようなものが在る
強く残った記憶は鮮明に、弱く残った記憶は朧気である
その場に強いストレスがかかったかどうか、と言われてもいるが定かではない
とりあえず歩いてきた方向がわかればいいので、今回は特に問題ないけど

キン───

「う───ッ!?」

飛び込んできた鮮明すぎる映像に思わず手を離して後ずさる

伊都波 凛霞 > 脳髄が痺れたような感覚、冷や汗が噴き出すのを感じ、膝が笑う

「や、やばくない…?
 此処、一応学園都市の一部、でしょ……?」

飛び込んできた映像は余りにも鮮明

人が人を斬り殺し、血飛沫が何メートルも上に飛び、臓腑と思しきものが───

遡りすぎたのか、もしくはこの場に出来上がった記憶のスポットに入ったか
とりあえず凛霞の見た残留思念の映像は、
おそらくは生まれて初めて目にする、限りなくリアルな死そのものだった

自分が今いる場所の危険さを改めて、いや今まで以上に実感させる

伊都波 凛霞 > 「うー……やなもん見ちゃったな……」
また見えてしまうかも、と思うとうっかりサイコメトリーを使えない
今見てしまった映像が強烈すぎて、ふらふらと、ドラム缶の上に座りこむ

まっすぐ上を向いてみれば、真っ赤な空
まだ陽は高いはずなのに路地裏は既に薄暗い
あんまりぐずぐずしていると夜になり、闇に包まれてしまうのだろう

そうしたら…さっき見た残留思念に出てきた男みたいなやつが…?

そう考えるだけで身震いする

「ああ!もうとにかく歩こう!明るいほうに歩いてけば大通りに出るよね…!」