2016/08/05 のログ
影打 鈍 > どこにでもそう言う輩は居るんだな。

(人を殺して金を稼ぐ仕事。
 今まで渡り歩いてきたどの世界にもそんな人間は居た。
 むしろ今まで自身を使っていた人間の中にもそう言うものは居て、自身に取っては特に珍しくもない。
 呟き、刀を抜く。)

人の血は吸わぬと約束はしたが、死んだ者までとは言うまい。

(そのまま死体へと刀を突き立てる。
 止められなければそのまま死体の血を吸い尽くし、死体はあっという間にミイラのように乾ききってしまうだろう。)

濱崎 忠信 > 「どこでも需要のある商売だからな」

別に惨殺体なら何でも構わないので、忠信はただ見ているだけに留める。
誰かに何か酷い目に合されて死んだという事だけが分かればそれでいい。
 
「損傷させるのは別にかまわないけど、きれいさっぱり消すのはやめてくれよ。
死体が残らないと困る。仕事した証だから」

影打 鈍 > (死体の水分と言う水分をあっという間に吸い尽くし、刀を鞘に納める。
 パキリと死体の腕が乾いた音を立てて折れた。)

そこまでは出来んよ。
体液を吸うまでだ。

(最も後の事まで保証はできない。
 カサカサに乾いた死体は酷く脆くなっており、下手に動かそうとすればボロボロに崩れてしまうだろう。)

濱崎 忠信 > 「吸うのはいいけど、見るからにぼろぼろじゃねーか。
移動させるのにも困る様な有様にされるのは流石に困る」

とはいえ、言う以上の事は別に忠信もしない。
こんな何が出るかわからないところでさっさと死体の回収にこない先方も悪い。

影打 鈍 > 汝もメシがあれば全て平らげるだろう。
困るのであれば管理をしろ。

(彼らの都合など知ったことではない。
 人の血を吸わないと約束してしまったために魔力の調達に困っているのだ。
 まだ余裕はあるが、食べられる時に食べて何が悪い、と言った様子だ。)

濱崎 忠信 > 「全部は平らげねーし人のモンだったら取らねーよ。
横から人のメシの種とっといて盗人猛々し過ぎるだろアンタ」
 
呆れ気味に苦笑を漏らしながら、そうぼやく。
この少女が盗人なら忠信は文字通りの人殺しなので、説得力はまるでない。

影打 鈍 > では聞くが、これは誰かの所有物か?
誰かの奴隷だったのか?
死体は殺した者の所有物になる法があるのか?

(そんな法があるのなら確かに盗人だろう。
 もちろん「そんなものはないから知らない」と言う意図はなく、単純にこの世界にそんな法があるのなら従う必要があるだろう、と考えての問いだ。
 じい、と彼の顔を見る。)

濱崎 忠信 > 「アンタ、ンな事いちいち聞くって事は異邦人か」
 
なるほど、それなら仕方ないかと一度だけ明後日の方向をみてから、忠信は口を開いた。

「この世界にはマナーっていう法ではない法みてぇなもんがあってな。
それを守らない奴は自動的に盗人同然の阿呆と言う事になるのさ。
で、これはそのマナーに違反する行いだ。
人の仕事を横から取り上げたわけだからな。
それは、そいつの懐に所有物として入る予定だった現金を横から掠め取ったに等しい行為となるわけだ。
ま、普通は良い顔されねぇわな。
悪質な場合は普通に法に触れるぜ。仕上がった仕事を横から蹴飛ばしてるわけなんだからな」

とはいえ、そもそも殺人が当然ながら違法である。
どこまでいっても、忠信の言う事はただの人殺しの言葉だ。

影打 鈍 > いほう、じん。
違う世界の住人を、ここではそう呼ぶのか。

(こちらの世界に来てまだ日が浅い。
 それにこちらに来てからしている事といったら人を斬る事だけなのだから。)

