2016/06/02 のログ
■金良 楽 > 「……うーむ」
しばらく経ったが、やはり人が来ない
今日は外れだったか?と思いつつも、店じまいにはまだ早い
せめて一つくらいは売れてほしい物だが……
「気休めにギターでも弾いてみるかな、音につられて客が来るかもしれないし、ね」
そう言うと立てかけてあったギターケースからギターを取り出す
暫くチューニングをした後、誰に聞かせるでも無く呟く
「それではお聞きください『第三の男』」
静だが、どこか陽気な音色が路地裏に流れる
■金良 楽 > 曲が終わり、再び路地裏に静寂が戻る
「うーん、だめかぁ……」
これで客が来れば苦労はしないのだが
「ま、根気強く待ちますか、商売は“あきない”だからねぇ」
となりのピートは、再び静かにパタリと尻尾を振った
ご案内:「路地裏」にエリナさんが現れました。
■金良 楽 > 「……くぁ」
あんまりにも暇なためか、思わず大欠伸が出る
見ればとなりのピートも大欠伸
■エリナ > 「あら……?」
歓楽街から路地裏へと入った少女が看板と店主、そしてその隣に座っている猫を捉えると珍しそうに近づいてくる。
小さな台の上の瓶を興味深そうに見つめているだろう。
■金良 楽 > 「お、どうですかお譲さん、アレコレ色々よりどりみどりです」
瓶にはそれぞれ『安眠香』『睡眠薬』『夢見薬』等が書かれていた
「全てハンドメイド、天然素材で安心安全
値段は……ま、応相談って事で」
■エリナ > 目に付いたものが眠りに関連するものである。
あらあら? もしかしなくても結構危ないお店だったりするのかしら?とかなんとか思ったかもしれない。
若干引き気味の様子できょろきょろと辺りを見渡す。
店主、ギターケース、猫……猫!?
「え、ええっと……そう! あの、こちらの猫さんはあなたの……?」
■金良 楽 > 「ああ、コイツはピートって言ってね
僕の相棒さ」
ピートと呼ばれた猫は「にゃおん」と一声鳴いて挨拶をする
「何か欲しいのはあるかな?
出来る限りご要望には応えるつもりだよ?」
ニコニコと笑みを浮かべる、場所が場所なのでなんとも胡散臭く見えるのだが……
■エリナ > 「まあ! おりこうさんですね。」
ほっこりとした表情でピートの頭を撫でようと手を伸ばすだろう。
特に逃げられたり抵抗が無ければ優しく撫でる。
「そう、ですね……とりあえずはどんなものがあるか確認したかったものですから。」
どうしよう、言えない。怪しいからやっぱり良いですだなんて言えない。
とりあえず使う使わないにせよ害の無さそうなものが良いのだけど、などと考えていた。
■金良 楽 > 「近頃暑くなってきたからね、夏バテ防止に『食欲増進薬』もある
あとは……そうだね『便秘薬』もあるよ」
意外と普通の薬も売っている、しかしそう言う物に交じって
『強壮剤』やら『催淫香』などピンクな物や
『猫薬』や『無夢薬』『無言薬』等のよく分らない薬もある
■エリナ > 「……その、デリカシーが無いのはちょっと……。」
便秘薬やらピンクなお薬を紹介されて、顔を赤くしながらも一応抗議。
しかしながら改めて見れば薬と一言で言っても様々な物を取り揃えており、彼女は素直に感心していた。
それもお手製と言うのだから尚更だ。
「うーん……効果の程は確かなのですか?」
■金良 楽 > 「あ、っと、ごめんよ、確かにちょっと無神経だったかな」
見ればとなりのピートも避難の目で見ている
効果を疑われるのも当然の事なので……
「そうだね……
ま、実際に試した方が早いか」
そう言うと台の下から小瓶を出し、ゴマ粒を少し大きくした程度の薬を取り出す
瓶には『無言薬(お試し版)』と書いてある
「これは無言薬、ま読んでなんとなく分ると思うけど
これを飲んだ人はしばらくしゃべれなくなるんだ
こいつはお試し版、ほんの30秒程度で終るから……
試してみる?」
この上なく胡散臭い……が本人はいたって真面目である
■エリナ > 「折角の商機も台無しになってしまいますよ?」
と、満足げな表情でお利口ピートの首を撫でている。
猫好きなのだろうか。
「…………。」
胡散臭そうに、それはもう胡散臭そうなやつを見るような視線を送る。
でも、薬を手に取り飲み込む、何てことはなく喉を通る。
『何もありませんね?』と言おうとした。言おうとしたのだが声が出ない。
出ないのだ。
■金良 楽 > 「どう?言った通りでしょ?」
ニンマリと笑って誇らしげに言う
胡散臭いかもしれないが、薬作りの腕は確かだ
「こっちの製品は一錠五分程度
粉にして飲み物に混ぜるのもいいよ
罰ゲームに使えば盛り上がるし、お喋りが過ぎる人をちょっと懲らしめるのにも使える」
今度は別の瓶を取ると自慢げに見せる
「これは『真実薬』お察しの通り、嘘が付けなくなる薬さ 自白剤……とはまたちょっと違うかな」
更に別の瓶を見せる
「あとこれは『“風邪”薬』風邪を治す薬では無くて風邪になる薬さ
ずる休みしたい時に使えるよ」
ニヤッと悪人じみたで言う
■エリナ > 「驚きました……まさかこんな場所で本物をお目にかかれるとは。」
場所が場所だけに紛い物を掴まされるのは良くある話で。
特に自分の様なタイプの人間というのはカモにされるのが鉄板なのは分かりきっていたから微塵も期待をしていなかった。
だけど目の前の彼の薬は本物で、それに出会えたこの幸運を素直に喜んだ。
「ですが、どれも私には使いこなせそうにありません。」
肩をすくめて言う。
■金良 楽 > 「ま、確かに使いどころに困るかもねー」
作った本人もいまいち使いどころを『これ!』と言えないのだ
実は半分くらいは『面白いから』という至極適当な理由で作っている
「ちなみにどんな薬だったらほしいかな?」
先ほども言った通り、リクエストには極力応える主義だ
■エリナ > 「あはは……実はそういった物は別にいいかなーって。」
少しばつが悪そうに苦笑いで答える少女。
そう、少しだけ興味があって近づいたに過ぎない。
「ちょっとだけ、冷やかしにきちゃいました。」
素直に白状した。
■金良 楽 > 「あらら……それは残念
まぁ、気が向いたらまた来るといいよ
運が良ければ、また会える」
島を自由きままにぶらつく彼は、決まった日にどこにいる、と言う訳ではないのだ。
携帯も持っていないので連絡を取るのは至難の業である。
■エリナ > 「ふふ、その時は是非に。」
朗らかな笑顔を浮かべて、ピートの頭をもう一撫でして。
何となくだが、またいずれ会える。そんな気がしたのだ。
「ごきげんよう。」
足取り軽く、立ち去っていった。
ご案内:「路地裏」からエリナさんが去りました。
■金良 楽 > 「さて……もうしばらく粘りますか」
再び一人と一匹だけになる路地裏
どうやら彼は、もう少しだけ粘るつもりらしい
静かな路地裏、日は少しづつ傾くのだった
ご案内:「路地裏」から金良 楽さんが去りました。