2016/11/26 のログ
ご案内:「路地裏」に黒龍さんが現れました。
黒龍 > 落第街…不法侵入者、異世界からの来訪者の男にとって、身を隠すのには好都合な街…ではあるが。
矢張りというかトラブルには事欠かない。今、こうして路地裏を一人歩いているのも、そのトラブルのゴタゴタのほとぼりを冷ます為だ。

「クソったれが…しつこいにも程があんだろーが、あの連中…絡んできたのはテメェらの癖によぉ」

吐き捨てるように呟きながら、右手でスーツの懐を漁る。
取り出したのは葉巻だ。それを口に咥え、指先に点した火で先端を点す。
盛大に煙を宙へと吐き出しながら、もう一度右手で懐をゴソゴソと探る。
取り出したのは、丁度掌に収まるサイズの石だ。戦利品としてかっぱらったものだが…。

「…やっぱこれのせいかぁ?ただの石ころ…って訳でもなさそうだがよ」

光が差さない路地裏だが夜目は利く。掌に収まるその石を繁々と眺める。…いや、これは石か?

「…石っつぅより鉱物…鉱石か?何かよく分からん『力』を感じるが…何だぁこりゃ…」

黒龍 > 葉巻を咥えながら、その手の中の石、鉱石?を弄ぶ。不可解な力は感じるが…。
お得意の魔力の探査をしてみても、何か得体の知れない力が内在している、くらいしか分からない。
少なくとも、己の居た世界ではこんな類のモノは無かったと記憶している。

「……ま、何か得体の知れないブツってのは間違いなさそーだが…面白ぇ」

大した事が無い物なら、質にでも売り飛ばすか道端に捨てるかしただろうが。
どうもこれはただの石ころではない、と分かれば手放すには惜しい。
それに、連中がやたらと必死こいて取り返そうとしていたのだ。何かあるんだろう。

「さてさて、このブツが面白ぇもんだったら暇潰しになりそーなもんだが」

改めて手の中のブツを眺める。ほぼ真円を描く形状、色は真っ黒…いや、よく見ると青み掛かっている。
それに、時々だが何かが脈打つような鼓動じみたモノを感じ取れた。先ほどまでは気付かなかったが。

黒龍 > 「…オイオイ、何じゃこりゃあ…実は生きてるっつぅオチ…ぬぉっ!?」

鼓動の感覚が段々と短くなってきた…かと思えば。手の中の石が右手に『沈んでいく』。
慌てて右手を思いっきり振り払うが…落ちない。ズブズブと沈んでいく。

「ハァ!?ふざけんなコラ!!てめぇ、俺の断りも無く勝手に俺の体に入ってんじゃねぇ!!」

わめきたてて右手を激しく振る姿が何処か滑稽だが…そうこうしている間にも石は右手の中に沈んでいき。
男の意思など知らぬ、とばかりに完全に埋没してしまった。

「…おい、何だこりゃ新手の寄生生物か?…上等だ、さっさと俺の体の中から追い出してやるからなクソ石ころ…!!」

そして、そこから男の苦闘が始まった。体内の魔力を放出してみたり、自分の体をサーチして石の場所を特定しようとしたり。
が、いかんせん魔力云々とは勝手が違うブツなのか効果が無い。と、いうより路地裏で一人騒ぎ立ててるチンピラのような光景だった。

「クソが!龍の体に寄生するヤツなんて聞いた事もねぇぞ…!いや、もしかして人間の姿だからか!?」

挙句の果てにちょっと地団駄を踏んだりしていたが、やがて落ち着いたのかその動きも止まって。
とりあえず、自分の心臓の鼓動とは別の鼓動を感じる。つまり体内にあるのは間違いない。
今の所、これといった害や変化は男の肉体には起きていないが…だからこそ不気味だ。

黒龍 > 「ああ、暇潰しは求めてはいたがよ…こういう事じゃねぇんだよな…つぅか、鼓動がウゼェ」

どうやっても取り出せないし追い出せない。体内にあるとしか分からない。
おまけに正体不明、生きていると来た。珍妙過ぎて推測すら浮かばない。
苛立だしげに頭を掻きむしりながら、短くなった葉巻を地面に落として踏み消す。
再びゴソゴソとスーツの懐を探り、2本目の葉巻を取り出して口に咥えて火を点ける。

「くっそ、門をぶち壊したら別世界に来るわ、変な石ころに寄生されるわロクな事がねぇ…」

ガンッ!と道端に転がっていたガラクタっぽい物を蹴り飛ばしながら葉巻を蒸かす。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > 「異邦人か」

突然廃ビルの上から聞こえた声
下から見ても巨躯と理解る影が路地裏へと落下する

「珍しいな」

ズボンの裾の土埃をはたきながら、その姿を見据えた

黒龍 > 「……あぁ?」

葉巻を咥えたまま、胡乱げに降り立った声の主たる人影へとサングラス越しの視線を向ける。
黒髪オールバック、筋骨隆々の男がそこに居た。とはいえ、それでビビるタマでもない。

「……異邦人っつぅのか俺みてぇなのは。つぅか何モンだ?テメェ」

見た目も不良だが実際この男は口も悪い。葉巻の煙を一度吐き出しながらそちらに向き直る。
苛立ちがついつい声にも出ていたが仕方ない。先ほどまで変な石ころに無理矢理寄生されるひと悶着があったのだ。

虞淵 >  
「なんだ、まだ日が浅ェのか?
 別段ヨソからやって来るヤツァ珍しくはねぇし、いいンだけどよ」

ポケットからくしゃくしゃの煙草の箱を取り出し、
1本咥えて火をつける

「俺ァ虞淵ってんだ。
 この辺を根城にしてるチンピラみてェなもんだよ。
 ───随分苛立ってんな、揉め事かい」