――なるほど。
暗黙の了解と言うことか。
理屈は分かった。
しかしそれならば尚の事管理して然るべきではないか。
法に触れることをしているなら尚更な。

(人を傷付けたり殺したりするのは違法だと聞いた。
 ならばこの男は犯罪者だろう。
 この世界ではどうかは知らないが、今まで見てきた大抵の世界では、そんなもの「奪われるほうが悪い」だったから。)

濱崎 忠信 > 「法に触れているからこそ普通は遠慮するんだよ。
管理された場所で管理の外側の事して成り立ってる商売なんだからな。
まぁ、アンタ自分が食ってる飯横から食われたらいい気分は多分しねぇだろ。
それと同じことだ。
俺が口で言う以上の事をしてないのも、そういうことだ」

文句は付けるが、別に止めるつもりもないし、それ以上をするつもりもない。
実際、さっさと死体を取りに来ない先方も悪いのだ。
今回はまだマシな方で、最悪、何を言っても話の通じない物狂いに絡まれる事だって別にないわけじゃないのだ。
だったら、拙速を尊ばない方が悪いともいえる。

影打 鈍 > 人の理屈は良くわからんな。

(結局はそこに落ち着く。
 先ほど語ったことも、今までの世界の経験からの言葉であるし、自分自身の考えは「あるから食う」。
 それだけの事だ。)

良い気分、とはなんだ。
食事を邪魔されれば抵抗するのは犬や猫でもそうするとは思うが。

(その点については同意見ではある。
 しかし気分の問題と言われてもいまいちピンと来ないのだ。
 元々生物ではない刀に意思が宿っただけのもの。
 本能だけで生きているのと同じ事なのだ。
 自我はあっても、感情はない。)

濱崎 忠信 > 「されて気持ち良い事が気分が良い事で、されて嫌な事が気分が悪い事だ。
アンタは俺の食事を遠まわしに邪魔したんだから俺に今すぐ抵抗されても何も文句はいえない。
でも俺がそれをしないのはアンタみたいなマナーも知らない世間知らずにそんな事やっても言っても仕方がないからだ。
俺は弱い者いじめが専門だから別に強くもないしな」

殺し屋なんてのは大概そんなもんだ。
本当に強ければ別にやりようがいくらでもある。
 
「ま、弱肉強食が是であくまでそれで打倒されるなら文句はないとかいうんだったらアンタに言う事はもうないな。
動物と話をしても仕方がない。
猫に魚を取られたとでも思って諦めよう」

影打 鈍 > ――よくわからん。
しかし私が汝の邪魔をしたと言うのは分かった。
すまなかったな。

(説明されても分からない。
 それでも彼の邪魔をした事は事実のようだ。
 そこは素直に頭を下げる。)

弱肉強食と言うか、弱いものが死ぬのは当然だろう。
その男も弱かったから死んだのだろう。
――動物と言うのは正しくないな。
生まれながらに命があるわけではない。

濱崎 忠信 > 頭を下げられると、忠信はただ何でもないように笑って、一度だけ頷いた。

「そこだけわかりゃ十分だ。
次から気を付ければいい」

知らなかったのならそれ以上は糾弾するような事でもない。
誰にだって最初はあるし、知らない事もある。

「アンタ、元がモノだか作り物だか何かか。
まぁ、そんなのは此処じゃそれこそ珍しくもないからどうでもいい事だし、何の特徴にもならない出自だな。
そして、人の社会の弱肉強食ってのは複雑でな。
弱い奴が死ぬまでは良い。
でも、それじゃ50点どころか10点以下だ」

そういって、忠信は指を振る。

「『弱い』って……どういう意味だ?
何を持って弱いと称する? 死んだから弱いなんてのは結果論だ。
そこに至るまでの何を持って『弱い』と定義する?」

影打 鈍 > わかった。
気をつけよう。

(またも素直に頷く。
 余計なトラブルを起こして目の敵にされたりするのは面倒だ。)

刀だ。
命を吸って妖刀にさせられた。
――どういう島だ、ここは。

(今更な疑問。
 今までいくつかの世界を渡り歩いてきたが、それらと比べてここは異質だ。
 あまりに混ざりすぎている。)

何を言うかと思えば。
生き残った者がより強いだけだろう。
死んだから弱いのではなく、自分よりも強い者よりも弱かったから死ぬのだ。

濱崎 忠信 > 「知性あるものが想像しうる限りの異世界はだいたい『門』の向こうからやってくる。
そういう場所で、そういう島だ。
しかもアンタ、インテリジェンスソードの類か。
いよいよもって有り触れてるな。珍しくもないを通り越して最早お約束のレベルじゃねーか。
探せばダース単位でお仲間がいると思うぜ」

命を吸う魔剣なんてのはそれこそ定番中の定番だ。
由来はどうあれ、性質だけみれば探せば掃いて捨てるほどある代物としかいえない。
 
「じゃあ、強いってなんだ? 何を持って強いだの弱いだの定義するんだ?
生き残ったから。死んでないから。そんなのは理由にはならねぇ。
それはタダの結果だ。理由じゃない」

影打 鈍 > おかしな場所だな。
別に仲間が欲しいわけではない。
むしろ欲しいのは担い手だな。

(お約束だからこそ、自身は作られたのだろう。
 どちらにせよ妖刀魔剣の類が居ると聞いても思うところは無い。)

死ぬか生きるかだろう。
そもそもそんなものは人間が勝手に考えた言葉だろう。
それらしい理屈をこじつけているだけだ。
そしてそんなものがなくても死ぬものは死ぬ。
それだけだ。

濱崎 忠信 > 「おかしいか? 普通だと思うぜ。
どこまでいっても誰かの想像の外のもんは出てこないからな。
別にそれこそどこの世界でも同じことだ」
 
結局、万人の想像を飛び越えるものが現れることはない。
なら、それは最早ただの秩序である。
少しばかり範が緩いだけのことだ。
 
「何いってんだ。
人間じゃない奴が考えた言葉や理屈なんてタダの一つもこの世界にはないさ。
外の世界にいったっていい所、人間と同程度かそれ以下の知性体の考えた言葉と理屈でしかない。
少なくとも人間サマより頭のいい人外なんてこの島じゃただの一人も見たこともないしな。
アンタだってその『人間さまの作った言葉』に相乗りしている以上はそのこじつけの内側にいるしかない。
別に生きるだの死ぬだのは強い弱いとは関係がない。
関係なくそんなものは訪れる。
人間社会での弱肉強食ってのはな、結果で決まってなんざいないんだよ。
強い奴は死んでも強い扱いだし、弱い奴は生きてても弱い扱いだ。
ようは周りが認めなきゃ意味がねぇのさ」

影打 鈍 > そう言うものか。

(ならばそう言うものなのだろう。
 別にここがどのような世界でも、自身には関係ない。
 ただ魔力が尽きぬように喰らうだけだ。)

汝の理屈はそうなのだろうな。
私の理屈とは違う。
また別の理屈を持つものも居るだろう。
そしてそれは日々の暮らしには関係がない。
私は魔力を溜め込んで、汝は人を殺めて暮らすだけだ。
――邪魔をしたな。
生きていれば、また会うこともあろう。

(それだけ告げて歩き出す。
 路地の奥から出てきた時に向かっていた方へと。
 カランコロンと高下駄の音を鳴らしながら。)

ご案内:「路地裏」から影打 鈍さんが去りました。
濱崎 忠信 > 「日々の暮らしと関係がない理屈なんてものはタダの一つもない。
他人の理屈は他人の理屈で片付けるだけで、克ち合せる気もすり合わせる気もないんだってんなら、会話の意味すらありはしない。
やっぱ、ありゃただ動物だな」

本能という名の理屈を胸に思考停止してるってんなら、猫に魚を食われた程度に思っておこう。
そう判断して、忠信が笑った直後。


「ああ、やっと引き取りにきたか」

死体を引き取る連中が現れて、死体についてああだこうだいってきたが、まぁそれはまた別の話だ。

濱崎 忠信 >  
 
「俺は俺。お前はお前なんて言葉は……能無しが使う常套句だぜ」
 
 

ご案内:「路地裏」から濱崎 忠信さんが去りました。